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破片
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かけら
ふりがな文庫
“
破片
(
かけら
)” の例文
猩々はまた黙つて小娘のお
喋舌
(
しやべり
)
に耳を傾けてゐたが、暫くすると、娘をいたはるやうに手に持つた
食物
(
たべもの
)
の
破片
(
かけら
)
をそつと呉れてやつた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
しかし、何んといろいろな精神の
破片
(
かけら
)
を自分は袋へ入れて来たものだろう。これから日本へ帰ってゆっくり一つ一つずつ検べるのだ。——
旅愁
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
玉川砂利に古金物か、——どこかの石置場か、
普請場
(
ふしんば
)
へ行けば手に入るだろう。金物も古釘と鍋の
破片
(
かけら
)
と選り分けてあるところを
銭形平次捕物控:031 濡れた千両箱
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
いきなり中有にほうり出された完全體の
破片
(
かけら
)
——つまりなんともたとえようもない、何かしら奇態な代物にすぎないのである。
永遠の夫
(旧字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
瀬戸物の
破片
(
かけら
)
だろうが、何でもかまわす自分の家へ持って帰っては、チチコフが部屋の隅に見つけた例のがらくたの山へ投げこむのである。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
▼ もっと見る
空には、一めんに、壜の
破片
(
かけら
)
が散らばつてゐる。そいつがきらきら光つてゐる。どうも、頭の上へ落つこちて來さうで、あぶなくつていけない。
絵はがき
(旧字旧仮名)
/
堀辰雄
(著)
火鉢の
抽斗
(
ひきだし
)
から
漸
(
ようや
)
く蚊遣香の
破片
(
かけら
)
を見出した時、二人は思わず安心したように顔を見合せたので、わたくしは之を機会に
濹東綺譚
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
コップは
石畳
(
たたき
)
に砕け、細片はギラギラと鋭角的な光を投げて転がった。……ころんころんころんと部屋の隅まで転がって行く
破片
(
かけら
)
のシツッコさ……
古傷
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
私は又も狐に
抓
(
つま
)
まれたようになった。どこかに鏡はないか知らんと、キョロキョロそこいらを見まわしたが、
生憎
(
あいにく
)
、
破片
(
かけら
)
らしいものすら見当らぬ。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
また掘りあげた沙や砕いた礁の
破片
(
かけら
)
は陸へ運んでいたが、それが堰堤の上に
蟻
(
あり
)
が物を運ぶように群れ続いていた。
海神に祈る
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
「水車場の土手にはガラス
瓶
(
びん
)
の
破片
(
かけら
)
が星のようにきらめき、犬だか狼だかの
真黒
(
まっくろ
)
な影が転がるように
駈
(
か
)
け抜けた」
チェーホフの短篇に就いて
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
ザクザクとギヤマンの
破片
(
かけら
)
を踏んで、
框
(
わく
)
だけになった鏡の口へ寄ってゆくと、いよいよ濃い煙が巻き揚ってくる。
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この美しさに較ぶれば、ただ白いばかりで
肌膚
(
きめ
)
の粗い
生毛
(
うぶげ
)
の生えた西洋の女の皮膚なぞというものは、味も素っ気もない瀬戸物の
破片
(
かけら
)
みたいな気持がした。
ナリン殿下への回想
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
パンの
破片
(
かけら
)
、
紙屑
(
かみくづ
)
、
牛
(
うし
)
の
骨
(
ほね
)
など、
而
(
さう
)
して
寒
(
さむさ
)
に
顫
(
ふる
)
へながら、
猶太語
(
エヴレイご
)
で、
早言
(
はやこと
)
に
歌
(
うた
)
ふやうに
喋
(
しやべ
)
り
出
(
だ
)
す、
大方
(
おほかた
)
開店
(
かいてん
)
でも
爲
(
し
)
た
氣取
(
きどり
)
で
何
(
なに
)
かを
吹聽
(
ふいちやう
)
してゐるので
有
(
あ
)
らう。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
町をひたす切な若々しい色彩の氾濫も、引潮の夜、思いがけぬ屋根の下でそれ等千代紙の
破片
(
かけら
)
がもみくしゃになることも。——其故、新聞は広告をかかげる。
町の展望
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
「あんたの
四歳
(
よつつ
)
の時に死んだお父つあんはなア、……」と、母が泣き顏をして言ひかけては、後を止めてしまつた言葉の
破片
(
かけら
)
が殘りなく拾はれたやうな氣がした。
石川五右衛門の生立
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
コン吉が恐る恐る暗い
孔
(
あな
)
の中を覗いてみると、はるか七八尺も底の方に、
硝子
(
ガラス
)
の
破片
(
かけら
)
