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面
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づら
ふりがな文庫
“
面
(
づら
)” の例文
そこで、いくらかの抗弁はこころみたものの、相手は、役職も上だし、禁門の
王
(
おう
)
師範とあっては、役人
面
(
づら
)
の
権柄
(
けんぺい
)
も歯が立たなかった。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
要するに今のところはチェーホフという人が深刻ぶった
顰
(
しか
)
め
面
(
づら
)
からも、百姓的な粗野からも、歯ぐきを見せるような野卑な笑いからも
チェーホフ序説:――一つの反措定として――
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
ところが、お前の中にいる『古代
支那
(
シナ
)
の衣冠を着けたいかさま君子』や『ヴォルテエル
面
(
づら
)
をした狡そうな道化』と来たら、どうだ。
環礁:――ミクロネシヤ巡島記抄――
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
「ぶこが、どんなに軽蔑を感じているかと思ってさ——腹んなかに軽蔑をかくしているくせに、なにを優等生
面
(
づら
)
して! と思ったのさ」
道標
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
ウッカリ顎叩くと飛んでも無え
間違
(
まちげえ
)
になるぞ、後で、吠え
面
(
づら
)
かかねエ様にしろ、
大事
(
でえじ
)
に使やア一生ある生命だア、
勿体
(
もってえ
)
なくするな
監獄部屋
(新字新仮名)
/
羽志主水
(著)
▼ もっと見る
いや、われわれは土地の者ではござらぬ、これでも外来の客でござるが、その外来の客が、主人
面
(
づら
)
をしているようなていたらく。
大菩薩峠:27 鈴慕の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
次郎左衛門は芝居や講談で伝えられているような
醜
(
みにく
)
いあばた
面
(
づら
)
の持ち主ではなかった。三十一の男盛りで身の
丈
(
たけ
)
は五尺六、七寸もあろう。
籠釣瓶
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
爺さんはそこまで話して来ると、目を
屡瞬
(
しばたた
)
いて、泣
面
(
づら
)
をかきそうな顔を、じっと押
堪
(
こら
)
えているらしく、皺の多い筋肉が、微かに動いていた。
躯
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
吾輩は下足番の顔とエレベーターボーイのニキビ
面
(
づら
)
を見比べた。二人とも妙な顔をしている。吾輩も多分妙な顔であったろう。
山羊髯編輯長
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
いくら幕僚将校が指導者
面
(
づら
)
をしたところで、いざというときに兵隊を動かすことのできる隊付将校たちがいなかったら、何もできはしない。
いやな感じ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
光一はすぐ引きかえして
黙々塾
(
もくもくじゅく
)
へでかけた。
塾
(
じゅく
)
にはだれもいなかった。光一はひっかえそうとすると窓から
瘠
(
や
)
せたひげ
面
(
づら
)
がぬっと現われた。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
天然痘
(
てんねんとう
)
にかからないためには種痘をしなければならない、あばた
面
(
づら
)
になる代りとして、腕の一部分にメスを入れられるのだ。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
巡査
(
じゅんさ
)
が大またに出て行くと、親方はこしをほとんど地べたにつくほどに曲げて、からかい
面
(
づら
)
に
敬礼
(
けいれい
)
していた。そして
芝居
(
しばい
)
は
続
(
つづ
)
けて
演
(
えん
)
ぜられた。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
錢形平次はのつけからからかひ
面
(
づら
)
でした。どんなに芝居がゝりの思ひ入れをして見せても、八五郎では一向ちよぼに乘りさうもなかつたのです。
銭形平次捕物控:176 一番札
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
この自画像No.1は恐ろしくしわだらけのしかみ
面
(
づら
)
で上目に正面をにらみつけていて、いかにも性急なかんしゃく持ちの人間らしく見えるが
自画像
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
君の智恵などと言われると、たゞもう、くすぐつたいばかりで、社長の、どう見ても凡庸な五十
面
(
づら
)
を、冷然と眺めていた。
光は影を
(新字新仮名)
/
岸田国士
(著)
みっともないほどのアバタ
面
(
づら
)
で、アラビア人みたいに髪の毛が縮れて、
猫背
(
ねこぜ
)
で、がに
股
(
また
)
で、
肩章
(
けんしょう
)
