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床板
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ゆかいた
ふりがな文庫
“
床板
(
ゆかいた
)” の例文
先生はあの小さい机に原稿のペンを動かしながら、
床板
(
ゆかいた
)
を洩れる風の為に悩まされたと云ふことである。しかし先生は
傲語
(
がうご
)
してゐた。
漱石山房の冬
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
梯子段
(
はしごだん
)
の二三段を
一躍
(
ひとと
)
びに
駈上
(
かけあが
)
つて
人込
(
ひとご
)
みの中に
割込
(
わりこ
)
むと、
床板
(
ゆかいた
)
の
斜
(
なゝめ
)
になつた低い
屋根裏
(
やねうら
)
の
大向
(
おほむかう
)
は大きな船の底へでも
下
(
お
)
りたやうな
心持
(
こゝろもち
)
。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
ふたりは、できるだけ物音をたてないように注意しながら、部屋のまんなかの畳をめくり、その下の
床板
(
ゆかいた
)
をとりはずしました。
少年探偵団
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
何が腐り
爛
(
ただ
)
れたかと薄気味悪くなって、二階の
部屋
(
へや
)
から
床板
(
ゆかいた
)
を引きへがして見ると、
鼠
(
ねずみ
)
の
死骸
(
しがい
)
が二つまでそこから出て来て
嵐
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
ヘレン・バーンズはこゝにゐなかつたし、何も私を支へてくれるものはなかつた。たつた一人になつて、私は
落膽
(
がつかり
)
したのだ。涙は
床板
(
ゆかいた
)
を
濡
(
ぬら
)
した。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
▼ もっと見る
床板
(
ゆかいた
)
のあいだから生え出している草をたんねんにむしりとり、四つの窓には四人の防水
衣
(
ぎ
)
をカーテンのかわりに掛けた。
キャラコさん:04 女の手
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
あおむけに
寝
(
ね
)
ながら、足で
床板
(
ゆかいた
)
をふみ鳴らし、口から
出放題
(
でほうだい
)
にあたりちらしていると、その
仕切境
(
しきりざかい
)
の板のむこうがわで
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
大掃除
(
おほさうぢ
)
の
時
(
とき
)
に、
床板
(
ゆかいた
)
を
剥
(
はが
)
すと、
下
(
した
)
は
水溜
(
みづたまり
)
に
成
(
な
)
つて
居
(
ゐ
)
て、
溢
(
あふ
)
れたのがちよろ/\と
蜘蛛手
(
くもで
)
に
走
(
はし
)
つたのだから
可恐
(
おそろし
)
い。
此
(
こ
)
の
邸
(
やしき
)
……いや
此
(
こ
)
の
座敷
(
ざしき
)
へ
茸
(
きのこ
)
が
出
(
で
)
た。
くさびら
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
その笑いのあと、かれはほかの来賓たちのほうは見向きもしないで、
靴
(
くつ
)
と
拍車
(
はくしゃ
)
と
佩剣
(
はいけん
)
との、このうえもない非音楽的な音を
床板
(
ゆかいた
)
にたてながら、
壇
(
だん
)
にのぼった。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
八五郎の報告を聽き乍ら、平次はお勝手から、殺された内儀の部屋へ、念入りに
床板
(
ゆかいた
)
、疊と見て行きます。
銭形平次捕物控:178 水垢離
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
普通の塩水を穀倉に
撒布
(
さんぷ
)
しまた
床板
(
ゆかいた
)
の裂け目に流し込んでおくことを教えたり、穀象虫を駆除するために
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
私たちは窓のないがらんどうの部屋へはいって、建物の
幅木
(
はばき
)
を取りのけ、それから
床板
(
ゆかいた
)
をめくると、
垂木
(
たるき
)
の下に屑をもっておおわれた
刎
(
は
)
ね上げの戸が発見された。
世界怪談名作集:02 貸家
(新字新仮名)
/
エドワード・ジョージ・アール・ブルワー・リットン
(著)
シューラは
素早
(
すばや
)
くはね
起
(
お
)
きて、
毛布
(
もうふ
)
を
床
(
ゆか
)
へおっぽり
出
(
だ
)
すと、はだしで
冷
(
つめた
)
い
床板
(
ゆかいた
)
をぱたぱたと大きく
鳴
(
な
)
らしながら、ママのところへ
飛
(
と
)
んで
行
(
い
)
き、いきなりこうわめいた。
身体検査
(新字新仮名)
/
