トップ
>
局
>
つぼね
ふりがな文庫
“
局
(
つぼね
)” の例文
そして大勢の女官のうちでも、
武佐女
(
むさじょ
)
のはなしがとりわけ巧みであったので、いつか「夜がたりの
局
(
つぼね
)
」という通り名をもらっていた。
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
其の次には黒装束に覆面の
曲者
(
くせもの
)
がお
局
(
つぼね
)
の中へ忍び込んで、ぐっすり寝て居る
椎茸髱
(
しいたけたぼ
)
の女の喉元へ布団の上から刀を突き通して居る。
少年
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
『
愛宕
(
あたご
)
さんの
方
(
はう
)
がよろしいな。第一大けおますわ。』と、お光は横の方に
簾
(
みす
)
のかゝつた
局
(
つぼね
)
とでも呼びさうなところを見詰めてゐた。
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
一番目は在来の大阪落城を
桜痴
(
おうち
)
居士が改作したもので、団十郎の宮内の
局
(
つぼね
)
と新蔵の木村重成、この
母子
(
おやこ
)
の別れの場が最も好評であった。
明治劇談 ランプの下にて
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「おゝ
御館
(
おやかた
)
では、藤の
局
(
つぼね
)
が、
我折
(
がお
)
れ、かよわい、
女性
(
にょしょう
)
の
御身
(
おんみ
)
。
剰
(
あまつさ
)
へ
唯
(
ただ
)
一人にて、すつきりとしたすゞしき
取計
(
とりはから
)
ひを遊ばしたな。」
妖魔の辻占
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
「まあ、三斎屋敷のお
局
(
つぼね
)
さまとは、
深更
(
よふ
)
けの
酒
(
ささ
)
ごともなさるくせに、あたし風情とは杯もうけとられないとおっしゃるの——ほ、ほ、ほ」
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
「つい十日ほどまえに、将軍家で第七女の御出産があった、御生母はなにがしの
局
(
つぼね
)
とか聞いたが、その局は疑わしくはないか」
屏風はたたまれた
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
行き過ぎてから振り返って見ましたところ、まだ村岡のお
局
(
つぼね
)
様には、同じところに
佇
(
たたず
)
んで、こなたを見送っておられました。
犬神娘
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
いや、それよりも大奥のお
局
(
つぼね
)
、腰元、お女中たちの間における美男相撲江戸錦の人気はむしろすさまじいくらいで——
右門捕物帖:12 毒色のくちびる
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
その夜は、「いたくたたかせで待て」という手紙があらかじめ来ていたにかかわらず、定子の妹
御匣殿
(
みくしげどの
)
から「
局
(
つぼね
)
に一人はなどてあるぞ、ここに寝よ」
日本精神史研究
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
又、昼間、自分の
局
(
つぼね
)
に下がっている時には、ひねもす、此頃自分の事をいかにも頼りにし切っているような老いた父の姿などを恋しく思い浮べていた。
姨捨
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
お
局
(
つぼね
)
は少し茶かし気味です。後ろの方で黙って見ている京姫の
悪戯
(
いたずら
)
っ
娘
(
こ
)
らしい眼がそう言わせたのかも知れません。
奇談クラブ〔戦後版〕:06 夢幻の恋
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
すぐにも下城しそうな足取りで、お
局
(
つぼね
)
を出たが、しかし、お局外の長廊下を大書院へ近づくうちに次第次第に歩度が
弛
(
ゆる
)
んで、うなだれて、両腕を組んだ。
名君忠之
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
お玉はきょう機嫌の
好
(
い
)
い父親の顔を見て、
阿茶
(
あちゃ
)
の
局
(
つぼね
)
の話を聞せて貰い、広小路に出来た
大千住
(
おおせんじゅ
)
の出店で買ったと云う、一尺四方もある軽焼の馳走になった。
雁
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
寂光院の
塔頭
(
たっちゅう
)
に新たなる
庵
(
いおり
)
を結んだ、一人の
由緒
(
ゆいしょ
)
ある尼法師、人は称して、
阿波
(
あわ
)
の
局
(
つぼね
)
の後身だとも言うし、島原の太夫の身のなる果てだと言う者もあります。
大菩薩峠:41 椰子林の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
……なにかアヤがあるな、で、市村座へ行って調べて見るてえと、
局
(
つぼね
)
の芝居くらべがあるから十五日朝まで衣裳一式ととのえろというご下命があったとぬかす。
顎十郎捕物帳:11 御代参の乗物
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
それを、たとい人に負われてもよいから出て来いと云ったので、仕方なく出て来た。呼び出しておいてから、その
局
(
つぼね
)
をさがして見ると、血のついた
小袖
(
こそで
)
が出て来た。
女強盗
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
