葬式そうしき)” の例文
おやじの葬式そうしきの時に小日向こびなた養源寺ようげんじ座敷ざしきにかかってた懸物はこの顔によく似ている。坊主ぼうずに聞いてみたら韋駄天いだてんと云う怪物だそうだ。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
かれは、それをているうちに、いつか葬式そうしき自動車じどうしゃからちたはなひろってびんにさしたとき、はちがたずねてきたことをおもしました。
サーカスの少年 (新字新仮名) / 小川未明(著)
葬式そうしきの日には、アルレッキーノは舞台に出なくてもいいことになりました。この男は悲しみに打ちしずんだ男やもめなんですから。
葬式そうしきをすませてじぶんの部屋へやにかえってきたときには、はじめて生きているかいがあると思ったよ。ぼくはむちゅうになって研究けんきゅうにとりかかった
げい気合きあいもの、独楽は生き物。いくらまわし手が名人でも、そうお葬式そうしき饅頭まんじゅうからすがよってきたように、ガアガアさわがれていてはやりきれない。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もちろんあの埴輪はにわは、お葬式そうしきときつくつて墓場はかばてたもので、非常ひじようほねををつてつくつたものではありませんが、その粗末そまつ下手へたつくかたのうちにも
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
時ならぬ忠告は有害ならぬまでも、無益におわる場合多ければ、葬式そうしき祝詞しゅくじを呈し、めでたき折に泣きごとを述ぶるにひとしきことは常識にまかせてつつしみたい。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
一昨日母者ははじゃ葬式そうしきをして沈んだ顔の仁左衛門さんも来て居る。余は高井戸の通りで失敬して、径路こみちから帰った。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
天婦羅だけでは立ち行かぬから、近所に葬式そうしきがあるたびに、駕籠かごかき人足にやとわれた。氏神の夏祭には、水着を着てお宮の大提燈おおぢょうちんを担いで練ると、日当九十銭になった。
夫婦善哉 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
そして、みんなは、どうしたことだろうと、このれはてた農場のうじょうけつけてくるでしょう。そうすれば、おばあさんのなきがらを見つけて、お葬式そうしきをしてくれるでしょう。
役者であったじぶん、あの犬は何度ゼルビノのお葬式そうしきを送るまねをしたであろう。それはどんなにまじめくさった子どもでも、あの犬の悲しい様子を見てはわらわずにはいられなかった。
長女 おとうさんのお葬式そうしきんとききたのよ。あたしよくおぼえててよ、こっちの肩のとこに、つばきの花がふたつかさなってたわ。こうするとよく見えるのよ。花のにおいがかげるくらいのそばに。
病む子の祭 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
菊之丞きくのじょう駕籠かごを一ちょうばかりへだてて、あたかも葬式そうしきでもおくるように悵然ちょうぜんくびれたまま、一足毎あしごとおもあゆみをつづけていたのは、市村座いちむらざ座元ざもと羽左衛門うざえもんをはじめ、坂東ばんどうひころう尾上おのえきくろうあらし三五ろう
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
葬式そうしきがすんでのち、おとうさんががついて、ひいさんのあたまの上に、うっとうしそうにのっているはちろうとしますと、どうしたのでしょう、はちあたまかたいついたようになってれませんでした。
鉢かつぎ (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
これよりグロモフのいえには、不幸ふこう引続ひきつづいててセルゲイの葬式そうしきんだ一週間しゅうかんちちのグロモフは詐欺さぎと、浪費ろうひとのかどもっ裁判さいばんわたされ、もなく監獄かんごく病院びょういんでチブスにかかって死亡しぼうしてしまった。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
父の葬式そうしきを出してしまうと、すぐに敵討のお許しを乞うた。
剣侠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
良吉りょうきちかなしさのあまりきあかしました。文雄ふみおむらのおてら墓地ぼちほうむられました。良吉りょうきち文雄ふみおのお葬式そうしきのときにもいてついてゆきました。
星の世界から (新字新仮名) / 小川未明(著)
それから、みんなは、かわいそうなお花のお葬式そうしきをしてやってもいいというおゆるしをいただきました。
急報に接して飛んで往った次郎さんの阿爺おとっさんも、に合わなかったそうである。夜にかけて釣台つりだいにのせて連れて来て、組合中くみあいじゅう都合つごう今日きょう葬式そうしきをすると云うのである。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
いったい日本語には敬語がおびただしいから、人の葬式そうしきくやみに行っても、心の中の半分だも思わぬことまで述べる。少し正直しょうじきな人はまどわされる。古人のなげける一首にわく
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
おやじの葬式そうしきは風のつめたい、さむい寒い日だったよ。ぼくはおやじがさびしいおか中腹ちゅうふくにほうむられるのをみても、考えるのはただ研究けんきゅうのことばかりで、さびしいともかなしいとも思わなかったんだ。
アッケンはわたしをお葬式そうしきれて行くやくそくをした。
んでもかたちだけの葬式そうしきひとつしてもらえなかった……これでは、いぬやねことおなじであって、冥土めいどもんもくぐれないではないか?
町の真理 (新字新仮名) / 小川未明(著)
カレンは、おっかさんのお葬式そうしきの日に、そのくつをもらって、はじめてそれをはいてみました。
アイヌの信仰しんこう葬式そうしきの事、二三風習ふうしゅうの質問などして、最後に、日本人シャモに不満な点はと問うたら、ヤイコクは重い口から「日本人シャモのゴロツクがイヤだ」とき出す様に云った。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
人々ひとびとあつまって、牛女うしおんな葬式そうしきして、墓地ぼちにうずめてやりました。そして、あとのこった子供こどもを、みんながめんどうをそだててやることになりました。
牛女 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ブドウのつるがかたむいた窓の上に、葬式そうしきの花輪のようにまつわりさがっています。
むらひとたちは、おばあさんに世話せわになったものがおおかったから、そのひとたちの葬式そうしきはすまされたのです。
おばあさんと黒ねこ (新字新仮名) / 小川未明(著)
しかも、お葬式そうしきに出かけるときのような、まっ黒な着物を着ているのです。
「ねえ、おじいさん、お葬式そうしき自動車じどうしゃからちたはなひろっても、わるいことはないね?」と、いました。
サーカスの少年 (新字新仮名) / 小川未明(著)
いよいよ、お葬式そうしきの日がきました。それまでというもの、おかあさんは、一晩も眠ったことがありませんでした。その日の明けがた、おかあさんは、くたびれすぎて、つい、うとうとしました。
「さあ、葬式そうしきもすんだが、おばあさんは、おかねをどうしたろう?」と、いったものがありました。
おばあさんと黒ねこ (新字新仮名) / 小川未明(著)
つぎの週に、お葬式そうしきをしました。ヨハンネスは、おかんのすぐうしろについていきました。あんなに自分をかわいがってくれた、大好きなおとうさんの顔を見るのも、いよいよ、きょうかぎりです。
まん葬式そうしきは、わずかにかれむら人々ひとびとだけで、さびしくおこなわれました。
万の死 (新字新仮名) / 小川未明(著)