フョードル・ソログープ
(著)
殆ど無意識的にお巡査さんは自分が今何の上に坐つて居るかを調べる為に、手を莚の下にやつてみた。麦藁を敷きならべた上にすぐ莚が敷かれてあつて、
床板
(
ゆかいた
)
は全く無い。
夜烏
(新字旧仮名)
/
平出修
(著)
「また
出水
(
しゅっすい
)
するだろう、それで、
床板
(
ゆかいた
)
をぬらすし、
病気
(
びょうき
)
は
出
(
で
)
るし、
作物
(
さくもつ
)
にはよくないだろう。」
台風の子
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
六階建ての古いぐらぐらした家で、一方に傾いており、
床板
(
ゆかいた
)
はきしり、天井は虫に食われていた。屋根裏に住んでるクリストフとオリヴィエとの部屋には、雨漏りがしていた。
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
怪
(
あや
)
しいと云うので、
床板
(
ゆかいた
)
をめくって見るとさまざまの物をかくしてあった。
訴人
(
そにん
)
の男の云う通り緋の
緒
(
お
)
でくくった袴も、長刀も出て来た。その外に、一つの古い仮面が出て来た。
女強盗
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
私も彼の目を追いながら、いくらか明るくなって来た窓を見廻すと、気のついた事は隅の方の畳が一枚上げられ、
床板
(
ゆかいた
)
が上げられていた。松本は
飛鳥
(
ひちょう
)
の様にそこへ飛んで行った。
琥珀のパイプ
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
踏
(
ふ
)
めばぎし/\と
鳴
(
な
)
る
床板
(
ゆかいた
)
に
二人
(
ふたり
)
の
足音
(
あしおと
)
を
憚
(
はゞか
)
つて
女
(
をんな
)
は
闇
(
やみ
)
に
男
(
をとこ
)
を
脊負
(
せお
)
ふのである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
廊下の
真中
(
まんなか
)
で考え込んでいると、月のさしている向うのはずれで、一二三わあと、三四十人の声がかたまって
響
(
ひび
)
いたかと思う間もなく、前のように拍子を取って、一同が
床板
(
ゆかいた
)
を踏み鳴らした。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
するとあなたは、あなたの鼻を
床板
(
ゆかいた
)
にすりつける。彼等は順順に列んで、みんな四つ這ひになる。それは、お互ひに、人より先には出まい、人より先には着席しまい、といつたやうな風である。
奈良二題
(旧字旧仮名)
/
野上豊一郎
(著)
米友が縁の下で舌を出すと、忠作はその上で
床板
(
ゆかいた
)
を踏み鳴らします。
大菩薩峠:09 女子と小人の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
私はヴェランダの
床板
(
ゆかいた
)
に腰かけたきり、爺やがまた
何処
(
どこ
)
からか羊歯を運んで来るまで、さまざまな物思いにふけりながら待っていた。それからまた爺やの羊歯を植えつけるのをしばらく見守っていた。
美しい村
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
梯子段の二、三段を
一躍
(
ひとと
)
びに
駈上
(
かけあが
)
って人込みの中に割込むと、
床板
(
ゆかいた
)
の
斜
(
ななめ
)
になった低い屋根裏の
大向
(
おおむこう
)
は大きな船の底へでも下りたような心持。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
ガラッと、
厚
(
あつ
)
い
車戸
(
くるまど
)
を
押
(
お
)
しあけて、そこへはいると、咲耶子と竹童は、まっくらな
床板
(
ゆかいた
)
を手さぐりでなでまわした。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
立上がつて戸口の方へ探り寄らうとすると、
床板
(
ゆかいた
)
の釘が拔けて居たものか、それとも、
陷穽
(
おとしあな
)
の仕掛になつてゐたものか、足の下の板が一枚、パツと
跳
(
は
)
ね返ると
銭形平次捕物控:006 復讐鬼の姿
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
……
如何
(
いかが
)
はしいが、
生霊
(
いきりょう
)
と
札
(
ふだ
)
の立つた
就中
(
なかんずく
)
小さな
的
(
まと
)
に
吹当
(
ふきあ
)
てると、
床板
(
ゆかいた
)
がぐわらりと
転覆
(
ひっくりかえ
)
つて、
大松蕈
(
おおまつたけ
)
を抱いた緋の
褌
(
ふんどし
)
のおかめが、とんぼ返りをして
莞爾
(
にこり
)
と
飛出
(
とびだ
)
す、途端に
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
その声と同時に、小林少年は足の下の
床板
(
ゆかいた
)
が、とつぜん消えてしまったように感じました。
