トップ
>
頭脳
>
あたま
ふりがな文庫
“
頭脳
(
あたま
)” の例文
旧字:
頭腦
可也
(
かなり
)
皮肉な出来事であつたからで、気の小さい、
極
(
きま
)
り
悪
(
わる
)
がり屋の彼は、
何
(
ど
)
うかして
甘
(
うま
)
くそれを切りぬけようと、
頭脳
(
あたま
)
を悩ましてゐた。
花が咲く
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
「唯、何かこう
頭脳
(
あたま
)
の中に、一とこ引ッつかえたようなところが有って、そこさえ直れば外にもう何処も身体に悪いところはないで」
ある女の生涯
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
やれ気が利かぬ、おかめじやと、初手から知れた私の鼻が、急に低いか何ぞのやうに、高い声での悪口も、
頭脳
(
あたま
)
の上を超せばこそ。
移民学園
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
自分とは全く違う世界の人間だと云う事が、常識の発達した実業家志望の青年の
頭脳
(
あたま
)
には、別段の無理もなくはっきりとわかった。
九月一日
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
現代
(
いまのよ
)
の
人達
(
ひとたち
)
から
頭脳
(
あたま
)
が
古
(
ふる
)
いと
思
(
おも
)
われるか
存
(
ぞん
)
じませぬが、
古
(
ふる
)
いにも、
新
(
あた
)
らしいにも、それがその
時代
(
じだい
)
の
女
(
おんな
)
の
道
(
みち
)
だったのでございます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
▼ もっと見る
「ふん、そんなことにおどろくような
頭脳
(
あたま
)
じゃから、日本では、科学の発達がおくれているというのだ」と、博士は
軽蔑
(
けいべつ
)
の色をみせて
人造人間エフ氏
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
などという
詞
(
ことば
)
もあったが、伊豆の女はなぜその中でないだろうか。——頼朝も時には、そんな
煩悩
(
ぼんのう
)
に、
頭脳
(
あたま
)
を
憑
(
つま
)
まれている日もあった。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかして彼の
頭脳
(
あたま
)
にフト浮び出ましたことはアルプス産の
小樅
(
こもみ
)
でありました。もしこれを移植したらばいかんと彼は思いました。
デンマルク国の話:信仰と樹木とをもって国を救いし話
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
乗物が怪しい! その瞬間に兵馬の
頭脳
(
あたま
)
にひらめいたのがそれです。その途端に、鳥居の後ろからそろそろと人の姿が現われて
大菩薩峠:21 無明の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
たしかにわたしは一種の神経的な衝動から
頭脳
(
あたま
)
に混乱を生じて、こうした超自然的の奇蹟を現出したのであろうと思いました。
世界怪談名作集:15 幽霊
(新字新仮名)
/
ギ・ド・モーパッサン
(著)
胸のまん中が火のようになり、
頭脳
(
あたま
)
がぐらぐら煮え立つように感じた。彼女はもう分別を失い、理性を逃がし、克己心のつなを切っていた。
思い違い物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
私は又此人の
頭脳
(
あたま
)
がモウ余程
乾涸
(
ひからび
)
て居て、漢文句調の幼稚な文章しか書けぬ事を知つて居るので、それとなく腹の中でフフンと云つて居る。
菊池君
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
このままこうして、男を京都に帰して、その弱点を利用して、自分の自由にしようかと思った。と、
種々
(
いろいろ
)
なことが
頭脳
(
あたま
)
に浮ぶ。
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
文藝春秋といふ雑誌は、文壇稀れに見る「
頭脳
(
あたま
)
の好い雑誌」であつて、編輯がキビキビとして居り、詰将棋の名手を見るやうな痛快さがある。
常識家の非常識
(新字旧仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
かく自分勝手の理屈を考えて、覚悟をしたら、今までの
顫
(
ふる
)
いがとまった。わずかに五、六分間であったが、その間に
頭脳
(
あたま
)
の考えは二回変った。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
まだそのような未開野蛮時代の道徳で婦人を
圧
(
おさ
)
え附けようとする教育家諸先生の
頭脳
(
あたま
)
の古風なのに驚かねばなりません。
離婚について
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
老女の
頭脳
(
あたま
)
は単純でした。右でなければ左、嫌いでなければ好き、物事はたったこの二た通りの姿しか映らないのです。
百唇の譜
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
余計な憎まれ口を
叩
(
たた
)
いて、漢方医者の
薬味箪笥
(
やくみだんす
)
のように、沢山の引出しがあり、一々、書附けが張りつけてでもあるような
頭脳
(
あたま
)
だといったりした。
朱絃舎浜子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
「人違いだって? 私はグヰンと永い間一緒に住んでいたのですよ。私は
貴郎
(
あなた
)
が思う程、
頭脳
(
あたま
)
が悪くはない積りです」
緑衣の女
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
若林博士の
頭脳
(
あたま
)
が急に疑わしくなって来たので……他人の見ている夢の内容を、
外
(
ほか
)
から見て云い当てるなぞいう事は
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
銀行の重役の用いそうな、前脚に引出のあるデスクである。デスクの上の雑然たることよ!