のように尖ったものすごい塊炭が、ぞろりの牙をむいているのが見えたから
ノンシャラン道中記:03 謝肉祭の支那服 ――地中海避寒地の巻――
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
それを彼は四方の壁や、剥げ落ちた
漆喰
(
しっくい
)
や、庭に転がっている
煉瓦
(
れんが
)
や
陶瓦
(
タイル
)
の
破片
(
かけら
)
の上に読んだのだ。家屋と庭園の一切の歴史は、それらのものの上に記されていた。
紅い花
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
その間に例によって宝物を拝観したが、此処のは
蛇身鳥
(
じゃしんちょう
)
の牙だの石や鐘の
破片
(
かけら
)
だので古道具とまでも行っていない。品が粗末なだけに縁先の
蓙
(
ござ
)
の上に列べてあった。
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
冷え冷えとした匂いのする店の間へきて小さな槌を取り上げると次郎吉は、土間にころがっている手ごろな石の
破片
(
かけら
)
を膝に、カチカチカチンとでたらめに刻みだした。
小説 円朝
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
「何? 氷山だって! 有難い。おい、
給仕
(
スチュワート
)
、一っ
破片
(
かけら
)
ぶっかいて来て呉れ。
此酒
(
こいつ
)
へ入れるんだ」
運命のSOS
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
這うようになおも辺りを見れば、飯粒の
乾枯
(
ひから
)
びたの、鰹節の
破片
(
かけら
)
などが、染甕の内外に、
些少
(
すこし
)
だが散らばっている。釘抜藤吉、突然上を向いて狂人のように笑い出した。と
釘抜藤吉捕物覚書:09 怨霊首人形
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
攻めることはできるが、取ることはできねえ、
壜
(
びん
)
の
破片
(
かけら
)
が立ってる壁越しに
林檎
(
りんご
)
を盗んだことがあるか。国民兵が防寨に上ろうとすりゃあ、ガラス戸で足の
蹠
(
うら
)
を切っちまわあ。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
「誠に残念でござりますな。
破片
(
かけら
)
を拾って持ちかえり組み立てることはなりますまいかな」
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
其處らには赤く
銹
(
さ
)
びたブリキの
鑵
(
くわん
)
のひしやげたのやら
貧乏
(
びんぼう
)
徳
(
とく
)
利の底の拔けたのやら、またはボール箱の破れた切ツ端やら、ガラスの
破片
(
かけら
)
やら、是れと目に付くほどの物はないが
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
天井からは漆喰の
破片
(
かけら
)
が落ちて来て、その代りに下地の木片が見えるようになった。
クリスマス・カロル
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
青木に対する昔の好意が——自分の身を滅ぼすことをも辞さないほどの好意の
破片
(
かけら
)
でもが、雄吉の心のうちに残っているとでも、青木は誤解しているのかも知れないと、雄吉は思った。
青木の出京
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
虻
(
あぶ
)
がいるのでも蚊がいるのでもない。ただぴしりっぴしりっと
無暗
(
むやみ
)
に尾を振った。人が通りかかると、首を高く持ち上げて(ほほほ!)と
嘶
(
いなな
)
いた。
脚
(
あし
)
を上げては石炭の
破片
(
かけら
)
を踏み
砕
(
くだ
)
いた。
狂馬
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
ショールなんかにくるんで
小箪笥
(
こだんす
)
のうしろに隠してあったのだ。もっともこれは
破片
(
かけら
)
を一つだけ持って来たので、高さ一尺ばかりの石膏像のこわれたものが、すっくりそこにあったのだがね
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
どうするって。赤い金は赤い区域内だけで通用するようにする。白い金は白い区域内だけで使う事にする。もし領分外へ出ると、
瓦
(
かわら
)
の
破片
(
かけら
)
同様まるで幅が
利
(
き
)
かないようにして、融通の制限を
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼は店頭でパンを
噛
(
かじ
)
つたが、全然味がわからなかつた。自分の啜る茶の音のみ激しく耳につくのであつた。視線は落付を失つてゐた。彼はパンを噛るごとに、
破片
(
かけら
)
をぽい/\吐きだしてゐた。
麓
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
足
(
あし
)
もとの
瓦
(
かわら
)
の
破片
(
かけら
)
を
拾
(
ひろ
)
い
上
(
あ
)
げると、
力
(
ちから
)
いっぱい
大空
(
おおぞら
)
に
向
(
む
)
かって
投
(
な
)
げました。
とびよ鳴け
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
溝々は水嵩をまして氷の
破片
(
かけら
)
は音をたてながら流れた。シャベルで水っぽい雪を掘ると青い蕗の芽が雪にまじって散った。陽当りの好い塀の下には黒い土が見え出した。橇はもう小屋にしまわれた。
凍雲
(新字新仮名)
/
矢田津世子
(著)
そしてまだ残されてゐる、ほんの一
