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堪忍
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かんにん
ふりがな文庫
“
堪忍
(
かんにん
)” の例文
スタニスラウスは先づ心配げな顔に、
堪忍
(
かんにん
)
の表情を蓄へられる丈蓄へて、矢張さつきの肩の運動を繰り返して、溜息を衝いて云つた。
祭日
(新字旧仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
されば川島未亡人も三十年の辛抱、こらえこらえし
堪忍
(
かんにん
)
の水門、夫の棺の
蓋
(
ふた
)
閉ずるより早く、さっと押し開いて一度に切って流しぬ。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
捨て、ただ人さまの為になろうとして、思い切っての大仕事——すでに、お上すじとのお約束もあり、こればかりは
堪忍
(
かんにん
)
して貰いたい
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
揚句
(
あげく
)
の
果
(
はて
)
は
踏張
(
ふんばり
)
の
栓
(
せん
)
が一度にどっと抜けて、
堪忍
(
かんにん
)
の陣立が
総崩
(
そうくず
)
れとなった。その晩にとうとう生家を飛び出してしまったのである。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
汝
(
おぬし
)
が
堪忍
(
かんにん
)
ならん! はれやれ、
汝
(
おぬし
)
は
來賓中
(
らいひんちゅう
)
に
大鬪爭
(
おほげんくわ
)
を
起
(
おこ
)
させうぞよ!
大騷動
(
おほさうどう
)
を
爲出來
(
しでか
)
さうわい! えゝ、
汝
(
おぬし
)
のやうなのが、その!
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
▼ もっと見る
「あなたも遊びざかりをつらかろう。しかしご奉公です。むずかしいことばかり注文する老人だと思って、まあまあ、
堪忍
(
かんにん
)
するさ」
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
打
(
うち
)
ければ
額
(
ひたひ
)
より
血
(
ち
)
流
(
なが
)
れけるに四郎右衞門今は
堪忍
(
かんにん
)
成難
(
なりがた
)
しと思へども其身
病勞
(
やみつかれ
)
て居るゆゑ
何共
(
なにとも
)
詮方
(
せんかた
)
なく無念を堪へ
寥々
(
すご/\
)
とこそ歸りけれ
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
ただしは誰人かに新しく
堪忍
(
かんにん
)
の徳を教えられてそれを思い出したから、ここが我慢のしどころと観念しているのかも知れません。
大菩薩峠:18 安房の国の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
ずっと前から……何しろ排日は大正からはじまって、もう二十年になるんですからね。
堪忍
(
かんにん
)
袋も、これじゃ切れるのが当然ですよ
いやな感じ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
「どうぞ
堪忍
(
かんにん
)
して頂戴、咲ちゃん!」朝起きると、夜寝る迄時をかまわず、彼女は息子の前にお辞儀をしては、涙をこぼした。
日は輝けり
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
つけたまえね、しかしこのくらいやっつけたら二度と悪いことはしまいから
堪忍
(
かんにん
)
してやれ、
可哀
(
かわい
)
そうに、おいチビ、改心しろよ
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
私はそれで貴方に
赦
(
ゆる
)
された積で喜んで死にますから。貴方もどうぞそれでもう
堪忍
(
かんにん
)
して、今までの恨は
霽
(
はら
)
して下さいまし、よう、貫一さん。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
「おとうさんを助けてくださいませ! もし、おとうさん、あやまってください、お
武家
(
ぶけ
)
さま、
堪忍
(
かんにん
)
してあげてくださいませ」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
堪忍
(
かんにん
)
して堪忍してと繰返し繰返し、さながら目の前の何やらに向つて
詫
(
わび
)
るやうに言ふかと思へば、今
行
(
ゆき
)
まする、今行まする
うつせみ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
守っているなんて、感心だとお思いになりませんこと?ねえ、お願いですから、あの熱心に免じて
堪忍
(
かんにん
)
してやって下さいまし
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
(中略)昨今のところでは何事も
堪忍
(
かんにん
)
に堪忍、他日の勝利を期するのみにて
只管
(
ひたすら
)
愚となり、変物となり居り
候
(
そろ
)
。(後略)
新らしき祖先
(新字旧仮名)
/
相馬泰三
(著)
帰ったら私がよく言い聞かせてやりますから、どうぞ気を悪くなさらないで、
堪忍
(
かんにん
)
してやってくださいね。元来はおとなしい性質なのですからね。
出家とその弟子
