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しっか
ふりがな文庫
“
確
(
しっか
)” の例文
工場委員会などを
確
(
しっか
)
りと統制し、過渡的なソヴェト社会の具体的困難を突切って、社会主義的な生産を高めて行かなければならない。
「インガ」:ソヴェト文学に現れた婦人の生活
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
その最後の病床で、堺屋の妻は、木下の小さい体を
確
(
しっか
)
り抱き締めて、「この子供はどうしてもあたしの子」とぜいぜいいって叫んだ。
河明り
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
この二句浮華軽佻ならぬ性格を
確
(
しっか
)
りと出している。せん女氏は大正女流中の年長者、墨絵の如く葛布の如き手ざわりの句風である。
大正女流俳句の近代的特色
(新字新仮名)
/
杉田久女
(著)
「簡単に申しますと!」と松川理学士も、相手が子供に似合わぬ
確
(
しっか
)
りした
容子
(
ようす
)
なのに幾分力を得たらしく、膝を乗り出していった。
幽霊屋敷の殺人
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
總「何うした/\、きまりだ、吐血だ、だから酒を飲んじゃア
宜
(
い
)
かねえと云うのだ、何う云うものだこれ喜助
確
(
しっか
)
りしろ、喜助/\」
政談月の鏡
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
▼ もっと見る
あの女隠居はなかなか
確
(
しっか
)
り者らしいが、その確り者が命がけで耳をすましていて聞えない物音を、曲者だけが聞いて逃出すはずはない。
銭形平次捕物控:077 八五郎の恋
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
この時、多四郎は右の手をまた
懐中
(
ふところ
)
へ差し込んだが何か
確
(
しっか
)
りと握ったらしい。と、じっと眼を据えて権九郎の背中を睨んだものである。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
しかし撃剣よりは興味があるので、父にせがんで弓矢を買ってくれといったが、父は、弓など射るより
確
(
しっか
)
り撃剣をせよと叱った。
鳴雪自叙伝
(新字新仮名)
/
内藤鳴雪
(著)
ドクドクドク……と彼女の早い皷動、その間を縫って、ゴクン、ゴクンと
確
(
しっか
)
りした非常に遅い皷動が、どこからか伝わって来る。
黄金仮面
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
裏漉
(
うらご
)
しにして徳利のような物へ入れて一時間ばかり
湯煎
(
ゆせん
)
にしてそれから
壜
(
びん
)
へ詰めて口の栓を
確
(
しっか
)
りしておけば
何時
(
いつ
)
までも持ちます。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
「浮いた稼業と言ったって何も銘酒屋女になる訳ではなしさ、そりゃ色んな男も来ようけれど、あたしの心さえ
確
(
しっか
)
りして居れば大丈夫だわ。」
女給
(新字新仮名)
/
細井和喜蔵
(著)
私はその場合、その場で腰を抜かしてしまったのでは逃げられないから、腰の
蝶番
(
ちょうつがい
)
だけを
確
(
しっか
)
りさせて置いて、逃げた逃げた。
老狸伝
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
「それに鶴さんは、着物や
半衿
(
はんえり
)
や、香水なんか、ちょいちょい
北海道
(
あちら
)
へ送るんだそうだよ。島ちゃん
確
(
しっか
)
りしないと駄目だよ」
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
成程と思って、其処をそういう風に考えながら拵えたら、丸でこれまでのと違って
確
(
しっか
)
りして動きのない
拠
(
よ
)
り所が出来た。
回想録
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
欝金
(
うこん
)
の
風呂敷
(
ふろしき
)
に
包
(
つつ
)
んで、
膝
(
ひざ
)
の
上
(
うえ
)
に
確
(
しっか
)
と
抱
(
かか
)
えたのは、
亭主
(
ていしゅ
)
の
松江
(
しょうこう
)
が
今度
(
こんど
)
森田屋
(
もりたや
)
のおせんの
狂言
(
きょうげん
)
を
上演
(
じょうえん
)
するについて、
春信
(
はるのぶ
)
の
家
(
いえ
)
へ
日参
(
にっさん
)
して
借
(
か
)
りて
来
(
き
)
た
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
ひとりしていかにせましと侘びつれば、……の、静かな吹きはじまりのひと時は、生絹の心を
確
(
しっか
)
りととらえて行った。
荻吹く歌
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
もつと/\
確
(
しっか
)
りした智識が欲しい。中島氏訳の「サアニン」をよんだ。すつかり引きつけられたやうな気持がする。
編輯室より:(一九一四年三月号)
(新字旧仮名)
/
伊藤野枝
(著)
すなわちその能の最後の責任は常に監督の双肩に在るので、監督が
確
(
しっか
)
りしていないと主演者は安心して舞えない。
能とは何か
