左手ひだりて)” の例文
同月どうげつ二十八にちには、幻翁げんおう玄子げんしとの三にん出掛でかけた。今日けふ馬籠方まごめがた街道かいだうひだりまがつた小徑こみち左手ひだりてで、地主ぢぬしことなるのである。
にんうつくしいおんなたちは、あか馬車ばしゃりました。あか馬車ばしゃは、あおうみ左手ひだりてにながめながら、海岸かいがんはしっていったのであります。
初夏の空で笑う女 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ねむつては危險きけんだぞ。左手ひだりてかはけろ‥‥」と、しばらくすると突然とつぜんまへはう小隊長せうたいちやう大島少尉おほしませうゐ呶鳴どなこゑきこえた。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
彼等かれらあめわらみのけて左手ひだりてつたなへすこしづつつて後退あとずさりにふかどろから股引もゝひきあし退く。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
野々宮が此所こゝうつつてから、三四郎は二三度訪問した事がある。野々宮の部屋はひろい廊下をあたつて、二段ばかり真直まつすぐのぼると、左手ひだりてに離れた二間ふたまである。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
それは莫迦ばかげておほきなつくりでした、あいちやんはまた左手ひだりてつてきのこの一かけめて、ほとんど二しやくたかさにたつしたまでは、きまりがわるくてそのそばおもつて近寄ちかよれませんでした
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
のぱつちりしたうつくしい一おんなわたし食卓しよくたく向側むこうかわへ「どうぞ」とつて案内あんないしてくれたが、たれもまだはいつてこないので躊躇ちうちよしてゐるうちに、此方側こつちかわ左手ひだりて椅子いすることになつて
微笑の渦 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
海蔵かいぞうさんは、右手みぎてにのせていたあごを、左手ひだりてにのせかえました。
牛をつないだ椿の木 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
不図げると、左手ひだりての岡のうへに女が二人ふたり立つてゐる。女のすぐしたが池で、池の向ふ側がたかがけ木立こだちで、其後ろが派出な赤錬瓦のゴシツク風の建築である。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
まさちゃんは、ひだりぎっちょで、はしをつにも左手ひだりてです。まりをげるのにも、右手みぎてでなくて左手ひだりてです。
左ぎっちょの正ちゃん (新字新仮名) / 小川未明(著)
と、左手ひだりてはう人家じんか燈灯ともしびがぼんやりひかつてゐた——Fまちかな‥‥とおもひながらやみなか見透みすかすと、街道かいだう沿うてながれてゐるせま小川をがは水面みづもがいぶしぎんのやうにひかつてゐた。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
おつぎは左手ひだりてかへランプをかざして單衣ひとへいぢつては浴後よくごのつやゝかなかほ微笑びせうふくんだ。勘次かんじはおつぎのかほばかりた。さうして機嫌きげん恢復くわいふくしかけたのを
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
最初さいしょ鉛筆えんぴつ左手ひだりてでしたが、かたちへんになってしまうので、これも右手みぎてくせをつけたのです。
左ぎっちょの正ちゃん (新字新仮名) / 小川未明(著)
四っ角へ出ると、左手ひだりて此方こちら側に西洋小間物屋があつて、向側に日本小間物屋がある。其あひだを電車がぐるつとまがつて、非常な勢で通る。ベルがちん/\ちん/\云ふ。渡りにくい程雑沓する。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
はしらけてあるランプのひかりとゞかぬのでおつぎは手探てさぐりでしてる。おしな左手ひだりていた與吉よきちくちはしさきすこママふくませながら雜炊ざふすゐをたべた。おしないもを三つ四つはしてゝ與吉よきちたせた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
はしを左手ひだりてってもやかましくいわぬということになったのです。
左ぎっちょの正ちゃん (新字新仮名) / 小川未明(著)