英雄えいゆう)” の例文
写真班しやしんはん英雄えいゆうは、すなはちこの三岐みつまたで一自動車じどうしや飛下とびおりて、林間りんかんてふ逍遥せうえうする博士はかせむかふるために、せて後戻あともどりをしたところである。——
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
このらせが、ひとたびむらつたわると、むら人々ひとびとは、いまさら、英雄えいゆう少年時代しょうねんじだい見直みなおさなければならなかったのです。
からす (新字新仮名) / 小川未明(著)
深く感ぜられなんぢ惡人ながらも英雄えいゆうなり能こそ自身じしんに名乘出しと申されて其日は入牢じゆらうと相成けり其後そののち仁左衞門小猿の兩人を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
また、セント・ヘレナの島に幽閉ゆうへいされた英雄えいゆうが、荒寥こうりょうたる岩頭に立って、胸に雄志をいだきながら大海原おおうなばらをながめやっている姿を見たこともあるのです。
ひととなれ』とは先生せんせい訓言くんげんでした。ひと碌々ろく/\としてぬべきでない、ちからかぎりつくして、英雄えいゆう豪傑がうけつとなるを本懷ほんくわいとせよとは其倫理そのりんりでした。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
しかし、今から考えてみると、それは、愛にうえている自分のみじめさに腹がたち、子供らしい英雄えいゆう心理で自分をごまかしていたにすぎなかったのだ。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
かわいそうに、年端としはもいかぬ少年の心を、腹いっぱいのぜんざいでとらえ、航空兵をこころざした貧しい家の少年もいた。しかもそれで少年はもう英雄えいゆうなのだ。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
それは天性英雄えいゆう豪傑ごうけつならぬものが、英雄豪傑を気取り、傍若無人ぼうじゃくぶじんてらい、なに彼奴きゃつらがという態度をすることは、あるいはこの方法で成功するものもあるか知らぬが
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
名前をミュラーと言った。みんながその人を英雄えいゆうんで、この村をもその名前で呼ぶことになった。わたしはその男を知っていた。たびたびいっしょに話をしたこともあった
アールクラブの郡内ぐんない野球選手権大会せんしゅけんたいかい出場は確定かくていし、星野仁一ほしのじんいちは、この試合しあい英雄えいゆうとなった。
星野くんの二塁打 (新字新仮名) / 吉田甲子太郎(著)
つくり出したのならまるで英雄えいゆうのように勇気のあるえらい仕事をした方だとおもうわ
金魚撩乱 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
「ペテロのおかげで、わが国は勝ったんだ。ペテロは、わが国の英雄えいゆうだ。」
丘の銅像 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
英雄えいゆうはそのひかりをも永久とはにして放たむものぞ疑ふなゆめ
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
ひと人以上ひといじやうものになることは出來できない、しかひとひと能力のうりよく全部ぜんぶつくすべき義務ぎむもつる。此義務このぎむつくせばすなは英雄えいゆうである、これが先生せんせい英雄經えいゆうきやうです。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
太古たいこの神がみのこらずが、その大きな広間をとおっていきましたか。古代こだい英雄えいゆうが、そこでたたかっていましたか。
「さすがに、英雄えいゆうはちがっていた。なんといわれても、仲間なかまとは、けんかをしなかったからな。」と、その当時とうじかれのあだをいったともだちまでが、かたいました。
からす (新字新仮名) / 小川未明(著)
ほ、しや写真班しやしんはん英雄えいゆう、三うらさんが、自籠巌じこもりいはのぼり、御占場おうらなひば鉄階子てつはしご飛下とびおり、いたところ手練しゆれんのシヤターをしぼつたのも、保勝会ほしようくわい皆様みなさまはじめ、……十和田わだかみ……
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
今日きょうはもう出勤しゅっきんした片岡先生はきゅうに英雄えいゆうにでもなったように、引っぱりだこだった。どうだった? の質問しつもんに答えて、一日でげっそりほおのおちた彼は、青いひげあとをなでながら
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
先生せんせい生活せいくわつけつして英雄えいゆう豪傑がうけつふうではありません、けれども先生せんせいまこと生活せいくわつをしてゐるのです、先生せんせいけつして村學究そんがくきうらしい窮屈きゆうくつ生活せいくわつ、ケチ/\した生活せいくわつはしてません
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
こゝは英雄えいゆう心事しんじはかるべからずであるが、ぶちまけられるはうでは、なん斟酌しんしやくもあるのでないから、さかしま湯瀧ゆだき三千丈さんぜんぢやうで、流場ながしば一面いちめん土砂降どしやぶりいたから、ばちや/\とはねぶ。
銭湯 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
おじいさんは、わか時代じだいから、この英雄えいゆう物語ものがたりいて、ふか崇拝すうはいしていました。そして、上野うえの公園こうえんへいったら、かならず、この銅像どうぞうてこなければならぬということもっていました。
銅像と老人 (新字新仮名) / 小川未明(著)
英雄えいゆうは、面倒めんだうくさい座席ざせきになどかたづくのでない。自動車じどうしや免許取めんきよとりだから、運転手台うんてんしゆだいへ、ポイとあがると、「いそげ。」——背中せなかを一つ引撲ひつぱたいきほひだから、いや、運転手うんてんしゆばしたこと
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
片手かたてで、ほつよく、しかと婦人ふじんつたまゝ、そのうへこし椅子いす摺寄すりよせて、正面しやうめんをしやんとつて、いは此時このとき神色しんしよく自若じじやくたりき、としてあるのは、英雄えいゆう事變じへんしよして、しかるよりも
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)