“將(は)” の例文
新字:将
たとひ漢語の詩を作るとも洋語の詩を作るとも將(は)たサンスクリツトの詩を作るとも日本人が作りたる上は日本の文學に相違無之候。
歌よみに与ふる書 (旧字旧仮名) / 正岡子規(著)
思へば戀てふ惡魔に骨髓深く魅入(みい)られし身は、戀と共に浮世に斃れんか、將(は)た戀と共に世を捨てんか、擇(えら)ぶべき途(みち)只〻此の二つありしのみ。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
痴人(ちじん)夢(ゆめ)を説(と)く、されど夢(ゆめ)を見(み)て自(みづか)ら悟(さと)るは必(かなら)ずしも痴人(ちじん)にあらざる可(べ)し。余(よ)は現今(げんこん)に於(おい)ても、將(は)た未來(みらい)に於(おい)ても、七福(しちふく)の來(きた)る可(べ)きを信(しん)ずる能(あた)はず。
命の鍛錬 (旧字旧仮名) / 関寛(著)
彼が文と術とに應用し得たるものは造化に似て造化にあらず。その事實とも見え、試驗の結果とも見え、將(は)た眞ともおもはれしは即是れ個想なり。
柵草紙の山房論文 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
〔我は〕我はたゞわが靈魂のみにて天に昇れるか、將(は)た肉體と共にありてしかせるか(コリント後、一二・三參照)
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
是等は玩弄品(ぐわんろうひん)か裝飾品か將(は)た貨幣(くわへい)の如き用を爲せし物(もの)か容易(ようゐ)に考定(かうてい)する事能はずと雖も、石鏃(せきぞく)本來の用及ひ主要(しゆゑう)の用は、此所に掲(かか)げたる名稱(めいせう)の意味(いみ)する通り
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
あゝ思慮(しりよ)、知識(ちしき)、解悟(かいご)、哲學者(てつがくしや)の自若(じゝやく)、夫(そ)れ將(は)た安(いづく)にか在(あ)ると、彼(かれ)は只管(ひたすら)に思(おも)ふて、慙(は)ぢて、自(みづか)ら赤面(せきめん)する。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
予(われ)將(は)た汝等(おぬしら)の確執(なかたがひ)を等閑(なほざり)に視過(みすご)したる罪(つみ)によって、近親(うから)を二人(ふたり)までも失(うしな)うた。御罰(ごばつ)に漏(も)れたる者(もの)はない。
それが幾時間後(いくじかんご)か將(は)た幾日後(いくにちご)に實現(じつげん)するかを知(し)るのは更(さら)に研究(けんきゆう)が進(すゝ)まねば解決(かいけつ)出來(でき)ないことゝ考(かんが)へる。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
姑(しうと)微笑(ほゝゑ)みて、時(とき)に起(お)きて座(ざ)に跪坐(ついゐ)たる婦(をんな)を顧(かへり)みて曰(い)ふ、お前(まへ)教(をし)へてお上(あ)げと。婦(よめ)、櫛卷(くしまき)にして端坐(たんざ)して、即(すなは)ち攻守(こうしゆ)奪救(だつきう)防殺(ばうさつ)の法(はふ)を示(しめ)す。積薪(せきしん)習(なら)ひ得(え)て、將(は)た天(あめ)が下(した)に冠(くわん)たり。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
あし分船(わけぶね)のさはり多(おほ)き世(よ)なればこそ親(おや)にゆるされ世(よ)にゆるされ彼(かれ)も願(ねが)ひ此(これ)も請(こ)ひよしや魔神(ましん)のうかゞへばとてぬば玉(たま)の髮(かみ)一筋(ひとすぢ)さしはさむべき間(ひま)も見(み)えぬを若(もし)此縁(このゑにし)結(むす)ばれずとせばそは天災(てんさい)か將(は)た地變(ちへん)か。
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
野の原に、將(は)た水(みづ)の面(も)にただよひわたる
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
かがなべて、將(は)た歳を、宮遷(うつ)らしき。
新頌 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
膿(うな)沸きぬ。將(は)たたゆたひぬ
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
北湖先生は凡兆の句によつて悟入されたり。大兄が同じく凡兆の句より悟入するも、將(は)た去來の句よりするも其角の句よりするも、嵐雪よりするも、許六よりするも其は御隨意なり。但し大兄の句が客觀趣味に缺如する處多きも事實なり。御工夫を
俳諧師 (旧字旧仮名) / 高浜虚子(著)
日は既に暮れ果てて、朧げながら照り渡る彌生(やよひ)半(なかば)の春の夜の月、天地を鎖す青紗の幕は、雲か烟か、將(は)た霞か、風雄のすさびならで、生死の境に爭へる身のげに一刻千金の夕かな。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
われはこれを讀みて、違へるものゝ我が意なるか、將(は)た逍遙子の意なるかを疑へり。夫れ逍遙子が能立の沒理想は一語數義なりしこと、その能立の「ドラマ」の一語數義なるが如し。
柵草紙の山房論文 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
領主 暫時(しばらく)叫喚(けうくわん)の口(くち)を閉(と)ぢよ、先(ま)づ此(この)疑惑(ぎわく)を明(あきら)かにして其(その)源流(げんりう)を取調(とりしら)べん。然(しか)る後(のち)、われ將(は)た卿等(おんみら)の悲歎(なげき)を率(ひき)ゐて、敵(かたき)の命(いのち)をも取遣(とりつか)はさん。先(ま)づそれまでは悲歎(ひたん)を忍(しの)んで、此(この)不祥事(ふしゃうじ)の吟味(ぎんみ)を主(しゅ)とせい。
かがなべて、將(は)た歳(とし)を、宮遷らしき。
新頌 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
生くといひ、將(は)た死ぬといふ
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
吁、人は空名の爲に生れたるか、將(は)た行樂せんが爲に生れたるか。果して然らば是れ夸父(くわふ)日を追ふの痴を學ぶにあらざれば、禽獸草木と其命を等しうせんとするものなり。予甚だ之に惑ふ。
人生終に奈何 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
さればわれ將(は)たいかにしてかその無きものを見出し得べき。
柵草紙の山房論文 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
國興り、將(は)た滅び、また代々(よよ)ありき。
新頌 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
かくて將(は)た蹈めりといふか
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
吁、人生終に奈何。將(は)た人は只〻死するが爲に生れたるか。
人生終に奈何 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
將(は)た音もなきさまながら
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)