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そりみ
ふりがな文庫
“
反身
(
そりみ
)” の例文
古木学士はいよいよ眼を細くして
反身
(
そりみ
)
になった。学士の肩の蔭で、アダリーも
可笑
(
おか
)
しいのを我慢しながらうつむいている気配である。
冥土行進曲
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
健は
例
(
いつも
)
の樣に
亭乎
(
すらり
)
とした體を少し
反身
(
そりみ
)
に、
確乎
(
しつかり
)
した歩調で歩いて、行き合ふ
兒女
(
こども
)
等の會釋に微笑みながらも、始終思慮深い目附をして
足跡
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
と
咳
(
しわぶ
)
き、がっしりした、
脊低
(
せいひく
)
の
反身
(
そりみ
)
で、仰いで、指を輪にして目に当てたと見えたのは、柄つきの片目金、拡大鏡を
当
(
あて
)
がったのである。
ピストルの使い方:――(前題――楊弓)
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
頭こそ円けれ、黒羽二重の羽織を長めに著て、小刀を腰にした
反身
(
そりみ
)
の立姿が立派で、医者坊主などといわれた
円頂
(
えんちょう
)
の徒とは違うのでした。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
レイディ・リンは四十位の、
大柄
(
おほがら
)
な、肥つた人で、
反身
(
そりみ
)
で、ひどく傲慢な容子をして、いろ/\に光る繻子の服を着てゐた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
▼ もっと見る
紳士が
稍
(
やゝ
)
反身
(
そりみ
)
になつて
卓子
(
テーブル
)
の前の椅子に腰をおろすと、鵞鳥のやうに白い
上
(
うは
)
つ
張
(
ぱり
)
を着た給仕人がやつて来て註文を聞いた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
お世辞を云うも間が悪かったか
反身
(
そりみ
)
になって、無闇に扇で額を叩き、口も利かずに扇を振り廻したりして、きょと/\して変な
塩梅
(
あんばい
)
で有りますから
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
彼は
反身
(
そりみ
)
になつていやに勿体ぶつた態度をしながらも、その態度とはまるで違つた斯う云つた、うすつぺらな調子でベラベラとまくしたてるのでした。
ある女の裁判
(新字旧仮名)
/
伊藤野枝
(著)
友野は、少しばかり
反身
(
そりみ
)
になって、胸のバッチを示した。そこには帝国新聞の社章が、霧に濡れて、鈍く、私の
無為徒食
(
むいとしょく
)
を
嗤
(
あざわら
)
うようにくっついていた。
腐った蜉蝣
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
「硝子の球なんかガラス屋へ行けば訳ないじゃないか」「どうして——どうして」と寒月先生少々
反身
(
そりみ
)
になる。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
彦兵衛は、いつも
頭
(
ず
)
の低い構えと
口癖
(
くちぐせ
)
を今夜はわすれ果てていた。すこし
反身
(
そりみ
)
気味になって、理屈をこねた。
鍋島甲斐守
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
大辻老はそこで大将のように
反身
(
そりみ
)
になったが、テーブルの上の麦湯の壜をみると、
忽
(
たちま
)
ちだらしのない顔になり、ひきよせるなり、馬のような腹に波をうたせて
地中魔
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
とはいふものゝ、大事を取つて、今にこゝの前を避けて通る、愛と若さと死の皮肉な花が、
威勢
(
ゐせい
)
よく
反身
(
そりみ
)
になつてゐたり、しよんぼりと絶入つてゐる家の前を。
わるい花
(旧字旧仮名)
/
レミ・ドゥ・グルモン
(著)
茂太郎はよりかかって手を伸ばす、兵部の娘は
反身
(
そりみ
)
になって、それをいよいよ渡すまいとする——そのすぐ後ろは海です。波がもう兵部の娘の
踵
(
かかと
)
を
嘗
(
な
)
めている。
大菩薩峠:28 Oceanの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
眉
(
まゆ
)
も、顔だちも、はれやかに、
背丈
(
せたけ
)
などもすぐれて
伸々
(
のびのび
)
として、若竹のように青やかに、すくすくと、かがみ女の型をぬけて、むしろ
反身
(
そりみ
)
の立派な
恰好
(
かっこう
)
であった。
明治大正美人追憶
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
キチンと四角に坐ったまま少しも
膝
(
ひざ
)
をくずさないで、少し
反身
(
そりみ
)
に
煙草
(
たばこ
)
を
燻
(
ふ
)
かしながらニヤリニヤリして、余り
口数
(
くちかず
)
を
利
(
き
)
かずにジロジロ
部屋
(
へや
)
の
周囲
(
まわり
)
を見廻していた。
斎藤緑雨
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
