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巓
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いたゞき
ふりがな文庫
“
巓
(
いたゞき
)” の例文
谷の周囲は一
哩
(
マイル
)
の四分の一位である。四方には景色の好い丘陵がある。市に住んでゐる人に、誰一人敢て丘陵の
巓
(
いたゞき
)
に登つたものが無い。
十三時
(新字旧仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
是故に疑ひは眞理の根より芽の如くに生ず、しかしてこは峰より峰にわれらを促し
巓
(
いたゞき
)
にいたらしむる自然の途なり 一三〇—一三二
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
夜
(
よる
)
の
燭火
(
ともしび
)
は
燃
(
も
)
え
盡
(
つ
)
きて、
嬉
(
うれ
)
しげな
旦
(
あした
)
めが
霧立
(
きりた
)
つ
山
(
やま
)
の
巓
(
いたゞき
)
にもう
足
(
あし
)
を
爪立
(
つまだ
)
てゝゐる。
速
(
はや
)
う
往
(
い
)
ぬれば
命
(
いのち
)
助
(
たす
)
かり、
停
(
とゞ
)
まれば
死
(
し
)
なねばならぬ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
ナポリへと志し給はゞ、明後日は
旭日
(
あさひ
)
のまだサンテルモ城(ナポリ府を横斷する丘陵あり、其
巓
(
いたゞき
)
の城を「カステル、サンテルモ」といふ)
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
四軒茶屋あり。(此まで廿四丁也。)
蕨粉
(
わらび
)
餅を売る、妙なり。又上ること一里
許
(
きよ
)
、山少くおもむろに石も亦少し。路傍は
草莽
(
さうもう
)
にて、
巓
(
いたゞき
)
は
禿
(
とく
)
せり。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
▼ もっと見る
重
(
かさな
)
る
山
(
やま
)
、
續
(
つゞ
)
く
巓
(
いたゞき
)
、
聳
(
そび
)
ゆる
峰
(
みね
)
を
見
(
み
)
るにつけて、
凄
(
すさま
)
じき
大濤
(
おほなみ
)
の
雪
(
ゆき
)
の
風情
(
ふぜい
)
を
思
(
おも
)
ひながら、
旅
(
たび
)
の
心
(
こゝろ
)
も
身
(
み
)
に
沁
(
し
)
みて
通過
(
とほりす
)
ぎました。
雪霊記事
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
これはアパラツチエン山の幹から出た小枝で、遙に西に向つて、仰いで見れば、麓は河の
畔
(
ほとり
)
に垂れて、
巓
(
いたゞき
)
は空に聳え、自づと近隣の地を支配して居ます。
新浦島
(新字旧仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
これを奇なりとおもふに、此田の中に
蛙
(
かへる
)
蛗螽
(
いなご
)
もありて常の田にかはる事なし、又いかなる日てりにも
田水
(
てんすゐ
)
枯
(
かれ
)
ずとぞ。二里の
巓
(
いたゞき
)
に此
奇跡
(
きせき
)
を
観
(
み
)
ること甚
不思議
(
ふしぎ
)
の
灵山
(
れいざん
)
なり。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
思ひ煩へる事さへも心自ら知らず、例へば夢の中に
伏床
(
ふしど
)
を拔け出でて
終夜
(
よもすがら
)
山
(
やま
)
の
巓
(
いたゞき
)
、水の
涯
(
ほとり
)
を迷ひつくしたらん人こそ、さながら瀧口が今の有樣に似たりとも見るべけれ。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
而してその少年が高山の
巓
(
いたゞき
)
に沈み行く夕日の影を仰ぎ見て、山の
彼方
(
かなた
)
なるめづらしき國々にあくがるゝ段は、ことに全篇の骨子として皆な人の
唱道
(
しやうだう
)
するところ、あゝこの木曾山中
秋の岐蘇路
(旧字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
終
(
しまひ
)
には野も岡も暮れ、影は暗く谷から谷へ拡つて、最後の日の光は山の
巓
(
いたゞき
)
にばかり輝くやうになつた。丁度天空の一角にあたつて、黄ばんで燃える灰色の雲のやうなは、浅間の煙の
靡
(
なび
)
いたのであらう。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
巓
(
いたゞき
)
の裏行く低き冬の雲
榛名
(
はるな
)
の
湖
(
うみ
)
は山のうへの
湖
(
うみ
)
黒檜
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
巓
(
いたゞき
)
の
金
(
きん
)
の照しと
白雪
(
しらゆき
)
と蹈み轟かし
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
石山
(
いしやま
)
の
巓
(
いたゞき
)
に
攀
(
よ
)
ぢ登り
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
今まではパルナーゾの一の
巓
(
いたゞき
)
にて
足
(
た
)
りしかど、今は二つながら求めて殘りの馬場に入らざるべからず 一六—一八
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
あなたとわたくしとの登つてゐる
巓
(
いたゞき
)
はヘルセツゲンといふ山の巓でございます。
雲隠山
(
くもがくれやま
)
といふ仇名が付いてゐます。ちよつと伸び上がつて御覧なさいまし。
うづしほ
(新字旧仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
岩石のはざまよりは、青き
迷迭香
(
まんねんらふ
)
(ロスマリヌス)、赤き
紫羅欄花
(
あらせいとう
)
など
生
(
お
)
ひ
上
(
のぼ
)
りたるが、その
巓
(
いたゞき
)
