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徒歩
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かち
ふりがな文庫
“
徒歩
(
かち
)” の例文
里見
義胤
(
よしたね
)
の一号令に、旗本隊はざッと一せいに騎を降りて、そして同じく、
徒歩
(
かち
)
となって一人彼方へ行く義貞の背を見まもっていた。
私本太平記:11 筑紫帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
お将軍さまがお
鷹野
(
たかの
)
や、ゆうべのように外出あそばさるときに、お
徒歩
(
かち
)
でお守り申し上げる役目と相場が決まってるんでがしょう。
右門捕物帖:19 袈裟切り太夫
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
御用提燈を振り照らし、騎馬と
徒歩
(
かち
)
で数十人、ムラムラと行く手へ現われた。七ツ寺附近の騒動を、取り鎮めに向かう人数らしい。
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「自動車のお蔭で大変時間が余ったね。今度は
徒歩
(
かち
)
で
具
(
つぶ
)
さに下情を視察するんだから、少し涼しくなるまで寛ろごうじゃないか?」
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
元來余が郷土といふのは江戸へ荷物を運ぶにも鬼怒川から船で下せば二日でとゞく。
徒歩
(
かち
)
で行つても日のあるうちに千住へつく。
菠薐草
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
▼ もっと見る
かれらの
徒歩
(
かち
)
わたりをし、
蹼
(
みずかき
)
でもありそうな、沼地をよちよち走りまわる足のかかとにマーキュリーの
翼
(
つばさ
)
でもはえないかぎりは。
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
先に立つ二人の
徒歩
(
かち
)
のすぐ後に、拳へ、鷹を止めた二人の鷹匠が、裏金の笠に、小紋の鷹野支度をして、馬上で、つづいていた。
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
やがて
涯
(
はて
)
しもなく広い砂原へ来ますと、
轍
(
わだち
)
が砂の中へ沈んで一歩も進まなくなりましたから、今度は馬車を乗り棄てて
徒歩
(
かち
)
で行きました。
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
供の男たちは
徒歩
(
かち
)
で陸を帰り、主人側三人と女中三人は船で帰ることになって、船頭の千太が船を漕いで、
小名木
(
おなぎ
)
川をのぼって行きました。
半七捕物帳:53 新カチカチ山
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
今日はどうかパーリー城まで着きたいものであると思うて余程急いで馬を走らしたけれども、何分
下僕
(
しもべ
)
は
徒歩
(
かち
)
ですから追付くことが出来ぬ。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
木幡
(
こばた
)
の山に馬はいかがでございましょう(山城の木幡の里に馬はあれど
徒歩
(
かち
)
よりぞ行く君を思ひかね)いっそうお
噂
(
うわさ
)
は立つことになりましても
源氏物語:49 総角
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
「御本人はお馬に召しておいでになりましたが、若いお娘さんが一人、お
駕籠
(
かご
)
で、それからお附添らしい
御実体
(
ごじってい
)
なお方は
徒歩
(
かち
)
でございました」
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
我は
一者
(
ひとり
)
の前を走れる千餘の
滅亡
(
ほろび
)
の魂をみき、この者
徒歩
(
かち
)
にてスティージェを渡るにその
蹠
(
あしうら
)
濡るゝことなし 七九—八一
神曲:01 地獄
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
今度は日本橋を振出しに、
徒歩
(
かち
)
で東海道に向いますつもり。——以来は知らず、どこへ参っても、このあたりぐらい、名所古蹟はございませんな。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
帰路
(
かえり
)
は二組に分かれ一組は船で帰り、一組は陸を
徒歩
(
かち
)
で帰ることにして、僕は叔父さんが離さないので陸を帰った。
鹿狩り
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
徒歩
(
かち
)
でゆく役人連の後には箱馬車が何台もつづき、その窓からは喪服用の頭巾をかぶった婦人連の顔が見えていた。
死せる魂:02 または チチコフの遍歴 第一部 第二分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
源三郎の白馬を先頭に、安積玄心斎、谷大八、脇本門之丞、その他、おもだった連中が馬で、あとの者は
徒歩
(
かち
)
です。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
谷川を
徒歩
(
かち
)
わたりし、岩山をよじ登り、絶壁を命綱に
縋
(
すが
)
って下り、行手の草木を
伐開
(
きりひら
)
きなどして、その難行苦行と云ったら、一通りではないのであった。
壁の眼の怪
