奧深おくふか)” の例文
新字:奥深
みちもんあり、門内もんない兩側りやうがは小松こまつをならべゑて、奧深おくふかすまへるいへなり。主人あるじは、巣鴨すがもへん學校がくかう教授けうじゆにてつたひと
弥次行 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
其處そこぼく昨日きのふチエホフの『ブラツクモンク』をよみさしておもはずボズさんのことかんがし、その以前いぜん二人ふたり溪流たにがは奧深おくふかさかのぼつて「やまめ」をつたことなど
都の友へ、B生より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
一人ひとりつまなるべしつゐするほどの年輩ねんぱいにてこれは實法じつぱふちひさき丸髷まるまげをぞひける、みたるひとるよりやがて奧深おくふかとこかせて、くゝまくらつむりおちつかせけるが
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
宮苑きうゑん奧深おくふかくおりの嬪妾ひんせう嬖臣達へいしんたち相手あひてもすもす麻雀マアジヤンふけたのしんでゐたとふ。
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
これ普通ふつう塲所ばしよなら、かゝる死地しちちても、鐵車てつしやをば此處こゝ打棄うちすてゝ、そのだけまぬが工夫くふういでもないが、千山せんざん萬峰ばんぽう奧深おくふかく、數十里すうじふり四方しほうまつた猛獸まうじう毒蛇どくじや巣窟さうくつで、すで此時このとき數十すうじふ獅子しゝ
夢も通はぬとほつぐに、無言しゞまつぼね奧深おくふか
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
八重立つ雲の奧深おくふか
花守 (旧字旧仮名) / 横瀬夜雨(著)
あれ三ちやんでつたか、さてもところでとともなはれてくに、さかやといもやの奧深おくふかく、溝板どぶいたがた/\とうすくらきうられば、三すけさきけて、とゝさん、かゝさん
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
米價べいかはそのころ高値たかねだつたが、あへ夜討ようちをける繪圖面ゑづめんではないのであるが、まちむかつてひのき木戸きどみぎ忍返しのびがへしのへいむかつて本磨ほんみがきの千本格子せんぼんがうし奧深おくふかしづまつて
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
かへれ、何處どこへでもかへれ、此家このやはぢするなとてちゝ奧深おくふか這入はいりて、かね石之助いしのすけ懷中ふところりぬ。
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
其處そこへですよ、奧深おくふかかほせない、むすめ哥鬱賢こうつけんから、こしもと一人ひとり使者つかひました……
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
くるま八百膳やをぜんまりてひと奧深おくふかるを、くさげなひよういふて見送みおくるもあり、たゞ大方おほかたにお立派りつぱなといひてゆきぐるもありしが、美尾みをはいかにかんじてか、茫然ぼんやりちてながりし風情ふぜい
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)