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培
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つちか
ふりがな文庫
“
培
(
つちか
)” の例文
この地獄は不潔な劣情の
焔
(
ほのお
)
によりて養われ、悔と悲の
烟
(
けむり
)
によりて
培
(
つちか
)
われ、過去の悪業に伴える、もろもろの重荷が充ちみちている。
霊訓
(新字新仮名)
/
ウィリアム・ステイントン・モーゼス
(著)
と、彼に
似気
(
にげ
)
ない謙虚で言った。——が尊氏は、多年
培
(
つちか
)
っていた
沃野
(
よくや
)
に
鎌入
(
かまい
)
れをしたまでのこととし、すぐ、別な
旨
(
むね
)
を言いだしていた。
私本太平記:11 筑紫帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
自己の職分と父の
贖罪
(
しよくざい
)
と二重の義務を
負
(
お
)
んでるのだからと
懺悔
(
ざんげ
)
して居る程です、思ふに我々の
播
(
ま
)
ける
種子
(
たね
)
を
培
(
つちか
)
ふものは、彼等の手でせうよ
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
愛語とは、慈愛のこもった
言語
(
ことば
)
をもって、他人によびかけることです。利行とは、善巧な
方便
(
てだて
)
をめぐらして、他人の生命を
培
(
つちか
)
う
行為
(
おこない
)
です。
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
科学めいた怪奇談や、世界珍聞集みたようなものが載っておりましたが、これも探偵趣味の芽生えを
培
(
つちか
)
ったに違いありません。
涙香・ポー・それから
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
▼ もっと見る
庭木
(
にはき
)
の植込みの間に、桑の細い枝が見える。桑畑に
培
(
つちか
)
はれたものよりは、葉がずつと細かい。
山桑
(
やまくは
)
とでもいふのかもしれぬ。
桑摘み
(旧字旧仮名)
/
長谷川時雨
(著)
幼年時代からの運命に
培
(
つちか
)
われて来た彼の心理の複雑さが、こうして、そろそろと自覚的な仂きをみせるまでに、彼も今は成長していたのである。
次郎物語:02 第二部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
この少女は恋の贈物として深山鈴蘭の純潔の花を愛さずに、暗の手に
培
(
つちか
)
われた、紅の薔薇を愛します。(と自分の胸より紅薔薇を抜き取り観客に見せ)
レモンの花の咲く丘へ
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
それは兄に頗る評判のわるかつたその性質を
培
(
つちか
)
ひ育てて後の私を形づくつたところ、それらの種種な点で少林寺の境内は私に特別の意味をもつてゐる。
銀の匙
(新字旧仮名)
/
中勘助
(著)
アナトオル・フランスの幾巻かを成す幼年物は、晩年も晩年、老熟し切った文芸の畑の土壌に
培
(
つちか
)
われた作品である。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
私は自分の上に降りかかってくるように感じられる運命に対しては、それがいかに苦しいことであっても、勇ましく堪え忍び、それによって自己を
培
(
つちか
)
う。
「ゼエレン・キェルケゴオル」序
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
そしてまた私達のセンチメンタリストは、
廃墟
(
はいきょ
)
に自然が
培
(
つちか
)
う
可憐
(
かれん
)
な野草に、
涙含
(
なみだぐ
)
ましい思いを寄せることがある。
季節の植物帳
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
垣に朝顔、藤豆を植ゑ、蓼を
海棠
(
かいだう
)
の
下
(
もと
)
に、蝦夷菊唐黍を茶畑の前に、
五本
(
いつもと
)
三本
(
みもと
)
培
(
つちか
)
ひつ。
彼
(
か
)
の名にしおふシヽデンは庭の一段高き処、飛石の
傍
(
かたへ
)
に植ゑたり。
草あやめ
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
どうか、いつまでも、
学校時代
(
がっこうじだい
)
に
培
(
つちか
)
われた
健全
(
けんぜん
)
な
精神
(
せいしん
)
の
持
(
も
)
ち
主
(
ぬし
)
であってくれ、そして、たとえ
遠
(
とお
)
くわかれていても、おたがいに
手
(
て
)
を
握
(
にぎ
)
り
合
(
あ
)
ってゆこうよ。
風雨の晩の小僧さん
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
異境に
培
(
つちか
)
われた一輪の花の、やはり、実を結びがたい
悩
(
なや
)
みと
儚
(
はか
)
なさが
露
(
あら
)
わにあらわれていて、ぼくには
如何
(
いか
)
にも哀れに、悲しい夢だとおもわれたのです。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
あいつは、自分の秀れた素質を、自分より劣った者に比較して、そこから生ずる優越感でもって、自分の自信を
培
(
つちか
)
っているという、
性質
(
たち
)
の悪い男であった。
無名作家の日記
