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貴下
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あなた
ふりがな文庫
“
貴下
(
あなた
)” の例文
甚
(
はなは
)
だ
唐突
(
とうとつ
)
でありまするが、昨年夏も、お一人な、やはりかような事から、
貴下
(
あなた
)
がたのような
御仁
(
ごじん
)
の
御宿
(
おやど
)
をいたしたことがありまする。
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
……けれども
貴下
(
あなた
)
は、そんな事は
仰言
(
おっしゃ
)
らぬでしょう。……ああ……本当にして下さる。信じて下さる、……ありがとう。ありがとう。
死後の恋
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「丘田お照さんというのですか。……そのお照さんが、
貴下
(
あなた
)
にお届けした筈の懐中時計と十銭玉とを返して頂きに参ったのですが……」
深夜の市長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「そ、そんなことをおっしゃるものじゃありませんよ、奥さまや旦那さまが、
貴下
(
あなた
)
を我が子のように、可愛がってるじゃありませんか」
春心
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
「何故そんな怖い顔をして
被在
(
いらっしゃ
)
るの。
妾
(
あたし
)
、𤢖じゃなくってよ。妾の
罰
(
ばち
)
で、
貴下
(
あなた
)
は𤢖に酷い目に逢ったと云うじゃアありませんか。」
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
▼ もっと見る
『
其
(
その
)
眼
(
め
)
が
怪
(
あや
)
しい、
海
(
うみ
)
の
上
(
うへ
)
ではよく
眩惑
(
ごまか
)
されます、
貴下
(
あなた
)
は
屹度
(
きつと
)
流星
(
りうせい
)
の
飛
(
と
)
ぶのでも
見
(
み
)
たのでせう。』とビール
樽
(
だる
)
のやうな
腹
(
はら
)
を
突出
(
つきだ
)
して
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
主人は外套を着せ掛け
乍
(
なが
)
ら「
貴下
(
あなた
)
には
何
(
ど
)
んな事があつても苦情は申しません」と言つて居た。老優はルミイ嬢と自動車に乗つた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
「だつて、さうなれば
祖母
(
おばあ
)
さんは生きちやゐませんよ。
貴下
(
あなた
)
だつて祖母さんが子供のために身を粉にして働いてるのが分つてゐるでせう。」
孫だち
(旧字旧仮名)
/
正宗白鳥
(著)
と、いきなり変な質問、幾日で出来るといって
貴下
(
あなた
)
もこれは御存じのことでしょう。二年越し掛かったのです。と、いうと
幕末維新懐古談:60 聖上行幸当日のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
「そんな事は
貴下
(
あなた
)
が聞かんでもよろしい」検事が代って答えた。この時、松本が隣室から何か大部の書物を抱えて出て来た。
琥珀のパイプ
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
その日その日をようよう細い
烟
(
けむり
)
に暮らす小作人まで、それ相応に涙を
揮
(
ふる
)
うて財布の底払いをする訳ですから、
貴下
(
あなた
)
なぞはうんと御奮発を願いたい。
厄払い
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
私の方こそ、
貴下
(
あなた
)
の御援助を得たいです。が、まあ、とにかく捜査に先立って、大切な点をお知らせして置きましょう。
気狂い機関車
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
わたくしには不思議でならないのですよ、
貴下
(
あなた
)
……どうも、その……。御自分の居どころはちゃんと御存じのはずです。
鼻
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
これが(
頤
(
おとがひ
)
で信吾を指して)退屈をしまして、去年なんぞは
貴下
(
あなた
)
、まだ二十日も
休暇
(
やすみ
)
が残つてるのに無理無体に東京に帰つた様な訳で御座いましてね。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「
戯謔
(
じやうだん
)
仰つしやツちや、因まりますゼ、松島さん、
貴下
(
あなた
)
、
其様
(
そんな
)
馬鹿気たこと、何処から聞いておいでになりました」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
「
貴下
(
あなた
)
様が——へえ、そいつは、うっかり、踏込めませんぜ。宿で、泊めないなんてことが御座いますからの」
三人の相馬大作
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
「
貴下
(
あなた
)
何卒
(
どうか
)
父の言葉を気になさらないで……御存知の通りな気性で御座いますから!」とおろおろ声で言った。
富岡先生
