医者いしや)” の例文
一向かしぎぼふこふ炊ぎ奉公する事ハできず、いつたい医者いしやというものハ一代きりのものゆへ、おやがしんでハ、しんるい親類というものもなし。
『早くけえつて寝るこつた。恁麽こんだ時何処ウ徘徊うろつくだべえ。天理様拝んで赤痢神が取付とツつかねえだら、ハア、何で医者いしやくすりが要るものかよ。』
赤痢 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
なんでも飛騨ひだゑん当時たうじかはつたこともめづらしいこともなかつたが、たゞ取出とりいでゝいふ不思議ふしぎは、医者いしやむすめで、うまれるとたまのやう。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
またいお医者いしや出会であふことも有らうから、夫婦で茅場町かやばちやう薬師やくしさまへ信心しん/″\をして、三七、二十一にち断食だんじきをして、夜中参よなかまゐりをしたらからう。
心眼 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
「さうか。それではお前はおれのかゝ医者いしやになるか——」う、万事を呑込んでゐるやうな鷹揚おうやうな態度で云ふのであつた。
哀しき父 (新字旧仮名) / 葛西善蔵(著)
寛文くわんぶんのむかしさう右エ門が(如法寺村)にはにてふいごをつかひたる時よりもえはじめしとぞ。前にいふ井中の火も医者いしや挑灯てうちんを井の中へさげしゆゑその陽火にてもえいだしたるなるべし。
ばかりぱちくり、のろま医者いしや
とんぼの眼玉 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
医者いしやあをくなつて、さわいだが、かみたすけかやうや生命いのち取留とりとまり、三ばかりでとまつたが、到頭たうとうこしけた、もとより不具かたわ
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
有難ありがたぞんじます、毎度まいど御親切ごしんせつにお見舞みまひくだすつて。金「おまへさん医者いしやかゝつたらうです。源「いえかゝりませぬ。 ...
黄金餅 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
寛文くわんぶんのむかしさう右エ門が(如法寺村)にはにてふいごをつかひたる時よりもえはじめしとぞ。前にいふ井中の火も医者いしや挑灯てうちんを井の中へさげしゆゑその陽火にてもえいだしたるなるべし。
医者いしや何医者なにいしや、かへろ医者いしや
とんぼの眼玉 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
同一おなしみづ医者いしやうち死絶しにたえた、さればかやうな美女びぢよ片田舎かたゐなかうまれたのもくにがはり、だいがはりの前兆ぜんちやうであらうと、土地とちのものは言伝いひつたへた。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
大病たいびやうでも自分で死ぬと覚悟かくごをし、医者いしや見放みはなした事も知つてり、御看病ごかんびやうは十分にとゞき、自分もう死ぬとあきらめがいてしまつても、とろ/\と病気びやうきづかれで寝附ねついた時に
明治の地獄 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
のろまのお医者いしや
とんぼの眼玉 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
アノおくのね、真卓先生しんたくせんせいとこからもらつたんだよ。亭「うむ、アノお医者いしやか、可笑をかしいな。 ...
八百屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
うむ、ぢやアつてるよ。これから衣服きもの着換きかへて、おくのお医者いしやもとへやつてまゐり、玄関げんくわんかゝつて、甚「おたのまうします。書生「どーれ、ヤ、これはお入来いでなさい。甚「エヽ先生は御退屈ごたいくつですか。 ...
八百屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
これ/\なんでも医者いしやとほりになれ、素人しろうとくせなにわかるものか、これ舎利塩しやりえん四匁しもんめ粉薬こぐすりにしてつかはすから、硝盃コツプに水をいてうしてめ、それから規那塩きなえんを一ぶんれるところぢやが
華族のお医者 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
いえいけませぬ、いけませぬ、ハツ/\医者いしやかゝるのもうがすが、すぐ薬礼やくれいを取られるのが残念ですから。金「医者いしやかゝれば是非ぜひ薬礼やくれいを取られますよしかそれいやなら買薬かひぐすりでもしなすつたら。 ...
黄金餅 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
たけ何卒どうぞ一方かた/\でもいからけてくれ、どうかエさうして薄くも見えるやうにしてれとふから、わたし医者いしやぢやアなし、おまへけやうはないが、夫程それほどに思ふならさだめし口惜くやしかつたらう
心眼 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
明けてくんなとつて、わたし医者いしやぢやアなし、そんな無理なことをつたツてわたしがおめへあけわけにはいかないが、苦しい時の神頼かみだのみてえ事も有るから、二人で信心しん/″\をして、一生懸命になつたら
心眼 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
イヤうにもうにもじつ華族くわぞくのお医者いしやなどかゝるべきものではない、無闇むやみにアノ小さな柊揆さいづちでコツコツ胸をたゝいたりなんかして加之おまけひどい薬をましたもんだから、昨夜ゆうべうも七十六たびかはやかよつたよ。
華族のお医者 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
×「医者いしやでがす」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)