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
時計は
赭黒
(
あかぐろ
)
い宗近君の
掌
(
てのひら
)
に
確
(
しっか
)
と落ちた。宗近君は一歩を煖炉に近く大股に開いた。やっと云う掛声と共に
赭黒
(
あかぐろ
)
い拳が
空
(
くう
)
に
躍
(
おど
)
る。時計は大理石の
角
(
かど
)
で砕けた。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
自分の気持が、
確
(
しっか
)
りした対象に向つてこぢれてゆくことが、せめて彼女自身の心だけにでも信じられたならば、恐らく光代は満足だつたにちがひないのである。
水と砂
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
のみならず歴史の上に立つということは、丁度
確
(
しっか
)
りした大きな
礎
(
いしずえ
)
の上に家を建てることと同じでありまして、これほど安全なまた至当なことはないでありましょう。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
すると、私の声と同時に、給仕でも飛んで出て来るように、二人の男が飛んで出て来て私の両手を
確
(
しっか
)
りと
掴
(
つか
)
んだ。「相手は三人だな」と、何と云うことなしに私は考えた。
淫売婦
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
「
顕
(
うつ
)
しけめやも」、
現
(
うつつ
)
ごころに、正気で、
確
(
しっか
)
りして居ることが出来ようか、それは出来ずに、心が乱れ、
茫然
(
ぼうぜん
)
として
正気
(
しょうき
)
を失うようになるだろうという意味に落着くのである。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
媛神 まだ
形代
(
かたしろ
)
を
確
(
しっか
)
り持っておいでだね。手がしびれよう。
姥
(
うば
)
、預ってお上げ。(巫女受取って手箱に差置く)——お沢さん、あなたの頼みは分りました。一念は届けて上げます。
多神教
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
確
(
しっか
)
りつかまってろ。(切れた捕縄を投げて)さあ、そいつに
捉
(
つかま
)
れ——あがって来い。
中山七里 二幕五場
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
おまえの髪と
確
(
しっか
)
り結び
合
(
あわ
)
せ
喼喼
(
きゅうきゅう
)
如律令
(
にょりつりょう
)
と
唱
(
とな
)
えて谷川に流し
捨
(
すて
)
るがよいとの事、憎や
老嫗
(
としより
)
の癖に我を
嬲
(
なぶ
)
らるゝとは
知
(
しり
)
ながら、
貴君
(
あなた
)
の
御足
(
おんあし
)
を
止度
(
とめた
)
さ故に
良事
(
よいこと
)
教
(
おし
)
られしよう
覚
(
おぼえ
)
て
馬鹿気
(
ばかげ
)
たる
呪
(
まじない
)
も
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
このわたしの唇は
何日
(
いつ
)
も
確
(
しっか
)
り結んでいて高慢らしく黙っていたのだが、今こそは
貴女
(
あなた
)
の前に
膝
(
ひざ
)
を突いて、この顫う唇を開けてわたくしの真心が言って見たい。ああ、
何卒
(
どうぞ
)
母上を呼んでくれい。
痴人と死と
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
この
確
(
しっか
)
りした男は役者である。それを作者と誤って訳した。すぐその跡で、道化方が作者にブラアヴであれと云っているので、誤ったのである。イギリス訳には役者と云う語が入れてあるのがある。
不苦心談
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
するとお前は藻西を見たのだね、其顔を
確
(
しっか
)
り
認
(
みとめ
)
たのだね女
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
どうといふ
確
(
しっか
)
りした理由があつたとは思はれない。
姦淫に寄す
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
私が自分に求めているだけの
闊達
(
かったつ
)
さ、
強靭
(
きょうじん
)
さ、雄大さはまだわがものとしていません、まだその手前での
上手
(
うま
)
さであり、
確
(
しっか
)
りさである。
獄中への手紙:04 一九三七年(昭和十二年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
驚きのうちにも、職業的冷静さを取り戻した酒井博士は、これも案外
確
(
しっか
)
りして居る濤子夫人を励まし乍ら、最善を尽して看護して居ります。
悪魔の顔
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「これこれ紋兵衛殿どうしたものだ。拙者は鏡葉之助でござる。山吹などとは何事でござる。心を
確
(
しっか
)
りお持ちなさるがよい」
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
気の利いた所が
菊五郎
(
きくごろう
)
で、
確
(
しっか
)
りした処が
團十郎
(
だんじゅうろう
)