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
どんなことがあっても、いずれかの
桝形
(
ますがた
)
か木戸で
誰何
(
すいか
)
され、お改めをうけなければならぬはずなのに、乗物にも
徒歩
(
かち
)
にも、それがぜんぜん通っていない。
顎十郎捕物帳:11 御代参の乗物
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
赤地にしきの
直垂
(
ひたたれ
)
に
緋縅
(
ひおどし
)
のよろい着て、頭に
烏帽子
(
えぼし
)
をいただき、弓と矢は従者に持たせ、
徒歩
(
かち
)
にて
御輿
(
みこし
)
にひたと
供奉
(
ぐぶ
)
する三十六、七の男、鼻高く
眉
(
まゆ
)
秀
(
ひい
)
で
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
私達はそこからみな
徒歩
(
かち
)
になつて、おぼろな弓張提燈の導くのをたよりに、足許に氣をとられながら、揉まれ揉まれてのぼつて行く棺のあとに續きました。
響
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
しかし、
先
(
ま
)
ず第一に、その怪物はおそろしく速いので、彼は
徒歩
(
かち
)
で闘っては、とうてい勝てないと思いました。
ワンダ・ブック――少年・少女のために――
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
かごで、舟で、
徒歩
(
かち
)
で、江戸中から
群
(
むれ
)
て来た老若、男女で、だんまりの場が開くころには、広大な中村座の
土間桟敷
(
どまさじき
)
、もはや一ぱいにみたされているのであった。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
噺家
(
はなしか
)
、たいこもち、金に糸目をつけぬ、一流の人たちが
主
(
おも
)
な役柄に扮し、お
徒歩
(
かち
)
、
駕籠
(
かご
)
のもの、
仲間
(
ちゅうげん
)
、
長持
(
ながもち
)
かつぎの
人足
(
にんそく
)
にいたるまで、そつのないものが適当に割当てられ
一世お鯉
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
長等
(
ながら
)
山の山おろしに吹かれて立ちさわいでいる浪に身をのせて、志賀の浦の
汀
(
なぎさ
)
に泳いで行くと、
徒歩
(
かち
)
で行く人が着物の
裾
(
すそ
)
を濡らすほど
汀
(
みぎわ
)
近くを往来するのにおどろかされて
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
見ると、成程、二疋の鞍置馬を牽いた、二三十人の男たちが、馬に跨がつたのもあり
徒歩
(
かち
)
のもあり、皆水干の袖を寒風に翻へして、湖の岸、松の間を、一行の方へ急いで来る。
芋粥
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
徒歩
(
かち
)
で行けば
其処
(
そこ
)
から東京まで三里位しかないという
河岸
(
かし
)
に来て、船頭はまた船を
繋
(
つな
)
いだ。
朝
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
ドミトリイ・フョードロヴィッチは、きのう時刻も日取りも知らしてあったのに遅刻した。一行は馬車を囲いの外の宿泊所に乗り捨てておいて、
徒歩
(
かち
)
で修道院の門をはいった。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
武男が母は、名をお
慶
(
けい
)
と言いて今年五十三、時々リュウマチスの起これど、そのほかは無病息災、
麹町上
(
こうじまちかみ
)
二
番町
(
ばんちょう
)
の
邸
(
やしき
)
より亡夫の眠る
品川
(
しながわ
)
東海寺
(
とうかいじ
)
まで
徒歩
(
かち
)
の往来容易なりという。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
少くとも勇敢な軍人達は、九分通り鞭をすてて
徒歩
(
かち
)
であるくに
定
(
きま
)
つてゐる。岡山県知事香川氏の如きも、馬の前に立ちどまつて、お辞儀をする位の愛嬌を見せたかも知れない。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
徒歩
(
かち
)
(勝)で行かずに飛んで行けと、許されたる飛行の術、使えば中仙道も一またぎ、はやなつかしい上田の天守閣、おお六文銭の旗印、あのヒラヒラとひるがえること、おお
猿飛佐助
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
この日酉の下刻に町奉行
筒井伊賀守政憲
(
つついいがのかみまさのり
)
が九郎右衛門等三人を呼び出した。酒井家からは目附、下目附、足軽小頭に足軽を添えて、乗物に乗った二人と
徒歩
(
かち
)
の文吉とを警固した。
護持院原の敵討
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
皆
徒歩
(
かち
)
だった。木山まで下ると、山から野に出る。彼等は
川堤
(
かわつつみ
)
を水と共に下って往った。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
み寺に行く路は遠くとも、必ずともに素足にて
徒歩
(
かち
)
まうでかし。なんぢの白いあなうらもつめたい土壤と接觸するときに、兄の戀魚はまあたらしい墓石の下によろこびの目をさます。
散文詩・詩的散文
(旧字旧仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
良人
(
おっと
)
は吹き
