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譏
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そし
ふりがな文庫
“
譏
(
そし
)” の例文
日本のそういった文学だけを
挙
(
あ
)
げて、中国や西洋の文芸を挙げないで論ずるのはやはり井の中の蛙の
譏
(
そし
)
りを免れないことになります。
俳句への道
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
寧ろ多少
陳套
(
ちんたう
)
の
譏
(
そし
)
りを招きかねぬ技巧であらう。しかし耳に与へる効果は如何にも旅人の心らしい、悠々とした美しさに溢れてゐる。
芭蕉雑記
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
逢いたがる子に逢ってやらずに死なせましたら、親の心残りが道の妨げになる気がするので、人間世界の
譏
(
そし
)
りも無視して出て来たのです
源氏物語:36 柏木
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
世の中には
癆瘵
(
ろうさい
)
の病気で
歿
(
な
)
くなる人が多いのです、狐の害ばかりで死ぬるものですか、これはきっと、私のことを
譏
(
そし
)
ったものがあるでしょ
蓮香
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
止むな、わが名のために
能力
(
ちから
)
ある業を行ない、にわかに我を
譏
(
そし
)
りうる者なし。我らに逆らわぬ者は我らに付く者なり。(九の三九、四〇)
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
▼ もっと見る
往々同君の発表の跡追いをなすものだとの
譏
(
そし
)
りをも甘受するものである事をここに告白して、同君に敬意を表するものである。
炭焼長者譚:系図の仮托と民族の改良
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
「僕は、これ以上卑怯者と
譏
(
そし
)
られないために、もう逃げ隠れはしません。Bが僕に復讐を決心したのなら、平気でそれを受けて見せます。」
花嫁の訂正:――夫婦哲学――
(新字新仮名)
/
渡辺温
(著)
かくありしと知りしならば友を外国に需め置きしものを、かくありしと知りしならば余の国を高めんがために強く外国を
譏
(
そし
)
らざりしものを
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
云はゆる夫婦は親しけれども而も瓦に等しく、親戚は疎くしても而も葦に
喩
(
たと
)
ふ、若し終に(伯父を)殺害を致さば、物の
譏
(
そし
)
り
遠近
(
をちこち
)
に在らんか
平将門
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
と
譏
(
そし
)
られた男子同性愛も、事
昂
(
こう
)
ずればいわゆるわけの若衆さえ、婦女同然の情緒を発揮して、別れを恨んで多数高価の鶏を放つに至ったのだ。
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
だから、誉められても標準に無交渉なので嬉しくもなければ、
譏
(
そし
)
られても見当違いだから、何の啓発される所もなかった。
余が翻訳の標準
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
しかしてゲーテ
崇拝
(
すうはい
)
の念の増すのは、さきの某文士の
言
(
げん
)
によれば、あるいは
自
(
みずか
)
ら
俗化
(
ぞっか
)
して理想の
光明
(
こうみょう
)
が
追々
(
おいおい
)
に
薄
(
うす
)
らぐの
譏
(
そし
)
りを受けるかも知れぬ。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
ですから、
骨肉
(
しんみ
)
の旦那様よりか、他人の奥様に
憎悪
(
にくしみ
)
が多く掛る。町々の女の目は
褒
(
ほめ
)
るにつけ、
譏
(
そし
)
るにつけ、奥様の身一つに向いていましたのです。
旧主人
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
旧思想との妥協者として
譏
(
そし
)
られる恐れがあったので、私は主として虚栄心のためあるいはパンのために書かれた一夜仕込の断片的な思想を受け容れた。
語られざる哲学
(新字新仮名)
/
三木清
(著)
若
(
も
)
し
叶
(
かな
)
ひたりとも
开
(
そ
)
は
邪道
(
じやだう
)
にて
正當
(
せいたう
)
の
人
(
ひと
)
の
目
(
め
)
よりはいかに
汚
(
けが
)
らはしく
淺
(
あさ
)
ましき
身
(
み
)
とおとされぬべき、
我
(
わ
)
れはさても、
殿
(
との
)
をば
浮世
(
うきよ
)
に
譏
(
そし
)
らせ
參
(
まゐ
)
らせん
事
(
こと
)
くち
惜
(
を
)
し
軒もる月
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
私を狂人だと思う人があったなら、その人は、ガリレオを
罵
(
ののし
)
ったピザの学徒のような
譏
(
そし
)
りを受けるでしょう。
橋
(新字新仮名)
/
池谷信三郎
(著)
あるいは近来東京などにて交際のいよいよ盛んにして、遂に
豪奢
(
ごうしゃ
)
分外の
譏
(
そし
)
りを得るまでに至りしも、幾分か外国人に対して体裁云々の意味を含むことならん。
