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希
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ねが
ふりがな文庫
“
希
(
ねが
)” の例文
とにかく、老年変若を
希
(
ねが
)
う歌には「みつは……」と言い、瑞歯に聯想し、水にかけて言う習慣もあったことも考えねばならぬと思う。
水の女
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
しかし僕は祈るべき言葉を持たなかったから、Bの恩師の言葉を引用して、ひたすら彼らの旅路のまどかなるべきを
希
(
ねが
)
うのであった。
吊籠と月光と
(新字新仮名)
/
牧野信一
(著)
「ウーム。……おれの考えか。おれもそれを
希
(
ねが
)
っているが、ただ悠長にだらだらと日を過しているのは嫌いだ。やるなら早くいたせ」
三国志:04 草莽の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
天
(
てん
)
にでもいゝ、
地
(
ち
)
にでもいゝ、
縋
(
すが
)
らうとする
心
(
こゝろ
)
、
祈
(
いの
)
らうとする
希
(
ねが
)
ひが、
不純
(
ふじゆん
)
な
沙
(
すな
)
を
透
(
とほ
)
して
清
(
きよ
)
くとろ/\と
彼女
(
かのぢよ
)
の
胸
(
むね
)
に
流
(
なが
)
れ
出
(
で
)
て
來
(
き
)
た。
悔
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
しかし、わが子の安全を
希
(
ねが
)
うのが現としての情であるかぎり、時として父の説く道理にも、いくらかのゆがみがないとは限らない。
次郎物語:04 第四部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
▼ もっと見る
事ここに至った
縁起
(
えんぎ
)
を述べ、その悦びを仏天に感謝し、かつは上人彼
自
(
みず
)
からの徳に帰すことを
希
(
ねが
)
い、ここに短き筆を
擱
(
お
)
きたく思います。
民芸四十年
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
わしは分不相応なことを
希
(
ねが
)
つてゐたのだ。考へて見るがよい。わしは名主職でさへ、満足につとめられないやうな、能なしではないか。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
ひそかに
希
(
ねが
)
ったりしていたのも真実で、今後もし
逢
(
あ
)
う機会があっても、もう今までのような気持では逢ってもいられないだろうし
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
……そうすればきっと、私達がそれを
希
(
ねが
)
おうなどとは思いも及ばなかったようなものまで、私達に与えられるかも知れないのだ。
風立ちぬ
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
むしろ、常に我々を
巡
(
めぐ
)
りややともすれば我々に襲い掛ろうとしている所の数知れない痛苦と心配とから離脱しようという事を
希
(
ねが
)
うべきだ。
田舎医師の子
(新字新仮名)
/
相馬泰三
(著)
「
願
(
ねがわ
)
くはわが求むる所を得んことを……願くは神われを
滅
(
ほろぼ
)
すを
善
(
よ
)
しとし
御手
(
みて
)
を伸べて我を絶ち給わんことを」と彼はひたすらに死を
希
(
ねが
)
う。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
太子すなわち聖徳太子とを親しく召されて「我が大御病の太平ならんことを
希
(
ねが
)
うために、寺と薬師如来の像とを造り奉仕せよ」
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
それらの善良なる男女はわれわれを
放蕩息子
(
ほうとうむすこ
)
と呼び、われわれの帰国を
希
(
ねが
)
い、われわれのために
犢
(
こうし
)
を殺してごちそうをしようと言っている。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
過日
京師
(
けいし
)
へ差出し下され候由
是
(
これ
)
亦
(
また
)
謝し奉候。
扨
(
さて
)
阿波へも
遣
(
つかわ
)
し
度
(
た
)
く先に
之
(
これ
)
有
(
あ
)
り候五、六部も拙方へ御遣しの程
希
(
ねが
)
ひ申上候云々。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
きのふは縁なくゆかりなき公衆の喝采を得て、けふは世に稀なるべき美人のわが優しき一言を
希
(
ねが
)
ひ求むるに逢ふも我なり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
彼は知力もあり全力をつくして自分の教育を完成しようと
希
(
ねが
)
っていたが、いつも貧困のために身動きがならなかった。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
そしてその必死の努力が同時に、その船の安全を
希
(
ねが
)
わせ、船中にあって彼と協力すべき人々の安全を希わせるだろう。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
時間と長い引用を省くために、私はここでコンドルセエ氏の考えの若干の要旨を伝えることとするが、
希
(
ねが
)
うらくはそれを誤り伝えないことをと思う。
人口論:03 第三篇 人口原理より生ずる害悪を除去する目的をもってかつて社会に提案または実施された種々の制度または方策について
(新字新仮名)
/
トマス・ロバート・マルサス
(著)
それで永いあいだ、その遠野に行こう、……山で囲まれた町、雪の中の町を見に行こうと
希
(
ねが
)
っていた、好奇心がすっかり消え去ってしまうようだった。
遠野へ
(新字新仮名)
/
水野葉舟
(著)
何も廃刊させようと思って、あんな危い記事を書いたわけではないが、しかし、ひそかにお前の失脚を
希
(
ねが
)
う気持がなかったとは、言えなかったからだ。
勧善懲悪
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
今年は、気まぐれな戦争から解放されたはじめての鮎釣り季節を迎えて、またこの魚野川に伜や娘を伴い、一夏を楽しく過ごしたいと、ひたすら
希
(
ねが
)
う。
瀞
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
(魂なきものは幸いなるかな。彼女等は絶えず笑い得るから、
希
(
ねが
)
わくば笑うことを知らざる淋しき人達に恵あれ!)