荒
(
すさ
)
ぶ風を物ともしずに終日馬上に駆けめぐり、或は冬の乾ききった大気を息づまるほど満喫し、或るときは
徒歩
(
かち
)
で
畝
(
うね
)
や
畦
(
あぜ
)
を
渉
(
わた
)
り、樹の枝に髭を撫でられそうな森林の中を
犬舎
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
御附の人々、大佐、知事、馬博士などは車、参事官、郡長、郡書記、その他の官吏は
徒歩
(
かち
)
、つづいて「ファラリイス」の駒三十四頭、牝馬二百四十頭、牡馬の群は最後に
随
(
したが
)
いました。
藁草履
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
兵部大輔
(
ひやうぶたいふ
)
大伴ノ家持は、偶然この噂を、極めて早く耳にした。ちようど
春分
(
しゆんぶん
)
から二日目の朝、朱雀大路を南へ、馬をやつて居た。二人ばかりの
資人
(
とねり
)
が、
徒歩
(
かち
)
で驚くばかり足早について行く。
死者の書:――初稿版――
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
素
(
もと
)
より慣れぬ
徒歩
(
かち
)
なれば、
數
(
あまた
)
たび或は里の子が
落穗
(
おちぼ
)
拾はん
畔路
(
あぜみち
)
にさすらひ、或は露に伏す
鶉
(
うづら
)
の
床
(
とこ
)
の
草村
(
くさむら
)
に
立迷
(
たちまよ
)
うて、絲より細き蟲の
音
(
ね
)
に、覺束なき行末を
喞
(
かこ
)
てども、問ふに聲なき影ばかり。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
和津
(
わつ
)
が
野
(
の
)
に馬のりすてて青丹よし奈良路を近み
徒歩
(
かち
)
ゆわれきぬ
礼厳法師歌集
(新字旧仮名)
/
与謝野礼厳
(著)
「附いて行つた人達は駕籠かい、それとも
徒歩
(
かち
)
かい」
銭形平次捕物控:065 結納の行方
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
もし
徒歩
(
かち
)
を厭わぬ人なら、却って楽しみです。
女の話・花の話
(新字新仮名)
/
上村松園
(著)
対岸の正面よりやや
下流手
(
しもて
)
の岸から、一隊の敵が、騎馬
徒歩
(
かち
)
をまぜておよそ千二、三百、一陣になって、河を斜めに、駈け
渉
(
わた
)
りだした。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
上下五人の荷物は両掛けにして、問屋場の人足三人がかついで行く。主人だけが駕籠に乗って、家来四人は
徒歩
(
かち
)
で附いて行く。
三浦老人昔話
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
するとこの時山つづきの、横手の森から鬨の声が起こり、赤き旗三
旒
(
なが
)
れひるがえり、七百あまりの
将卒
(
つわもの
)
が、騎馬、
徒歩
(
かち
)
にて走り出して来た。
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
それに従うた家来が十人ばかり、いずれも
徒歩
(
かち
)
でありました。この一行は勢いよく表門を乗り出して、八日市通りを東に向って練り出しました。
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
薄く、低く、土煙を
揚
(
あ
)
げて、片側並木の、田圃道から、村の中へ、三十人余りの、
乗馬
(
うま
)
と、
徒歩
(
かち
)
の人々が、入って来た。
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
徒歩
(
かち
)
の人は幾人、乗物の人は幾人、両方あわせて一体どの位あるだろうと、人数をかぞえたりしていたが、彼等の主人は、誰に会っても知った顔をするな
死せる魂:02 または チチコフの遍歴 第一部 第二分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
かくのごとき険山を降り昇りして居るんですが私どもはなかなかチベット人の半分もない肺を持って居るのですから
徒歩
(
かち
)
で上ることは思いも寄らんことです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
尤
(
もつと
)
も
彼
(
かれ
)
の
前
(
まへ
)
にも
車
(
くるま
)
が
續
(
つゞ
)
いた。
爾時
(
そのとき
)
、
橋
(
はし
)
の
上
(
うへ
)
をひら/\
肩裾
(
かたすそ
)
の
薄
(
うす
)
く
濃
(
こ
)
く、
月下
(
げつか
)
に
入亂
(
いりみだ
)
れて
對岸
(
たいがん
)
へ
渡
(
わた
)
つた四五
人
(
にん
)
の
影
(
かげ
)
も
見
(
み
)
えた。
其等
(
それら
)
は
徒歩
(
かち
)
で、
些
(
ち
)
と
早
(
はや
)
めに
宴會
(
えんくわい
)
を
辭
(
じ
)
した
連中
(
れんぢう
)
。
月夜車
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
おくれて駕籠や
徒歩
(
かち
)
の連中もみな到来した。伊賀勢は、ここに思わぬ大集団となったのである。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
“徒歩”の意味
《名詞》
徒歩(とほ)
自動車や自転車などに乗らずに歩くこと。
(出典:Wiktionary)
徒
常用漢字
小4
部首:⼻
10画
歩
常用漢字
小2
部首:⽌
8画
“徒歩”で始まる語句
徒歩立
徒歩供
徒歩武者
徒歩侍
徒歩兵
徒歩士
徒歩歩
徒歩渉
徒歩衆
徒歩跣