感情かんじょう)” の例文
いかなる文字でも、善き意味にも悪き意味にも用いらるるが、感情かんじょうなる言葉ほど、ときには善く、ときには悪く用いらるる言葉は少なかろう。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
その結果、二少年と星人との間にもつれていた感情かんじょうがきれいにとけた。それはどっちにとってもさいわいなことだった。
宇宙の迷子 (新字新仮名) / 海野十三(著)
わたくしうれしいやら、こいしいやら、また不思議ふしぎやら、なになにやらよくはわからぬ複雑ふくざつ感情かんじょうでそのときはじめて自分じぶんたましいおやまえ自身じしんしたのでした。
はじめは恐怖きょうふがわたしをかれから遠ざけたけれど、このごろはなんとは知れないが、ぼんやりと、いわば尊敬そんけい感情かんじょうがかれとわたしをへだてていた。
そういうひと教育きょういくするには、物質ぶっしつではいけない。やはり音楽おんがく自然しぜんでなければならない。感情かんじょう趣味しゅみ、そういう方面ほうめん教育きょういくでなければならないとおもわれる。
笑わない娘 (新字新仮名) / 小川未明(著)
これはただ感情かんじょうの上のことで、べつだん尊大そんだいぶるわけではないのだが。どうもわたしは、きみがわたしのことをおまえというのを、ゆるすわけにいかないのだ。
貴方あなたなどは、才智さいちすぐれ、高潔こうけつではあり、ははちちとも高尚こうしょう感情かんじょう吸込すいこまれたかたですが、実際じっさい生活せいかつるやいなやただちつかれて病気びょうきになってしまわれたです。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
クリストフはそのえら音楽家おんがくかになりました。かれ音楽おんがくはいつも、かれ思想しそう感情かんじょうをありのままに表現ひょうげんしたもので、かれこころとじかにつながってるものでありました。
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
今夜こんやはじつにこみいった感情かんじょうが、せまい女のむねににえくり返ったけれど、ともかくもじっと堪忍かんにんして、狂母きょうぼの死をげにきてくれた人たちに、それほどに礼儀れいぎを失わなかった。
告げ人 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
まだわかれないおおきなあい感情かんじょうです。すすきの花のむかい火や、きらめく赤褐せっかつ樹立こだちのなかに、鹿しか無心むしんあそんでいます。ひとは自分と鹿との区別くべつわすれ、いっしょにおどろうとさえします。
その目つきには感情かんじょうとちえがあふれていて、見ていると、こちらも引き入れられるように思うのであった。
ふゆあいだこんなやくにたたないやつを、べさしておくのはむだなはなしだ。」といって、たとえ、ものこそいわないけれど、なんでもよく人間にんげん感情かんじょうはわかるものを
百姓の夢 (新字新仮名) / 小川未明(著)
いたって元気げんきな、壮健そうけんな、立派りっぱしろ頬鬚ほおひげの、快活かいかつ大声おおごえの、しかもい、感情かんじょうふか人間にんげんである。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
「なんといって。」と、まんは、かおあかくしながら、こみがってくる感情かんじょうを、さえきれませんでした。
万の死 (新字新仮名) / 小川未明(著)
昨日きのう小胆しょうたんであったことも、つきさえも気味きみわるたことも、以前いぜんにはおもいもしなかった感情かんじょうや、思想しそうありのままに吐露とろしたこと、すなわ哲学てつがくをしている丁斑魚めだか不満足ふまんぞくのことをうたことなども
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
「スイスからはイタリアへ出るのだ」とマチアが感情かんじょうをこめて言った。「もしミリガン夫人ふじんを追いかけて行くうちに、ルッカまで出たら、ぼくの小さいクリスチーナがどんなにうれしがるだろうな」
あるときは故郷こきょうおもしては、かなしいやるせない、それは、わたしには、あまり微妙びみょうでいいあらわせないような、もっとも尊重そんちょうされなければならぬ感情かんじょうを、わたしにばかり
春さきの古物店 (新字新仮名) / 小川未明(著)
天職てんしょく自覚じかくせず、また、それにたいする責任せきにんかんぜず、うえのものは、したのものに好悪こうお感情かんじょう露骨ろこつにあらわして平気へいきだった、いまよりは、もっとくらかった時代じだいはなしであります。
天女とお化け (新字新仮名) / 小川未明(著)
このとき、おとこは、けっして、うまをしからなかったのでした。ひとり人間にんげんだけではなく、うまでも、うしでも、感情かんじょうかいするものは、しかるよりは、やさしくしたほうが、いうことをきくものです。
子供と馬の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
令二れいじは、おこった感情かんじょうをあらわすときは、いつも、くちをとがらすのでした。
金歯 (新字新仮名) / 小川未明(著)
翌日よくじつ真吉しんきちは、東京とうきょうくと、すぐにおみせかえって、昨日きのうからのことを正直しょうじき主人しゅじんはなしますと、主人しゅじんは、真吉しんきち孝心こうしんふかいのに感歎かんたんしましたが、感情かんじょうまかせて、かんがえなしのことをしてはならぬと
真吉とお母さん (新字新仮名) / 小川未明(著)
ぼく自分じぶんでも、すこし感情かんじょう露骨ろこつにあらわしすぎたとづいたので
世の中のために (新字新仮名) / 小川未明(著)