古傷ふるきず
——私は自分の弱い心を誤魔化す為に、先刻から飲めもしない酒を飲み続けていた。 第三高調波を描く放送音楽…… 蓄電器のように白々しく対立した感情…… 溷濁した恋情と、ねばねばする空気…… 『なに考えてんだィ、さあもう一杯』 内田君は、兎もすれ …