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きせる
ふりがな文庫
“
烟管
(
きせる
)” の例文
かれは持っている
烟管
(
きせる
)
を握って、杖をつく形をしてみせた。勿論、そのころの東京にはまだ電車が開通していなかったのである。
三浦老人昔話
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
一枚二枚は
余所目
(
よそめ
)
を振らず一心に筆を運ぶが、
其中
(
そのうち
)
に
曖昧
(
あやふや
)
な処に
出会
(
でっくわ
)
してグッと詰ると、まず一服と旧式の
烟管
(
きせる
)
を取上げる。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
貞之進が黒の羽織を着て居るのに心附き、あなたのことではありませんよと、
撲
(
はた
)
いた
烟管
(
きせる
)
をふっと吹き、
昨宵
(
ゆうべ
)
も逢た癖にと婢が云うのを
聞
(
きか
)
ぬふりで
油地獄
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
婦人用の
烟管
(
きせる
)
の吸口と
雁首
(
がんくび
)
に附けた金具に、銀と
赤銅
(
しゃくどう
)
とを用いて、銀白色の帯青灰色との横縞を見せているのがある。
「いき」の構造
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
或る日九郎右衛門は
烟草
(
たばこ
)
を飲みながら、りよの裁縫するのを見ていたが、不審らしい顔をして、
烟管
(
きせる
)
を下に置いた。
護持院原の敵討
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
▼ もっと見る
唯だ
骨喜店
(
カツフエエ
)
の前には、幾個の希臘人、
土耳格
(
トルコ
)
人などの彩衣を纏ひて、口に長き
烟管
(
きせる
)
を
啣
(
ふく
)
み、默坐したるあるのみ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
ガラツ八の八五郎、入つて來るといきなりお先煙草の
烟管
(
きせる
)
を引寄せて、斯んな
途徹
(
とてつ
)
もないことを言ふのです。
銭形平次捕物控:202 隠し念仏
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「勇気が要るのかい」と手に持っていた
烟管
(
きせる
)
を畳の上に放り出した。代助は
膝頭
(
ひざがしら
)
を見詰めて黙っていた。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
此
(
こ
)
の
積上
(
つみあ
)
げられたる
雜具
(
がらくた
)
の
上
(
うへ
)
に、
毎
(
いつ
)
でも
烟管
(
きせる
)
を
噛
(
くは
)
へて
寐辷
(
ねそべ
)
つてゐるのは、
年
(
とし
)
を
取
(
と
)
つた
兵隊上
(
へいたいあが
)
りの、
色
(
いろ
)
の
褪
(
さ
)
めた
徽章
(
きしやう
)
の
附
(
つ
)
いてる
軍服
(
ぐんぷく
)
を
始終
(
ふだん
)
着
(
き
)
てゐるニキタと
云
(
い
)
ふ
小使
(
こづかひ
)
。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
お前は思ひ切りが宜すぎるからいけない兎も角手紙をやつて御覽、源さんも可愛さうだわなと言ひながらお力を見れば
烟管
(
きせる
)
掃除に餘念のなきか俯向たるまゝ物いはず。
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
余
(
よ
)
は山水に目を
奪
(
うば
)
はれたるに「火をかしなされ」とて
烟管
(
きせる
)
さしよせたる
顔
(
かほ
)
を見れば、
蓬髪
(
みだれがみ
)
素面
(
すがほ
)
にて
天質
(
うまれつき
)
の
艶色
(
えんしよく
)
花ともいふべく玉にも
比
(
ひ
)
すべし。
百結
(
つぎ/\
)
の
鶉衣
(
つゞれ
)
此
趙璧
(
てうへき
)
を
羅
(
つゝ
)
む。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
と是から枕元へ下女が煙草盆へ切炭を
埋
(
い
)
けて持って来ますと、
腹這
(
はらんばい
)
になって長い
烟管
(
きせる
)
で煙草を
喫
(
の
)
むこと/\おおよそ十五六服喫まんければ眼が
判然
(
はっきり
)
覚めないと見えます。
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
痩せた
頬殺
(
ほゝそ
)
げした顔は蒼く、目が鋭かつた。
烟管
(
きせる
)
へつめる左の指がピク/\
顫
(
ふる
)