で、その上
芝翫
(
しかん
)
の物覚えのよいときているから実に
申分
(
もうしぶん
)
はございません。
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
絵は今遺っているものなど見ても子供とは思えぬような、なかなか
確
(
しっか
)
りしたものを描いていて、その頃の展覧会などに出して賞を貰ったりしている。
回想録
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
液は二度ばかり
漉
(
こ
)
してモー一度火へかけて二十分間も煮て壜へ詰めて栓を
確
(
しっか
)
りしておくと一年でも二年でも持ちます。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
「祐吉、おまえもっと
確
(
しっか
)
りせんと駄目だぞ、そんなにのらくらしていると
儂
(
わし
)
が死んでも遺産を分けてやらんから」
天狗岩の殺人魔
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
わたくしを追い出したってカテーテルの待ち伏せをどうすることも出来ないでしょうにと、この
確
(
しっか
)
り者は言った。
われはうたえども やぶれかぶれ
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
そうした理屈のわからない残忍極まる大佐の態度を見ると、私はイヨイヨ
確
(
しっか
)
りと候補生を抱え上げてやった。
戦場
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
小柄でいながら
確
(
しっか
)
りした肉付の背中を持っていて、
稍々
(
やや
)
左肩を
聳
(
そび
)
やかし、
細
(
ほっ
)
そりした
頸
(
くび
)
から顔をうつ向き加減に前へ少し乗り出させながら、とっとと歩いて行く。
母子叙情
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「大丈夫だから、御取んなさい」と
確
(
しっか
)
りした低い調子で云った。三千代は
顎
(
あご
)
を襟の中へ
埋
(
うず
)
める様に後へ引いて、無言のまま右の手を前へ出した。紙幣はその上に落ちた。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
朱の盤 姥殿、
確
(
しっか
)
り。(姫を
庇
(
かぼ
)
うて大手を開く。)
天守物語
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
(一番
確
(
しっか
)
りしていそうな根吉を指ざす)
一本刀土俵入 二幕五場
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
「これから、お糸と金五郎を添わせるのが一と仕事だ、が、お互同士の気さえ
確
(
しっか
)
りしていれば、何とかならない事はあるまい」
銭形平次捕物控:060 蝉丸の香炉
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「そりゃ恋人には危っかしくたって面白い人がいいけど、良人には、一寸退屈だって永持ちのする
確
(
しっか
)
りした人でなくっちゃ」
アンネット
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
「幹様!」というと荻野八重梅、両手を延ばすと
確
(
しっか
)
りと、幹之介の両足を抱きしめた。「あなたを
騙
(
だま
)
した荻野八重梅! 悪い女でございます」
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
新「我慢してお出でよ、私が
負
(
おぶ
)
い
度
(
た
)
いが、包を
脊負
(
しょ
)
ってるから
負
(
おぶ
)
う事が出来ないが、私の肩へ
確
(
しっか
)
り
攫
(
つか
)
まってお出でな」
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
虎之助は老人を見た、老人はゆっくりした動作で、然もひと鍬ひと鍬を娯しむもののように土を掘り起こしている、その姿はいかにも
確
(
しっか
)
りと大地に据って見えた。
内蔵允留守
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
茎が固くって
確
(
しっか
)
りしていれば新しくって虫もいないのです。茎が
柔
(
やわらか
)
で押すと
凹
(
へこ
)
むようなのは古いのです。新しくっても
質
(
たち
)
の悪いのは
生
(
は
)
えている時から虫がいます。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
花桐は紙きれをたたんで、ひとすじの帯を窓からさげると、その端を
確
(
しっか
)
りと倉の柱に結び付けた。それは彼女の手ではとうてい男一人を支えきれないためであった。
花桐
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
“確”の意味
《形容動詞》
(カク) 確かであるさま。はっきりしているさま。
《形容動詞》
(しかと、しっかと) 確かであるさま。はっきりしているさま。
(しっか-り) 確かであるさま。
(出典:Wiktionary)
確
常用漢字
小5
部首:⽯
15画
“確”を含む語句
確乎
確然
的確
確固
明確
正確
確的
確證
確証
不確
確実
確執
確信
確率
適確
精確
不正確
確定
確實
確認
...