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履物
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はきもの
ふりがな文庫
“
履物
(
はきもの
)” の例文
彼はいきなり靴を脱いで玄関に上ったが、
流石
(
さすが
)
にあわてていたので、そこの土間に山野夫人の
履物
(
はきもの
)
が見えないことを気づかなかった。
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
渡瀬はやむを得ずそこに突立って自分の下駄と新井田氏が脱ぎ捨てた
履物
(
はきもの
)
とを較べなどしていた。その時頭のすぐ上で突然音がした。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
米、味噌、醤油、酒、油、反物、筆墨、小間物、菓子、瀬戸物、
履物
(
はきもの
)
類、その他の日用品をひさぐ店が、ずらりと
櫛比
(
しっび
)
しているのだ。
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
このシゴキがお梶様の持ち物だったのと、その場に残された死人の
履物
(
はきもの
)
が、お梶様のものと本人のものと片々ずつになっておった。
不連続殺人事件
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
兎にも角にも、
履物
(
はきもの
)
を突つかけて、生垣の外へ廻ると、杵太郎とお葉の退路を
遮斷
(
しやだん
)
したらしく、何やら激しく言ひ合つてをります。
銭形平次捕物控:314 美少年国
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
傘や
履物
(
はきもの
)
を
調
(
ととの
)
えさせて長屋へ戻って行くが、玄蕃は江戸詰の小者にまだ知られていないので、やや当惑しているのだという風が読めた。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼は
遽
(
にはか
)
に心着きて
履物
(
はきもの
)
を
検
(
あらた
)
め来んとて起ちけるに、
踵
(
つ
)
いで起てる満枝の
庭前
(
にはさき
)
の縁に出づると見れば、
傱々
(
つかつか
)
と行きて
子亭
(
はなれ
)
の入口に
顕
(
あらは
)
れたり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
「
仲人
(
なこうど
)
の
履物
(
はきもの
)
きらしといって、然う一遍じゃ納まらない。これからだ。しかし話のよく分る御夫婦だから、
俺
(
わし
)
も張合がある」
勝ち運負け運
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
主人は
案
(
あん
)
の
上
(
じょう
)
、「御出かけで」と
挨拶
(
あいさつ
)
した。そうして
例
(
いつも
)
の通り下女を呼んで
下駄箱
(
げたばこ
)
にしまってある
履物
(
はきもの
)
を出させようとした。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
又
(
また
)
お
履物
(
はきもの
)
は
黒塗
(
くろぬり
)
りの
靴
(
くつ
)
見
(
みた
)
いなものですが、それは
木
(
き
)
の
皮
(
かわ
)
か
何
(
なん
)
ぞで
編
(
あ
)
んだものらしく、そう
重
(
おも
)
そうには
見
(
み
)
えませんでした……。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
背にかついでる大きな
梱
(
こり
)
の中には、あらゆる物がはいっていた、香料品、紙類、糖菓類、ハンケチ、
襟巻
(
えりまき
)
、
履物
(
はきもの
)
、
罐詰
(
かんづめ
)
、
暦
(
こよみ
)
、
小唄
(
こうた
)
集、薬品など。
ジャン・クリストフ:03 第一巻 曙
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
とげのあるつる草が、娘の
履物
(
はきもの
)
を引きさきましたが、そんなことにはかまわずに、娘はいそいで先へ進んでいきました。
絵のない絵本:01 絵のない絵本
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
聞きましたら、目を閉じたまま、「ああ行ってお
出
(
いで
)
」と仰しゃるので、喜びはしましたが、お婆さんが鼻緒を直していますので、
履物
(
はきもの
)
がありません。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
襟
(
えり
)
引き合わせ、
履物
(
はきもの
)
をぬぎすてつつ、浪子は今打ち寄せし浪の岩に砕けて
白泡
(
しらあわ
)
沸
(
たぎ
)
るあたりを目がけて、身をおどらす。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
土田正三郎は
履物
(
はきもの
)
の爪先で、地面に散っている落葉を掻きわけた。ひっそりとした墓地の中で、落葉の触れあう乾いた音が、おどろくほど高く聞えた。
饒舌りすぎる
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
暗うならんうちに家い帰れといつても、おお※おお※と泣いてをるばつかですから、つれて来ました。
履物
(
はきもの
)
も何処でぬぎすてたんだか、はだしでした。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
帽子を買ふ時には自分の頭に
