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奧深
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おくふか
路に
門あり、
門内兩側に
小松をならべ
植ゑて、
奧深く
住へる
家なり。
主人は、
巣鴨邊の
學校の
教授にて
知つた
人。
其處で
僕は
昨日チエホフの『ブラツクモンク』を
讀さして
思はずボズさんの
事を
考へ
出し、
其以前二人が
溪流の
奧深く
泝つて「やまめ」を
釣つた
事など
一人は
妻なるべし
對するほどの
年輩にてこれは
實法に
小さき
丸髷をぞ
結ひける、
病みたる
人は
來るよりやがて
奧深に
床を
敷かせて、
括り
枕に
頭を
落つかせけるが
宮苑の
奧深くお
氣に
入りの
嬪妾や
嬖臣達を
相手に
日もす
夜もす
麻雀に
耽り
樂しんでゐたと
言ふ。
夢も通はぬ
遠つぐに、
無言の
局奧深く
あれ三ちやんで
有つたか、さても
好い
處でと
伴なはれて
行くに、
酒やと
芋やの
奧深く、
溝板がた/\と
薄くらき
裏に
入れば、三
之助は
先へ
驅けて、
父さん、
母さん
米價はその
頃も
高値だつたが、
敢て
夜討ちを
掛ける
繪圖面ではないのであるが、
町に
向つて
檜の
木戸、
右に
忍返しの
塀、
向つて
本磨きの
千本格子が
奧深く
靜まつて
歸れ、
何處へでも
歸れ、
此家に
恥は
見するなとて
父は
奧深く
這入りて、
金は
石之助が
懷中に
入りぬ。
其處へですよ、
奧深く
居て
顏は
見せない、
娘の
哥鬱賢から、
妼が
一人使者で
出ました……
車は
八百膳に
止まりて
人は
奧深く
居るを、
憎くさげな
評いふて
見送るもあり、
唯大方にお
立派なといひて
行過ぐるも
有しが、
美尾はいかに
感じてか、
茫然と
立ちて
眺め
入りし
風情