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ふりがな文庫
“
見逃
(
みのが
)” の例文
けれど
小太郎
(
こたろう
)
は、こんなときにでも、
圃
(
はたけ
)
の
中
(
なか
)
に
立
(
た
)
っている
梅
(
うめ
)
の
木
(
き
)
の
葉
(
は
)
の
間
(
あいだ
)
から、
青
(
あお
)
い、
青
(
あお
)
い
梅
(
うめ
)
がのぞいているのを
見逃
(
みのが
)
しませんでした。
けしの圃
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
わたしが何かの話の工合で、先方の父親に
兜町
(
かぶとちやう
)
の景気を一寸
噂
(
うはさ
)
した時、若者が露骨に
厭
(
いや
)
な顔を見せたことも、わたしは
見逃
(
みのが
)
さなかつた。
愚かな父
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
経済のみによってとは、あえて申しませぬが、パンによって、経済によって、現実の社会が動いていることもまた
見逃
(
みのが
)
しえない事実です。
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
首さえ出さなければ、
見逃
(
みのが
)
してくれる事もあろうかと、詰まらない事を頼みにして寝ていたところ、なかなか許しそうもない。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そのくせ夫はいつも私の無言の
挑
(
いど
)
みを
見逃
(
みのが
)
さず、私の示すほんの
僅
(
わず
)
かな意志表示にも敏感で、直ちにそれと察しるのである。
鍵
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
▼ もっと見る
これからそなたも
早速
(
さっそく
)
この
精神統一
(
せいしんとういつ
)
の
修行
(
しゅぎょう
)
にかからねばならぬが、もちろん
最初
(
さいしょ
)
から
完全
(
まったき
)
を
望
(
のぞ
)
むのは
無理
(
むり
)
で、
従
(
したが
)
って
或
(
あ
)
る
程度
(
ていど
)
の
過失
(
あやまち
)
は
見逃
(
みのが
)
しもするが
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
その頃、どうかすると美妙が、じりじりしているのを、錦子は
見逃
(
みのが
)
さなかった。小説は「
萩
(
はぎ
)
の花妻名誉の
一本
(
ひともと
)
」
田沢稲船
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
種々雑多の現象に
眩惑
(
げんわく
)
されて、
動
(
やや
)
ともするとこれを
見逃
(
みのが
)
そうとするが、山川草木の間に起る変化は他に煩わされることなく明らかにこれを見る事が出来る。
俳句への道
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
旦那さんも、そうだ。なんにもおっしゃらなかった。これはまた、ふだんから、なんにもおっしゃらない
方
(
かた
)
だからね。だけど、なに一つ
見逃
(
みのが
)
しはなさらない。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
それを
見逃
(
みのが
)
してくれ、自分の意見とKの言葉とは確かに一致しないのだが、それを黙って受入れるのだった。
審判
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
庸三も踊りはわかるようで
解
(
わか
)
らないのだったが、見るのは好きであったので、舞踊にも
造詣
(
ぞうけい
)
のふかい若い愛人清川を得てからの新作発表の公演も
見逃
(
みのが
)
さなかった。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
私はそういう話をしながら、A氏について異常な好奇心を持っているらしいこの夫人が、いつか私にも或る特別な感情を持ち出しているらしいことを
見逃
(
みのが
)
さなかった。
窓
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
これで
義家
(
よしいえ
)
もいかにも
貞任
(
さだとう
)
がかわいそうになって、その日はそのまま
見逃
(
みのが
)
してかえしてやりました。
八幡太郎
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
それは、私の姿と顏と着物のいつさいの點を注意して
見逃
(
みのが
)
さない一瞥であつた。と云ふのは、
稻妻
(
いなづま
)
のやうに素早く、鋭く、その一瞥は、それらいつさいの點を横切つたのだ。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
彼等
(
かれら
)
は
只
(
たゞ
)
朋輩
(
ほうばい
)
と
共
(
とも
)
に
立
(
た
)
つて
居
(
ゐ
)
ることより
外
(
ほか
)
に「まち」というても
別
(
べつ
)
に
目的
(
もくてき
)
もなければ
娯樂
(
ごらく
)
もないのである。
其
(
そ
)
れで
彼等
(
かれら
)
は
少
(
すこ
)
しでも
異
(
ことな
)
つた
出來事
(
できごと
)
を
見逃
(
みのが
)
すことを
敢
(
あへ
)
てしないのである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
三年の間にも歌合などは
頻
(
しき
)
りに行われるし、その中には
見逃
(
みのが
)
しえないよい歌もある。
中世の文学伝統
(新字新仮名)
/
風巻景次郎
(著)
明らかに貧しい
生活
(
くらし
)
なのにもかかわらず、まことに
融々
(
ゆうゆう
)
たる
裕
(
ゆた
)
かさが家中に
溢
(
あふ
)
れている。
和
(
なご
)
やかに充ち足りた親子三人の顔付の中に、時としてどこか知的なものが
閃
(
ひらめ
)
くのも、
見逃
(
みのが
)
し難い。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
彼はその後から、婦人のほっそりとした後姿を見失わない程度に離れて、後から後からと流れて来る漫歩者の肩の間を
游
(
およ
)
いだ。あの綺麗な立派な指を
見逃
(
みのが