のない軍服を着て、胸のボタンをはずしている。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
私には、あのブランディー
面
(
づら
)
の悪党のイズレール・ハンズが甲板の上に砲弾を一つどしんと抛り出したのが、見えたばかりではなく、聞えもした。
宝島:02 宝島
(新字新仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
流れ入る客はしばらくも
止
(
とゞ
)
まらず。夫妻連れの洋人、
赤套
(
レツドコート
)
の英国士官、
丸髷
(
まるまげ
)
束髪
(
そくはつ
)
御同伴の燕尾服、勲章
眩
(
まば
)
ゆき陸海軍武官、商人顔あり、議員
面
(
づら
)
あり。
燕尾服着初めの記
(新字旧仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
扉を
邪慳
(
じゃけん
)
に締めるなら締めろ。そんなことは平気だ。窓ガラスを透して、
頬髯
(
ほほひげ
)
を
生
(
は
)
やした貴様の支配人
面
(
づら
)
が、唇をもぐもぐさせているのを
一瞥
(
いちべつ
)
する。
ぶどう畑のぶどう作り
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
「そっちの
姉
(
あねえ
)
は話せそうだな。うんや、やっぱりお座敷ござなく
面
(
づら
)
だ。変な面だな。はははは、トおっしゃる方が、あんまり変でもねえ面でもねえ。」
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
なんでも文学を志したというのだが、いまだ志成らずして、私とH市で落合った頃には、もう三十
面
(
づら
)
をかかえて八つになる子供のいい父親になっていた。
寒の夜晴れ
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
髯の赤い、もう五十
面
(
づら
)
の首席訓導も笑つた。此前の会が此の学校に開かれた時、茶受に出した麦煎餅を客の手を出さぬうちに今井が一人で喰つて了つた。
道
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「今夜は大洗に一泊して、沖合の夜釣をやってみようではないか」と、提議すれば、未醒子羅漢
面
(
づら
)
の眉を揚げて
本州横断 癇癪徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
ついでに、あばた
面
(
づら
)
で音曲の巧く人情噺の達人だった初代小さんは、これは春風亭小さんだったのでございます。
初看板
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
「あの
面
(
つら
)
からして強盗
面
(
づら
)
でさあ!」とソバケーヴィッチが言った。「あいつに
出刃
(
でば
)
でも持たせて街道筋へおっ放してみなされ、すぐに人殺しをやるから。 ...
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
身体は大きくないが、骨組はがつちりしてゐて、
顎
(
あご
)
や
頬骨
(
ほおぼね
)
の張つてゐるあばた
面
(
づら
)
の老人が、老いさらばひ、夕闇に一人で飯を喰べて居る姿はさびしかつた。
上田秋成の晩年
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
角「あゝ云う事をいう、マアおかみさん
心配
(
しんぺえ
)
しねえが
宜
(
い
)
い、仕様のねえ
婆
(
ばゝあ
)
だ、四十
面
(
づら
)
をさげて飛んだ事をいやアがって、マア
貴方
(
あんた
)
心配
(
しんぺえ
)
しねえがようがんす」
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
それは三十がらみのあばた
面
(
づら
)
の女で、打ち身だらけになっており、上唇を少しはらしていた。女は落ち着いたまじめな口調で、さかんに非難するのだった。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
「いやに名優
面
(
づら
)
をして、人の舞台を
見下
(
みくだ
)
すやうな笑ひ方をしやがる。一度
思
(
おも
)
ふ
様
(
さま
)
油を取つてやらなくつちや。」
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
それにしても雑誌の内容よりも広告
面
(
づら
)
の方を編輯者が重んずるに至つては、どこに執筆者の面目があるのか。まさしく執筆者に対する最も重大な侮辱である。
文芸家の生活を論ず
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
惣治はこれまでとてもさんざん兄のためには
傷
(
いた
)
められてきているのだが、さすがに三十
面
(
づら
)
をしたみすぼらしい兄の姿を見ては、
卒気
(
そっけ
)
ない態度も取れなかった。
贋物
(新字新仮名)
/
葛西善蔵
(著)
(エピホードフに)玉突きをしてキューを折ったかと思えば、お客さま
面
(
づら
)
をして客間を歩きまわったりして。
桜の園
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
関川の滝之助は急に大
富限者
(
ぶげんしゃ
)
と成ったけれど、直ぐその金持
面
(
づら
)
をする時は、人から疑われるを知っていた。
怪異黒姫おろし
