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梟
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ふくろう
ふりがな文庫
“
梟
(
ふくろう
)” の例文
めったに闇の中を
歩行
(
ある
)
いて血の池なんかに落ちようものなら百年目だ、こんな事なら円遊に
細
(
くわ
)
しく聞いて来るのだッた。オヤ
梟
(
ふくろう
)
が鳴く。
墓
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
(重兵衛は太吉を横目に睨みながら、
自在
(
じざい
)
の
湯沸
(
ゆわか
)
しを取って
下
(
しも
)
のかたへ行き、棚から
土瓶
(
どびん
)
をおろして茶の支度をする。
梟
(
ふくろう
)
の声。)
影:(一幕)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
鵺
(
ぬえ
)
は単に未明の空を飛んで鳴くために、その声を聴いた者は呪言を唱え、鷺も
梟
(
ふくろう
)
も魔の鳥として、その異常な挙動を見た者は祭をした。
野草雑記・野鳥雑記:02 野鳥雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
そこから長い石段をおりると、名主利右衛門の屋敷はすぐ左にひらけた藪のかげにあった。どこかで、ほう、ほう、と
梟
(
ふくろう
)
が
啼
(
な
)
いている。
本所松坂町
(新字新仮名)
/
尾崎士郎
(著)
するとそのとき、戸外で鳥の鳴く声がした。
梟
(
ふくろう
)
のような声で、ほっほう、ほっほうと二た声鳴き、ついで、まをおいてまた三声鳴いた。
ちくしょう谷
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
▼ もっと見る
寒さはいつの間にかすこしゆるんで、のろい
檐
(
ひさし
)
の点滴の音が、をちこちで鳴き出した
梟
(
ふくろう
)
の声の鳴き尻を
叩
(
たた
)
いてゐる。雨ではない。
靄
(
もや
)
だ。
上田秋成の晩年
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
森の
梟
(
ふくろう
)
とか幻想の
虹
(
にじ
)
とかいったハイカラなもので、私はその少女の作品から、「神秘的」なと云う
愕
(
おどろ
)
くべき上品な言葉を知った。
私の先生
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
初めは低く暗い余韻のない——お寺の森の
暗
(
やみ
)
に
啼
(
な
)
く
梟
(
ふくろう
)
の声に似た音色が出た。喜びも悲しみもない……只淋しく低く……ポ……ポ……と。
あやかしの鼓
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
ただある夜おそく、武田大佐と清少年が、代々木なる明治神宮の大鳥居をくぐったことを、
神苑
(
しんえん
)
の森に
棲
(
す
)
む
梟
(
ふくろう
)
たちは知っている。
昭和遊撃隊
(新字新仮名)
/
平田晋策
(著)
あちらこちらで
梟
(
ふくろう
)
がホーホーと
啼
(
な
)
いて、夜の七時といえば都会では、まだほんの
宵
(
よい
)
の口です。銀座なぞは人で、さぞ雑踏しているでしょう。
墓が呼んでいる
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
その人たちの休む仮屋が片隅の二本杉の傍にあって、
賑
(
にぎ
)
やかな人声もしますが、常は静かなもので
雉子
(
きじ
)
が遊んでい、夜は
梟
(
ふくろう
)
の声も聞えます。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
祭りが終って群衆が地方に帰った後、
詭計
(
たばかり
)
をもってやっつけようと、光を憎む
梟
(
ふくろう
)
どもがひそひそと陰謀をめぐらしていた(一四の一、二)。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
「おうい」
梟
(
ふくろう
)
のような鼻声を交わしながら、途中から、めいめい、手ごろな石を
担
(
かつ
)
いでそこへ群れてくる。そして芝地の露へ
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
卵形といえば一方が少し尖った長円い形にきまったようなものであるが稀には円形の卵もある、亀、
梟
(
ふくろう
)
などがその例である。
卵の形
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
眼
(
め
)
を
瞑
(
つぶ
)
ってだまって説教の木の高い枝にとまり、まわりにゆうべと同じにとまった
沢山
(
たくさん
)
の
梟
(
ふくろう
)
どもはなぜか大へんみな興奮している模様でした。
二十六夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
そっと女中にくっ附いていって、女中の袖の下から、小さな
梟
(
ふくろう
)
のように覗いていたあんぽんたんは、
吃驚
(
びっくり
)
して眼を丸めた。
旧聞日本橋:23 鉄くそぶとり(続旧聞日本橋・その二)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
やがて
未練
(
みれん
)
らしく立留って見たが、男の追掛けて来る様子はない。先程
躓
(
つまず
)
いた松の木の梢に
梟
(
ふくろう
)
か何かの鳴く声がしている。
或夜
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
そのときには、音楽や感嘆の声のかわりに、風が、壊れたアーチを
蕭々
(
しょうしょう
)