平中
(
へいちゆう
)
は独り寂しさうに、本院の侍従の
局
(
つぼね
)
に近い、
人気
(
ひとけ
)
のない廊下に佇んでゐる。その廊下の欄にさした、油のやうな日の色を見ても、又今日は暑さが加はるらしい。
好色
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
若い官女がお
局
(
つぼね
)
さま附の権威を主張するような、狂言師が世間の辞儀を述べるような、あでやかでつんとして、呆けた上品さで——この蕋は伸び上ってまいります。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
ジャジャは中世の茶々の
局
(
つぼね
)
などのチャチャと同じく、もとは
緑児
(
みどりご
)
が母を呼ぶ声から出たものらしい。
こども風土記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
燁子さんは、故伯爵
前光卿
(
さきみつきょう
)
を父とし、柳原二位のお
局
(
つぼね
)
を
伯母
(
おば
)
として生れた、現伯爵貴族院議員柳原義光氏の妹で、生母は柳橋の芸妓だということを、ずっと
後
(
のち
)
に知った
女
(
ひと
)
だ。
柳原燁子(白蓮)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
局
(
つぼね
)
などと言われる狭い短い板の間の戸口に寄って薫の
坐
(
ざ
)
しているのを片腹痛いことに思う小宰相であったが、さすがにあまりに卑下もせず感じのよいほどに話し相手をした。
源氏物語:54 蜻蛉
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
知時は内裏に行くと、夜になって人目につかなくなってから、
局
(
つぼね
)
の裏口にひそんでいた。すると確かに、訪ねる
当
(
あて
)
の
主
(
ぬし
)
の声で何かいっているのが聞えた。耳を澄ましてみると
現代語訳 平家物語:10 第十巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
奴矢田平は明の宋蘇卿の遺子
順喜歓
(
じゅんきかん
)
が仮の名にて、これしきの一天下を覆がへすになんの手間隙と云ふ意気込にて、真柴久次に仕へしが、老女石田の
局
(
つぼね
)
に見あらはされ、自尽す。
両座の「山門」評
(新字旧仮名)
/
三木竹二
(著)
その中に五十余りの内侍がいたく白酒に酔われて、その酔態が殊にその日の興味になって皆の眼にとまった、というのである。宮中といっても
局
(
つぼね
)
などで催される宴かとも想像されるのである。
俳句はかく解しかく味う
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
論より証拠音が出るんだから、
小督
(
こごう
)
の
局
(
つぼね
)
も全くこれでしくじったんだからね。これがぬすみ食をするとか、
贋札
(
にせさつ
)
を造るとか云うなら、まだ始末がいいが、
音曲
(
おんぎょく
)
は人に隠しちゃ出来ないものだからね
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
夢も通はぬ
遠
(
とほ
)
つぐに、
無言
(
しゞま
)
の
局
(
つぼね
)
奧深
(
おくふか
)
く
海潮音
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
「元気すぎますよ。父上がいないので、毎日、奥の
局
(
つぼね
)
の
賑
(
にぎ
)
やかな事といったらありません。それでなくても、陽気なほうですからね」
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
だからお遊さんのところへいくとまるでお
局
(
つぼね
)
さまのお部屋へでも行ったような気がしたものだと父はよくそう申しました。
蘆刈
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
寅寿の乗物を、小石川御門の外まで送っていった家士が戻るまで、さすがに内膳は
局
(
つぼね
)
口から動くことができなかった。
新潮記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
雖然
(
けれども
)
、
局
(
つぼね
)
が
立停
(
たちどま
)
ると、刀とともに奥の方へ
突返
(
つっかえ
)
らうとしたから、
其処
(
そこ
)
で、
袿
(
うちぎ
)
の
袖
(
そで
)
を掛けて、
曲
(
くせ
)
ものの手を取つた。それが刀を持たぬ方の手なのである。
妖魔の辻占
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
なにがしの
局
(
つぼね
)
、なにがしの姫君と、そこにも此処にも
仇
(
あだ
)
し名を流してあるく浮かれ
男
(
お
)
のお身さまと、末おぼつかない恋をして、わが身の果ては何となろうやら
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
侍従の
局
(
つぼね
)
という、すばらしい女房をとっつかまえて、歌を詠みかけたりなんぞして、とうとうものにする。
大菩薩峠:26 めいろの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
ここは木曽家の大奥なのであって、無数の部屋は
局
(
つぼね
)
なのであった。そうしてご殿女中は
玉章
(
たまずさ
)
なのであった。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
御台さまをはじめお
局
(
つぼね
)
腰元たちはことのほかその若衆ぶりが御感に入ったらしく、いっせいにためいきをついて目を細めながら、ざわざわとざわめきたちました。