)
してはならないと思いながら……。
指と指環
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
たつた十五になつたばかりの娘が、姉の
仇
(
あだ
)
を討つ氣にでもならなければ、そんなことができるわけはありません。お
見逃
(
みのが
)
しを願ひます、親分さん。彌八を殺した下手人は私一人で澤山で御座います
銭形平次捕物控:117 雪の夜
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
すると、
方々
(
ほうぼう
)
の
村々
(
むらむら
)
でも、
金
(
かね
)
もうけのことなら、なんだって
見逃
(
みのが
)
しはしないので、かぎりなく、なしの
木
(
き
)
を
植
(
う
)
えたのであります。
金が出ずに、なしの産まれた話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
その点で彼女が腹の中でいかに彼に対する責任を感じているかは、
怜俐
(
れいり
)
な津田の
見逃
(
みのが
)
すところでなかった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
もっとほかの危険も
見逃
(
みのが
)
しているし、そんな危険のなかに飛びこむこともありうることだし
審判
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
その
癖
(
くせ
)
、私は私の窓のすぐ下を通っているその坂道を、毎朝、一定の時刻に、絵具箱をぶらさげながら、その少女が水車の道の方へと
昇
(
のぼ
)
ってゆくのを
見逃
(
みのが
)
したことはなかった。
美しい村
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
これが喀血した年の古い写真です。右の胸に全く雲がかゝつてゐるでせう。これが問題です。それに、こゝに二つ、肉眼では
見逃
(
みのが
)
しやすいが空洞があります。これが一番悪かつた時ですな。
亜剌比亜人エルアフイ
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
何
(
なに
)
も
御道
(
おみち
)
の
為
(
た
)
めとあれば、
私
(
わたくし
)
の
存
(
ぞん
)
じて
居
(
い
)
る
限
(
かぎ
)
りは
逐一
(
ちくいち
)
申上
(
もうしあ
)
げて
了
(
しま
)
いましょう。
話
(
はなし
)
が
少
(
すこ
)
し
堅
(
かと
)
うございまして、
何
(
なに
)
やら
青表紙臭
(
あおびょうしくさ
)
くなるかも
存
(
ぞん
)
じませぬが、それは
何卒
(
なにとぞ
)
大目
(
おおめ
)
に
見逃
(
みのが
)
がして
戴
(
いただ
)
きます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
しかし、愛された父法主は
逝
(
ゆ
)
き、新門跡は印度にいてまだ帰らず、ここで、木のぼりをしても叱られないでお
猿
(
さる
)
さんと愛称された
愛娘
(
まなむすめ
)
に、目に見えない生活の一転期があったことを、
見逃
(
みのが
)
せない。
九条武子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
見逃
(
みのが
)
せなかつた——
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
おそらく、
子供
(
こども
)
を
救
(
すく
)
うために、
自分
(
じぶん
)
を
犠牲
(
ぎせい
)
にしようと
覚悟
(
かくご
)
したのでしょう。ふいに、
母
(
はは
)
ばとが、
巣
(
す
)
から
飛
(
と
)
び
出
(
だ
)
した。からすらが、なんで、それを
見逃
(
みのが
)
そう。
僕はこれからだ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
または中川の角に添って
連雀町
(
れんじゃくちょう
)
の方へ抜けようが、あるいは
門
(
かど
)
からすぐ
小路
(
こうじ
)
伝いに
駿河台下
(
するがだいした
)
へ向おうが、どっちへ行こうと
見逃
(
みのが
)
す
気遣
(
きづかい
)
はないと彼は心丈夫に
洋杖
(
ステッキ
)
を突いて
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そのあいだもKに対する恐れは
見逃
(
みのが
)
すことができなかったが、それにもかかわらず、あいた手で女をさすったり押えたりして、さらにKの気持を高ぶらせようとするのだった。
審判
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
其内
(
そのうち
)
小六
(
ころく
)
の
噂
(
うはさ
)
が
出
(
で
)
た。
主人
(
しゆじん
)
は
此
(
この
)
青年
(
せいねん
)
に
就
(
つ
)
いて、
肉身
(
にくしん
)
の
兄
(
あに
)
が
見逃
(
みのが
)
す
樣
(
やう
)
な
新
(
あた
)
らしい
觀察
(
くわんさつ
)
を、二三
有
(
も
)
つてゐた。
宗助
(
そうすけ
)
は
主人
(
しゆじん
)
の
評語
(
ひやうご
)
を、
當
(
あた
)
ると
當
(
あた
)
らないとに
論
(
ろん
)
なく、
面白
(
おもしろ
)
く
聞
(
き
)
いた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
もとより
酔興
(
すいきょう
)
でした事じゃない、やむを得ない事情から、やむを得ない罪を犯したんだが、社会は冷刻なものだ。内部の罪はいくらでも許すが、表面の罪はけっして
見逃
(
みのが
)
さない。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その小説について、
斯道
(
しどう
)
に関係ある我々の
見逃
(
みのが
)
し
能
(
あた
)
わざる特殊の現象が毎月刊行の雑誌の上に著るしく現れて来た。それは全体の小説が芸術的作品として、或る水平に達しつつあるという事実である。
文芸委員は何をするか
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
見
常用漢字
小1
部首:⾒
7画
逃
常用漢字
中学
部首:⾡
9画
“見”で始まる語句
見
見惚
見物
見出
見下
見上
見送
見透
見做
見当