被
(
かぶ
)
つてみる。
履物
(
はきもの
)
を買ふ時には自分の脚に
穿
(
は
)
いてみる。そして男女問題は真先に自分の細君に当てはめて考へてみる事だ。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
主人
(
あるじ
)
は大声に呼んで、手早く庭の乾し物、
履物
(
はきもの
)
などを片づける。裏庭では、婢が駈けて来て洗濯物を取り入れた。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
履物
(
はきもの
)
の類では同じ町に見かける
阿檀葉
(
あだんば
)
の
草履
(
ぞうり
)
を挙げねばなりません。よく
燻
(
いぶ
)
して海水で洗いますが、これを繰り返すこと二十年にも及ぶものがあります。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
始め
履物
(
はきもの
)
全部がちゃんとしているの。だのに、家中どこを探しても雪子さんの姿が見えないの。変てこでしょう
四次元漂流
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「あれほどワヤクな捨様でも、東京へ出て修業すればこれだ。まあ、俺の
履物
(
はきもの
)
まで直して下すったそうな——」
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
と言っているうちに玄関へ来ると、お角が女中たちに先立って、この美少年のために
履物
(
はきもの
)
を揃えてやりました。
大菩薩峠:32 弁信の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
王成は承知して品物を
嚢
(
ふくろ
)
に入れて出発したが、途中で雨に遇って、着物も
履物
(
はきもの
)
もびしょ濡れになった。王成は平生苦労をしたことがないから弱ってしまった。
王成
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
この家の下男がとんで来て
履物
(
はきもの
)
をそろえた。
沓脱
(
くつぬ
)
ぎ石の上でそれをつっかけながら、左手に握っている刀のさげ緒を右手でびんびん引っぱっているのであった。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
感覚が全然ないのであろう、
泥
(
どろ
)
のついた
履物
(
はきもの
)
のままずかずかと房内に入りこむのは始終のことであった。
癩
(新字新仮名)
/
島木健作
(著)
その一間きりらしい家の中では、老父が一人きり、私達を見ても無言のまま、せっせと自分の仕事に向っていた。それは
履物
(
はきもの
)
に畳表を一枚々々つける仕事だった。
幼年時代
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
手早く眼をやった玄関の敷石の上にも、夫人の
履物
(
はきもの
)
らしい履物は脱ぎ捨てゝはなかった。信一郎は、少しは救われたように、ホッとしながら、玄関へ入ろうとした。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
青衿
(
あおえり
)
をつけた麻の着物をまとい、髪さえろくにとかさず、
履物
(
はきもの
)
もはかないではだしでいたが、その顔は満月のように美しくかがやき、笑うと花が咲きかがやくようで
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
貴方
(
あなた
)
申しお供さん、お気を附けなさらないといけませんよ、貴方ね、
此方
(
こちら
)
は下足番の有るのを御存じないものですから、
履物
(
はきもの
)
を懐へ入れて梯子段を
昇
(
あが
)
ろうとした処を
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「この空気!」と
喬
(
たかし
)
は思い、耳を
欹
(
そばだ
)
てるのであった。ゾロゾロと
履物
(
はきもの
)
の音。間を縫って利休が鳴っている。——物音はみな、あるもののために鳴っているように思えた。
ある心の風景
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
袖
(
そで
)
や
履物
(
はきもの
)
も夜露にぬれ、筒井はちいさい
嚏
(
くさめ
)
をしたほどだった。彼らはやっと
更
(
ふ
)
けた星を見上げた。
津の国人
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
川舟には、どれも、きれいな
茣蓙
(
ござ
)
が敷いてある。街の人たちは、男女老若、指図にしたがい、
履物
(
はきもの
)
を手に持って、乗りこむ。舟底に、坐る。親船は一段と大きく、高い。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
垢づきよごれた
襤褸
(
ぼろ
)
をまとい、
履物
(
はきもの
)
さえはいていなかったが、体つきには高雅な品があった。
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
例えば衣服一つだけについて見ても、汽車や電車の
乗合
(
のりあい
)
、その他若干の人の集りに行けば、髪から
履物
(
はきもの
)
から帯から
上衣
(
うわぎ
)
まで、ほとんと目録を作ることも不可能なる種類がある。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
掛
(
かけ
)
ければ天一坊は常樂院を見るに
早
(
はや
)
沓
(
くつ
)
を脱たりまた後を振返り伊賀亮左京をも
見
(
みる
)
に何も
履物
(
