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くちぶり
ふりがな文庫
“
口吻
(
くちぶり
)” の例文
『御案内した眞意をお話しする』如何にも魂膽のありさうな
口吻
(
くちぶり
)
だつたので自分も
不覺
(
つい
)
氣が急いて、飯も食はずに急いで飛び出した。
媒介者
(旧字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
答はこれだけの極めて簡短なものであったが、その笑みを含んだ
口吻
(
くちぶり
)
にも、弟子を
見遣
(
みや
)
った眼の色にも、一種の慈愛が籠っていた。
二階から
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「何しろ家賃が一カ月七十銭という家だからな、こんなもんだろう」と老父は言ったが、嫁や孫たちが可哀想だという
口吻
(
くちぶり
)
でもあった。
贋物
(新字新仮名)
/
葛西善蔵
(著)
U氏がコンナ事でYを
免
(
ゆる
)
すような
口吻
(
くちぶり
)
があるのが私には
歯痒
(
はがゆ
)
かった。Yは果してU氏の思うように腹の底から
悔悛
(
くいあらた
)
めたであろう乎。
三十年前の島田沼南
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
マクドナルド博士の方は問答形式を望むような
口吻
(
くちぶり
)
であったから、この頃から記者諸君の質問はようやく活発になってきたのであった。
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
▼ もっと見る
岸本の母親が何時でも人と人との間の調和者としてあったように、輝子もまた調和者として叔父の許へ尋ねて来たような
口吻
(
くちぶり
)
を見せた。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
彼ら党人の論調の
粗笨
(
そほん
)
乱暴であることは往年の憲政擁護運動時代における
慷慨
(
こうがい
)
殺伐の
口吻
(
くちぶり
)
と比べて少しも進歩していないのに驚かれます。
選挙に対する婦人の希望
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
「これは私の責任ですることなのです。」と彼女は先生たちに説明するやうな
口吻
(
くちぶり
)
で附加へてから、早速教室を去つてしまつた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
君は今になって今村が帰途で受けた傷を何か人間の行為ときまっているような
口吻
(
くちぶり
)
を洩らすが、あれは人間の行為じゃないよ。
犠牲者
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
藤七の
口吻
(
くちぶり
)
には、我慢のなりかねた憤怒が
焦
(
こ
)
げ附きます。五十五六の中老人ですが、何んとなく練達な感じのする町人でした。
銭形平次捕物控:204 美女罪あり
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
何事かこの間に大きな方針の推移があったものと、恵瓊の
炯眼
(
けいがん
)
はそれを見のがしていなかったが、彼もあくまで平調な
口吻
(
くちぶり
)
で
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
書記の青木が、とがった
口吻
(
くちぶり
)
から、気味のわるい言葉を次々に
吐
(
は
)
いた。立合いの
衆
(
しゅう
)
は、いいあわせたように二三歩後へ下った。
鞄らしくない鞄
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
そして、心の底の
奈辺
(
どこ
)
かでは、信吾がモウ清子の事を深く心にとめても居ないらしい
口吻
(
くちぶり
)
を、何となく不満足に感じられる。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
中には、お浜が飯米欲しさに次郎を手放したがらないのだ、といったような
口吻
(
くちぶり
)
をもらして、彼女を怒らすものもあった。
次郎物語:01 第一部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
一知に疑いをかけているらしい
口吻
(
くちぶり
)
でしたが、しかし、私が最前ちょっと一知を物蔭に呼んで、心当りは無いかと尋ねてみますと、一知はモウ
巡査辞職
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
最初は、続いて階下の薬物室を調べるような法水の
口吻
(
くちぶり
)
だったが、彼はにわかに予定を変えて、古式具足の
列
(
なら
)
んでいる
拱廊
(
そでろうか
)
の中に入って行った。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
お角はもっと米友を留めておきたいような
口吻
(
くちぶり
)
でありましたけれど、そんならと言っていくらかの
餞別
(
せんべつ
)
までくれました。
