)” の例文
旧字:
及ばずながら常に男子に後援たらんとせしにほかならず、かの男子と共に力を争い、た功を闘わさんなどは妾の思いも寄らぬ所なり。
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
海をも山をも原野をもた市街をも、我物顔に横行濶歩して少しも屈托せず、天涯地角到る処に花のかんばしきを嗅ぎ人情の温かきに住む
空知川の岸辺 (新字旧仮名) / 国木田独歩(著)
これ神を恐れず、人を恐れず、諸有あらゆる世の美徳を罵り尽せし、惨酷なる、た、勇敢なる、反抗と汚辱との石像に非ずして何ぞ。
夜あるき (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
たとひ漢語の詩を作るとも、洋語の詩を作るとも、たサンスクリツトの詩を作るとも、日本人が作りたる上は日本の文学に相違無之候。
歌よみに与ふる書 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
六、虎か人か亡霊かた油紙か。族長カボラルの物語にたがわず、翌日の夜中ごろからこの不吉な小屋はおいおいとその本領を発揮することになった。
或人の超凡的直覚が単に空想であるか、た真に実在の直覚であるかは他との関係即ちその効果如何いかんに由って定まってくる。
善の研究 (新字新仮名) / 西田幾多郎(著)
恩師の食道楽に感化された乎、天禀てんぴんの食癖であった乎、二葉亭は食通ではなかったが食物くいもの穿議せんぎがかなりやかましかった。
二葉亭余談 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
イヤ其の様なお説教は今更貴方から受けるには及びません、茲で差し当りの問題は秀子が貴方の物かた私の物かと云うを
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
しかれども井伊大老すでに彼を死地しちかんとす、それた何の益有らん。彼はここにおいて死せざるべからざるを知り、死を待てり、死に安んぜり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
「死者は知ることありや? た知ることなきや?」死後の知覚の有無、あるいは霊魂れいこんの滅不滅についての疑問である。孔子がまた妙な返辞をした。
弟子 (新字新仮名) / 中島敦(著)
日本には外交の憂患すくなし、故に平和協会の必要を見ずと云ふ論者多し、これた一種の攘夷論者にあらざらんや。
一種の攘夷思想 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
ああ思慮しりょ知識ちしき解悟かいご哲学者てつがくしゃ自若じじゃく、それいずくにかると、かれはひたすらにおもうて、じて、みずか赤面せきめんする。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
此時リツプが呆れ加減は、極端に達しました。かれは自分が果して自分だか、た他人だかと疑ひ始めました。
新浦島 (新字旧仮名) / ワシントン・アーヴィング(著)
た敬虔なる順礼の心を以て、日本アルプスという厳粛なる自然の大伽藍に詣でる人々のために、同地にある美しい森林の濫伐に関して、公開状を提出する。
上高地風景保護論 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
な巧みそ歌に遊ぶと、早や選りそことのをかしと。心にぞはじめて満ちて、匂ひるそのほかならし。遊びつつたや忘れよ、そのいのちいのちとをせよ、穂積ほづみきよし
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
幾分安堵あんどおもいをなし、室内に閑居かんきょするにいたるや、予が意気豪ならざる故といわんか、た人情の免れざる所ならんか、今まではいとまなくて絶えて心に浮ばざりし事も
彼はこの世に一人の宮を得たるが為に、万木一時いちじに花を着くる心地して、さきの枯野に夕暮れし石も今た水にぬくみ、かすみひて、長閑のどかなる日影に眠る如く覚えけんよ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
たった一度の裁判に本事件の如き刑事裁判始まって以来の屈指の難事件に当ったのは彼の不幸かた幸か。加うるに本件の告発者たる神楽坂署長庄司氏は年来の旧知である。
支倉事件 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
やゝもすれば記憶から逸し易く、故人の功績を伝へる意味からも、たまた、日本新劇運動史の頁を飾る上からも、速かに之を完全な記録として整理保存する機関を設けられたい。
偉大なる近代劇場人 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
と云う考えだから、私の主義は思想シンキングフォーワ思想シンキングでもなけりゃ芸術アートフォーワ芸術アートでもなく、また科学サイアンスフォーワ科学サイアンスでもない。人生の為の思想、人生の為の芸術、た人生の為の科学なのだ。
私は懐疑派だ (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
これそもそも人心の奇を好むによるかたその間必然の理勢ありて存するか流行の勢は滔々とうとうとして氾濫の力をたくましくし下土を水にし陵谷をべきにし天下を挙げて深淵に溺没せざるものは幾稀矣ほとんどまれなり
史論の流行 (新字旧仮名) / 津田左右吉(著)
いづくんぞ敵あるを知らんや、電光影裡えいりに春風をるものは、人意かた天意か