として吹きならし、
梟
(
ふくろう
)
が破壊した塔から鳴くのだ。
ウェストミンスター寺院
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
ト思うと、日光の明るみに戸惑いした
梟
(
ふくろう
)
を捕まえて、
倒
(
さか
)
さまに羽根でぶらさげながら、陽気な若者がどこへか馳けて行く。
禰宜様宮田
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
冴えた通る声で野末を
押
(
おし
)
ひろげるように、鳴く、トントントントンと
谺
(
こだま
)
にあたるような響きが遠くから来るように聞える鳥の声は、
梟
(
ふくろう
)
であった。
化鳥
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
梟
(
ふくろう
)
がきらう第一のことは、
蝋燭
(
ろうそく
)
の光をさしつけられることである。それにまず、受け取った千五百フランのことをどうして言い開いたらよいか。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
保守と執着と老人とが夜の
梟
(
ふくろう
)
のごとく
跋扈
(
ばっこ
)
して、いっさいの生命がその新らしき希望と活動とを抑制せらるる時である。
初めて見たる小樽
(新字新仮名)
/
石川啄木
(著)
その時彼の
背後
(
うしろ
)
の方から
梟
(
ふくろう
)
の啼き声が聞こえて来た。つづいて
雉
(
きじ
)
の啼き声がした。呼び合い答え合っているようである。
十二神貝十郎手柄話
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
おまけに
二抱
(
ふたかかえ
)
から
三抱
(
みかかえ
)
ぐらいの天然の松林の中にあって、ろくろく日の目を見ることも出来ず、
鴉
(
からす
)
と
梟
(
ふくろう
)
の巣であった。
青い絨毯
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
尚
(
なお
)
身近くには油断のならない敵手「右足のない
梟
(
ふくろう
)
」がいて、ピストルに隙さえ見出せるならあべこべに彼の生命を脅かす位置に取代ろうと
覘
(
ねら
)
っている。
流線間諜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
わたしは何度かたのしい吹雪をしのぎ、戸外では雪がすさまじくうずまいて、
梟
(
ふくろう
)
のホーホー声も途絶えたのに炉のそばで愉快な冬の幾
夜
(
よ
)
さをすごした。
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
と、
梟
(
ふくろう
)
が、高く黒い
梢
(
こずえ
)
で鳴いて、それだけでも淋しい谷中の深更け——あまつさえ、狐が通っているのであろう——
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
夜はまた遠く近く
梟
(
ふくろう
)
の声が起る。見ごとなのは椋鳥の群るゝ時で数百羽のこの鳥が中空に聳えた老松の梢から梢を群れながら渡つてゆくのは壮観である。
沼津千本松原
(新字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
その声が遠い国に多くの人がいて口々に哀歌をうたうともきければ、森かげの
梟
(
ふくろう
)
の十羽二十羽が夜霧のほのかな中から心細そうになきあわすとも聞える。
日光小品
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
おまへも
世
(
よ
)
が
世
(
よ
)
ならば、
将軍様
(
せうぐんさま
)
の
御手
(
おて
)
にとまつて、
昔
(
むかし
)
は、
富士
(
ふじ
)
の
巻狩
(
まきがり
)
なぞしたものだが、
今
(
いま
)
ぢや
梟
(
ふくろう
)
と
一所
(
いつしよ
)
にこんなところへか※んでるのは
辛
(
つら
)
いだろうの。
コドモノスケッチ帖:動物園にて
(新字旧仮名)
/
竹久夢二
(著)
一歩一歩あるくたびごとに、霜でふくれあがった土が
鶉
(
うずら
)
か
梟
(
ふくろう
)
の
呟
(
つぶや
)
きのようなおかしい低音をたててくだけるのだ。
彼は昔の彼ならず
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
外では、樹木が風に吹かれて音をたて、
梟
(
ふくろう
)
が悲しげに鳴き、遠い村の中や森の奥の農家で、犬がほえていた。
ジャン・クリストフ:08 第六巻 アントアネット
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
急に元気を失った市平は、
朧
(
おぼろ
)
の月影にみがかれきらめく長靴を曳きずって、力なくなだらかな
坂路
(
さかみち
)
を下りて行った。遠くの森では、さっきから
梟
(
ふくろう
)
が啼いていた。
土竜
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
糸杉
(
サイプレス
)
の梢に巣をくむ
梟
(
ふくろう
)
は灯の光りにおどろいて飛び立ち、灰色のつばさを提灯のガラスに打ち当てながら悲しく叫びます。野狐も闇のなかに遠く
啼
(
な
)
いています。
世界怪談名作集:05 クラリモンド
(新字新仮名)
/
テオフィル・ゴーチェ
(著)
遠くから聞こえて来る
蛙
(
かわず
)
の鳴き声のほかには、
日勝
(
にっしょう
)
様の森あたりでなくらしい
梟
(
ふくろう
)
の声がするばかりだった。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
これを聞いていて右近は、
梟
(
ふくろう
)
の
啼
(
な
)