併
(
しか
)
し主人公の
頭脳
(
あたま
)
さえ、整理してあれば
可
(
よ
)
いでは無いか。
小酒井不木氏スケッチ
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
見たような顔! 見たような顔!——
咄嗟
(
とっさ
)
に、眼まぐるしい思案が、壁辰の
頭脳
(
あたま
)
を
駈
(
か
)
けめぐった。と! 思い出した! ぴイン! と来たものがある。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
母は、いつもこう云って、凱旋してからこのかた、まえより
却
(
かえ
)
って、
頭脳
(
あたま
)
がボンヤリしたような父に
詰
(
なじ
)
りかけた。
戦争雑記
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
烈しい興奮のために、
頭脳
(
あたま
)
も眼も、疲れ切つてゐながら、それが妙にいら/\して、眠は
何
(
ど
)
うしても来なかつた。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
しかも、彼が一言も口をきかないにも拘らず、彼の
頭脳
(
あたま
)
の中で考えられていることは、私にはよく分っていた。
白銀の失踪
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
ケティには、なんでそういわれたのか、考える
頭脳
(
あたま
)
はない。常人でも、それはじつに解しがたいことだ。しかし彼女は、それを機会にてんで無口になった。
人外魔境:03 天母峰
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
しかしいくら考えても
灰吹
(
はいふき
)
の焼印しか
頭脳
(
あたま
)
に浮んで来なかったから、矢張り山だろうと解釈した。ところが今着いて見ると吐月峯
柴屋寺
(
さいおくじ
)
という
僧庵
(
そうあん
)
だった。
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
学問の事はあたしには判らないけれども、二人とも何でもよく知っているらしいのよ、
頭脳
(
あたま
)
だって両方大したもんよ。むずかしい事をいってよく議論するの。
ニッケルの文鎮
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
こうして丈夫に生まれても弱くなる赤ん坊や、
良知良能
(
りょうちりょうのう
)
がさずかっているのに、まったくききわけのないわがままな子供や、
頭脳
(
あたま
)
の悪い子供ができてゆきます。
おさなごを発見せよ
(新字新仮名)
/
羽仁もと子
(著)
とても
良人
(
うち
)
にはお任せなさるまいがもしもいよいよ吾夫のすることになったら、どのようにまあ親方様お吉様の腹立てらるるか知れぬ、ああ心配に
頭脳
(
あたま
)
の痛む
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
不昧公の胃の腑は深く宗左を
怨
(
うら
)
んだ。これまで
空腹
(
すきばら
)
といふ事を知らなかつた大名の
頭脳
(
あたま
)
は、急に胃の腑の味方をして、何かしら
復讐
(
しかへし
)
の趣巧を考へるらしかつた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
ちょっと例をあげてみると、教師からある種の質問を受けた時、
悉皆
(
しっかい
)
頭脳
(
あたま
)
に記憶してある事がらでも、どうもその質問に応じて、容易に返答ができぬ場合がある。
わが中学時代の勉強法
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
何とか
好
(
いい
)
智慧
(
ちえ
)
はないか知らぬと帰る
途次
(
みちみち
)
も色々に
頭脳
(
あたま
)
を悩ました末に、父に
対
(
むか
)
ってこういう嘘を
吐
(
つ
)
いた。
一日一筆
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「何、宜いものか、
浄瑠璃
(
じようるり
)
の解らんやうな
頭脳
(
あたま
)
ぢや
為方
(
しかた
)
が無い。お前は一体冷淡な
頭脳
(
あたま
)
を
有
(
も
)
つてゐるから、それで浄瑠璃などを好まんのに違無い。どうもさうだ」
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
大磯あたりの海岸は、紫の浪が
間断
(
かんだん
)
なく打ちよせて、
都
(
みやこ
)
の
塵
(
ちり
)
にまみれた
頭脳
(
あたま
)
を洗濯するに役立ちます。
深夜の電話
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
月を見たり花を見たりすると一種の
考
(
かんがえ
)
が
起
(
おこ
)
るものだから、自分も
今宵
(
こよい
)
露に
湿
(
うるお
)
った地に映る
我影
(
わがかげ
)
を見ながら、黙って歩いて来ると偶然故郷のことなどが、
頭脳
