)” の例文
今や英夷えいい封豕ほうし長蛇ちょうだ、東洋を侵略し、印度インド先ずその毒を蒙り、清国続いでその辱を受け、余熖よえんいままず、琉球に及び長崎に迫らんとす。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
こたうる者はなかったから予が答えたは、まず日月出でて爝火しゃっかまずと支那でいうのが西洋の「日は火を消す」とまる反対あべこべで面白い。
天罰の下るやうに、曲馬場の中から喞筒ポンプの水が迸り出た。滔々乎たう/\ことして漲つてまない。あらゆる物をよごし、やはらげ、どこまでも届く。
防火栓 (新字旧仮名) / ゲオルヒ・ヒルシュフェルド(著)
そこ退のきやれ。そこ退きやれ。やい、危いわえ。(門内楽声む。老いたる男、携へ来れる大槌を挙げて烈しく門扉をうつ。)
南蛮寺門前 (新字旧仮名) / 木下杢太郎(著)
彼等は久くこの細語ささめごとめずして、その間一たびも高くことばいださざりしは、互にそのこころさかふところ無かりしなるべし。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
色は死人のように青い。数秒時間呼吸のんでいる時がある。それから上面うわつらでするような、すするような息をする。
みれん (新字新仮名) / アルツール・シュニッツレル(著)
濃紫が家に来た後も、香以の吉原通はまなかった。遊に慣れたものは燈燭とうしょくつらねた筵席えんせきの趣味を忘るることを得ない。次の相手は同じ玉屋の若紫であった。
細木香以 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
〔譯〕自らつとめてまざる時候じこうは、心地しんち光光明明くわう/\めい/\にして、何の妄念ばうねん游思ゆうし有らん、何の嬰累えいるゐ罣想けさう有らん。
永い間あれほどの苦労の種だった船長は、もうしき者虐遇しひたげめる処(註三三)へ行ってしまった。
故に世を去りて陰府に降らば神が彼をそこに保護して、その怒みし後において彼を再生せしむるであろうと思いかつ望んだのである。次の十四節の前半は挿入句である。
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
かつ宗教の事につきて衆人を凌虐りょうぎゃくする国あらば、兵力をもってその事に与聞するも万国公法の許すところにして、あたかも国乱久しくまず、流血きねただよわすの日にあたり
そのひまに叫声はみたり。最初の梯子を駆け上がる時、人々は二人若くは数人の荒々しき声にて何事をか言ひ争ふを聞けり。その声は家の上層にて発したるものゝ如くなりき。
休養は猫といえども必要である。鈴木君と迷亭君の帰ったあとは木枯こがらしのはたと吹きんで、しんしんと降る雪の夜のごとく静かになった。主人は例のごとく書斎へ引きこもる。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
全く開通融合し、循環周流して、活動発展むことなき文明のリングを生じたのである。
日本の文明 (新字新仮名) / 大隈重信(著)
遊戯の中で将棋なども、習ひ始めてからは、生徒仲間で一番に成るまでめなかつた。
お由は寝床に入つてからも、五分か十分、勝手放題に怒鳴り散らして、それがむと、太平たいへいいびきをかく。翌朝になれば平然けろりとしたもの。前夜の詫を言ふ事もあれば言はぬ事もある。
赤痢 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
否、吾人はこの旨味ある新食品の愈々盛んに我国に輸入せられん事を希望してまざるものなり。古来英国の貴族及び旅人りよじん埃及エジプトに於て鱷を捕へて食する事我国人の熊を捕へて食ふと異る事なし。
かく二七あやしき所に入らせ給ふぞいとかしこまりたる事。是敷きて奉らんとて、二八円座わらふだきたなげなるを二九清めてまゐらす。三〇霎時しばしむるほどは何かいとふべき。なあわただしくせそとてやすらひぬ。
拙者は大方の諸君が一日も早くこの宗旨に帰依して、九段の本山の大会に随喜渇仰かつごうの涙を以て臨んで、用いて尽きず施して足らざる事なき大歓喜の至楽をけられむ事を希望してまぬものである。
謡曲黒白談 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
これに因りて悉にみて、國家みかど安平やすらぎき。
見れば 長き日に 念ひつみ来し 憂はみぬ