へて居る。
茗荷畠
(新字旧仮名)
/
真山青果
(著)
「どうだね、聞いておくれだったかね?」と言って長い
烟管
(
きせる
)
を取上げた。
酒中日記
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
母親と聞いて文三の
萎
(
しお
)
れ返るを見て、お政は好い
責
(
せめ
)
道具を
視付
(
みつ
)
けたという顔付、
長羅宇
(
ながらう
)
の
烟管
(
きせる
)
で
席
(
たたみ
)
を
叩
(
たた
)
くをキッカケに
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
「勇気が
要
(
い
)
るのかい」と手に
持
(
も
)
つてゐた
烟管
(
きせる
)
を
畳
(
たゝみ
)
の
上
(
うへ
)
に
放
(
ほう
)
り
出
(
だ
)
した。代助は
膝頭
(
ひざがしら
)
を見詰めて
黙
(
だま
)
つてゐた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
この
積上
(
つみあ
)
げられたる
雑具
(
がらくた
)
の
上
(
うえ
)
に、いつでも
烟管
(
きせる
)
を
噛
(
くわ
)
えて
寐辷
(
ねそべ
)
っているのは、
年
(
とし
)
を
取
(
と
)
った
兵隊上
(
へいたいあが
)
りの、
色
(
いろ
)
の
褪
(
さ
)
めた
徽章
(
きしょう
)
の
附
(
つ
)
いてる
軍服
(
ぐんぷく
)
を
始終
(
ふだん
)
着
(
き
)
ているニキタと
云
(
い
)
う
小使
(
こづかい
)
。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
お父様が、
烟草
(
たばこ
)
を呑んでいた
烟管
(
きせる
)
で、常よりひどく灰吹をはたいて、口を切られた。お父様は巻烟草は
上
(
あが
)
らない。いつも雲井という烟草を上るに極まっていたのである。
ヰタ・セクスアリス
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
余
(
よ
)
は山水に目を
奪
(
うば
)
はれたるに「火をかしなされ」とて
烟管
(
きせる
)
さしよせたる
顔
(
かほ
)
を見れば、
蓬髪
(
みだれがみ
)
素面
(
すがほ
)
にて
天質
(
うまれつき
)
の
艶色
(
えんしよく
)
花ともいふべく玉にも
比
(
ひ
)
すべし。
百結
(
つぎ/\
)
の
鶉衣
(
つゞれ
)
此
趙璧
(
てうへき
)
を
羅
(
つゝ
)
む。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
と
呟
(
つぶや
)
きながらお馬場口へかゝって、裏手へ廻り、勝手は宜く存じている有助、主人松蔭大藏方へ忍び込んで、縁側の方へ廻って来ると、烟草盆を
烟管
(
きせる
)
でぽん/\と叩く音。
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
あれも
矢
(
や
)
つ
張
(
ぱり
)
いたづら
者
(
もの
)
と
烟管
(
きせる
)
を
置
(
お
)
いて
立
(
たち
)
あがる、
女猫
(
めねこ
)
よびにと
雪灯
(
ぼんぼり
)
に
火
(
ひ
)
を
移
(
うつ
)
し
平常着
(
ふだんぎ
)
の八
丈
(
ぢよう
)
の
書生羽織
(
しよせいばをり
)
しどけなく
引
(
ひき
)
かけて、
腰引
(
こしひき
)
ゆへる
縮緬
(
ちりめん
)
の、
淺黄
(
あさぎ
)
はことに
美
(
うつ
)
くしく
見
(
み
)
えぬ。
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
火の左右に身を
横
(
よこた
)
へたる二人は、
逞
(
たく
)
ましげに肥えたる農夫なるが、毛を表にしたる羊の
裘
(
かはごろも
)
を纏ひ、太き長靴を穿き、聖母の圖を
貼
(
つ
)
けたる尖帽を戴き、短き
烟管
(
きせる
)
を
銜
(
ふく
)
みて
對
(
むか
)
ひあへり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
彌平次 (進み出る。)これは講武所から
流行
(
はや
)
り出した鶺鴒張りといふ
烟管
(
きせる
)
です。
正雪の二代目
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
座に着いて老人は
烟管
(
きせる
)
を取出した。
酒中日記
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
「
大喰
(
おおく
)
わされ!」とお糸さんは
烟管
(
きせる
)
を火鉢の
角
(
かど
)
でポンと叩いて、「
正可
(
まさか
)
女房子
(
にょうぼこ
)
の有る人た思いませんでしたもの。 ...