怪人二十面相
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
彼女の素足が
床板
(
ゆかいた
)
を小早く掠めて遠ざかってゆくのを、彼は耳にした。彼女は自分の室にもどった。ブラウンが帰ってきてみると、彼女は寝床にねていて、眠ってるようだった。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
後
(
あと
)
が
酷
(
ひど
)
くつてな、
縁
(
えん
)
の
下
(
した
)
でも
何
(
なん
)
でも
泥
(
えごみ
)
が一
杯
(
ぺえ
)
で、そえつあゝ
掻
(
か
)
ん
出
(
だ
)
せばえゝんだが
床板
(
ゆかいた
)
が
白
(
しら
)
つ
黴
(
かび
)
に
成
(
な
)
つちやつて
此
(
こ
)
れがまだなか/\
干
(
ひ
)
ねえから
疊
(
たゝみ
)
なんざ
何時
(
いつ
)
敷
(
し
)
つ
込
(
こ
)
めるもんだか
分
(
わか
)
んねえのさ
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
床板
(
ゆかいた
)
がそのまま
椅子
(
いす
)
ともテーブルともなっていた。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
「
床板
(
ゆかいた
)
を剥ぐんだ。
樫
(
かし
)
の木で、やけに丈夫だから、道具がなくちやどうにもならない」
銭形平次捕物控:111 火遁の術
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
その足音が地の下へとおざかるのを聞きながら、
蚕婆
(
かいこばばあ
)
はすぐもとのとおり
床板
(
ゆかいた
)
や
蓆
(
むしろ
)
を
敷
(
し
)
きつめ、壁にかかっている
獣捕
(
けものと
)
りの投げ
縄
(
なわ
)
をつかむが早いか、いきなりおもてへ飛びだした。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
往来を歩き回ってる時でも——祖父の家の
床板
(
ゆかいた
)
の上に転がり、両手で頭をかかえて、書物の插絵に見入ってる時でも——台所のいちばん薄暗い片隅で、自分の小さな
椅子
(
いす
)
にすわりながら
ジャン・クリストフ:03 第一巻 曙
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
四、五名の足のばたばたばたと
床板
(
ゆかいた
)
を
踏鳴
(
ふみな
)
らす音ぞ聞こえたる。
海城発電
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
まだ暑からぬ部屋の
床板
(
ゆかいた
)
に
珊瑚集:仏蘭西近代抒情詩選
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
「金貸しのお角の家で、自分が見當をつけて、死んだ娘の寢てゐる疊の下の
床板
(
ゆかいた
)
を剥ぐと探し拔いた二千兩の小判が、二つ千兩箱に入つたまゝそつくり出て來たぢやありませんか」
銭形平次捕物控:162 娘と二千両
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
床板
(
ゆかいた
)
ぐるみ奈落へ行くか、上の天井がズンと落ちてくるか、一つ仕掛けの種明しをやって見せてもいい。だが、そんなことで命を無駄にするのももったいないじゃないか。ええ、お十夜。
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
赤児
(
あかご
)
は
揺籃
(
ゆりかご
)
の中でうごめいている。老人は戸口に木靴を脱ぎすててはいって来たが、歩く拍子に
床板
(
ゆかいた
)
が
軋
(
きし
)
ったので、赤児はむずかり出す。母親は寝台の外に身をのり出して、それを
賺
(
すか
)
そうとする。
ジャン・クリストフ:03 第一巻 曙
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
つまり養子民彌の頭の上に、お縫が住んで居るわけで、若い二人が
床板
(
ゆかいた
)
と疊とを
隔
(
へだ
)
てて、上と下とで、寢て、起きて、考へて、惱み、喜び、笑ひ、泣き、そして互ひの夢を夢みて居たわけです。
銭形平次捕物控:187 二人娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
祠
(
ほこら
)
の内は
床板
(
ゆかいた
)
もなく
洞然
(
とうぜん
)
として、六尺ばかり掘り下げてある。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、
床板
(
ゆかいた
)
にこすりつけられたお顔が唇を噛み
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“床板”の意味
《名詞》
床に張られた板。
(出典:Wiktionary)
床
常用漢字
中学
部首:⼴
7画
板
常用漢字
小3
部首:⽊
8画
“床”で始まる語句
床
床几
床屋
床下
床柱
床脇
床上
床几場
床店
床間