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機
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はずみ
ふりがな文庫
“
機
(
はずみ
)” の例文
お岩はそれを取られまいとして争っているうちに、どうした
機
(
はずみ
)
か刀が飛んで欄間の下へ突きささった。お岩はよろよろとなった。
南北の東海道四谷怪談
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
ところがその発会式が広い講堂で行なわれた時に、何かの
機
(
はずみ
)
でしたろう、一人の会員が壇上に立って演説めいた事をやりました。
私の個人主義
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
譬えば世の事は怪我の
機
(
はずみ
)
にてできるものなし。善き事も悪き事もみな人のこれをなさんとする意ありてこそできるものなり。
学問のすすめ
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
この
困憊
(
こんぱい
)
した体を海ぎわまで持って行って、どうした
機
(
はずみ
)
でフラフラと死ぬ気にならないものでもないと思うと、きゅうに怖しくなって足が
竦
(
すく
)
んだ。
世間師
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
振放す
機
(
はずみ
)
に
引断
(
ひっちぎ
)
った煙草入、其の儘土手下へ転がり落ちた、こりゃ
堪
(
たま
)
らぬと草へ
掴
(
つか
)
まって
上
(
あが
)
って見たら、
何時
(
いつ
)
の間にか曲者は跡を
晦
(
くら
)
ましてしまう。
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
▼ もっと見る
磯野も、時の
機
(
はずみ
)
でしたことが振り顧って見られたし、お増にも、始終変ってゆく男の心の頼みがたいことが解って来た。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
其
(
それ
)
が
甚麼
(
どんな
)
機
(
はずみ
)
で
相近
(
あひちかづ
)
く事に
成
(
な
)
つたのであるか、どうも覚えませんけれど、いつかフレンドシツプが
成立
(
なりた
)
つたのです
硯友社の沿革
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
機
(
はずみ
)
に俥がずる/\と引張られると、知事は
後
(
あと
)
の片足を踏み外していきなり前へのめつた。属官は
可笑
(
をか
)
しさを
噛
(
か
)
み
堪
(
こら
)
へるやうな顔をして飛んで
側
(
そば
)
へ往つた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
何
公爵
(
こうしゃく
)
の旧領地とばかり、
詳細
(
くわし
)
い事は言われない、侯伯子男の新華族を沢山出しただけに、同じく維新の風雲に会しながらも妙な
機
(
はずみ
)
から
雲梯
(
うんてい
)
をすべり落ちて
富岡先生
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
そう思いながら歩いていると、身体がふらりふらりと宙に浮いて来た。どうした
機
(
はずみ
)
か、ふと革命党が自分であるように思われた。未荘の人は皆彼の
俘虜
(
とりこ
)
となった。
阿Q正伝
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
し損じたりとまた踏ん込んで打つを逃げつつ、
抛
(
な
)
げつくる釘箱
才槌
(
さいづち
)
墨壺
矩尺
(
かねざし
)
、
利器
(
えもの
)
のなさに防ぐ
術
(
すべ
)
なく、身を翻えして
退
(
の
)
く
機
(
はずみ
)
に足を突っ込む道具箱、ぐざと踏み
貫
(
ぬ
)
く五寸釘
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
馬に、
刎
(
は
)
ねとばされた
機
(
はずみ
)
に、お通はそこへ転げ落ちたものと見える。もうその時は梅軒にも、彼女が武蔵と何らかの交渉のある人間に違いないということは考えられていた。
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「なにかの
機
(
はずみ
)
に思い出すことがないとも限りません。それについて、もし将軍から何かお尋ねでもありましたら、そのときには遠慮なく、正直にお答えをなさる方がようございます。」
青蛙堂鬼談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
その
機
(
はずみ
)
に自分の眼がはからずも社長の鈍く冷たく光ってる眼とちらと途中で出会った。曽根はきたない物でも見たように顔をしかめた。しかし元気を出して、また腹の中で独言をはじめた。
六月
(新字新仮名)
/
相馬泰三
(著)
如何なる心の
機
(
はずみ
)
にか候ひけむ、唯だ忽然はつと思ふやがて今までの我が我ならぬ我と
相成
(
あひなり
)
、筆の動くそのまゝ、墨の紙上に声するそのまゝ、すべて一々超絶的不思議となつて眼前に耀き申候。
予が見神の実験
(新字旧仮名)
/
綱島梁川
(著)
如何
(
どう
)
した
機
(
はずみ
)
でか急に
殊勝気
(