はきもの
)
を穿ざれば天一坊も沓を
拔
(
ぬぎ
)
捨ける夫より案内に從ひ行き遙か向を見れば一段高き
床
(
とこ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
そういった人間の原始的功利の考えがこどもの好奇心の頭を
擡
(
もた
)
げさせやすいのかとも考える。しかしそれならなんの
履物
(
はきもの
)
ででもあれ、その上を渡りさえすれば気が済む筈である。
橋
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
出口へ出るとそこでは下足番の婆さんがただ一人落ち散らばった
履物
(
はきもの
)
の整理をしているのを見付けて、預けた
蝙蝠傘
(
こうもりがさ
)
を出してもらって館の裏手の集団の中からT画伯を捜しあてた。
震災日記より
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
「まあ私は御免をこうむろう。——杉、杉、和泉屋さんのお
履物
(
はきもの
)
を直して置いたか。」
戯作三昧
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
雪江さんは一ツ橋のさる学校へ通っていたから、
朝飯
(
あさはん
)
を済ませると、急いで支度をして出て行く。髪は
常
(
いつ
)
も束髪だったが、
履物
(
はきもの
)
は
背
(
せい
)
が低いからッて、高い
木履
(
ぽっくり
)
を好いて
穿
(
は
)
いていた。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
きょうは、お金も、すこしあるから、思い切って私の
履物
(
はきもの
)
を買う。こんなものにも、今月からは三円以上二割の税が附くという事、ちっとも知らなかった。先月末、買えばよかった。
十二月八日
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
お前がちゃんとおとなしく御徒町の家にいた日にゃ途中で
逢
(
あ
)
ったって話も出来ない
訳
(
わけ
)
なんだ。そうだろう。
乃公
(
おいら
)
は女房や子供をすてた罰で芸者家からもとうとうお
履物
(
はきもの
)
にされちまった。
雪解
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
皮細工・藁細工・竹皮細工などのことを云ったものであろう。ともかく彼らは人の扱うを穢れとした皮革、人の足に踏む
履物
(
はきもの
)
などの細工をして、世人から賤しいものと見られたのである。
エタ源流考
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
履物
(
はきもの
)
も履きませず、
脛
(
はぎ
)
もあらわに崖ぷちへ
佇
(
たたず
)
み乍ら、じいっと谷底を覗いていたかと思うと止めるひまも声を掛けるひまもないうちに、ひらりと飛込んで了ったと言うので厶りまするよ。
十万石の怪談
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
私にはそのほかにどんなよそゆきの持ち合せもなかったのだ。「前田山」は頬をほてらせてみせの中へ入っていった。私はもう上気していて、
履物
(
はきもの
)
を脱いでしまったような気持になっていた。
朴歯の下駄
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
向河岸の方を見ると、水蒸気に飽いた、灰色の空気が、橋場の人家の
輪廓
(
りんかく
)
をぼかしていた。土手下から
水際
(
みずぎわ
)
まで、狭い一本道の附いている処へ、かわるがわる舟を寄せて、先ず
履物
(
はきもの
)
を
陸
(
おか
)
へ揚げた。
百物語
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
クリスマスの晩暖炉の中に
履物
(
はきもの
)
を置いておいて、親切なお
爺
(
じい
)
さんがりっぱな贈物を持ってきてくれるのを暗やみのうちに待つという、あのおもしろい古くからの子供の習慣を、彼はその時思い出した。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
調べて見ると、外出着もちゃんと揃っているし、
履物
(
はきもの
)
も一足も紛失してはいない。まさか若い女がはだしで外出したとは思われぬ。
恐怖王
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
しかたがないので、仲間がその
履物
(
はきもの
)
を拾い上げて、ふところへ入れたとき、さむらいのすがたは、もう人をかきわけて消えていた。
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
と、すぐ次の小部屋の
襖
(
ふすま
)
の下で、お幸のすすり泣きの声が聞えていたのである。弥兵衛老人は、もう
履物
(
はきもの
)
の上に片脚を下ろしていたが
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「私でございました。
内儀
(
おかみ
)
さんが昨夜から居ないといふのに、藏の戸前の外に、内儀さんの
履物
(
はきもの
)
がキチンと揃へて脱いでありましたので」
銭形平次捕物控:197 罠に落ちた女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
“履物”の解説
履物(はきもの)は、足に着用されるものの総称。靴、ブーツ、下駄など。履物の下に靴下やストッキングを着用することもある。
(出典:Wikipedia)
履
常用漢字
中学
部首:⼫
15画
物
常用漢字
小3
部首:⽜
8画
“履物”で始まる語句
履物屋