大菩薩峠:14 お銀様の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「ではどうやら馬場の埃もしずまったようだから、四番を射させて御覧に入れましょうかな」と、いかにもそれまで休憩していたような
口吻
(
くちぶり
)
である。
備前名弓伝
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
密告者の
口吻
(
くちぶり
)
で、皇帝はまだ生きていられることだけは大体察しられるが、一体どこにいられるものやら方角さえつかぬ。まるで雲を掴むような話。
魔都
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
あの若奥さんもお前を信用しているような
口吻
(
くちぶり
)
だった。
俺
(
わし
)
は何うだろうかと思ったが、二人ともナカ/\
道理
(
わけ
)
の分った人で、持ち出し
栄
(
ば
)
えがあった。
脱線息子
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
その
口吻
(
くちぶり
)
よりするも、五十嵐博士殺害の陰謀が彼等の一味によって行われたことは疑いの余地がないのであった。
偉大なる夢
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
他人に向かっては誰しも、いかにも自分が、さとったような、あきらめたような
口吻
(
くちぶり
)
で、裁きます、批判します。
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
主水之介ほどの男を招くからには、何かあッと言わせるようなすばらしい思いつきがあるらしい
口吻
(
くちぶり
)
でした。
旗本退屈男:11 第十一話 千代田城へ乗り込んだ退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
男
(
をとこ
)
は、
自分
(
じぶん
)
の
口
(
くち
)
から
言出
(
いひだ
)
した
事
(
こと
)
で、
思
(
おも
)
ひも
掛
(
か
)
けぬ
心配
(
しんぱい
)
をさせるのを
氣
(
き
)
の
毒
(
どく
)
さうに、
半
(
なか
)
ば
打消
(
うちけ
)
す
口吻
(
くちぶり
)
で
艶書
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「あそこにいたのが患者さんたちなのかえ?」姑は菜穂子と廊下を歩き出しながら、
訝
(
いぶか
)
しそうな
口吻
(
くちぶり
)
で云った。「どの人も皆普通の人よりか丈夫そうじゃないか。」
菜穂子
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
夫人の
口吻
(
くちぶり
)
から察すれば、夫人は周囲に集まつてゐる男性を、蠅同様に思つてゐるのかも知れない。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
そういう挿話ものこされているのであるが、それはここでは詳しく説くまい。
往昔
(
むかし
)
の戯作者の
口吻
(
くちぶり
)
になぞらえ、「
管々
(
くだくだ
)
しければ略す」とでもいわせて置いてもらおうか。
小説 円朝
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
博士はマイクロフォンで……「探偵小説の行詰り云々」と探偵小説がどうやら行詰まったような
口吻
(
くちぶり
)
を洩らして居りましたが、「疑問の黒枠」はそれを裏切って居ります。
印象に残った新作家
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
親爺はいきなり「義理知らずの新聞は取れない。」という
口吻
(
くちぶり
)
をもらした。しかも思いがけないことには、その義理知らずという言葉は私にかかわりのあるものであった。
安い頭
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
おりと婆さんの
口吻
(
くちぶり
)
から察するのに、昆布の家は当時
窮迫
(
きゅうはく
)
こそしていたものの、相当に名聞を重んずる旧家で、そんな所へ娘を勤めに出したことをなるべく隠していたのであろう。
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
信者の物問い度げな
口吻
(
くちぶり
)
に対して、お松は何時もきまってこう返答していた。
反逆
(新字新仮名)
/
矢田津世子
(著)
すると
金港堂
(
きんかうどう
)
一
件
(
けん
)
の話が有つて、
硯友社
(
けんいうしや
)
との関係を
絶
(
た
)
ちたいやうな
口吻
(
くちぶり
)
、
其
(
それ
)
は
宜
(
よろし
)
いけれど、
文庫
(
ぶんこ
)
に
連載
(
れんさい
)
してある小説の
続稿
(
ぞくかう
)
だけは送つてもらひたいと
頼
(
たの
)
んだ、
承諾
(
しようだく
)
した、
然
(
しか
)
るに
一向
(
いつかう
)
寄来
(
よこ
)
さん
硯友社の沿革
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
これは
私
(
わたくし
)
が
一箇
(
いっこ
)
の考えではござりません、統計学をお遣り遊ばした御仁は
熟
(
よく
)
知ってお
出
(
いで
)