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
それを着たままで、霽波に連れられて出たのである。そして二尺ばかりの鉄の
烟管
(
きせる
)
を持っている。
ヰタ・セクスアリス
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
と云いかけて
実親
(
じつおや
)
の無慈悲を思うも
臓腑
(
はらわた
)
が
沸
(
にえ
)
かえるほど
忌々
(
いま/\
)
しく恨めしいので、唇が
痙攣
(
ひきつ
)
り、
烟管
(
きせる
)
を持った手がぶる/″\
顫
(
ふる
)
えますから、お柳は心配気に長二の顔を見詰めました。
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
奧方
(
おくがた
)
は
火鉢
(
ひばち
)
を
引寄
(
ひきよ
)
せて、
火
(
ひ
)
の
氣
(
け
)
のありやと
試
(
こゝろ
)
みるに、
宵
(
よひ
)
に
小間使
(
こまづか
)
ひが
埋
(
い
)
け
參
(
まい
)
らせたる、
櫻炭
(
さくら
)
の
半
(
なかば
)
は
灰
(
はひ
)
に
成
(
な
)
りて、よくも
起
(
おこ
)
さで
埋
(
い
)
けつるは
黒
(
くろ
)
きまゝにて
冷
(
ひ
)
えしもあり、
烟管
(
きせる
)
を
取上
(
とりあ
)
げて一二
服
(
ふく
)
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
ト唇を反らしていうを聞くや
否
(
いな
)
や、お政は
忽
(
たちま
)
ち顔色を変えて手に持ッていた
長羅宇
(
ながらう
)
の
烟管
(
きせる
)
を
席
(
たたみ
)
へ放り付け
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
長い
烟管
(
きせる
)
に烟草を吸い附けて、吸口を袖で拭いて、例の鼻から上を動かさずに、𣵀麻に出す。
ヰタ・セクスアリス
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
八
疊
(
でう
)
の
座敷
(
ざしき
)
に六
枚
(
まい
)
屏風
(
びやうぶ
)
たてゝ、お
枕
(
まくら
)
もとには
桐胴
(
きりどう
)
の
火鉢
(
ひばち
)
にお
煎茶
(
せんちや
)
の
道具
(
だうぐ
)
、
烟草盆
(
たばこぼん
)
は
紫檀
(
したん
)
にて
朱羅宇
(
しゆらう
)
の
烟管
(
きせる
)
そのさま
可笑
(
をか
)
しく、
枕
(
まくら
)
ぶとんの
派手摸樣
(
はでもやう
)
より
枕
(
まくら
)
の
總
(
ふさ
)
の
紅
(
くれな
)
ひも
常
(
つね
)
の
好
(
この
)
みの
大方
(
おほかた
)
に
顯
(
あら
)
はれて
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
と云いながら、側に
在
(
あ
)
りました
烟管
(
きせる
)
にて林藏の頭を
打
(
ぶ
)
ちました。
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「おい、お前何か考えているね」と、末造が
烟管
(
きせる
)
に烟草を詰めつつ云った。
雁
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
烟
漢検1級
部首:⽕
10画
管
常用漢字
小4
部首:⽵
14画
“烟管”で始まる語句
烟管屋
烟管挿
烟管筒
烟管掃除