二、三の山名について (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
それよりはお二人の夫婦喧嘩のんだのが
かくの如き業の火、熾然しねんとしてまず
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)
ある妖狐をって富を致す評ある人が町を通ると、生まれて数月なる犬児が吠え付き、その袖や裾に噛み付いてまず
常三郎は生れていくばくもあらぬに失明した。しかのみならず虚弱にして物学ものまなびも出来なかつた。それゆゑ常に怏々として楽まず、やゝもすれば日夜悲泣してまなかつた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
いつまでも饒舌りめないので、とうとう女がそばへ行って、男のほおをさすりながら、微笑ほほえんで云った。
みれん (新字新仮名) / アルツール・シュニッツレル(著)
ねがわくは汝我を陰府よみかくし、汝の震怒いかりむまで我をおおい、わがためにときを定めしかして我をおもい給え」(十三)とは再生の欲求の発表である。ヨブは今神の怒に会えりと信じている。
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
翌くる二十四日の暁天に至りてせきとしてみぬ、誰か此風の行衛ゆくゑを知る者ぞ
人生 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
〔譯〕自らつとめてまざるは天道なり、君子のもちゐる所なり。
とどめを刺すまでそいつをめないのだ。
また能く火と変じ、その竜火湿を得ればすなわちゆ、水を得ればすなわちく、人火を以てこれを逐えばすなわちむ、竜は卵生にして思抱す〉
瀬田逃れて平八郎の家に至る。平八郎宇津木を殺さしめ、朝五時事を挙ぐ。昼九時北浜に至る。鴻池等を襲ふ。跡部の兵と平野橋、淡路町に闘ふ。二十日夜兵火む。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
十九節においてヨブはこの世に生れきたりしをかなしみ、次に二十節において言う「わが日は幾何いくばくもなきにあらずや、ねがわくは彼れ(神)しばらくめて我を離れ我をして少しく安んぜしめんことを」
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
胡弓の音がむ。踊手おどりてが足をめる。
しかるに水王たる大虎神これを拒んだので二神争闘今に至るもまぬと(コラン・ド・ブランチ、二八四頁)。
怪我は両臂りょうひじを傷めたので骨にはさわらなかったがいたみが久しくまなかった。五郎作は十二月の末まで名倉へ通ったが、臂のしびれだけは跡にのこった。五十九歳の時の事である。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
伝教でんぎょう入唐出立の際暴風大雨し諸人悲しんだから、自分所持の舎利を竜衆に施すとたちまちんだと出づ。
ちまたちりき上げては又む午過ぎに、半日読んだ支那小説に頭を痛めた岡田は、どこへ往くと云う当てもなしに、上条の家を出て、習慣に任せて無縁坂の方へ曲がった。
(新字新仮名) / 森鴎外(著)
恐ろしくてその通り埋めてより国中疫病多し、王占いてかの蟒卵ぼうらんを掘り出し焼き棄てると疫がんだ。
それゆゑ自強してまざらむと欲する意が楮表ちよへうに溢れてゐる。下に其数条を続抄する。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
それが群臣の耳に入ったので、多年兵を動かして人臣辛苦まざるにこの上北海を攻むるようではとても続かぬ故王を除くべしと同意し、おこりを病むに乗じ蒲団蒸ふとんむしにしてしいした。
小川君は磚を卸し始めた。その時物音がぴったりとんだそうだ。
鼠坂 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
ここにおいて蛇来ってノアに、われ穴を塞いで水を止めたら何をくれるかと問うた。さいうなんじは何を欲するかと問い返すと、蛇洪水んで後、われと子孫の餌として毎日一人ずつくれと答う。
三人は風雨ををかして、間道を東北の方向に進んだ。風雨はやう/\午頃ひるごろんだが、肌までとほつて、寒さは身にみる。からうじて大和川やまとがはの支流幾つかを渡つて、に入つて高安郡たかやすごほり恩地村おんちむらに着いた。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)