なさる事で、何も珍しい説でも
何
(
なん
)
でもないんでございます、と申すと私も大層学者らしい
口吻
(
くちぶり
)
でげすが
根岸お行の松 因果塚の由来
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
もとの強気の波子に戻ったその
口吻
(
くちぶり
)
に、俺もしまいにはたまりかねて
いやな感じ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
大佐
(
たいさ
)
の
口吻
(
くちぶり
)
では、もつと
有力
(
いうりよく
)
なる
發明
(
はつめい
)
であらうと、
樣々
(
さま/″\
)
の
想像
(
さうぞう
)
を
描
(
えが
)
いて
居
(
を
)
る
内
(
うち
)
に、
遂
(
つひ
)
に
到着
(
たうちやく
)
したのは、
昨曉
(
さくぎよう
)
、
大佐
(
たいさ
)
の
後影
(
うしろかげ
)
をチラリと
認
(
みと
)
めた
灣中
(
わんちう
)
の
屏風岩
(
べうぶいわ
)
の
邊
(
へん
)
、
此處
(
こゝ
)
で、
第一
(
だいいち
)
に
不思議
(
ふしぎ
)
に
感
(
かん
)
じたのは
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
みのるは
戯談
(
じようだん
)
らしい
口吻
(
くちぶり
)
を見せてから、いつまでも泣いてゐた。
木乃伊の口紅
(旧字旧仮名)
/
田村俊子
(著)
と言つたのは、前のとは違つた、
稍
(
やゝ
)
老人らしい
口吻
(
くちぶり
)
。
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
と、やはり何か考え込んでいるらしい
口吻
(
くちぶり
)
である。
五階の窓:03 合作の三
(新字新仮名)
/
森下雨村
(著)
「この間の
口吻
(
くちぶり
)
とは打って代った転向だな」
蜆
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
和尚は、
癪
(
しゃく
)
に障るらしい
口吻
(
くちぶり
)
をもらした。
再度生老人
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
月丸は、不安そうな
口吻
(
くちぶり
)
で聞いた。
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
さも言いにくそうな
口吻
(
くちぶり
)
である。
安井夫人
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
「アイ子さんのご一家ですの。別莊は、小田急の終點の直ぐ傍だから、お待ちしてますから歸りには是非寄つて下さいつておつしやいましたの。旦那さまは、あなたにお會ひしたいやうな
口吻
(
くちぶり
)
でしたのよ。あなた、お寄りしないでせう?」
滑川畔にて
(旧字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
「それでは娘はお預けして行きますで……。」と、婆さんは無口で陰気な笹村なら、安心して娘をおいて行けるといった
口吻
(
くちぶり
)
であった。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
が、ウッカリ当局者が
滑
(
すべ
)
らした
口吻
(
くちぶり
)
に由ると不法殺人であって、殺されたものは支那人や朝鮮人でないのは明言するというのだ。
最後の大杉
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
昨日の話の中に、そんな
口吻
(
くちぶり
)
のあつたのをお前も聽いた筈だ。それにお茂與の話をした時の、有峰杉之助のお内儀の顏は容易ぢやなかつた。
銭形平次捕物控:114 遺書の罪
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
北叟笑
(
ほくそえ
)
んだが、今の電記の
口吻
(
くちぶり
)
では、何事にも自分が第一人者を占めなければ我慢のならぬ、我儘で、勝気で派手好きな妻が
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
蔡九
(
さいきゅう
)
から追っかけの召をうけて、何事かと、再び彼の前へぬかずき出た。しかし蔡九の
口吻
(
くちぶり
)
もその眉もすでに最初のときのご機嫌ではない。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
あの先輩の周囲にあるものが必ずしも雑誌社の連中のような崇拝家ばかりで無いことが、岡見の
口吻
(
くちぶり
)
で察せられた。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
……のみならず二人の頭の病気が、全然おなじ経過を
執
(
と
)
って回復して行きつつあるような正木博士の
口吻
(
くちぶり
)
に、云い知れぬ気味わるさを感じたのであった。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
口
常用漢字
小1
部首:⼝
3画
吻
漢検準1級
部首:⼝
7画
“口”で始まる語句
口惜
口
口説
口髭
口籠
口許
口上
口調
口々
口吟