随分ずゐぶん)” の例文
旧字:隨分
併し、もう少し大筋おほすぢを離れたところになると、書いてゐるうちに色々なことを思ひつくので、随分ずゐぶんちがふことがある。
千代ちいちやんあれなん学校がくかう御朋友おともだち随分ずゐぶん乱暴らんばう連中れんぢうだなアとあきれて見送みおく良之助りやうのすけより低頭うつむくお千代ちよ赧然はなじろめり
闇桜 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
此等これらの事を考へなければ本当の智識ちしきとは言へんとふ事ださうでございます。随分ずゐぶん悟道さとりはうには
明治の地獄 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
「おかげさまでねえ。」とおいとは言葉を切つて、「あつちの姉さんも大変に喜んでたわ。私なんかよりもつと大きなくせに、それア随分ずゐぶん出来できないがゐるんですもの。」
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
奥様おくさまさつしやるところれるまでは、なんでもお前様めえさますることさからはねえやうにとふだで、随分ずゐぶん次第しだいにさつしやるがうがんす。だが、もの、鳥居とりゐ木柱きばしらうするだね。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
頭の所爲せい天氣てんき加減かげんか、何時もは随分ずゐぶんよくかたる二人も、今日けふは些ツともはなしはづまぬ。
虚弱 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
随分ずゐぶんわたし思違おもひちがひも多からうと思ひます、それ他日たじつたゞします
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
随分ずゐぶんしどいおとだこと
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
ムヽウわたし随分ずゐぶんをとこですな。近「ウン……。梅「わたしくらゐ器量きりやうつてゐながら、家内かない鎧橋よろひばし味噌漉みそこしげてつた下婢をんなより悪いとは、ちよいとふさぎますなア。 ...
心眼 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
学校は単にこれだけでも随分ずゐぶんいやところ、苦しいところ、つらところであつた。されば長吉ちやうきちはその母親がいかほど望んだところで今になつては高等学校へ這入はいらうとふ気はまつたくない。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
あいつもはじめはそれが、味噌気みそけだつたんだらう。僕が知つてからも、随分ずゐぶんいい気になつて、くすぐつたもんさ。所がいくら南瓜かぼちやだつて、さう始終洒落しやれてばかりゐる訳にやきやしない。
南瓜 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
にんではだい乗溢のりこぼれる。の、あのいきほひでこぼれたには、魔夫人まふじんあふぎもつあふがれたごとく、漂々蕩々へう/\とう/\として、虚空こくうたゞよはねばなるまい。それにおの/\随分ずゐぶんある。くいふわたしにもある。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
梅喜ばいきさん、本当ほんたうにおまへ男振をとこぶりげたよ。梅「へえわたし随分ずゐぶんをとこで、先刻さつきかゞみでよく見ましたが。 ...
心眼 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
「だが君も随分ずゐぶん長いあひだ、この店に勤めてゐるぢやないか。一体今は何をしてゐるんだ。」
塵労 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
「えゝ。いつでも十時過ぎますよ。電車はありますがね、随分ずゐぶん遠路とほみちですからね。」
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
しまひには泣出なきだすと、外聞ぐわいぶんもあり、少焦すこぢれで、医者いしや可恐おそろしかほをしてにらみつけると、あはれがつてきあげるむすめむねかほをかくしてすがさまに、年来ねんらい随分ずゐぶんひとにかけた医者いしやつて腕組うでくみをして
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
うもしからぬことをおつしやるねおまへさんは、わたし随分ずゐぶん諸家様しよけさまへお出入でいりをするが、ちりぽんでも無断むだんに持つて来た事はありませぬよ。甚「いゝえそれでもたしかに持つて来なすつた。 ...
八百屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
あれを発表したところ、随分ずゐぶんいろいろな批評をかいた手紙が舞ひ込んで来た。
風変りな作品に就いて (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
随分ずゐぶんちやをとこだな……草履下駄ざうりげたかたちんばにいてやつがあるか、いぬがくはへてつた、ほかに無いか、それではそれでけ、醋吸すすひの三せい孔子こうし老子らうし釈迦しやかだよ、天地てんち唐物緞子からものどんす
にゆう (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
ところかぜいた人が常磐津ときはづを語るやうなこゑでオー/\といひますから、なんだかとおもつてそばの人に聞きましたら、れは泣車なきぐるまといつて御車みくるまきしおとだ、とおつしやいましたが、随分ずゐぶん陰気いんきものでございます。
牛車 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)