地上:地に潜むもの
(新字新仮名)
/
島田清次郎
(著)
彼が
希
(
ねが
)
ったのは、夢想し
耽溺
(
たんでき
)
することの快楽を、
恍惚
(
こうこつ
)
として実践する風流人の生活、当時の言葉でいうところの
数寄者
(
すきもの
)
の生活ではない。正反対である。
中世の文学伝統
(新字新仮名)
/
風巻景次郎
(著)
我また語るを
希
(
ねが
)
ふ多くのかゝる顏を見しかば、人と泉との間に戀を
燃
(
もや
)
したるその誤りの裏をかへしき 一六—一八
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
東洋人の、幾多古人の芸術家が「身を
賭
(
か
)
けて白雲に
駕
(
が
)
し、」とか、「幻に住さん」などということを
希
(
ねが
)
っている。必ずしも自然を
需
(
もと
)
めるのではあるまい。
河明り
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
まったく美しいものを美しいままで終らせたいなどと
希
(
ねが
)
うことは小さな人情で、私の姪の場合にしたところで
堕落論
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
身だしなみとして書道に学び、
終
(
つい
)
にここまで行きたいと
希
(
ねが
)
うのは、あながち私一人の感想ばかりではあるまい。
現代能書批評
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
私も常に俳句の新しい事を
希
(
ねが
)
って居ることは人後に落ちない。しかしそれは
何処
(
どこ
)
までも俳句としての新しさである。俳句でないものの新しさには関係ない。
俳句への道
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
人の死を
希
(
ねが
)
うような心が、自分の胸の奥の
何処
(
どこ
)
かに潜んでいると考えることは、不愉快でもあり浅ましくもあるけれども、どうやらそれは事実なのである。
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
清浄な
蒲団
(
ふとん
)
。
匂
(
にお
)
いのいい
蚊帳
(
かや
)
と
糊
(
のり
)
のよくきいた
浴衣
(
ゆかた
)
。そこで一月ほど何も思わず横になりたい。
希
(
ねが
)
わくはここがいつの間にかその市になっているのだったら。
檸檬
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
氏は世の高貴なる栄達を
希
(
ねが
)
わないという意を明瞭に記してあったのを、自分は承知して結婚を諾したのであって見れば、今に至って如何にしてこれに対して
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
不腆
(
ふてん
)
といえども、我国の人年来恩遇を受けしを
聊
(
いささ
)
か謝し奉らんがために献貢す。
向来
(
きょうらい
)
不易
(
ふえき
)
の恩恵を
希
(
ねが
)
うのみ。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
而して胸中一物の
希
(
ねが
)
ふところなく、
単
(
た
)
だ一寺の建立を願欲せしむるに過ぎざりしもの、抑も
奈何
(
いかん
)
の故ある。
心機妙変を論ず
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
皆んなは天が其の努力を助けることを
希
(
ねが
)
つて、其の身を犠牲にして恐ろしい災難を防ぐのだ。お前達も危険な時に出遭つたらこれを手本にしなくてはならない。
科学の不思議
(新字旧仮名)
/
ジャン・アンリ・ファーブル
(著)
古人としては梅に不調和な垣根の魚の骨が、雪のために隠れむことを
希
(
ねが
)
うような心持があるかも知れない。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
希
(
ねが
)
うことならいま籠釣瓶の鞘払って、床柱といわず、
長押
(
なげし
)
といわず、欄間といわず、そこらのもの片っ端から滅多斬りに斬りまくってしまいたいくらいだった。
小説 円朝
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
こういう特質は、文学のあらゆる特質のうちで、最も翻訳に適せぬものと信じるが、この冒涜は、私のルナアルに対する無上の愛によって償いたいと
