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囃子
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はやし
ふりがな文庫
“
囃子
(
はやし
)” の例文
第三、平素勝手元
不如意
(
ふにょい
)
を申し立てながら、多く人を
聚
(
あつ
)
め、酒
振舞
(
ふるま
)
いなどいたし、武家屋敷にあるまじき
囃子
(
はやし
)
など時折り
洩
(
も
)
れ聞え候事
濞かみ浪人
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
錦絵
(
にしきえ
)
から飛んで出たような
囃子
(
はやし
)
の子たちの百羽の
銀鳩
(
ぎんばと
)
が一斉に鳴くように自由に生きいきと声をそろえた ほう いや のかけ声
小品四つ
(新字新仮名)
/
中勘助
(著)
ことに上野原の町ではちょうど、火の見柱の下で盗賊が狼に食われた前後のことでしたから、その遠音の
囃子
(
はやし
)
を一層おそれたものです。
大菩薩峠:22 白骨の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
平吉が町内のお花見の船の中で、お
囃子
(
はやし
)
の連中にひょっとこの面を借りて、
舷
(
ふなばた
)
へ上ったのも、やはりいつもの一杯機嫌でやったのである。
ひょっとこ
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
てけて、どんどん、と自分で
囃子
(
はやし
)
を入れながら、——彦山夫人の言葉にもかかわらず、それは決して上手なものではなかった。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
▼ もっと見る
囃子
(
はやし
)
方のお石と木戸番の竹松にも逢つて見ましたが、二人共お紋同樣晝から宵まで小屋を動かないと判つて居るので、子さらひとは關係がなく
銭形平次捕物控:171 偽八五郎
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
馬籠
(
まごめ
)
の宿場では、毎日のように
謡
(
うた
)
の
囃子
(
はやし
)
に調子を合わせて、おもしろおかしく往来を踊り歩く村の人たちの声が起こった。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
やがて広場に出ると
囃子
(
はやし
)
のやぐらや周囲の踊場が
提燈
(
ちょうちん
)
や幕で美しく飾られていた。踊はまだ始まっていなかったが老若男女がかなり集まっていた。
外来語所感
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
この言葉のうち、
神楽
(
かぐら
)
の面々、
踊
(
おどり
)
の手を
休
(
や
)
め、従って
囃子
(
はやし
)
静まる。一連皆
素朴
(
そぼく
)
なる
山家人
(
やまがびと
)
、
装束
(
しょうぞく
)
をつけず、
面
(
めん
)
のみなり。
多神教
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
牛にひかせた見上げるような金ピカの屋台車の下を贅沢な
縮緬
(
ちりめん
)
の幕で囲って、町内の師匠やお
囃子
(
はやし
)
連が夢中になってチャッチャッチキチと馬鹿
囃
(
ばや
)
し。
平賀源内捕物帳:山王祭の大像
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
この
囃子
(
はやし
)
が私は大好きだった。鉦と太鼓でチキチン、コンコン、といった調子が連続するのだ。それから
芦辺
(
あしべ
)
踊りとか都踊りの囃子も大好きだった。
楢重雑筆
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
阿爺
(
おとっ
)
さんが天狗になってお
囃子
(
はやし
)
を
行
(
や
)
ってるのじゃないかと思うと、急に何だか
薄気味
(
うすきび
)
悪くなって来て、私は頭からスポッと
夜着
(
よぎ
)
を
冠
(
かむ
)
って小さくなった。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
単に迷子と名づけた場合でも、やはり
鉦
(
かね
)
太鼓
(
たいこ
)
の
叩
(
たた
)
き方は、コンコンチキチコンチキチの
囃子
(
はやし
)
で、芝居で「
釣狐
(
つりぎつね
)
」などというものの外には出でなかった。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
この人の父が、大阪中を
風靡
(
ふうび
)
した、東西屋(チンドン屋)の元祖九里丸で、大阪奇人伝中の一人である。夜になると、
囃子
(
はやし
)
の稽古をするので、私達子供は
死までを語る
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
開幕を知らせる拍子木は、廊下をすぎ、舞台の方では、にぎわしい
囃子
(
はやし
)
の響きが、華やかに波立ちはじめていた。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
裏座敷から、さも楽しそうな酒宴の
囃子
(
はやし
)
が、そそのかすように聞こえて来るわ! どれどれ拙者も向こうへ参って、鳰鳥殿の美しさでも殿のご前で褒めようぞ
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
渓のむこうも
己
(
じぶん
)
の立っている
周囲
(
まわり
)
も、赤い
毛氈
(
もうせん
)
を敷いた
雛壇
(
ひなだん
)
のような壇が一面に見えて、その壇の上には
内裏雛
(
だいりびな
)
を初め、
囃子
(
はやし
)
、
押絵
(
おしえ
)
の雛がぎっしり並んでいた。
怪人の眼