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
それともまた花を
培
(
つちか
)
ひふやして、画室のまはりを花でとりまかせてもいゝ筈である。だが、逸雲はさうはしないで、土を掘つて花を鉢ごと埋めてしまつた。
茶話:07 大正十四(一九二五)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
それが
培
(
つちか
)
って
華
(
はな
)
と結んだのがファウスト博士であって、彼こそは中世魔法精神の権化であると結論しているのだ
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
随
(
したが
)
って少年時代から魏叔子や陸宣公で
培
(
つちか
)
われた頭は露西亜の文学の近代的気分に触れてもその中に盛られた自由思想を容れるには余りに偏固になり過ぎていた。
二葉亭追録
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
わたくしは自家の感動を受くること大なる人物を以て、著作上の耐忍を
培
(
つちか
)
ふに
宜
(
よろ
)
しき好き資料となした。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
進藤喜平太等の玄洋社の先輩によって
培
(
つちか
)
われた日本主義と、中国の
辛亥
(
しんがい
)
革命に乗りだし、現地で親しく孫文や黄興の活躍する姿を望見し、親しく彼等の意見を聞いて
叛骨・中野正剛:――主観的な覚え書き
(新字新仮名)
/
尾崎士郎
(著)
たとひ氏は暗澹たる文壇の空に、「恐怖の星」はともさなかつたにしても、氏の
培
(
つちか
)
つた
斑猫色
(
はんめういろ
)
の花の下には、時ならない日本の魔女のサバトが開かれたのである。——
あの頃の自分の事
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
しかし差当りは閣下の信任を
培
(
つちか
)
うことに努めた。その必要から謡曲の方も諸星さんについて習い始めた。才物だから
利
(
き
)
く。橋本大佐も目にかけてくれるようになった。
求婚三銃士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
彼が東京に於て見たり感じたりしたものは、目に見えぬ力となつて今後の彼の生活を
培
(
つちか
)
ふだらう。
続生活の探求
(旧字旧仮名)
/
島木健作
(著)
わたしがお艶のため専ら古典の歌詞歌曲を漁るに対し、彼はモダンを研究してお艶の芸を
培
(
つちか
)
った。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「遠き門出の記念として君が
御手
(
みて
)
にまいらす。朝夕
培
(
つちか
)
いしこの草に
憩
(
いこ
)
う思いを汲ませたもうや」
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
舞台に立つ人間にしては、大した化粧もせず、殆んど地のままの青春の血を
培
(
つちか
)
う頬の色を見ただけでも、その豊艶な生命の匂いに、グイグイ引き付けられるような気がします。
新奇談クラブ:08 第八夜 蛇使いの娘
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
それでも
吾
(
わ
)
が
樹木
(
じゅもく
)
を植え、吾が種を
蒔
(
ま
)
き、我が家を建て、吾が汗を
滴
(
た
)
らし、
吾
(
わが
)
不浄
(
ふじょう
)
を
培
(
つちか
)
い、而してたま/\
死
(
し
)
んだ吾家の犬、猫、鶏、の
幾頭
(
いくとう
)
幾羽
(
いくわ
)
を葬った一町にも足らぬ土が
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
実際僕が苦しんだのは、何も自分自身の体や、自分の悪行や、自分の苦行を肥やしにして、どこの馬の骨かわからないやつの未来の
調和
(
ハーモニイ
)
を
培
(
つちか
)
ってやるためじゃないんだからね。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
あの、
卑猥
(
ひわい
)
な
牝豚
(
めすぶた
)
のような花子に
培
(
つちか
)
われた細菌が、春日、木島、そしてネネと、一つずつの物語を残しながら、暴風のように荒して行った
痕跡
(
あと
)
に、顔を
外向
(
そむ
)
けずにはいられなかった。
腐った蜉蝣
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
家のまわりの植物は萩が
先
(
ま
)
ず衰えて、今では
僅
(
わず
)
かに
一叢
(
ひとむら
)
二叢が、
譜第
(
ふだい
)
の家の子のような顔をして
培
(
つちか
)
われている。黄なる山菊は残そうと思ったが、去年などはどうやら咲かずにしまった。
野草雑記・野鳥雑記:01 野草雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
古典文芸の鑑賞に
培
(
つちか
)
われる一種の雰囲気である点であって、その「詩」をつくり出すために、定家は『
白氏文集
(
はくしもんじゅう
)
』の第一・二
帙
(
ちつ
)
を読めと、『詠歌大概』にも『毎月抄』にものべており
中世の文学伝統
(新字新仮名)
/
風巻景次郎
(著)
人の魂を
培
(
つちか
)
い、奇蹟に対抗して神秘を
護
(
まも
)
り、不可解を尊んで不条理を排し、説明し難いものについてはただ必要なるもののみを許容し、信仰を健全にし、宗教の上より迷信を除くこと