しゅしょうげ
)
を起し、敬礼も成る丈気を附けて丁寧にするようにして、それでも尚お危険を感ずると、運動と称して、教師の私宅へ
推懸
(
おしか
)
けて行って、哀れッぽい事を言って来る。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
ふとした
機
(
はずみ
)
でその人の荷物を川に落したことがあり、それを非常に気にやんでいたが、いよいよ気がちがってからも「俺は山へ行って金の塊を取って来るだで」と、しきりに言っていたという。
可愛い山
(新字新仮名)
/
石川欣一
(著)
「ほい、気に障ったら堪忍しねえ、言ったって治らねえ位のこたあ知ってるんだい、言葉の
機
(
はずみ
)
よ、
己
(
おれ
)
だってまだ人に意見を言う
親仁形
(
おやじがた
)
は役不足だ、
可
(
い
)
いや、喧嘩なら加勢をしよう、
対手
(
あいて
)
は何だ。」
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その
機
(
はずみ
)
に帯の結び目が解けた。黒繻子の帯の一方は暴漢の手に掴まれたなりに、痩せぎすなすっきりしたお勝の体はくるくると月の下に廻った。
放生津物語
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
兄さんはあの折談話の
機
(
はずみ
)
でつい興奮し過ぎたと自白しました。しかし私の顔を見たときに、その激した心の調子がしだいに収まったと云うのです。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
続いて
後
(
あと
)
から追掛けて来ました盗人は、よう/\
追付
(
おっつ
)
いて、ドンとお町の
脊中
(
せなか
)
を突きましたから、お町はのめる
機
(
はずみ
)
に熊の
棲
(
す
)
んでいる穴の中へ落ちました。
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
差付けらるるを
推除
(
おしの
)
くる
機
(
はずみ
)
に、コップは
脆
(
もろ
)
くも蒲田の手を
脱
(
すべ
)
れば、
莨盆
(
たばこぼん
)
の
火入
(
ひいれ
)
に
抵
(
あた
)
りて
発矢
(
はつし
)
と割れたり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
そのとき何かの
機
(
はずみ
)
でちょっと肯き、よい加減にしばらくの間背負っていった後で、皆睡くなって散り散りに別れたので、仙山もそれにつれて沈んでしまったのであろう。
不周山
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
身を翻へして退く
機
(
はずみ
)
に足を突込む道具箱、ぐざと踏み貫く五寸釘、思はず転ぶを得たりやと笠にかゝつて清吉が振り冠つたる釿の刃先に夕日の光の
閃
(
きら
)
りと宿つて空に知られぬ
電光
(
いなづま
)
の
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
鶴田仙庵が自分で之を忘れて、何かの
機
(
はずみ
)
にその茶椀を棚から落して硫酸を頭から
冠
(
かぶ
)
り、
身体
(
からだ
)
に
左
(
さ
)
までの
径我
(
けが
)
はなかったが、
丁度
(
ちょうど
)
旧暦四月の頃で一枚の
袷
(
あわせ
)
をヅタ/″\にした事がある。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
あッと顔を
背
(
そむ
)
ける
機
(
はずみ
)
に、
冷
(
つめた
)
い空気の煽りを受けて、頼みの蝋燭はふッと消えた。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「は。」と答えた
機
(
はずみ
)
で、私はつと下駄を脱捨てて猿階子に取着こうとすると
世間師
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
何如
(
どう
)
した
機
(
はずみ
)
だったか、松陰先生に心酔して了って、書風まで
力
(
つと
)
めて其人に似せ、
窃
(
ひそか
)
に何回猛士とか
僭
(
せん
)
して喜んでいた迄は罪がないが、困った事には、斯うなると世間に余り偉い人が無くなる。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
ひらりとすぐ身をその宙へまかせる
機
(
はずみ
)
を持っていた。
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「物の
機
(
はずみ
)
でございましょう、下に
鋸
(
のこぎり
)
の歯のようになった処がございまして、その上へ落ちたものでございますから」
海神に祈る
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
先刻
(
さっき
)
も申す通り私は決して悪人ではない、賊の為に災難に
逢
(
お
)
うて逃げる
機
(
はずみ
)
に此の穴へ落ちた者、其の時お前が
追掛
(
おっか
)
けて出た
彼
(
あ
)
の二人の者こそ泥坊じゃぞえ
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
しかしどうした
機
(
はずみ
)
か立つときに
嫂
(
あによめ
)
の顔をちょっと見た。その時は何の気もつかなかったが、この平凡な所作がその後自分の胸には絶えず