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
而して新らしい創作に從つてゐる間に秋となり冬が來て、今はまた晩春の惱ましい氣分に
水祭
(
みづまつり
)
の
囃子
(
はやし
)
や蠶豆の青くさい香ひのそことなく忍ばるるころとなつた。
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
うねうねとつづく
山車
(
だし
)
の列は、笛、太鼓の
囃子
(
はやし
)
に調子を揃えて山門から霊屋の前まで、
炬火
(
たいまつ
)
の光りを先登に、あとからあとからと、夜あけがたまでつづいていた。
本所松坂町
(新字新仮名)
/
尾崎士郎
(著)
どんどんじゃんじゃんという物すごい
囃子
(
はやし
)
に合わせてそれを見物の前に振り回して見せたあとで
柿の種
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
道楽で、
猿若町
(
さるわかちょう
)
の芝居の
囃子
(
はやし
)
部屋にもいたりしたから、あの楽器へ、長唄同様な囃子をつけた。
旧聞日本橋:18 神田附木店
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
花見の折からで「サクラ音頭」なる
囃子
(
はやし
)
が隆盛を極めていた。夜ごと夜ごと、鎮守の森からは、陽気な歌や素晴しい囃子の響が鳴り渡って、村人は夜の
更
(
ふ
)
けるのも忘れた。
鬼涙村
(新字新仮名)
/
牧野信一
(著)
太夫身支度の間今一
囃子
(
はやし
)
、そんな景気を附けるでもなく、唯浴衣の裾を端折っただけで有った。
死剣と生縄
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
今とちがって、その頃は年礼を葉書一枚で済ませる人がまだ少なかったので、表には日の暮れるまで人通りが絶えなかった。獅子の
囃子
(
はやし
)
や万歳の
鼓
(
つづみ
)
の音も春めいてきこえた。
半七捕物帳:17 三河万歳
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
山車に
囃子
(
はやし
)
の音、花笠の警固や芸者の手古舞、何十本もそろって練り込む有様は全く壮観。
明治世相百話
(新字新仮名)
/
山本笑月
(著)
ドコドコドンドン、ヒュウヒョロヒョロと、朝ごとに角兵衛獅子の
囃子
(
はやし
)
がその柳原お馬場の近くの
旅籠町
(
はたごちょう
)
からわびしく流れだして、西に東に江戸一円へ散らばっていくのでした。
右門捕物帖:33 死人ぶろ
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
その他の方々、お
囃子
(
はやし
)
連中は藤島社中の方々——と、こういったあんばいで、どの幕も、凝りにこった出し物——どれに優劣をつけると申す訳にも参らないほどでございました。
京鹿子娘道成寺
(新字新仮名)
/
酒井嘉七
(著)
謡も、舞も、
囃子
(
はやし
)
も、すべてが伝統的の型を大切に繰り返すだけで、進歩も発達もない空虚なものである。手早く云えば一種の骨董芸術で、現代人に呼びかけるところは一つもない。
能とは何か
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
拍子木
(
ひょうしぎ
)
の
音
(
おと
)
と
幕明
(
まくあき
)
の
唄
(
うた
)
とに伴ひて
引幕
(
ひきまく
)
の波打ちつつあき行く瞬間の感覚、独吟の唄一トくさり
聴
(
き
)
きて役者の
花道
(
はなみち
)
へ
出
(
いづ
)
る時、あるひは
徐
(
おもむ
)
ろに
囃子
(
はやし
)
の
鳴物
(
なりもの
)
に送られて
動行
(
うごきゆ
)
く
廻舞台
(
まわりぶたい
)
を見送る時
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
そこに屋台が掛かっていて、夕方になると、踊の
囃子
(
はやし
)
をするのが内へ聞える。
ヰタ・セクスアリス
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
街の興行区は無数の電燈と瓦斯の光に
華
(
はな
)
やぎ、いろ/\の絵看板が両側につらなつてゐた。目新らしい曲馬の見せ物の楽隊の
囃子
(
はやし
)
が夜空に
冴
(
さ
)
え渡つてゐた。人の
潮
(
うしお
)
がゆるやかに流れてゐた。
煤煙の匂ひ
(新字旧仮名)
/
宮地嘉六
(著)
下に
囃子
(
はやし
)
を
為
(
し
)
て居ます。
弥々
(
いよ/\
)
重次郎さんが来る時には早めて囃子を致します。
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
電車の
軋
(
きし
)
る音。活動写真の
囃子
(
はやし
)
。見知らぬ併し東京の何処かである街。
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
てけて、どんどん、と自分で
囃子
(
はやし
)
を入れながら、——彦山夫人の言葉にもかかわらず、それは決して上手なものではなかった。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
この女は恐しく達者そうですが、人は好い方らしく
喋舌
(
しゃべ
)
らせて置けば市が栄えそうです。もう一人の
囃子
(
はやし
)
方の六助は、裏口を掃いておりました。
銭形平次捕物控:213 一と目千両
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
だれもがこんな
謡
(
うた
)
の
囃子
(
はやし
)
を小ばかにし、またよろこび迎えた。その調子は
卑猥
(
ひわい
)
ですらあるけれども、陽気で滑稽なところに親しみを覚えさせる。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
雛は両方さしむかい、官女たちは、横顔やら、
