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たず
ふりがな文庫
“
探
(
たず
)” の例文
これから油の小路に往って、悉皆屋と糊屋とを一軒一軒
探
(
たず
)
ねて歩いてみよう。そう決心して、それからすぐ油の小路に廻っていった。
狂乱
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
笹村は二、三日、姉たちの家や、兄の養家先などを廻ってみたが、町にはどこを
探
(
たず
)
ねても、昔の友人らしいものは一人もいなかった。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
探
(
たず
)
ね探ねしながら長田川の橋を渡って五町、上野の城下小田町の三ツ辻まできた。上野は藤堂家の領地で、此処には数馬の知人もいる。
鍵屋の辻
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
けれど、そこには、
弟
(
おとうと
)
の
姿
(
すがた
)
が
見
(
み
)
えませんでした。どこを
探
(
たず
)
ねても
見
(
み
)
えませんでした。
星
(
ほし
)
の
光
(
ひかり
)
が、かすかに
地
(
ち
)
の
上
(
うえ
)
を
照
(
て
)
らしています。
港に着いた黒んぼ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
お初どもの巣という巣、立ちまわり先という立ちまわり先、あまさず、姿をやつして
探
(
たず
)
ね廻って見ているが、彼女の消息は絶えて聴えぬ。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
▼ もっと見る
藤「実はこれ/\の悪党の為に
騙
(
だま
)
されて
此様
(
こん
)
な難に遭いましたが、
従者
(
とも
)
の
下婢
(
おんな
)
岩と申すのは、何う致しましたか、
何卒
(
どうぞ
)
お
探
(
たず
)
ねなすって下さいまし」
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
されどもしその翻訳を試みるものあらんか
今日
(
こんにち
)
といへどもなほ日本画の精神を
探
(
たず
)
ぬるに絶好の便宜となるや疑ひなし。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
うちの老婆は娘を
探
(
たず
)
ねて山梨県まで又出掛けて行って未だ帰らぬ。気の毒なことだ。さて寝よう。末子よ、卿の上に佳き眠りと美しき夢のあるように。(九、三)
青べか日記:――吾が生活 し・さ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
仏の道に行き、哲学を求め、いままた聖書に
探
(
たず
)
ねるものはなにか——やがて
妙諦
(
みょうてい
)
を得て、一切を公平に、偽りなく自叙伝に書かれたら、こんなものは
入
(
い
)
らなくなる小記だ。
柳原燁子(白蓮)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
この一年間、
探
(
たず
)
ねているような少女に私はとうとうめぐり合うことはできませんでした。
キャラコさん:01 社交室
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
彼はその場所を実際
探
(
たず
)
ね当るかどうか、それはフランボーにも見当がつかなかった。
サレーダイン公爵の罪業
(新字新仮名)
/
ギルバート・キース・チェスタートン
(著)
そして恐らく方々の屍体収容所を
探
(
たず
)
ねあぐねた末に、N聖堂の中をまで一度ならずうろついていらしたといふではありませんか。潤太郎さんはきつと何かの病気だつたに違ひありません。
死児変相
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
ほとんど通常の陸上の人から考えると
嘔吐
(
おうと
)
を催すかもしれない、その女たちの風体、態度、その他一切の条件にもかかわらず、それを長い間そのために一切を捨てて
探
(
たず
)
ねあぐんだ冒険者が
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
白山方面とすれば本郷の郵便局へ来んとも限らん。しかし白山だって広い。名前も分らんものを
探
(
たず
)
ねて歩いたって、そう急に知れる訳がない。とにかく今夜の間に合うような簡略な問題ではない。
趣味の遺伝
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
寄宿舎に入って数日後、伸子は偶然、安川を
探
(
たず
)
ねてこの建物へ来た。
伸子
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
行先は多分生れ故郷の英国であろうと女はかんがえていたので、つい此程倫敦へやってきて、毎日根気よく男の行方を
探
(
たず
)
ねているうちに、ようやく男がパーク旅館に滞在しているのを見付け出した。
P丘の殺人事件
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