人生 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
河内の山脈を牆壁しょうへきとして自然の守りをなし、山陰山陽の両道は、四国九州の海陸路をここに結んで、四通八達の関門をなし、まさに、天下第一城の地として、たまた、天下に号令するところとして
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ただしこれら諸種の心性、本来人に豢われるに適せずしてしかるか、た人が馬と驢を飼いならすに、幾久しく辛抱強く力を尽くしたが、他の諸種には尽力が足りなくって、かくのごときかは一疑問だ。
事既に追うなし。ゆるともなんぞ及ばん。
牡丹灯籠 牡丹灯記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
いだきぬ、触れぬ、燃えなす願ひよ、
いまた誰れをかとがめ、かつ怨まんや。
留魂録 (新字旧仮名) / 吉田松陰(著)
た白眼を以て視るだろうか。
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
都にもた田舎にも。
織工 (新字新仮名) / 根岸正吉(著)
これらは流俗に雷同してその可否を研究せざるにもよるべく、た俳句に得たる趣味を総ての上に一貫せしむる事を思はぬにもよるべし。
病牀六尺 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
爾来じらい東京に大阪にた神戸に、妾は表面同志として重井と相伴い、演説会に懇親会に姿を並べつ、その交情日と共にいよいよかさなり行きぬ。
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
その結果がビフテキ主義となろうが、馬鈴薯じゃがいも主義となろうが、厭世えんせいの徒となってこの生命をのろおうが、決して頓着とんじゃくしない!
牛肉と馬鈴薯 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
病気のためにも病床の慰みにもまた死後のはかりごとの足しにもならないこういう高価の大辞典を瀕死の間際まぎわに買うというは世間に余り聞かないはなし
秘密其の者かた秘密を明らかにする証拠物とか参考品とか云う様な物が有るに違いない、何かして中へ入って見たい。
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
宗教に哲学に、た文学に、国民は常に其耳を傾けてあるなり、而して「時代」なる第二の造化翁は国民を率ゐて、その被造物なる巨人の説教を聞かしむるなり。
宮の悔、宮の恨、宮のなげき、宮のかなしみ、宮のくるしみ、宮のうれひ、宮が心のやまひ、宮が身の不幸、ああつひにこれ宮が一生の惨禍! 彼の思は今たこのあはれむに堪へたる宮が薄命の影を追ひて移るなりき。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
ややに安んぜんとするを、造化はなお生意気なまいきなりと思いしか、たまたさらに予をこころみんとてか、今回は趣向を変えて、極めて陰険なる手段を用いジリジリ静かに攻め来りたり、そは他にあら
眼を改めてみれば、今までて来た事は夢かうつつか……と怪しまれる。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
小童がきらかよ末は名すらも忘れつと兵あと言はずたや忘れし
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
「インスピレーション」とは人意かた天意か
人生 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
事既に追うなし。悔ゆともなんぞ及ばん。
牡丹灯記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
恋人かいもとか。うるはしき秋のさかえ
「和睦か、た、決戦か」
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
我れ今まで薬袋やくたいもなき小説を油汗にひたりて書き来りしが、これよりはた如何にすべき、我が筆は誠におさなし
二葉亭四迷の一生 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
成るく彼れの言葉を切縮きりちゞめさせんと思う如く、た感心する如くに「其通り、其通り」と軽く頷首うなず
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
下婢かひと書生の三人暮しにていよ/\世間婦人の常道を歩み始めんとの心構こゝろがまへなりしに、事実は之に反して、重井おもゐは最初せふに誓ひ、た両親に誓ひしことをも忘れし如く
母となる (新字旧仮名) / 福田英子(著)
俳諧の斬新は幾何か連歌の陳腐にまさりたるを感じたるなるべく、た彼の歌として伝ふる所の
古池の句の弁 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
情熱を欠きたる純潔は自から無邪気なる記載に止りて、た又た詩的の変化を現じ難し。
情熱 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
機械とはたやしづけき鉄削る旋盤のかくもいろひ澄みつつ
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
王侯将相よりも文豪の尊敬される欧羅巴ヨーロッパならとっくに日本の名蹟とし東京の名誉とした飯田町の誇りとして手厚く保管し、金石にろくして永久に記念されべきはずであるが