「いや、見ません。」といって、
反身
(
そりみ
)
になった。青腫れのした爺さんは、爪先で歩いて、次の家の前へと進む。雪もないのに冷たい気が人々の肌に浸み込むようだ。
悪魔
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
それに対してホームズは時々質問や間投詞を挟んだ。ロス大佐は腕を
拱
(
こまね
)
いて
反身
(
そりみ
)
に座席に身をもたせて、帽子を眼のあたりまですべらせ黙々として耳を傾けていた。
白銀の失踪
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
反身
(
そりみ
)
の刀を肩にかけ、あぐらの中に手をつっこんでいた。
膝
(
ひざ
)
を小刻みに
顫
(
ふる
)
わしているものもあった。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
爪先
(
つまさき
)
で電話室の硝子戸を突きあけ、「清子さん。電話。」と呼びながら君江は
反身
(
そりみ
)
に振返ってあたりを見廻したが、昼間のことで客はわずかに二組ほど、そのまわりに女給が七
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
その言葉使いの野卑で憎らしかったには、傍で聞いている子供心にもカッと腹が立った。その時ばかりは兵隊が可哀相で、
反身
(
そりみ
)
になった士官の胸倉へ飛び付いてやろうかと思った。
枯菊の影
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
俊助がこう尋ねると、大井は胸の上に両手を組んで、
反身
(
そりみ
)
にあたりを見廻しながら
路上
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
かれはナポレオンになろうと思ったときには胸のところに
座蒲団
(
ざぶとん
)
を入れて
反身
(
そりみ
)
になって歩いた。秀吉になろうと思った時にはおそろしく目をむきだしてさるのごとくに歯を出して歩く。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
さもさも
勿体振
(
もったいぶ
)
って、いやに
反身
(
そりみ
)
になって、人を
軽蔑
(
けいべつ
)
したような目付をしながら、意気揚々と灰色の馬に跨った様は——いやもう
小癪
(
こしゃく
)
に触って、二目と見られたものじゃない、とまあ
藁草履
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
とぐろをまきて赤味をおびたり。白茶の西洋仕立ての洋服に。ビイツの多くさがりたるを着して。少しくるしそうにはみゆれど。腹部はちぎれそうにほそく。つとめて
反身
(
そりみ
)
になる気味あり。
藪の鶯
(新字新仮名)
/
三宅花圃
(著)
Kさんは安楽椅子にずっと
反身
(
そりみ
)
になって、
上靴
(
スリッパア
)
をつけた片足を膝の上に載せて、肱をもたげて半ば灰になった葉巻を支えながら、壁に掲げたロセッティの受胎告知の絵の方をじっと見ていると
聖書
(新字新仮名)
/
生田春月
(著)
どんなものだいと
反身
(
そりみ
)
になるのもマンザラ悪くはあるまいかも知らぬ。
骨董
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
幻花子
(
げんくわし
)
は、
此土瓶
(
このどびん
)
を
布呂敷
(
ふろしき
)
に
包
(
つゝ
)
み、
背
(
せ
)
に
斜
(
はす
)
に
掛
(
か
)
けて
負
(
お
)
ひ、
自轉車
(
じてんしや
)
に
反身
(
そりみ
)
で
乘
(
の
)
つて
走
(
はし
)
らすのを、
後
(
うしろ
)
から
見
(
み
)
て
行
(
ゆ
)
く
佛骨子
(
ぶつこつし
)
が、
如何
(
どう
)
かして
自轉車
(
じてんしや
)
から
落
(
お
)
ちて、
土瓶
(
どびん
)
を
破
(
こは
)
したら
面白
(
おもしろ
)
からうと
呪
(
のろ
)
つたといふ。
探検実記 地中の秘密:03 嶺の千鳥窪
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
臆れた色もなく、こう言って
反身
(
そりみ
)
になる八五郎だったのです。
銭形平次捕物控:046 双生児の呪
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
だが、それから永くなるとぐっと
反身
(
そりみ
)
になって
バットクラス
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
めづらかな腰の丸みよ、
反身
(
そりみ
)
になつて
ランボオ詩集
(新字旧仮名)
/
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー
(著)
源十郎はぐっと
反身
(
そりみ
)
になって
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
反身
(
そりみ
)
なる若き女の
裳
(
もすそ
)
を
反
(
かへ
)
す。
無題
(新字旧仮名)
/
富永太郎
(著)
何を、と云ってね、その
勢
(
いきおい
)
で、あー……開けるぞ、と思うと、清葉が、膝を
支直
(
つきなお
)
して、少し
反身
(
そりみ
)
で、ぴたりと
圧
(
おさ
)
えて、(お客様です。)
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
