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大雨
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たいう
ふりがな文庫
“
大雨
(
たいう
)” の例文
妻や
伯母
(
をば
)
はとり合はなかつた。殊に妻は「このお天気に」と言つた。しかし二分とたたないうちに珍らしい
大雨
(
たいう
)
になつてしまつた。
鵠沼雑記
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
おそらくは、七日のあと、
大雨
(
たいう
)
一過
(
いっか
)
して、さしも、いぶり燃えていた曠野の火も血も洗い消された後では、将門も、
凱旋
(
がいせん
)
の誇りもさめて
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかして遠景の
大雨
(
たいう
)
にかすみ渡れるさまは薄墨の描法
真
(
しん
)
に驚くべきものあり。
Henri
(
アンリー
)
Vever
(
ヴェヴェール
)
が蒐集中の一板画もまた甚だ
好
(
よ
)
し。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
原口
(
はらぐち
)
の
瀧
(
たき
)
、いはれあり、
去
(
さん
)
ぬる
八日
(
やうか
)
大雨
(
たいう
)
の
暗夜
(
あんや
)
、十
時
(
じ
)
を
過
(
す
)
ぎて
春鴻子
(
しゆんこうし
)
來
(
きた
)
る、
俥
(
くるま
)
より
出
(
い
)
づるに、
顏
(
かほ
)
の
色
(
いろ
)
慘
(
いたま
)
しく
濡
(
ぬ
)
れ
漬
(
ひた
)
りて、
路
(
みち
)
なる
大瀧
(
おほたき
)
恐
(
おそろ
)
しかりきと。
逗子だより
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
道は少しも険阻ではないが、ただ連日の
大雨
(
たいう
)
のため
諸所
(
ところどころ
)
山崩れがあって、時々頭上の断崖からは、土石がバラバラと一行の前後に落ちてくるには閉口閉口。
本州横断 癇癪徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
▼ もっと見る
はためき渡りたる
其
(
その
)
刹那
(
せつな
)
に、
児
(
じ
)
の
初声
(
うぶごゑ
)
は
挙
(
あが
)
りて、
左
(
さ
)
しも
盆
(
ぼん
)
を
覆
(
くつがへ
)
さんばかりの
大雨
(
たいう
)
も
忽
(
たちま
)
ちにして
霽
(
は
)
れ
上
(
あが
)
りぬ。
母となる
(新字旧仮名)
/
福田英子
(著)
其夜
(
そのよ
)
大雨
(
たいう
)
が
降
(
ふ
)
り
出
(
だ
)
したので、これ
迄
(
まで
)
野營
(
やえい
)
を
續
(
つゞ
)
けてゐた
附近
(
ふきん
)
の
被害民
(
ひがいみん
)
は、
皆
(
みな
)
此
(
こ
)
の
潰
(
つぶ
)
れ
殘
(
のこ
)
りの
家
(
いへ
)
に
集
(
あつ
)
まつて
來
(
き
)
て
餘
(
あま
)
り
大勢
(
おほぜい
)
でありし
爲
(
ため
)
、
混雜
(
こんざつ
)
はしたけれども、
皆
(
みな
)
口々
(
くち/″\
)
に
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
大雨
(
たいう
)
が晴れてから二日目の午後五時頃であった。世間は恐怖の
色調
(
しきちょう
)
をおびた騒ぎをもって満たされた。
水害雑録
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
此人
(
このひと
)
始
(
はじ
)
めは
大藏省
(
おほくらしやう
)
に
月俸
(
げつぽう
)
八
圓
(
ゑん
)
頂戴
(
ちようだい
)
して、
兀
(
はげ
)
ちよろけの
洋服
(
ようふく
)
に
毛繻子
(
けじゆす
)
の
洋傘
(
かうもり
)
さしかざし、
大雨
(
たいう
)
の
折
(
をり
)
にも
車
(
くるま
)
の
贅
(
ぜい
)
はやられぬ
身成
(
みなり
)
しを、一
念
(
ねん
)
發起
(
ほつき
)
して
帽子
(
ぼうし
)
も
靴
(
くつ
)
も
取
(
と
)
つて
捨
(
す
)
て
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
見る人は如何にも其身が仕なしたる事とは更に知らざりけり此時檢使の役人は
彌々
(
いよ/\
)
其方が弟に
相違無
(
さうゐなき
)
や
如何
(
いか
)
なる
譯
(
わけ
)
有て
大雨
(
たいう
)
の折から
深更
(
しんかう
)
に
發足
(
はつそく
)
致せしやと尋ね有りければ長庵袖に涙を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
赤坂からは、上野公園奥の、谷中墓地までは、だいぶ距離があるので、
大雨
(
たいう
)
には、
神田
(
かんだ
)
へかかると出合ってしまった。冬の雨にも、こんな
豪宕
(
ごうとう
)
なのがあるかと思うばかりのすさまじさだ。
遠藤(岩野)清子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
石まろぶ音にまじりて
深山鳥
(
みやまどり
)
大雨
(
たいう
)
のなかを啼くがわびしさ
舞姫
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
と
大音
(
だいおん
)
あげ、
追掛
(
おひかけ
)
しが
忽
(
たちま
)
ちに
雲
(
くも
)
起
(
おこ
)
り、
真闇
(
まつくら
)
になり、
大雨
(
たいう
)
降出
(
ふりいだ
)
し、
稲光
(
いなびかり
)
烈
(
はげ
)
しく、
大風
(
おほかぜ
)
吹
(
ふ
)
くが
如
(
ごと
)
くなる
音
(
おと
)
して
座頭
(
ざとう
)
はいづくに
行
(