(
あたま
)
に浮んだ
死神
(新字新仮名)
/
岡崎雪声
(著)
頭脳
(
あたま
)
の中をこんな事にこしらへて、一軒ごとの格子に
烟草
(
たばこ
)
の無理どり鼻紙の無心、打ちつ打たれつこれを一
世
(
せ
)
の
誉
(
ほまれ
)
と心得れば、堅気の家の相続息子
地廻
(
じまわ
)
りと改名して
たけくらべ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
彼女はそれを自分の
頭脳
(
あたま
)
に隠した。夕がた彼女はファリアスに来たが、
暗黒
(
くらやみ
)
の中に輝く一つの星が見えただけだつた。イヴはその
暗黒
(
くらやみ
)
と
暗黒
(
くらやみ
)
の中の星を自分の腹に隠した。
四つの市
(新字旧仮名)
/
片山広子
(著)
大木のほうでも矢野が
頭脳
(
あたま
)
のよいばかりでなく、性質が清くて
情
(
じょう
)
に富んでるのを愛している。
廃める
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
翁の
頭脳
(
あたま
)
には一人の大きな戯曲家が住んで居る。其れ故、始めて翁と語る者は、彼は
幻視
(
まぼろし
)
と事実と混同して居るんじや無いかと思ふ。或は彼は誇大な
虚言
(
うそ
)
を吐く男だと思ふ。
大野人
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
私は
懐
(
ふところ
)
に手を差入れながら黙って来た、私の
頭脳
(
あたま
)
の内からは
癩病
(
らいびょう
)
病院と血痕の木が
中々
(
なかなか
)
離れない、二三の人にも出会ったものの、自分の下駄の音がその黒塀に淋しく反響して
白い蝶
(新字新仮名)
/
岡田三郎助
(著)
つまり、晩春四月の大和路の濃い色彩に、狂乱し易い私の
頭脳
(
あたま
)
が
弄
(
なぶ
)
られていたのであった。
菜の花物語
(新字新仮名)
/
児玉花外
(著)
それにあれだけの
頭脳
(
あたま
)
があるんだもの、なおさらだよ! だが、選ばれたのは誰なんだ? 何者なんだ? 選ばれたのはこの人非人だ、もう許婚の身でありながら、この町で
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
セエラは幸い利発なよい
頭脳
(
あたま
)
を持っていましたので、甘やかされてつけ上るような事はありませんでした。彼女は時々アアミンガアドにこんな事を打ちあけるようになりました。
小公女
(新字新仮名)
/
フランシス・ホジソン・エリザ・バーネット
(著)
それから、
頭脳
(
あたま
)
のいゝことも、高等学校時代から僕等の仲間では評判である。語学なぞもよく出来るが、それは結局菊池の分析的の
頭脳
(
あたま
)
のよさの一つの現われに過ぎないのだと思う。
合理的、同時に多量の人間味:――相互印象・菊池寛氏――
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
六つかそこらの純真な
頭脳
(
あたま
)
にそれが直感され、疑ひが長く尾を引いて残つた。母は極力、木戸番の男の性質の悪いことを語り、子供たちに与へるであらう悪影響を防がうとつとめた。
父の帰宅
(新字旧仮名)
/
小寺菊子
(著)
といううち勇助は遂に船まで泳ぎ附け
舷
(
こべり
)
へ手を掛けて船を
上
(
あが
)
ろうとしましたが、上ってまいれば
忽
(
たちま
)
ちに勇助のために
斬殺
(
きりころ
)
されますので、丈助が
錆
(
さび
)
た一刀を引抜き、勇助の
頭脳
(
あたま
)
へ
割附
(
わりつ
)
ける。
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
そして
尚
(
なお
)
老僧のいうのには、その場合その人自身の
頭脳
(
あたま
)
に、何か一つ残るものがあって、それは各人に
依
(
よ
)
って
異
(
ことな
)
るが、もしも
愛着心
(
あいじゃくしん
)
の強い人ならば、それが残ろうし、
恨悔
(
くや
)
しい念があったらば
テレパシー
(新字新仮名)
/
水野葉舟
(著)
身体
(
からだ
)
が衰弱したせいか、
頭脳
(
あたま
)
の具合が悪いからだろう。それにしてもこの画は厭だ。なまじい
親父
(
おやじ
)
に似ているだけがなお気掛りである。死んだものに心を残したって始まらないのは知れている。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
息苦しいほどで、この日中が
思遣
(
おもいや
)
られる。——海岸へ行くにしても、途中がどんなだろう。見合せた方がよかった、と
逡巡
(
しりごみ
)
をしたくらいですから、
頭脳
(
あたま
)
がどうかしていはしないかと、
危
(
あやぶ
)
みました。
甲乙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“頭脳”の意味
《名詞》
頭脳(ずのう)
脳。脳髄。頭。
思考力。判断力。
組織や団体などで中心となる人物。首領。
(出典:Wiktionary)
頭
常用漢字
小2
部首:⾴
16画
脳
常用漢字
小6
部首:⾁
11画
“頭脳”で始まる語句
頭脳明晰