殊にお宝お宝の絵紙を買って、波乗り船のゆたかな夢を
探
(
たず
)
ぬるかれらは、遂に憧憬の児たらずとせんや。吾儕はそれが絵の如き美しさと快さとを絶えず夢みて、ここに不断の詩趣を味いつつあるのだ。
残されたる江戸
(新字新仮名)
/
柴田流星
(著)
妾が長い間、
探
(
たず
)
ねあぐんでいた本当の男性だと思いましたの。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
いずれ
彼
(
かれ
)
らの
消息
(
しょうそく
)
は、りこうな、
敏捷
(
びんしょう
)
なのねずみによって、
探
(
たず
)
ね
出
(
だ
)
されて、ぶなの
木
(
き
)
や
魚
(
さかな
)
たちにもわかることでありましょう。
縛られたあひる
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
はじめてその路次の中へ女の家を
探
(
たず
)
ねて入っていった時から折々顔を見て口をきき合っていたのであったが、
先
(
せん
)
だって
中
(
じゅう
)
からまたたびたび私が出かけていって
霜凍る宵
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
故に私が改めて貴公に頼むは、何うか
隠密
(
おんみつ
)
になってお国表へ参って、貴公が何うか又市を取押えて呉れんか……照お前は
何処迄
(
どこまで
)
も又市を
探
(
たず
)
ねて討たんければならぬが
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
そしてぼんちは強い
刺戟
(
しげき
)
に
爛
(
ただ
)
れた魂を、柔かい女の胸の中に、墓場に
探
(
たず
)
ねあてて死んでいった。
竹本綾之助
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
曝
(
さら
)
し出されることになろうも知れぬという懸念から、どうあっても、彼女を
探
(
たず
)
ね出し、
穏便
(
おんびん
)
にすむうちに、大奥へ送りかえさねばならぬと、いみじくも決心している一人であった。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
空は
飽迄
(
あくまで
)
灰色であった、三尺
許
(
ばかり
)
上は灰色の厚い布で張詰られているような気がした。外へ出たが誰を
探
(
たず
)
ねて見ようという考えは別になかった。
不思議な鳥
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
死んでしまった、古い宗教から
脱
(
ぬ
)
けて、自分の救いを——と、いってわるければ、新しくゆく道を
探
(
たず
)
ねていた人ではないかと、思っていたことにこの一節がぴたときたのだった。
九条武子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
公方
(
くぼう
)
さまの御親類、当時、飛ぶ鳥も落す
勢力
(
いきおい
)
かも知れないが、こんな夜更けに、あっしのようなお
探
(
たず
)
ね者の泥棒風情を、一緒にお目通りまで、連れて来る程の、御懇意な仲でしょう。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
それを
盗取
(
ぬすみと
)
りました者を
探
(
たず
)
ねましたら
讐
(
かたき
)
の様子も分ろうかと存じますが、
仮令
(
たとえ
)
讐が知れましてもかぼそい
私
(
わたくし
)
が親の讐を討つことは出来ませんから、旦那様へ御奉公に上って居りましたら
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
その晩二人は寝床へ入ってから、
明朝
(
あした
)
自分達を生んでくれた
旧
(
もと
)
の母さんを尋ねに三里
彼方
(
あなた
)
の、隣村の杉の木の森を
探
(
たず
)
ねに出る約束をしたのです。
迷い路
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
ここに入れるのに丁度よい議事堂の火事の絵をもっていたのだが、どこへか失ってしまった。私は昨日も今日も、随分たんねんに
探
(
たず
)
ねたが見えないのですこしがっかりしている。
旧聞日本橋:21 議事堂炎上
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
この時、水を
探
(
たず
)
ねたように香を嗅ごうと焦った。而して花に鼻を触れて見たけれど、花には何の香というものもない。
薔薇と巫女
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
今は、七十を越して、
比丘尼
(
びくに
)
のように
剃髪
(
ていはつ
)
している石井とめ女を、途中で見かけたという便りを
叔父
(
おじ
)
からもらったが、この章を終るまでに
探
(
たず
)
ね出せなかったので、錦子との交錯は不明だ。
田沢稲船
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
みんなは、この
最後
(
さいご
)
の
説
(
せつ
)
に
従
(
したが
)
いました。それから、
雪
(
ゆき
)