き声を聞くより恐ろしく感じた。答えもできず内舎人を帰したあとで
源氏物語:53 浮舟
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
夜は
更
(
ふ
)
けた。兵士たちのさざめく声は、彼らの疲労と
睡
(
ねむ
)
けのために耶馬台の宮から
鎮
(
しず
)
まった。そうして、森からは霧を
透
(
とお
)
して
梟
(
ふくろう
)
と狐の声が石窖の中へ聞えて来た。
日輪
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
絶えて人が踏みこまぬものだから、森の中には落葉が
堆
(
うず
)
高く積み、日暮れ前から
梟
(
ふくろう
)
がホウホウと鳴く。
顎十郎捕物帳:01 捨公方
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
その下に立って見上げると、深い大きな
洞窟
(
どうくつ
)
のように見える。
梟
(
ふくろう
)
の声がその奥にしていることがある。
闇の絵巻
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
異名を
五郎助七三郎
(
ごろすけしちさぶろう
)
と申しますが、七三郎が本名で五郎助は
梟
(
ふくろう
)
の
啼
(
な
)
き声から取ったのでございますがね
怪異暗闇祭
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
部屋の隅にあった
行燈
(
あんどん
)
を持ち出し、老人と私達の間に置いて、火をともしたが、その赤茶けた光の中に浮上った怪老人の姿は、
梟
(
ふくろう
)
の様に陰険で醜怪なものに見えた。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
その頃は
鶯
(
うぐいす
)
も
梟
(
ふくろう
)
も鳴いた根岸、日が暮れると
滅切
(
めっき
)
り淋しくなるのですが、尼法師はさまで急ぐ風もなく、木立から藪へ、藪から
田圃
(
たんぼ
)
へと、暗くなりかけた道を辿って
百唇の譜
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「たけだけしいことを申すでない。ひと事らしゅう女犯の罪なぞと申さば裏の
杜
(
もり
)
の
梟
(
ふくろう
)
が
嗤
(
わら
)
おうぞ」
旗本退屈男:06 第六話 身延に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
たまたま鷹や
梟
(
ふくろう
)
に
鷇
(
ひよこ
)
一疋金魚一尾捉られる位は
冥加税
(
みょうがぜい
)
を納めたと心得べしと説いた、現に田辺附近で狐を狩り尽くして兎が
跋扈
(
ばっこ
)
し、その害狐に十倍し弱り居る村がある
十二支考:01 虎に関する史話と伝説民俗
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
肩に
担
(
かつ
)
いだ
笹
(
ささ
)
の枝には草の穂で作った
梟
(
ふくろう
)
が踊りながらぶら下がって行く。おおかた
雑子
(
ぞうし
)
ヶ谷
(
や
)
へでも行ったのだろう。軒の深い
菓物屋
(
くだものや
)
の奥の方に柿ばかりがあかるく見える。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「ふむ。そりゃ
自家
(
うち
)
の者が頭陀袋を取りはずすためのことだ。もう今ごろ行ったってちゃんと本式に釘づけにしちまってあらアな。見ろ。
梟
(
ふくろう
)
めがホウホウと笑ってけつから。」
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死――
(新字新仮名)
/
長与善郎
(著)
鳩
(
はと
)
も
梟
(
ふくろう
)
も出なかったが、
雀
(
すずめ
)
はたくさんいた。見あたり次第にポンポンやったけれど、
距離
(
きょり
)
が遠いからちっともあたらない。なお林の中をうろつきまわっている間に、照彦様は
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
お宮の松には
梟
(
ふくろう
)
が
棲
(
す
)
んでいたのじゃがと、その
不気味
(
ぶきみ
)
な鳴声を思いだしながら、暗い
梢
(
こずえ
)
を見上げていると、その木蔭から一羽の鳥が
羽叩
(
はばた
)
きして空を横切っているような気がした。
入江のほとり
(新字新仮名)
/
正宗白鳥
(著)
五条川の水の音も静かだし、古城址に
啼
(
な
)
く
梟
(
ふくろう
)
の音も遠音に聞えて来るし、
木立
(
こだち
)
の多い広い屋敷の中の奥まったこの建物の中の夜は、いかさま歌を思うのにふさわしいものらしい。
大菩薩峠:29 年魚市の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
言い換えれば、修辞学がギリシア文化の開花期の産物であるに反して、解釈学はギリシア文化の発展が一応終結した後その
黄昏
(
たそがれ
)
にいわゆるミネルヴァの
梟
(
ふくろう
)
として現われたのである。
解釈学と修辞学
(新字新仮名)
/
三木清
(著)
“梟(フクロウ)”の解説
フクロウ(梟、鴞、Strix uralensis)は、鳥綱フクロウ目フクロウ科フクロウ属に分類される鳥類である。別名ウラルフクロウ。
夜行性であるため、人目に触れる直接の機会は多くないが、その知名度は高く、「森の物知り博士」、「森の哲学者」などとして人間に親しまれている。木の枝で待ち伏せて音もなく飛び、獲物に飛び掛かることから「森の忍者」と称されることもある。
(出典:Wikipedia)
梟
漢検1級
部首:⽊
11画
“梟”を含む語句
梟首
鴟梟
梟示
梟木
梟身
狐梟
梟鵄
梟雄
梟師
梟悪
梟谷
虎狼鴟梟
梟首場
隠士梟翁
梟首獄門
梟鳥
熊襲梟帥
猫眼梟眼
生梟
老梟
...