ゆき
)
しやらむ——と
言
(
い
)
ふのである。
怪力
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
大雨
(
たいう
)
か何かのために突然
真四角
(
まっしかく
)
な大きな横穴が現われ、
何処
(
どこ
)
まで深くつづいているのか行先が分らぬというので
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
ところが東都出発の数日以前から、
殆
(
ほと
)
んど毎日のように暴風
大雨
(
たいう
)
で、各地水害の飛報は
頻々
(
ひんぴん
)
として
来
(
きた
)
る。
本州横断 癇癪徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
めでたく
穴山梅雪
(
あなやまばいせつ
)
を
討
(
う
)
ちとりはしたが、
離散
(
りさん
)
して以来のつもる話もあるし、これからさきのそうだんもある折から、
爽快
(
そうかい
)
なる
大雨
(
たいう
)
の襲来は、ちょうどいい
雨宿
(
あまやど
)
りであろうと、一同は
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかるに
分娩
(
ぶんべん
)
の際は非常なる難産にして苦悶二昼夜にわたり、医師の手術によらずば、分娩
覚束
(
おぼつか
)
なしなど人々立ち騒げる折しも、あたかも陣痛起りて、それと同時に
大雨
(
たいう
)
篠
(
しの
)
を乱しかけ
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
安は埋めた古井戸の上をば奇麗に地ならしをしたが、
五月雨
(
さみだれ
)
、夕立、二百十
日
(
か
)
と、
大雨
(
たいう
)
の降る時々地面が一尺二尺も
凹
(
くぼ
)
むので、其の
後
(
ご
)
は縄を引いて人の
近
(
ちかづ
)
かぬよう。
狐
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
横断旅行の
首途
(
かどで
)
にこの
理由
(
わけ
)
の分らぬ血汐は不吉千万、軍陣の血祭という事はあるが、これは余り有難くない、それにこの
大風
(
たいふう
)
! この
大雨
(
たいう
)
! 万一の事があってはならぬから、明日の出発は四
本州横断 癇癪徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
だから一度でも忘れると、たちどころに、
大雨
(
たいう
)
、
大雷
(
だいらい
)
、大風とともに、夜叉ヶ池から津浪が起って、村も里も水の底に葬って、竜神は想うままに天地を
馳
(
は
)
すると……こう、この土地で言伝える。
夜叉ヶ池
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
然るに
分娩
(
ぶんべん
)
の
際
(
さい
)
は非常なる難産にして苦悶二昼夜に
亙
(
わた
)
り、医師の手術によらずば、
分娩
(
ぶんべん
)
覚束
(
おぼつか
)
なしなど人々
立騒
(
たちさわ
)
げる折しも、
恰
(
あたか
)
も陣痛起りて、それと同時に
大雨
(
たいう
)
篠
(
しの
)
を
乱
(
みだ
)
しかけ、
鳴神
(
なるかみ
)
おどろ/\しく
母となる
(新字旧仮名)
/
福田英子
(著)
大雨
(
たいう
)
一
過
(
か
)
のおもむきである。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
春秋
(
はるあき
)
時候の変り目に降りつゞく
大雨
(
たいう
)
の
度毎
(
たびごと
)
に、
芝
(
しば
)
と
麻布
(
あざぶ
)
の高台から滝のやうに落ちて来る濁水は忽ち
両岸
(
りやうがん
)
に氾濫して、あばら
家
(
や
)
の腐つた土台から
軈
(
やが
)
ては破れた
畳
(
たゝみ
)
までを
浸
(
ひた
)
してしまふ。
水 附渡船
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
大正…年…月の中旬、
大雨
(
たいう
)
の日の
午
(
うま
)
の時頃から、その大川に洪水した。
絵本の春
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
既ち
小石川柳町
(
こいしかはやなぎちやう
)
の
小流
(
こながれ
)
の如き、
本郷
(
ほんがう
)
なる
本妙寺坂下
(
ほんめうじさかした
)
の
溝川
(
みぞかは
)
の如き、
団子坂下
(
だんござかした
)
から
根津
(
ねづ
)
に通ずる
藍染川
(
あゐそめがは
)
の如き、かゝる
溝川
(
みぞかは
)
流
(
なが
)
るゝ裏町は
大雨
(
たいう
)
の降る
折
(
をり
)
と云へば
必
(
かなら
)
ず
雨潦
(
うれう
)
の氾濫に災害を
被
(
かうむ
)
る処である。
水 附渡船
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
古川橋
(
ふるかはばし
)
から眺める
大雨
(
たいう
)
の
後
(
あと
)
の貧家の光景の如きも
矢張
(
やはり
)
此
(
この
)
一例であらう。
水 附渡船
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
即ち
小石川柳町
(
こいしかわやなぎちょう
)
の
小流
(
こながれ
)
の如き、
本郷
(
ほんごう
)
なる
本妙寺坂下
(
ほんみょうじざかした
)
の溝川の如き、
団子坂下
(
だんござかした
)
から
根津
(
ねづ
)
に通ずる
藍染川
(
あいそめがわ
)
の如き、かかる溝川流るる裏町は
大雨
(
たいう
)
の降る折といえば必ず
雨潦
(
うりょう
)
の氾濫に災害を
被
(
こうむ
)
る処である。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
大
常用漢字
小1
部首:⼤
3画
雨
常用漢字
小1
部首:⾬
8画
“大雨”で始まる語句
大雨沛然
大雨中