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
人知らずカッと上気せしも、
単
(
ひとえ
)
に
身嗜
(
みだしなみ
)
計
(
ばかり
)
にはあらず、
勿体
(
もったい
)
なけれど
内内
(
ないない
)
は
可愛
(
かわゆ
)
がられても見たき願い、悟ってか吉兵衛様の
貴下
(
あなた
)
との問答、婚礼せよせぬとの争い
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「
貴下
(
あなた
)
は一体どなたです。
無垢
(
むく
)
な人間を捉えて、勝手に人を
傷
(
きずつ
)
ける様な権利でもお持ちなんですか」
偽刑事
(新字新仮名)
/
川田功
(著)
私は世界の探偵の仕事を研究するために
亜米利加
(
アメリカ
)
からきた者ですが、
貴下
(
あなた
)
のためにお祝の晩餐を
差上
(
さしあ
)
げたいと思いますから、今晩六時、日本ホテルまで御来車下さいますように。
骸骨島の大冒険
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
『踏絵』の
和歌
(
うた
)
から想像した、火のような情を、涙のように美しく冷たい
体
(
からだ
)
で包んでしまった、この
玲瓏
(
れいろう
)
たる
貴女
(
きじょ
)
を、
貴下
(
あなた
)
の筆で
活
(
いか
)
してくださいと古い美人伝では、いっている。
柳原燁子(白蓮)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
「そりゃ
貴下
(
あなた
)
さえ
其積
(
そのつも
)
りで
確乎
(
しっかり
)
していて下さるなら、私は何年でもお待ち申しますわ」
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
その眼は妙に輝いて、聲まで
逸
(
はず
)
んでゐる。
貴下
(
あなた
)
は東京の人だらう、と言ひながら頭の
頂上
(
てつぺん
)
から爪先まで見上げ見下してゐる。何氣なく左樣だと答へると、何日にあちらを立つたと訊く。
熊野奈智山
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
ですから貴下を
背負
(
おんぶ
)
してあの高い天の御殿などにはもう
迚
(
とて
)
もいかれませんけれども
此儘
(
このまま
)
にして置いては私の役目が果せませんから、一つ
貴下
(
あなた
)
が天に御昇りになれる法をお教へ致します。
子良の昇天
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
「でも、
貴下
(
あなた
)
が三年ばかし遅れて往らしたのに比べると、何でもありませんわ。」
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
貴下
(
あなた
)
は玉置の旧藩主ではあるが、間違っても宝に対する権利を主張してはならない、これは天慶の昔平将門が隠したもので、
貴下
(
あなた
)
は何んの権利も無いからである……随分手厳しいでしょう
古城の真昼
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
先輩の
対手
(
あひて
)
にならないのは仕方が無いが
後継者
(
あとつぎ
)
の若い者までが株屋や御用商人の真似をしたがるから困る。
其
(
その
)
証拠には
貴下
(
あなた
)
、斯ういふ学校出身者で細くとも自分で
事業
(
しごと
)
を初めた人がありますか。
青年実業家
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
(著)
妾
(
わたし
)
の身は
貴下
(
あなた
)
の手から葬式をして一本の
御回向
(
ごえこう
)
を御頼み
申
(
もうし
)
ます。
二面の箏
(新字新仮名)
/
鈴木鼓村
(著)
『だが
何
(
なん
)
の
為
(
ため
)
に
貴下
(
あなた
)
は
私
(
わたし
)
をこんなところに
入
(
い
)
れて
置
(
お
)
くのです?』
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
「私のほうの学校はみんないい方ばかりで、
万事
(
ばんじ
)
すべて
円
(
まる
)
くいっていますから、始めて来た方にも勤めいいです。
貴下
(
あなた
)
も一つ大いに奮発していただきたい。俸給もそのうちにはだんだんどうかなりますから……」
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
「
貴下
(
あなた
)
は、
何
(
ど
)
うしてそれを、知っているのですか?」
三稜鏡:(笠松博士の奇怪な外科手術)
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
「
貴下
(
あなた
)
、その時、どうお考へでしたか?」
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
(ですがね、
貴下
(
あなた
)
、無理にも
発程
(
たっ
)
てお帰り遊ばそうとするのは——それはお考えものなんですよ。……ああ、綾さんが見えました。)
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
是非来月で無ければ成らないと云う訳もありませんから、
約
(
つま
)
り
貴下
(
あなた
)
や市郎さんの
思召
(
おぼしめし
)
次第で……妾の方は
何方
(
どちら
)
でも
宜
(
よろ
)