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
「ジャンケンなんかしなくっても、村川さんが先に見つかったんだよ。じゃ、
堪忍
(
かんにん
)
してやらあ。村川さん、鬼だよ。」
第二の接吻
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
「そうとはちっとも気がつかなかった。豊、
堪忍
(
かんにん
)
してくれ、お父さんが二度目のお母さんを
家
(
うち
)
へ入れたのが悪かった」
塵埃は語る
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
「
堪忍
(
かんにん
)
しておくんなさい。
道
(
みち
)
ッ
端
(
ぱた
)
ではお
目
(
め
)
にかけねえようにと、こいつァ
妹
(
いもうと
)
からの、
堅
(
かた
)
い
頼
(
たの
)
みでござんすので。……」
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
▲話は
一向
(
いっこう
)
纏
(
まと
)
まらないが
堪忍
(
かんにん
)
して下さい。御承知の
通
(
とおり
)
、私共は
団蔵
(
だんぞう
)
さんを
頭
(
あたま
)
に、
高麗蔵
(
こまぞう
)
さんや
市村
(
いちむら
)
(
羽左衛門
(
うざえもん
)
)と東京座で『四谷怪談』をいたします。
薄どろどろ
(新字新仮名)
/
尾上梅幸
(著)
“春生、
堪忍
(
かんにん
)
してくれ……俺はもう奴等の邪道に我慢が出来ないのだ。俺は誰が何と云おうがやっつける……これはお前や
路三
(
ルサン
)
の仕返しだけではない。
雲南守備兵
(新字新仮名)
/
木村荘十
(著)
それですものどうぞ
堪忍
(
かんにん
)
してちょうだい。思いきり泣きたい時でも知らん顔をして笑って通していると、こんなわたしみたいな気まぐれ者になるんです。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
「まあ
堪忍
(
かんにん
)
してくれたまえ。私はひどくぼんやりしているのだから」と、こう言って、彼は涙ぐんでいました。
世界怪談名作集:15 幽霊
(新字新仮名)
/
ギ・ド・モーパッサン
(著)
どっち
路
(
みち
)
、
嬉
(
うれし
)
くない事は知れていますがね、前のは、
先
(
ま
)
ず先ずと我慢が出来る、
後
(
あと
)
のは、
堪忍
(
かんにん
)
がなりますまい。
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
堪忍
(
かんにん
)
強い父は黙って森彦叔父の
鞭韃
(
むち
)
を受けた。この叔父の癖で、言葉に力が入り過ぎるほど入った。それを聞いていると、お俊は
反
(
かえ
)
って不幸な父を
憐
(
あわれ
)
んだ。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「お父さん。私も一緒に
牢屋
(
ろうや
)
へ行きます。死刑になる運命なら、私も一緒に死にます。どうか
堪忍
(
かんにん
)
して下さい」
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「
堪忍
(
かんにん
)
してくれ! 堪忍してくれ! 俺が悪かった! 俺が悪かった! ……山吹! 山吹! 堪忍してくれ」
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
私が誠に悪う御在ましたから
堪忍
(
かんにん
)
して下さいと
御辞儀
(
おじぎ
)
をして謝ったけれども、心の中では謝りも何もせぬ。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
民子は母の枕元近くへいって、どうか私が悪かったのですから
堪忍
(
かんにん
)
して……と両手をついてあやまった。
野菊の墓
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
堪忍
(
かんにん
)
……堪忍してくれ……おおっ。太郎……太郎太郎。お父さんが……お父さんが悪かった。モウ……もう決して、お父さんは線路を通りません……通りません。
木魂
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
そのほかにも、私はほとんどそれが天命でもあるかのように、お慶をいびった。いまでも、多少はそうであるが、私には無智な
魯鈍
(
ろどん
)
の者は、とても
堪忍
(
かんにん
)
できぬのだ。
黄金風景
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「
坊
(
ぼっ
)
ちゃん、わたしが
悪
(
わる
)
かったのですから、どうか
堪忍
(
かんにん
)
してくださいね。」と、
彼女
(
かのじょ
)
はいいました。
遠方の母
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
何
(
なん
)
でも
堪忍
(
かんにん
)
をしなければいけんぞ、堪忍の
忍
(
にん
)
の字は
刃
(
やいば
)
の下に心を書く、一ツ動けばむねを斬るごとく何でも
我慢
(
がまん
)
が
肝心
(
かんじん
)
だぞよ、奉公するからは主君へ上げ置いた身体
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「どうもまことに
相
(
あい
)
すみません。実はこの
旦那
(
だんな
)
の気味悪がるのがおもしろかったものですから、つい調子に乗って
悪戯
(
いたずら
)
をしたのです。どうか旦那も