日本男子論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
したがって山水によって画を愛するの
弊
(
へい
)
はあったろうが、名前によって画を論ずるの
譏
(
そし
)
りも
犯
(
おか
)
さずにすんだ。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それは自分の好きなものを
態
(
わざ
)
と
譏
(
そし
)
り、内心嫌ひなものを
故
(
ことさ
)
らに褒める遊び女らしい一つの技巧に過ぎなかつたであらうか。或は唯単に嘲弄であつたのであらうか。
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死
(新字旧仮名)
/
長与善郎
(著)
此方
(
こっち
)
までが、人の
譏
(
そし
)
りも世間の義理も、見得も
糸瓜
(
へちま
)
もかまわぬ気になって、ただ
茫然
(
ぼんやり
)
と夢でも見ているような、半分痲痺した呑気な
心持
(
こころもち
)
になって、一日顔も洗わず
あぢさゐ
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
されば變り果てし容姿に慣れて、笑ひ
譏
(
そし
)
る人も漸く少くなりし頃、
蝉聲
(
せみ
)
喧
(
かまびす
)
しき夏の暮にもなりけん。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
「白法師の
所業
(
しわざ
)
に相違ない。我々の部落、我々の信仰を日頃から
彼奴
(
きゃつ
)
は
譏
(
そし
)
っていた。我々の神聖な神を
穢
(
けが
)
し、我々の霊場を踏み
躙
(
にじ
)
った者は
彼奴
(
きゃつ
)
以外にある
筈
(
はず
)
がない!」
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
如何に彼が大奥の
援引
(
えんいん
)
によりてその位を固うしたるにせよ、如何に彼が
苟安
(
こうあん
)
を
偸取
(
とうしゅ
)
したるの
譏
(
そし
)
りは免るべからざるにせよ、如何に
因循
(
いんじゅん
)
姑息
(
こそく
)
の風を
馴致
(
じゅんち
)
し、また
馴致
(
じゅんち
)
せられ
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
妾が
烏滸
(
おこ
)
の
譏
(
そし
)
りを忘れて、
敢
(
あ
)
えて半生の経歴を
極
(
きわ
)
めて率直に少しく隠す所なく
叙
(
じょ
)
せんとするは、
強
(
あなが
)
ちに罪滅ぼしの
懺悔
(
ざんげ
)
に
代
(
か
)
えんとには
非
(
あら
)
ずして、新たに世と己れとに対して
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
召使いの
僕婢
(
おとこおんな
)
も
言
(
こと
)
に
訥
(
おそ
)
きはいつか退けられて、世辞よきが用いられるようになれば、幼き駒子も必ずしも姉を忌むにはあらざれど、姉を
譏
(
そし
)
るが継母の気に入るを覚えてより
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
サッサッと
糊刷毛
(
のりはけ
)
で掃き、レッテルを貼り、押し、叩き、次の
荷造場
(
にづくりば
)
へ送る中年おんなの活躍もさることだが、彼女らもまた同じ種の高麗鼠である
譏
(
そし
)
りは徹頭徹尾
免
(
まぬか
)
れない。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
負ひて川原へ
下
(
おろ
)
し
壳馬車
(
からばしや
)
にして辛うじて引上げしが道を作り居たる土地の者崖の上より見下して乘り入れたる
馬丁
(
べつたう
)
も強し
下
(
お
)
りぬ客人も大膽やと
賞
(
ほめ
)
るか
譏
(
そし
)
るか聲を發して額に手を
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
頭山満
(
とうやまみつる
)
もスケールは堂々たるものであるが、俗悪の部類であって、その
譏
(
そし
)
りは免れまい。
人と書相
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
その上かつて「
中書堂内坐将軍
(
ちゆうしよだうないしやうぐんをざせしむ
)
」と云ったことがある。綯が無学なのを
譏
(
そし
)
ったのである。
魚玄機
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
と反感は
昂
(
たか
)
まっていたが、不敬という
譏
(
そし
)
りは、加害者の内匠頭の方へ、当然傾いていた。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
私も今でこそ今日のハイカラ達を
譏
(
そし
)
りもし
警
(
いまし
)
めもするが、以前の私のハイカラは今日の人々よりも数倍のハイカラで、このハイカラ熱からいえば今の若い人々はまだまだ沈着しているのだ。
鳴雪自叙伝
(新字新仮名)
/
内藤鳴雪
(著)
その自分が彼について説くことは越権の
譏
(
そし
)
りを
免
(
まぬか
)
れぬではなかろうか。
日本精神史研究
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
知らぬ人われを
譏
(
そし
)
ると聞くたびに昔は憎み今は寂しむ
註釈与謝野寛全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