しいのです。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「いや銀行でも弱ったんです。私が女の事を
貴下
(
あなた
)
にお話しているうちに、若い行員どもが、引っ切りなしにゲラゲラ笑うんで困りました」
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「あ、海野さん。海戦が始まりかかっています。相当大きな音がしますから、
貴下
(
あなた
)
も
船底
(
せんてい
)
へいかれた方がよいと思います」
沈没男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
理屈
(
りくつ
)
を
申
(
まう
)
すぢやありません、
私
(
わたくし
)
の
越權
(
えつけん
)
は
私
(
わたくし
)
が
責任
(
せきにん
)
を
負
(
お
)
ひます。
貴下
(
あなた
)
は
信
(
しん
)
じませんか、
今
(
いま
)
現
(
げん
)
に
難破船
(
なんぱせん
)
が
救助
(
きゆうじよ
)
を
求
(
もとめ
)
て
居
(
を
)
るのを。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
ムネ・シユリイは「
然
(
さ
)
う初めの
出
(
で
)
ばかりを
弥囂
(
やかま
)
しく言はないで、
姑
(
しばら
)
く待つて、次の句を皆言はせて下さい。
然
(
さ
)
うしたら何か
貴下
(
あなた
)
が発見なさるでせう」
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
私、眠くなって
了
(
しま
)
ったわ、だからアーメンと言ったら、
貴下
(
あなた
)
怒っちゃったじゃアありませんか。ねエ朝田
様
(
さん
)
。
恋を恋する人
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
「
御尤
(
ごもっと
)
もでござります。お叱りは承知致しております。人様にも、誰にもいえぬ、奇怪な事がござりますゆえ、未だ、一言も申しませぬが、
貴下
(
あなた
)
へ、せめて——」
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
珠運様も珠運様、余りにすげなき御言葉、
小児
(
こども
)
の
捉
(
とっ
)
た
小雀
(
こすずめ
)
を放して
遣
(
や
)
った位に辰を思わるゝか知らねどと泣きしが、
貴下
(
あなた
)
はそれより
黙言
(
だんまり
)
で亀屋を
御立
(
おたち
)
なされしに
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
こう時候がよくなりますと、こうして汽車の旅をするのも、大変楽ですな……時に、
貴下
(
あなた
)
はどちらまで?……ああ東京ですか。やはり大学も東京の方で……ああ左様ですか。
とむらい機関車
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
彼晩
(
あのばん
)
は
貴下
(
あなた
)
、香雪軒で桂さんだの、
曾禰
(
そね
)
さんだのツて大臣さん方の御座敷でしてネ、小米さんが
大盃
(
コツプ
)
でお酒をグイ飲みするんですよ、あんなことは今まで一度も無いのですから
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
早速持主に返そうと云うことになり、
共箱
(
ともばこ
)
の蓋によって
貴下
(
あなた
)
の名を手がかりに、人に聞きあわしてお届けにあがりましたと云って、名も告げないで、消えるように往ってしまったよ
千匹猿の鍔
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
貴下
(
あなた
)
が少年の身を以て、今日まで幾多の困難な探偵に成功されたことをお祝いします。
骸骨島の大冒険
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「もし、
貴下
(
あなた
)
、」と、コワリョーフは無理にも心を鞭打って、「あの、もし
貴下
(
あなた
)
……」
鼻
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
「もしもし
貴下
(
あなた
)
、おわすれものですよ、なんておそそうな——」
旧聞日本橋:09 木魚の配偶
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
『だが
何
(
なん
)
の
爲
(
ため
)
に
貴下
(
あなた
)
は
私
(
わたし
)
を
這麼
(
こんな
)
ところに
入
(
い
)
れて
置
(
お
)
くのです?』
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
『
貴下
(
あなた
)
は?』
秋の岐蘇路
(旧字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
今
貴下
(
あなた
)
にお
談
(
はな
)
し申すことも、お
検
(
しら
)
べになって将校方にいったことも、全くこれにちがいはないのでこのほかにいうことは知らないです。
海城発電
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“貴下”の意味
《代名詞》
同等・下位の相手に対する文語的な二人称の尊敬語。
(出典:Wiktionary)
貴
常用漢字
小6
部首:⾙
12画
下
常用漢字
小1
部首:⼀
3画
“貴下”で始まる語句
貴下方
貴下等
貴下様
貴下に忠信なる