堪忍
(
かんにん
)
してください。」
河童
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
しかし、ただ
助
(
たす
)
けるというのが
業腹
(
ごうはら
)
にお
思
(
おも
)
いなら、こうしましょう。この男を
今日
(
きょう
)
から
侍
(
さむらい
)
をやめさせて、わたしの
弟子
(
でし
)
にして、
出家
(
しゅっけ
)
させます。それで
堪忍
(
かんにん
)
しておやりなさい。
葛の葉狐
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
今日政宗の
体
(
てい
)
、大納言殿御
ン
屋にて無く候はば、まんをも
仕
(
つかまつ
)
られ申すべく候、又飛騨守殿も少も/\左様の事
堪忍
(
かんにん
)
これなき仁にて、事も出来申候事も之有るべく候へども
云々
(
うんぬん
)
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
お前のみみを
一寸
(
ちょっと
)
かじるじゃ。なまねこ。なまねこ。こらえなされ。お前のあたまをかじるじゃ。むにゃ、むにゃ。なまねこ。
堪忍
(
かんにん
)
が大事じゃぞえ。なま……。むにゃむにゃ。
蜘蛛となめくじと狸
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
諏訪 そうかもしれない、何故だかわからないけど、やっぱり、あなた達に、あやまらなければならない気がするわ、もしも、母さんが、いけないと思ったら、
堪忍
(
かんにん
)
して頂戴。
華々しき一族
(新字新仮名)
/
森本薫
(著)
... 荒ごなしどころか折々はまるのままで送ってよこす事もあるからツイ
喧嘩
(
けんか
)
も始めるようなものさ。今朝の
雑煮餅
(
ぞうにもち
)
だって随分荒ごなしだったゼ」胃吉「あれは
堪忍
(
かんにん
)
してもらいたい。 ...
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
「何て聲でせう。ひどく苦しいのなら、
堪忍
(
かんにん
)
して出して上げるけれど、この人は、たゞ私たちを呼び寄せようと思つたのよ。私は、ちやんと、この人の
狡
(
ずる
)
い計略を知つてるわ。」
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
衆人これを聴いて大いに
慙
(
は
)
じ入り、会飲の
後
(
のち
)
将軍を取り囲みその舎を焼かんとす。いわく婦女嫁入り前に必ずすべて汝に辱しめらるるはどうも
堪忍
(
かんにん
)
ならぬ故、汝を焼き殺すべしと。
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
「——あなたに御不自由をおさせ申して済みません、どうぞ
堪忍
(
かんにん
)
して下さいまし」
醜聞
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
堪忍
(
かんにん
)
しとくれ! 父さんが
心得
(
こころえ
)
違いをしたばっかりに何にも知らないお前にまで苦労をさせて、ほんとうに済まない。だけどねふみ子、お父さんはいつまでもこんなに貧乏してはいないよ。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
顔に似合わぬ悪体を
吐
(
つ
)
きながら、
起上
(
たちあが
)
ッて
邪慳
(
じゃけん
)
に障子を
〆
(
しめ
)
切り、再び机の
辺
(
ほとり
)
に坐る間もなく、折角〆た障子をまた開けて……
己
(
おの
)
れ、やれ、もう
堪忍
(
かんにん
)
が……と振り反ッてみれば、案外な母親。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
「どうぞ
堪忍
(
かんにん
)
してやつて下さいましよ。
親爺
(
おやぢ
)
やお酒をくらつて居るんでさ」
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
おしお、
堪忍
(
かんにん
)
してくれ、俺はこういうやくざな臆病者に生れついたのだ!
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
それでも少年はわたしを縁日筋を
距
(
さ
)
けて病院まで送り届けて呉れた。わたしは少年に送り届けられる無言の道中のうち何度か「時春さん
堪忍
(
かんにん
)
してね」といい度かったが、ついに口に出し得なかった。
美少年
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
……(涙をふく)神さま、ああ神さま、どうぞお慈悲で、この罪ぶかい女をお
赦
(
ゆる
)
しくださいまし! この上の罰は、
堪忍
(
かんにん
)
してくださいまし! (ポケットから電報を出して)今日、パリから来たの。
桜の園
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
「播磨はあとで厳しゅう叱ります。まあ
堪忍
(
かんにん
)
して引いてくだされ」
番町皿屋敷
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
“堪忍”の意味
《名詞》
堪 忍(かんにん)
怒りをこらえ、人の過ちを許すこと。勘弁。
(古)不利な状況や困難な状況にも堪えて、我慢すること。
(古)経済力、生活費。
(出典:Wiktionary)
堪
常用漢字
中学
部首:⼟
12画
忍
常用漢字
中学
部首:⼼
7画
“堪忍”で始まる語句
堪忍袋
堪忍分
堪忍嚢