希
(
ねが
)
っている。
「ぶどう畑のぶどう作り」後記
(新字新仮名)
/
岸田国士
(著)
当帝が即位されたことは源氏にうれしかったが、自身の上に
高御座
(
たかみくら
)
の栄誉を
希
(
ねが
)
わないことは少年の日と少しも異なっていなかった。あるまじいことと思っている。
源氏物語:14 澪標
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
上手
下手
(
へた
)
があっても、よい子になろうよい人にしようとする二つの心は、人の
希
(
ねが
)
いでなく神の許しであることを信じて、本気に祈りつつこの仕事に従事するならば
最も楽しい事業
(新字新仮名)
/
羽仁もと子
(著)
否
(
いな
)
、
父
(
ちゝ
)
ではありません。
友
(
とも
)
であります。ほんとに
善
(
よ
)
い
友
(
とも
)
でありたいと、それを
切
(
せつ
)
に
希
(
ねが
)
ふものです。
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
彼女は決して母親の
希
(
ねが
)
ふやうな、嫁になりおほせる事が出来ない事を思ふ程、さうして、母親が必然に自分の思ふ通りになるものと極めてゐる気持を考へれば考へる程
乞食の名誉
(新字旧仮名)
/
伊藤野枝
(著)
どうでも無事に生ませたいと
希
(
ねが
)
い、どうでも無事に生まねばと心がける二人は、今までのどの子にもしなかった用心深さで薬風呂を立てたり、毎日生卵をのんだりした。
暦
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
切
(
せつ
)
に
希
(
ねが
)
ふ
所
(
ところ
)
は、わが七千
餘萬
(
よまん
)
の
同胞
(
どうはう
)
は、
亘
(
たがひ
)
に
相警
(
あひいまし
)
めて、
飽
(
あ
)
くまでわが
國語
(
こくご
)
を
尊重
(
そんてう
)
することである。
国語尊重
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
平次の口調では、理三郎が
希
(
ねが
)
ったとはあべこべに、形勢は甲子太郎に悪くなるばかりです。
銭形平次捕物控:093 百物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
自分は「静処の人」となって「
帝釈諸天
(
たいしゃくしょてん
)
の共に敬重する所」とならんことを
希
(
ねが
)
うのである。
愛と認識との出発
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
柔かき
臥床
(
ふしど
)
は英雄の死せんことを
希
(
ねが
)
ふ場所に非ず。
誹謗
(
ひばう
)
、
罵詈
(
ばり
)
、悪名、
窘迫
(
きんぱく
)
は
偶
(
たま/\
)
以て吾人の徳を成すに足るのみ。見よ清教徒は失意の時に清くして、得意の時に濁れるに非ずや。
信仰個条なかるべからず
(新字旧仮名)
/
山路愛山
(著)
不断
狂人
(
きちがい
)
になるほど
希
(
ねが
)
っていたように、実際の金持になったり、
美味
(
うま
)
いものをたらふく食ったり、美人から
恋
(
おも
)
われたりするよりも、今のこの歓びの方がどんなに尊いか知れない。
幻想
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
源吉は、人を轢き殺して、何とも思わぬばかりか、却て、轢くことを、
希
(
ねが
)
っていたのだ。
鉄路
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
そして、私は彼女がいつもこのやうに
機嫌
(
きげん
)
がよくてやさしくて、度々すぎるほど彼女がさうしたやうに私を
押
(
お
)
し𢌞したり、叱つたり、
法外
(
はふぐわい
)
に用をさせたりしないようにと
希
(
ねが
)
つた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
希
(
ねが
)
わくば死せる人々の霊魂、天主の御哀憐によりて安らかに憩わんことを アーメン。
長崎の鐘
(新字新仮名)
/
永井隆
(著)
希
常用漢字
小4
部首:⼱
7画
“希”を含む語句
希臘
希望
希有
希伯来
希臘風
希臘人
希代
希臘語
希臘型
希求
奉希
古希臘
韋提希夫人
希知
希望者
乃木希典
希世
希伯來人
希臘悲劇
希臘思想
...