俯向
(
うつむ
)
いたの。お
囃子
(
はやし
)
はぐるり、と寄って、
鼓
(
つづみ
)
の
調糸
(
しらべ
)
を
緊
(
し
)
めたり、
解
(
と
)
いたり、
御殿火鉢
(
ごてんひばち
)
も楽屋の
光景
(
ありさま
)
。
雛がたり
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
私は
凝然
(
じっ
)
と固くなって其に耳を澄ましていると、
何時
(
いつ
)
からとなくお
囃子
(
はやし
)
の手が
複雑
(
こん
)
で来て、合の手に遠くで
幽
(
かす
)
かにキャンキャンというような音が聞える。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
その音の響き
来
(
きた
)
ることを聞いて、この音の起るところを知らない
囃子
(
はやし
)
がそれです。土地の人はそれを恐れていたけれど、お銀様は、そのいわれを知らない。
大菩薩峠:22 白骨の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
夕方になれば遊客がぞろぞろ通るし、夜は茶屋のお
囃子
(
はやし
)
やぞめきに毎晩
爛
(
ただ
)
れた空をしている。当座、母はそれと明らさまに云わなかったが、いつか分った。
忘れ残りの記:――四半自叙伝――
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ちょっとした
空地
(
あきち
)
さえあれば、
賑
(
にぎ
)
やかな
囃子
(
はやし
)
につれて町内の男女は
団扇
(
うちわ
)
を持ってぐるぐると踊り廻っていたものだった。これは米騒動よりも優美なものであった。
めでたき風景
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
それが橋の上にいる人間から見ると、
滑稽
(
こっけい
)
としか思われない。お
囃子
(
はやし
)
をのせたり楽隊をのせたりした船が、橋の下を通ると、橋の上では「わあっ」と云う
哂
(
わら
)
い声が起る。
ひょっとこ
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
幕あいには笛や太鼓や三味線の
囃子
(
はやし
)
もおもしろく町の水路を三日三
夜
(
よ
)
さも上下する。
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
きょうは風のぐあいか、東両国の観世物小屋の
囃子
(
はやし
)
の音が手に取るように聞えた。
両国の秋
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
そいつが派手な浴衣に
赤褌
(
あかふん
)
のまんまボンヤリ甲板から降りて来やして、
出
(
で
)
の
囃子
(
はやし
)
を聞いているあっしの顔をジイッと穴のあくほど見ながら、
小
(
ち
)
ッポケなドングリ
眼
(
まなこ
)
をパチパチさせたもんです。
人間腸詰
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
すると館の音楽は忽ちハタと音を停めて、人声さえも静まったが、その静けさも
一刹那
(
いっせつな
)
、忽ち聞こえる横笛の音。それに続いて鼓の音。その
囃子
(
はやし
)
さえ一しきり、
錆
(
さび
)
のある肉声の歌うを聞けば
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
公園裏にて下り
小路
(
こうじ
)
を入れば人の往来織るがごとく、壮士芝居あれば娘
手踊
(
ておどり
)
あり、軽業カッポレ
浪花踊
(
なにわおどり
)
、評判の江川の玉乗りにタッタ三銭を惜しみたまわぬ方々に満たされて
囃子
(
はやし
)
の音ただ
八
(
や
)
ヶまし。
半日ある記
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
余は
床
(
ゆか
)
と
囃子
(
はやし
)
の
連弾
(
つれびき
)
掛合
(
かけあい
)
の如き
合方
(
あいかた
)
を最も好むものなり。『
鬼一法眼
(
きいちほうげん
)
』
菊畑
(
きくばたけ
)
の場にて
奴虎蔵
(
やっことらぞう
)
が
奥庭
(
おくにわ
)
に忍び入らんとして身がまへしつつ進み行くあたりの
床
(
ゆか
)
の三絃を聴かば誰かチョボを無用なりとせん。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
絶えず続いて、
音色
(
ねいろ
)
は替っても、
囃子
(
はやし
)
は留まらず、
行交
(
ゆきか
)
う船脚は水に流れ、
蜘蛛手
(
くもで
)
に、
角
(
つの
)
ぐむ
蘆
(
あし
)
の根を
潜
(
くぐ
)
って、消えるかとすれば、ふわふわと浮く。
陽炎座
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
この女は恐ろしく達者さうですが、人は好い方らしく、
唾舌
(
しやべ
)
らせて置けば市が榮えさうです。もう一人の
囃子
(
はやし
)
方の六助は、裏口を掃いて居りました。
銭形平次捕物控:213 一と目千両
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
“囃子”の解説
囃子(はやし)は、四拍子(笛、大鼓、小鼓、太鼓)でもって、謡や能をはやしたてること。
謡に舞人なしで四拍子のみを用いるものを番囃子といい、舞う部分に舞人なしで行う番囃子を居囃子という。ある部分に所作や舞いを加えたものを舞囃子という。
囃子にはほかに、祭で使われる祭囃子、寄席や落語において使われる寄席囃子、長唄舞台のにて使われる囃子がある。楽器の構成は能の囃子とは異なるものもある。
(出典:Wikipedia)
囃
漢検1級
部首:⼝
21画
子
常用漢字
小1
部首:⼦
3画
“囃子”で始まる語句
囃子方
囃子屋台
囃子手
囃子町