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
と、あばた
面
(
づら
)
の
乞食
(
こじき
)
が
銭
(
ぜに
)
を
算
(
かぞ
)
えながらいっていました。すると
一人
(
ひとり
)
の
脊
(
せ
)
の
高
(
たか
)
い、
青
(
あお
)
い
顔
(
かお
)
をした
乞食
(
こじき
)
が
石をのせた車
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
そして再び第二のヒステリ
面
(
づら
)
を見てゐなければならないやうなことになるのは、忍び切れないと思ふ。
泡鳴五部作:05 憑き物
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
が、出た煙が雨のために眞直ぐ空に上れずに、横ひろがりになびいて、野
面
(
づら
)
にすれ/″\に廣がつて行つた。家の前を通ると、だしぬけに、牛のなく幅廣い聲がした。
防雪林
(旧字旧仮名)
/
小林多喜二
(著)
例えば、出版当時は三文の値打のない本でも、時代の御蔭で珍本
面
(
づら
)
の出来るようになる代物もある。
愛書癖
(新字新仮名)
/
辰野隆
(著)
この歴然が多少気にかかると見えて、主人は往来をあるく度毎にあばた
面
(
づら
)
を勘定してあるくそうだ。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
或る店頭の大鍋で径一尺余に薄く円形をして伸ばされた
麺子
(
メンツ
)
の皮が、調理人の手で巧みに翻転して焼かれるのを覗き込むと、調理人の五十
面
(
づら
)
が得意の笑を満たしながら
満蒙遊記:附 満蒙の歌
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
戸田のほうは商業学校出の店員あがりに似あわぬ悪党
面
(
づら
)
で、いよいよとなったら街へ出てホールド・アップもやりかねないドキッとさせるような殺気を身につけていた。
三界万霊塔
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
三十
面
(
づら
)
の一寸法師は、小学生の様に、真剣に逃げ廻っていた。彼は、紫繻子にとっつかまって、酒樽の中へ首を押しつけられるのが、どんなにか恐しかったのであろう。
踊る一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
じゃ……とよくよく眼を据えてみると、信一が起き上って、寝呆け
面
(
づら
)
でこちらを見てるのだった。
神棚
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
お前も三十
面
(
づら
)
さげて、あさましい野郎じゃないかよ。秘書なんかにされて腹が立たないかッてんだ。どこの国に三人も秘書をつれてブラブラしている重役がいるかッてんだ。
現代忍術伝
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
するとその煙の中から、ガウン姿のポーデル博士がひげ
面
(
づら
)
をにこにこして二人の前に立った。
ふしぎ国探検
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
癪
(
しゃく
)
、癪でして、ええ、そもそもBB旅館なるものが、そりゃあ本斗一の
大店
(
おおみせ
)
でしょう。でしょうがね、何かあればこれ見よがしだ。見識
面
(
づら
)
をしくさる。役人共とは結托する。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
前觸れもなしに母親なぞを引張つて來た息子の世間見ずの我儘なぼんぼん
面
(
づら
)
も面憎かつた。
貝殻追放:013 先生の忠告
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
家
(
うち
)
にいて
女房
(
にょうぼ
)
のヒステリイ
面
(
づら
)
に浮世をはかなみ、あるいは新聞雑誌の訪問記者に襲われて折角掃除した
火鉢
(
ひばち
)
を
敷島
(
しきしま
)
の吸殻だらけにされるより、暇があったら歩くにしくはない。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
だから見たまえ、あの五十
面
(
づら
)
のばあさんが、まるで恥も外聞も忘れていたじゃあないか。
鸚鵡
(
おうむ
)
の持ち主はどんな女だか知らないがきっと、海山千年の女郎だろうと僕は鑑定する。
あの時分
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
観音様を彫ればそこらの芸妓
面
(
づら
)
をしていたり、恵比寿大黒が落語の百面相であったり、所詮われわれの
脳裡
(
のうり
)
にあるものを表現してはいないのである。技術はなるほど進歩している。
伝不習乎
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
“面”の意味
《名詞》
(め↗ん)表情を隠す、頭部を守るなどの目的で顔を覆うもの。
(め↘ん 語義1より)剣道、槍道、短剣道、なぎなたにおける技。面打ち。
(め↘ん)平面。物体の表面。厚さのない二次元の広がり。
(め↘ん)ページ。
(つ↗ら↘ 俗語)
(出典:Wiktionary)
面
常用漢字
小3
部首:⾯
9画
“面”を含む語句
表面
面貌
面紗
正面
地面
面白
外面
前面
上面
真正面
面色
横面
海面
面帕
水面
渋面
面相
川面
強面
側面
...