右門捕物帖:05 笛の秘密
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
「親分の平次に逢つたらさう言つておくれ。男に心引かれたことのないお
局
(
つぼね
)
のお六が、岡つ引に
癪
(
しやく
)
の介抱をして貰つたばかりに、火の中で死んでしまつた——と」
銭形平次捕物控:082 お局お六
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
行子が黒谷の尼院の
局
(
つぼね
)
まがいで、似たような境遇の
預姫
(
あずかりひめ
)
と長い一日をもてあましていたころ、
雑仕
(
ぞうし
)
の
比丘
(
びく
)
尼たちの乏しい
食餌
(
しょくじ
)
に悩み、
古柯
(
こか
)
という葉を灰で揉んで噛んだり
うすゆき抄
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
或
長雨
(
ながあめ
)
の続いた夜、平中は一人本院の侍従の
局
(
つぼね
)
へ忍んで行つた。雨は夜空が溶け落ちるやうに、
凄
(
すさ
)
まじい響を立ててゐる。路は
泥濘
(
でいねい
)
と云ふよりも、大水が出たのと変りはない。
好色
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
冗談
(
じょうだん
)
を混ぜては笑いもし、また泣きもして少将は夜通し中将の君の
局
(
つぼね
)
から去らなかった。
源氏物語:46 竹河
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
故
有栖川宮
(
ありすがわのみや
)
妃慰子殿下、
新樹
(
しんじゅ
)
の
局
(
つぼね
)
、高倉典侍、現岩倉侯爵の祖母君、故
西郷従道
(
さいごうつぐみち
)
侯の夫人、現前田侯爵母堂、近衛公爵の故母君、
大隈
(
おおくま
)
侯爵夫人綾子、戸田伯爵夫人極子を数えることが出来る。
明治美人伝
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
聞何と云る熊谷にて世話に成し者だと夫れはへんな事なり其者
大方
(
おほかた
)
藤
(
ふぢ
)
の
局
(
つぼね
)
であらうが
某
(
それが
)
しは是まで女に心安き者はなき
筈
(
はず
)
なりと
淨瑠璃
(
じやうるり
)
狂言
(
きやうげん
)
の
洒落
(
しやれ
)
を云ゆゑ門弟には少しも
譯
(
わか
)
らず
當惑
(
たうわく
)
して居るを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
結界
(
けつかい
)
を越えて廣い板の間を歩くと、參詣人の投げた文久錢が足の裏に冷りとした。常に下ろしてある
簾
(
すだれ
)
をかゝげて、東の
局
(
つぼね
)
に入つたが、古臭い空氣が鼻を
衝
(
つ
)
いて、自分の姿さへ見られぬ暗黒である。
天満宮
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
縁辺の話を
決定
(
とりき
)
めたいという親類の意見から、暫く役目のお預りを願って、その
空屋
(
あきや
)
同然の古屋敷に落付く事になると、賑やかな霞が関のお
局
(
つぼね
)
や、
気散
(
きさん
)
じな旅の空とは打って変った淋しさ不自由さが
斬られたさに
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
夢も通はぬ
遠
(
とほ
)
つぐに、
無言
(
しじま
)
の
局
(
つぼね
)
奥深
(
おくふか
)
く
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
「
小督
(
こごう
)
の
局
(
つぼね
)
の墓がござんしたろう」
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
三条の
局
(
つぼね
)
だの、お
茶々
(
ちゃちゃ
)
だの、松の丸たちが、もうさっきから、膳部やしとねの用意をもうけ、秀吉の姿を待っているのに、その秀吉は
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
で、藤の
局
(
つぼね
)
の手で、隔てのお
襖
(
ふすま
)
をスツと
開
(
あ
)
ける。……
其処
(
そこ
)
で、卿と
御簾中
(
ごれんちゅう
)
が、
一所
(
いっしょ
)
にお奥へと云ふ寸法であつた。
妖魔の辻占
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
双葉は若さまの夜具へつっ伏して泣き沈んでいるところを、老女に
援
(
たす
)
けられて
局
(
つぼね
)
へ帰ったが、待兼ねていた腰元たちの
羨望
(
せんぼう
)
好奇に満ちた質問をあびると
若殿女難記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
平中が例の
局
(
つぼね
)
のあたりへ行って物蔭にひそみながら、筥の始末をする召使の出て来るのを待っていると、或る日、年の頃十七八の、可愛らしい姿形をした
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
当代の殿上人のうちでも
風流男
(
みやびおとこ
)
の誉れをうたわれて、なんの
局
(
つぼね
)
、なんの女房としばしばあだし名を立てられるのを、ひとにも
羨
(
うらや
)
まれ、彼自身も誇らしく考えていた。
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
局
常用漢字
小3
部首:⼫
7画
“局”を含む語句
結局
終局
破局
郵便局
美人局
局々
局所
局面
薬局
局促
医局
難局
局部
郵便局長
局長
局外者
局女
郵便局員
局外
専売局
...