にはチウダレイクスが廢城の殘壁ありて、猶
巍々
(
ぎゞ
)
として雲を
凌
(
しの
)
げり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
これを奇なりとおもふに、此田の中に
蛙
(
かへる
)
蛗螽
(
いなご
)
もありて常の田にかはる事なし、又いかなる日てりにも
田水
(
てんすゐ
)
枯
(
かれ
)
ずとぞ。二里の
巓
(
いたゞき
)
に此
奇跡
(
きせき
)
を
観
(
み
)
ること甚
不思議
(
ふしぎ
)
の
灵山
(
れいざん
)
なり。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
見送
(
みおく
)
ると
小
(
ちい
)
さくなつて、一
坐
(
ざ
)
の
大山
(
おほやま
)
の
背後
(
うしろ
)
へかくれたと
思
(
おも
)
ふと、
油旱
(
あぶらでり
)
の
焼
(
や
)
けるやうな
空
(
そら
)
に、
其
(
そ
)
の
山
(
やま
)
の
巓
(
いたゞき
)
から、すく/\と
雲
(
くも
)
が
出
(
で
)
た、
瀧
(
たき
)
の
音
(
おと
)
も
静
(
しづ
)
まるばかり
殷々
(
ゐん/\
)
として
雷
(
らい
)
の
響
(
ひゞき
)
。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
白雪
巓
(
いたゞき
)
を覆ふ。
轎夫
(
けうふ
)
いふ。御嶽山上に塩ありと。
所謂
(
いはゆる
)
崖塩なるべし。一里半藪原駅。二里宮越駅。若松屋善兵衛の家に
宿
(
やどる
)
。此日暑甚し。三更のとき雨降。眠中しらず。行程九里
許
(
きよ
)
。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
まして、秋の初の清く澄みたる空氣は明かに、山々の
巓
(
いたゞき
)
に
白旗
(
はくき
)
を飜したらんごとき雲の長くおもしろく
靡
(
なび
)
けるなど誰かつく/″\と眺入りて、秋の姿のさびしさに旅思を惱まさぬものかあらん。
秋の岐蘇路
(旧字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
二人で丁度一番高い岩山の
巓
(
いたゞき
)
まで登つた。老人は数分間は余り
草臥
(
くたび
)
れて物を云ふことが出来なかつた。
うづしほ
(新字旧仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
絶頂
(
ぜつてう
)
に
天然
(
てんねん
)
の
苗田
(
なへた
)
あり、依て昔より山の名に
呼
(
よぶ
)
なり。
峻岳
(
じゆんがく
)
の
巓
(
いたゞき
)
に苗田ある事甚奇なり。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
家によりては異樣に高き梯の
巓
(
いたゞき
)
に門口を開けるあり。その内を望めば、
繅車
(
いとぐるま
)
の前に坐せる老女あり。側なる石垣の上よりは黄に熟したる木の實の重げに
生
(
な
)
りたる枝さし出でたるべし。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
天
(
てん
)
未
(
いまだ
)
に
闇
(
くら
)
し。
東方
(
とうはう
)
臥龍山
(
ぐわりうざん
)
の
巓
(
いたゞき
)
少
(
すこ
)
しく
白
(
しら
)
みて、
旭日
(
きよくじつ
)
一帶
(
いつたい
)
の
紅
(
こう
)
を
潮
(
てう
)
せり。
昧爽
(
まいさう
)
氣
(
き
)
清
(
きよ
)
く、
神
(
しん
)
澄
(
す
)
みて、
街衢
(
がいく
)
縱横
(
じうわう
)
の
地平線
(
ちへいせん
)
、
皆
(
みな
)
眼眸
(
がんぼう
)
の
裡
(
うち
)
にあり。
然
(
しか
)
して
國主
(
こくしゆ
)
が
掌中
(
しやうちう
)
の
民
(
たみ
)
十萬
(
じふまん
)
、
今
(
いま
)
はた
何
(
なに
)
をなしつゝあるか。
鉄槌の音
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
絶頂
(
ぜつてう
)
に
天然
(
てんねん
)
の
苗田
(
なへた
)
あり、依て昔より山の名に
呼
(
よぶ
)
なり。
峻岳
(
じゆんがく
)
の
巓
(
いたゞき
)
に苗田ある事甚奇なり。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
飛騨
(
ひだ
)
から
信州
(
しんしう
)
へ
越
(
こ
)
える
深山
(
しんざん
)
の
間道
(
かんだう
)
で、
丁度
(
ちやうど
)
立休
(
たちやす
)
らはうといふ
一本
(
いつぽん
)
の
樹立
(
こだち
)
も
無
(
な
)
い、
右
(
みぎ
)
も
左
(
ひだり
)
も
山
(
やま
)
ばかりぢや、
手
(
て
)
を
伸
(
の
)
ばすと
達
(
とゞ
)
きさうな
峯
(
みね
)
があると、
其
(
そ
)
の
峯
(
みね
)
へ
峯
(
みね
)
が
乗
(
の
)
り
巓
(
いたゞき
)
が
被
(
かぶ
)
さつて、
飛
(
と
)
ぶ
鳥
(
とり
)
も
見
(
み
)
えず
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
又我国の
八海山
(
はつかいさん
)
は
巓
(
いたゞき
)
に八ツの池あり、依て山の名とす。
絶頂
(
ぜつちよう
)
に八海大明神の社あり、八月朔日を縁日とし山にのぼる人多し。此夜にかぎりて
竜燈
(
りうとう
)
あり、其来る所を見たる人なしといふ。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
又我国の
八海山
(
はつかいさん
)
は
巓
(
いたゞき
)
に八ツの池あり、依て山の名とす。
絶頂
(
ぜつちよう
)
に八海大明神の社あり、八月朔日を縁日とし山にのぼる人多し。此夜にかぎりて
竜燈
(
りうとう
)
あり、其来る所を見たる人なしといふ。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
巓
漢検1級
部首:⼭
22画
“巓”を含む語句
絶巓
山巓
頂巓
脳巓
不烈巓
丘巓
富士山巓
巓辺
巓邊
鶴巓