破片
(
かけら
)
でからうじて呼吸をしてゐる有様なのだ。私は肺病患者がどんな風にして死ぬかよく心得てゐる。ここへ来てからでも、もう幾つもさういふ死に方を見たのだ。
鬼神
(新字旧仮名)
/
北条民雄
(著)
熊岡警官が保管している「茶っぽい
硝子
(
ガラス
)
の
破片
(
かけら
)
のようなもの」
赤外線男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
ややありて
麪包
(
パン
)
の
破片
(
かけら
)
を手にも取り
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
美しい
愛情
(
あいじよう
)
の
破片
(
かけら
)
が
街:《或る友に》
(新字旧仮名)
/
森川義信
(著)
破片
(
かけら
)
にうつる
「学生警鐘」と風
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
玉川砂利に古金物か、——何處かの石置場か、
普請場
(
ふしんば
)
へ行けば手に入るだらう。金物も古釘と鍋の
破片
(
かけら
)
と選り分けてあるところを
銭形平次捕物控:031 濡れた千両箱
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
重なり合い折れ
朽
(
くち
)
ている雑草の上を
黝
(
く
)
すんだ空気が、
飄々
(
ひょうひょう
)
と流れ、
彷徨
(
さまよ
)
うのを鈍い目で追跡し、ヤッと手を伸ばせば、その
朽草
(
くちくさ
)
の下の、月の
破片
(
かけら
)
が
自殺
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
と、今まで明るい陽がさしていた空が不意に暗くなって、真黒な雲が渦巻のように舞いさがって来て、空中に浮んだ鉢の
破片
(
かけら
)
を包んで空高く
騰
(
のぼ
)
って往った。
長者
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
パンの
破片
(
かけら
)
、
紙屑
(
かみくず
)
、
牛
(
うし
)
の
骨
(
ほね
)
など、そうして
寒
(
さむさ
)
に
顫
(
ふる
)
えながら、
猶太語
(
エヴレイご
)
で、
早言
(
はやこと
)
に
歌
(
うた
)
うように
喋
(
しゃべ
)
り
出
(
だ
)
す、
大方
(
おおかた
)
開店
(
かいてん
)
でもした
気取
(
きどり
)
で
何
(
なに
)
かを
吹聴
(
ふいちょう
)
しているのであろう。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
何事の起ったのかと種彦はふと心付けばわが
佇
(
たたず
)
む地の上は一面に
踏砕
(
ふみくだ
)
かれた水晶
瑪瑙
(
めのう
)
琥珀
(
こはく
)
鶏血
(
けいけつ
)
孔雀石
(
くじゃくせき
)
珊瑚
(
さんご
)
鼈甲
(
べっこう
)
ぎやまんびいどろなぞの
破片
(
かけら
)
で
埋
(
うず
)
め
尽
(
つく
)
されている。
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
失望
(
がつかり
)
した医者は、最後に小娘を連れて、黒猩々の檻の前に立つた。猩々は手に
食物
(
たべもの
)
の
破片
(
かけら
)
を持つて、お婆さんのやうに
留
(
とま
)
り
木
(
ぎ
)
の上に、ちよこなんと坐つてゐた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
但
(
ただし
)
、儀作は、最初の場面に現われた時よりも
一畝
(
ひとうね
)
ほど余計に畠を作っているが、
傍
(
かたわら
)
に居る
痩
(
や
)
せた少女も、その半分の処まで、枯れ枝や瓦の
破片
(
かけら
)
を植えつけている。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
けれど水はよく澄んでいた、白い瀬戸物の
破片
(
かけら
)
だの、俵だの、傘の骨などはよく見える。
魚紋
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼の目は十一、二歩前のところに据えられて、草の中に落ちている青い陶器の古い
破片
(
かけら
)
の形を注意深く見きわめているようだった。と突然彼は身震いをした。夕の冷気を感じたのだった。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
夏も七月の暑い
日盛
(
ひざか
)
りに開けはなった窓の前で、年とった女中頭が真白に輝いている
精製糖
(
せいせいとう
)
の棒を打ち砕いて、キラキラする
破片
(
かけら
)
にしているとき、その上をまいまい飛び回っている蠅のようだ。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
それは硝子の
破片
(
かけら
)
のやうに光つて見えた。小さな眞白な雲が、たくさん、汽船のマストを中心にして塊まり合つてゐる。その中でゆるやかに動きつつあるものは、いづれも魚に似た形をしてゐる。
風景
(旧字旧仮名)
/
堀辰雄
(著)
木乃伊の
破片
(
かけら
)
を手に入れて、その粉末を博士の室へ、こっそり
蒔
(
ま
)
き散らせて置かせたり、お前方東洋の日本の港で、
旨
(
うま
)
い仕事をやった時、何かの用に立つだろうと、買って持っていた
竹紙
(
ちくし
)
という紙へ
木乃伊の耳飾
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
“破片”の意味
《名詞》
壊れたもののかけら。
(出典:Wiktionary)
破
常用漢字
小5
部首:⽯
10画
片
常用漢字
小6
部首:⽚
4画
“破片”で始まる語句
破片岩
破片等