“諸有”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
あらゆ60.0%
あらゆる40.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
私は人がよく後指うしろゆびさしていやがる醜い傴僂や疥癬掻ひつッかきや、その手の真黒な事から足や身体中はさぞかしと推量されるように諸有あらゆる汚い人間
夏の町 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
これ神を恐れず、人を恐れず、諸有あらゆる世の美徳を罵り尽せし、惨酷なる、た、勇敢なる、反抗と汚辱との石像に非ずして何ぞ。
夜あるき (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
貫通車の三等室、東京以北の諸有あらゆる国々の訛を語る人々を、ぎつしりと詰めた中に、二人は相並んで、布袋の様な腹をした忠太と向合つてゐた。
天鵞絨 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
不図渠は、諸有あらゆる生徒の目が、諄々くどくどと何やら話し続けてゐる校長を見てゐるのでなく、渠自身に注がれてゐるのに気が付いた。いつもの事ながら、何となき満足が渠のこころを唆かした。
足跡 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)