驕慢
(
きょうまん
)
の発現として響いた。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
其の
機
(
はずみ
)
に刀の目釘が折れて、刃はむこうへ飛んで柱に当って二つに折れた。二人は驚いて顔の色を蒼くした。
魔王物語
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
と云われて奥方は少しも御存じございませんから
手燭
(
てしょく
)
を
点
(
つ
)
けて殿様の処へ行って見ると、腕は
冴
(
さ
)
え刃物は
利
(
よ
)
し、サッという
機
(
はずみ
)
に肩から乳の
辺
(
あたり
)
まで斬込まれて
居
(
い
)
る死骸を見て
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
私がそいつに、その女が君に
覚召
(
おぼしめし
)
があると悟ったのはどういう
機
(
はずみ
)
だと聞いたらね。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
吝嗇
(
りんしょく
)
なその家ではそうした残り肴をとられても口ぎたなく
罵
(
ののし
)
られるので、お菊は驚いて猫を追いのけようとした。その
機
(
はずみ
)
に手にしていた皿が落ちて
破
(
わ
)
れてしまった。
皿屋敷
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
亥太郎は
脆
(
もろ
)
くもばらりっと手を放すや否や、
何
(
ど
)
ういう
機
(
はずみ
)
か
其処
(
そこ
)
へドーンと投げられました。
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
現に父は養生のお
蔭
(
かげ
)
一つで、
今日
(
こんにち
)
までどうかこうか
凌
(
しの
)
いで来たように客が来ると
吹聴
(
ふいちょう
)
していた。その父が、母の書信によると、庭へ出て何かしている
機
(
はずみ
)
に突然
眩暈
(
めまい
)
がして引ッ繰り返った。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
お勝の体はみるみる暴漢と二三尺離れたが
機
(
はずみ
)
を
喫
(
く
)
って膝を突いた。お勝は襲いかかってくる暴漢を払いのけるように、隻手をその方にやって一方の手で起きようとした。
放生津物語
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
幸兵衞が手前へ引く
機
(
はずみ
)
に
刀尖
(
きっさき
)
深く我と
吾手
(
わがて
)
で胸先を
刺貫
(
さしつらぬ
)
き、アッと叫んで仰向けに倒れる途端に、刄物は長二の手に残り、お柳に領を引かるゝまゝ将棋倒しにお柳と共に転んだのを
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
二人で礁の頂上へあがって
玄翁
(
げんのう
)
で
破
(
わ
)
っておるうちに、どうした
機
(
はずみ
)
かあれと云う間に、二人は玄翁を
揮
(
ふ
)
り落すなり、転び落ちまして、あんな事になりましたが、銀六の方は
海神に祈る
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
と云うから見ると
士
(
さむらい
)
だから慌てゝ
除
(
よ
)
けようと思うと、除ける
機
(
はずみ
)
にヒョロ/\と
顛
(
ころが
)
ります途端に、下駄の歯で雪と泥を
蹴上
(
はねあ
)
げますと、前の剣術遣いの
襟
(
えり
)
の中へ雪の塊が飛込みましたから
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
彼は朱筆を持ったなりに細君の
後
(
うしろ
)
から飛びかかって往って、両手でその首筋を
掴
(
つか
)
んで引き
据
(
す
)
えた。細君は
機
(
はずみ
)
をくって突き坐った。と、小供がびっくりして大声に泣きだした。
水郷異聞
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
と駈出して
逃
(
にげ
)
る途端
母親
(
おふくろ
)
が止め様とした
機
(
はずみ
)
、田舎では大きな囲炉裏が切ってあります、上からは自在が掛って
薬鑵
(
やかん
)
の湯が
沸
(
たぎ
)
って居た処へ
双
(
もろ
)
に
反
(
かえ
)
りまして、
片面
(
これ
)
から
肩
(
これ
)
へ熱湯を浴びました。
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
お作が便所に往っていると、便所の
簷下
(
のきした
)
で背に何かものが負われたように不意に重くなった。お作がその
機
(
はずみ
)
によろよろすると、重いものはずり落ちたようになって体は直ぐ軽くなった。
妖怪記
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
其の
機
(
はずみ
)
に逃げられたが、忌々しい事をした
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
機
常用漢字
小4
部首:⽊
16画
“機”を含む語句
機会
機會
昇降機
機械
上機嫌
時機
起重機
機関
機智
動機
制動機
好機
機織
弾機
機構
機能
推進機
御機嫌伺
機関室
飛行機
...