長過ぎる程の紺絣の單衣に、輕やかな絹の兵子帶、丈高い體を少し
反身
(
そりみ
)
に何やら勢ひづいて學校の門を出て來た信吾の
背後
(
うしろ
)
から
鳥影
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
何だつて十月に限つてそんなに
不精
(
ぶしやう
)
なのだと訊くと、菊五郎は親爺譲りの癖で、ぐつと
反身
(
そりみ
)
になつて、言訳をする。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
片手は土手の草に取つき、ずーと立上ったが
爪立
(
つまだ
)
ってブル/\っと
反身
(
そりみ
)
に成る途端にがら/\/\/\と口から
血反吐
(
ちへど
)
を吐きながらドンと前へ倒れた時は
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
油がきれたか、
格子天井
(
こうしてんじょう
)
の
仏龕
(
ぶつがん
)
が、パッ、パッ……と大きな明滅の息をついて、そこへヌッと
反身
(
そりみ
)
に立っているお十夜の影を、
魔魅
(
まみ
)
のようにゆらゆらさせた。
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
突袖をして、
反身
(
そりみ
)
になって、あの四方窓から中原の形勢を見渡したキザな
恰好
(
かっこう
)
をごらんなさい。天下の英雄、使君、われといったような得意ぶりを御覧なさい。
大菩薩峠:29 年魚市の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
乃公はそこでいつも勇ましい自分の顔を
惚
(
ほ
)
れ
惚
(
ぼ
)
れと見つめるのだった。ヴィクトル・エマヌエル第一世はこんな顔をしていたように思うなどと、私は
反身
(
そりみ
)
になった。
不思議なる空間断層
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
なんて、技巧的に、やや身を前
屈
(
かが
)
みにして、手を出して制した。そして
反身
(
そりみ
)
になって車を飛ばせた。前綱は片手をグルグル振って、見送られているので得意に
駈
(
か
)
けた。
旧聞日本橋:16 最初の外国保険詐欺
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
威勢
(
ゐせい
)
よく
反身
(
そりみ
)
になつてゐる花もある、しよんぼりと絶え入つてゐる花もある、その花屋の前を通りすがると、妙に氣を
搖
(
そゝ
)
る意地の惡い香がした、胸苦しいほど不思議の香がした。
わるい花
(旧字旧仮名)
/
レミ・ドゥ・グルモン
(著)
頬杖を突いて身を乗出したいところであったろうが、
卓子
(
テーブル
)
が無いので仕方なしに腕を組んでグッと
反身
(
そりみ
)
になった。なおなお呉羽を脅やかして、勝利の快感に酔いたい恰好であった。
二重心臓
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
健は、
例
(
いつも
)
の様に
亭乎
(
すらり
)
とした体を少し
反身
(
そりみ
)
に、
確乎
(
しつかり
)
した
歩調
(
あしどり
)
で歩いて、行き合ふ
児女等
(
こどもら
)
の会釈に微笑みながらも、始終
思慮
(
かんがへ
)
深い眼付をして
足跡
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
……此処で、姉の方が、
隻手
(
かたて
)
を
床几
(
しょうぎ
)
について、少し
反身
(
そりみ
)
に、浴衣腰を長くのんびりと掛けて、ほんのり
夕靄
(
ゆうもや
)
を視めている。
甲乙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
婦人はスムウト氏がユウタア州の生れだといふ事を訊くと、
寡婦
(
やもめ
)
の
雌鶏
(
めんどり
)
のやうにぐつと
反身
(
そりみ
)
になつて近づいて来た。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
本来、正直な米友は、小さくなって道庵のあとにくっついて行くが、道庵は大気取りで、突袖に
反身
(
そりみ
)
の
体
(
てい
)
。
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
それから、
長押
(
なげし
)
の槍を外して、
摩利支天
(
まりしてん
)
のような恐い顔を
反身
(
そりみ
)
に持って、ずかずかと、庭へ下りた。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
軍団長イワノウィッチは、
大刀
(
だいとう
)
を
立
(
たて
)
て
反身
(
そりみ
)
になって、この際の
威厳
(
いげん
)
を
保
(
たも
)
とうと努力した。
蠅
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
赤猪口兵衛はいよいよ得意然と、すこし
反身
(
そりみ
)
になって土下座し直した。
狂歌師赤猪口兵衛:博多名物非人探偵
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
“反身”の意味
《名詞》
体を反らすこと。
(出典:Wiktionary)
反
常用漢字
小3
部首:⼜
4画
身
常用漢字
小3
部首:⾝
7画
“反”で始まる語句
反
反古
反対
反駁
反物
反故
反撥
反芻
反響
反對