世間でこれからの御自身がお受けになる
譏
(
そし
)
りもつらく、過去のあるころにその人に好意を持っておいでになった御自身をさえ恨めしく
源氏物語:40 夕霧二
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
現に私も一両度、その頃奈良の
興福寺
(
こうふくじ
)
の寺内で見かけた事がございますが、いかさま鼻蔵とでも
譏
(
そし
)
られそうな、世にも見事な赤鼻の
天狗鼻
(
てんぐばな
)
でございました。
竜
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
居士油を売って渡世するを
譏
(
そし
)
ったのだ。そこで居士、只今思い合す事がある、諸国を行商した時、ある国に形は常の鶏のごとく、声は烏のようながあった。
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
と一
言
(
ごん
)
した。してみると、他人が彼の醜きを
譏
(
そし
)
るのを気にしていたと思われると
説
(
と
)
いた人の論を聞いた。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
他目
(
よそめ
)
にも
數
(
かず
)
あるまじき君父の恩義
惜氣
(
をしげ
)
もなく振り捨てて、人の
譏
(
そし
)
り、世の笑ひを思ひ給はで、弓矢とる御身に
瑜伽
(
ゆが
)
三密の
嗜
(
たしなみ
)
は、世の無常を如何に深く觀じ給ひけるぞ。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
誉めるなり
譏
(
そし
)
るなり喜ぶなり
怒
(
いか
)
るなり勝手次第にしろ、誉められて
左
(
さ
)
まで歓びもせず、譏られて左まで腹も立てず、いよ/\気が合わねば遠くに離れて附合わぬ
計
(
ばか
)
りだ。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
内典を知るも、
梁
(
りょう
)
の武帝の如く
淫溺
(
いんでき
)
せず、又
老子
(
ろうし
)
を愛し、
恬静
(
てんせい
)
を喜び、
自
(
みず
)
から
道徳経註
(
どうとくけいちゅう
)
二巻を
撰
(
せん
)
し、
解縉
(
かいしん
)
をして、
上疏
(
じょうそ
)
の中に、学の純ならざるを
譏
(
そし
)
らしむるに至りたるも
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
いかなる社会といえども空論世界の
譏
(
そし
)
りを免るるあたわざるはもちろんなれども、天下万邦
将来の日本:04 将来の日本
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
譏
(
そし
)
るは易く褒むるは難し。独り作詩の咏嘆に易く応酬に難きのみならんや。
偏奇館漫録
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
料理学上無知の
譏
(
そし
)
りを免れず、まことに噴飯に堪えないのが実情である。
味を知るもの鮮し
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
アンナスの前から下げられたイエスを、番卒どもは
嘲弄
(
ちょうろう
)
し、これを打ち、その目を
蔽
(
おお
)
うて、「預言せよ、汝を打ちし者は誰なるか」と言って
譏
(
そし
)
った。時刻は
鶏鳴
(
けいめい
)
の刻、すなわち午前三時ごろであった。
キリスト教入門
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
我は心より
畏
(
おそ
)
れ、妻は心より
淫
(
たは
)
る。我父母の為に泣き、妻はわが
父母
(
ちちはは
)
を
譏
(
そし
)
る。
行道
(
ぎやうだう
)
念々
(
ねんねん
)
、我高きにのぼらむと欲すれども妻は
蒼穹
(
さうきう
)
の遥かなるを知らず。我深く涙垂るれども妻は地上の悲しみを知らず。
雀の卵
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
お政治向きを
譏
(
そし
)
ったり、浮世の間違いをののしったり、善悪両道のトンチンカン、賢愚明暗の行き違い、そういうのをアテッコスッたり! 男女痴態の醜きを、やっつけたりしたのでござるからなあ。
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
◯サタンのこの申出は人間を
譏
(
そし
)
りまた神を譏りしものである。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
我を
褒
(
ほ
)
め、やがてまた
譏
(
そし
)
るらん。
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
夫人の心細い気持ちに共鳴したふうのものを返しにしては、認識不足を人から
譏
(
そし
)
られることであろうと思って、明石はそれに触れなかった。
源氏物語:41 御法
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
内々師匠に「
智羅永寿
(
ちらえいじゆ
)
」と云ふ諢名をつけて、増長慢を
譏
(
そし
)
つて居りましたが、それも無理はございません。
地獄変
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
譏
漢検1級
部首:⾔
19画
“譏”を含む語句
不譏嫌
譏刺
癸辛雑譏続集
誹譏
譏誚
冷譏
譏嫌
譏笑的
譏詞
譏諫
譏謔
譏謗
非譏