の
光
(
ひか
)
る、
高
(
たか
)
い
山
(
やま
)
を
探
(
たず
)
ねて、そのふもとへといったのであります。
北海の波にさらわれた蛾
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
しかたがないから、どこかの
清水
(
しみず
)
のわき
出
(
で
)
るところを
探
(
さが
)
さなければならないと
思
(
おも
)
って、
乙
(
おつ
)
は、その
日
(
ひ
)
から
毎日
(
まいにち
)
、
近所
(
きんじょ
)
の
山
(
やま
)
のふもとの
心
(
こころ
)
あたりを
探
(
たず
)
ねて
歩
(
ある
)
きました。
神は弱いものを助けた
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
その
日
(
ひ
)
も
太陽
(
たいよう
)
は、
早
(
はや
)
くから
上
(
あ
)
がって、みつばちは
花
(
はな
)
を
探
(
たず
)
ねて
歩
(
ある
)
き、
広場
(
ひろば
)
のかなたにそびえる
木立
(
こだち
)
は、しょんぼりと
静
(
しず
)
かに、ちょうど
脊
(
せ
)
の
高
(
たか
)
い
人
(
ひと
)
が
立
(
た
)
っているように
港に着いた黒んぼ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
彼
(
かれ
)
はその
島
(
しま
)
の
町
(
まち
)
や、
村
(
むら
)
でやはり
薬
(
くすり
)
の
箱
(
はこ
)
を
負
(
お
)
って、バイオリンを
鳴
(
な
)
らして、
毎日
(
まいにち
)
のように
歩
(
ある
)
いたのです。こんど、
彼
(
かれ
)
は、おじいさんを
探
(
たず
)
ねなければなりませんでした。
海のかなた
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
昼過ぎに母親は前の
圃
(
はたけ
)
で
妹
(
いもと
)
を相手にして話をしていたから、裏庭へ出て兄を
探
(
たず
)
ねると、大きな
合歓
(
ねむ
)
の木の下で、日蔭の涼しい処で黙って考え込んでいるのであります。
迷い路
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
毎夜
(
まいよ
)
、
森
(
もり
)
や、
林
(
はやし
)
や、
野
(
の
)
の
上
(
うえ
)
近
(
ちか
)
くさまよって、このお
星
(
ほし
)
さまは、なにか
探
(
たず
)
ねています。それは、
死
(
し
)
んだ
姉
(
あね
)
が、なお、
弟
(
おとうと
)
のかわいがっていた
鳥
(
とり
)
を
探
(
さが
)
しているのであります。
めくら星
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
其様ことが如何にも不思議に
思
(
おもわ
)
れて、四辺を見物するというよりか人を
探
(
たず
)
ねて、歩き廻ったという方がよかったろう。けれど戸を開けてまで中へ入り込む勇気がなかった。
暗い空
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
隠れているものは、みんな、鬼の来るのを怖れて見つかりはせぬかと、
竦
(
すく
)
んでいた。鬼は眼をきょろきょろさせて、熊笹の繁った中や、土手の蔭などを一つ一つ
探
(
たず
)
ねて歩いた。
過ぎた春の記憶
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
けれど、いつになったら、
自分
(
じぶん
)
の
探
(
たず
)
ねている
姉
(
あね
)
にめぐりあわれるか、わからなかった。また、いつになったら、この
苦
(
くる
)
しみからのがれて、
幸福
(
こうふく
)
の
日
(
ひ
)
を
送
(
おく
)
られるかわからなかった。
サーカスの少年
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
もはやさびしい
家
(
いえ
)
のうちを、どこを
探
(
たず
)
ねても、
真紅
(
まっか
)
ないきいきとした、
花
(
はな
)
の
影
(
かげ
)
は
見
(
み
)
られなかったのです。おじいさんは、また、
前
(
まえ
)
のたよりない、さびしい
生活
(
せいかつ
)
に
帰
(
かえ
)
ってしまいました。
花と人間の話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
或日私は、それでも家を
探
(
たず
)
ねようと思ってぶらぶら寂しい町を歩いていた。
老婆
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
叢
(
くさむら
)
の中でかさかさとするのは何かの小鳥が巣を
探
(
たず
)
ねているのであろう。
稚子ヶ淵
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
探
常用漢字
小6
部首:⼿
11画
“探”を含む語句
探訪
探偵
探索
探究
手探
探幽
爪探
探偵小説
掻探
探女
御探
探検
天探女
盲探
探検隊
墺探
女探偵
探検者
探鉱
探湯
...