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
働いてこの
蟹
(
かに
)
の穴のような小さな家庭を
培
(
つちか
)
って行きたいと思った。僕は急に、久し振りに
履歴書
(
りれきしょ
)
をまた書きたくなって、
硯
(
すずり
)
に
白湯
(
さゆ
)
を入れ、桐の窓辺に机を寄せて、いっときタンザしてみた。
魚の序文
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
君子の記憶に間違いがなければ、父は仏様から罰を与えられるような原因があったのであろうか、そういえば父が近郷近在に聞こえるほど善根を
培
(
つちか
)
うことに、なにか原因がありはしなかったか。
抱茗荷の説
(新字新仮名)
/
山本禾太郎
(著)
ただこの時代においては、国土と人民とが王室のよって以て立つ処の基礎であるという関係がよほど明らかになったから、この根拠を
培
(
つちか
)
うという意味において民衆が段々尊重せられたのである。
憲政の本義を説いてその有終の美を済すの途を論ず
(新字新仮名)
/
吉野作造
(著)
後年の彼の特異なる趣味を
培
(
つちか
)
つたものといへよう。
萩原朔太郎
(旧字旧仮名)
/
堀辰雄
(著)
「お急ぎ! お急ぎ! 出來る間あの方と一緒におゐで。もう幾日か、多くて數週間位、さうすればお前は永久にあの方から引き離される!」そして私は新しく生れた苦悶——ひたすら求めて得られず
培
(
つちか
)
ふことも出來ない醜いものと鬪つた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
千草の種を
培
(
つちか
)
へば
枯草
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
と、牛若という一粒の
胚子
(
たね
)
を
培
(
つちか
)
い合って、その伸びるのを見ているのが、一同のたのしみでもあり、盟約の中心にもなっていた。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それ以来、彼は多年
培
(
つちか
)
っていた自分の声望がめっきり落ちたのを知った。自分から云えば、
遙
(
はる
)
かに後輩の浅太郎や喜蔵に段々
凌
(
しの
)
がれて来た事を、感じていた。
入れ札
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
しかし彼はこの師によって彼の内のよき芽を
培
(
つちか
)
われたのであって、単に師を模倣しているのではない。
享楽人
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
依
(
よ
)
ってこの手紙により私は
金力
(
きんりょく
)
を以って女性の人格的尊厳を無視する貴方に永久の
訣別
(
けつべつ
)
を告げます。私は私の個性の自由と尊貴を
護
(
まも
)
りかつ
培
(
つちか
)
うために貴方の
許
(
もと
)
を離れます。
柳原燁子(白蓮)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
戒律のためには父と名のつく人をさえ殺しかねない頑迷な血が
培
(
つちか
)
われているのを知りました。
聖アレキセイ寺院の惨劇
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
しかし椎の木は
野蛮
(
やばん
)
ではない。葉の色にも枝ぶりにも
何処
(
どこ
)
か落着いた所がある。伝統と教養とに
培
(
つちか
)
はれた士人にも恥ぢないつつましさがある。
檞
(
かし
)
の木はこのつつましさを知らない。
わが散文詩
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
寒い地方に必要な薪炭ややせた土を
培
(
つちか
)
うための芝草を得たいにも、近傍付近は皆官有地であるような場所もある。木曾谷の人民は最初からの嘆願を中止したわけでは、もとよりない。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
そうしてすこしの
遮
(
さえぎ
)
るものもない島はそのうえに
鬱蒼
(
うっそう
)
と生い繁った大木、それらの根に
培
(
つちか
)
うべく湖のなかに
蟠
(
わだかま
)
ったこの島さえがよくも根こぎにされないと思うほど無惨に風にもまれる。
島守
(新字新仮名)
/
中勘助
(著)
むす子は若いいのちの
遣瀬
(
やるせ
)
ない愛着を新興芸術に持ち、新興芸術を通して、それを
培
(
つちか
)
う巴里の土地に親しんだむす子は、東洋の芸術家の
挺身隊
(
ていしんたい
)
を一人で引受けたような決心の意気に燃えて
母子叙情
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
かれの心には
疑惑
(
ぎわく
)
の
嵐
(
あらし
)
が吹きはじめた。これまで胸の底ふかく
培
(
つちか
)
い育てて来た「歎異抄」の
魅力
(
みりょく
)
が、それで根こそぎになるというほどではなかったが、その枝葉の動揺はかなり
激
(
はげ
)
しかった。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
彈
(
ひ
)
くは
培
(
つちか
)
ふ
小指
(
をゆび
)
なり
春鳥集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
培
常用漢字
中学
部首:⼟
11画
“培”を含む語句
培養
栽培
土培
培土
培養法
培養硝子
培養菌
壺栽培
程永培
花卉栽培
苗木栽培地
陳春培
雁皮栽培録
電気栽培
黄培山