“咎:とが” の例文
“咎:とが”を含む作品の著者(上位)作品数
吉川英治60
中里介山35
芥川竜之介29
泉鏡花26
岡本綺堂20
“咎:とが”を含む作品のジャンル比率
文学 > 日本文学 > 小説 物語11.3%
文学 > 日本文学 > 評論 エッセイ 随筆1.5%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
姫のとがは、姫が贖う。此寺、此二上山の下に居て、身の償い、心の償いした、と姫が得心するまでは、還るものとは思やるな。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
【罪も恥も】前者は夢をまことと信ず、とが無智にあり、後者は自ら眞と信ぜずして虚榮の爲に眞なりといふ、咎惡意にあり
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
ゆえに支那にて士人の去就を自在にすれば聖人に称せられ、日本にて同様の事を行えば聖人の教に背くとて、これをとがむべし。
徳育如何 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
かくのごとく、人たる者の分限を誤らずして世を渡るときは、人にとがめらるることもなく、天に罪せらるることもなかるべし。
学問のすすめ (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
そもそも内行の不取締は法律上における破廉恥はれんちなどとは趣をことにして、直ちにとがむべき性質のものにあらず。
日本男子論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
ふと、泣き疲れて見上げた目に、お母さんの淋しそうな、涙にうるんだ視線で、やさしく僕をとがめている顔が映ったのだった。
二十歳のエチュード (新字新仮名) / 原口統三(著)
「ただに冬とのみ戦ってきたのだとは言えまい」と、彼も子供の顔を見た刹那せつなに、自分の良心がとがめられる気がした。
贋物 (新字新仮名) / 葛西善蔵(著)
チュルゴー曰く、「汝はその火急をとがむ、しかれども余が血筋は五十以前概してろうを病んで死するを知らずや」と。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
夫人は起きた。夫人は深夜戸締とじまりをかってに開けて入って来た闖入者ちんにゅうしゃとがめずにはいられなかった。
一握の髪の毛 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
座敷のあかりで見る時のあどけなさや可愛さはどこへかやって、ひどく自分たちの権利でも侵されたように、眼をとがめ立てて、
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「人違いするな。わしはこの辺りの舟芸人じゃ。申楽師さるがくしの雨露次という者。なんのとがで、こうとなさるか」
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
五郎右衛門の居眠りも、兵庫の無遠慮も、石舟斎は、これがありのままの若者と、許しているかのように、とがめもしなかった。
剣の四君子:02 柳生石舟斎 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかし後代の人々はいつかラツサアレも言つたやうに、「我々の過失をとがめるよりも我々の情熱をりやうとするであらう。」
かう云ふと、切支丹きりしたん宗門の信者は、彼等のパアテルをひるものとして、自分をとがめようとするかも知れない。
煙草と悪魔 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
が、初めてそうした世間並の挨拶をしたことが、まったく利己的な安心から出ていることを思うと、少なからず気がとがめた。
青木の出京 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
戸波研究所を立出でた青年は、私服しふく憲兵との間に、話がついていたのでもあろうか、別にとがめられる風もなかった。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
實はわつしも内々は氣がとがめて、なんだか寢ざめが好くなかつたのだから、その罪ほろぼしに出來るだけ遣つてみませうよ。
権三と助十 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
「おい、御新造様ごしんさま、先生は気が違ったぜ、なんのとがもねえわっしをお斬りなさろうと言うんだ、あ……危ねえ」
大菩薩峠:08 白根山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「なあに、おとがめがあるならばあれ、いやしくも人命を奪う植物をそのままには差置けぬ、罪はおれが着るから、貴様も手伝え」
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「拙者は離縁状だけは渡してまいりました。しかし相続人とてはなし、渡さぬからとて、女子どもにはおとがめもござりますまい」
四十八人目 (新字新仮名) / 森田草平(著)
しかし、彼をとがめている家臣や、この場のことを重大視している人々は、犬と人間の子の果し合いが問題ではないのである。
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その影を見ると、誰か、小さな跫音がバタバタと庫裡くりの方へ逃げて行ったが、とがめた僧は、後に残って、頭を下げていた。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「しかし絵の方はうらやましいようですな。公儀のおとがめを受けるなどということがないのはなによりも結構です。」
戯作三昧 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
いやたとえ一晩でも宿めて貰って、腹の中とは云え悪くいうは気がとがめる、もうつまらん事は考えぬ事と戸を締めた。
浜菊 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
したがって我々はおのおのその欲する時、欲するところに勝手にこの名を使用しても、どこからもとがめられる心配はない。
という理由で叱らない方針の学校が出来た。大抵の不良行為は、「自尊心を傷つける」という理由でとがめない中学校が出来始めた。
東京人の堕落時代 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
久しぶりでおとよも曇りのない笑いを見せながら、なお何となし控え目に内輪なるは、いささか気がとがむるゆえであろう。
春の潮 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
それがなんだか恥かしいような、気がとがめるような、おびえたような風にも見えたので、半七も畳みかけて冗談らしくこう云った。
半七捕物帳:04 湯屋の二階 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「そうですね」と、にっこりしたが、何だか躊躇ちゅうちょの色が見える。二人で行ったとて誰がとがめるものかと思う。
千鳥 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
最初は怖れていたお角も、むしろ人間並み以上の子供であったものだから、落着いてとがめ立てをする勇気が出ました。
大菩薩峠:18 安房の国の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
筒ツぽ袖には拭き尽せまじ……彼が積年の偽善の仮面めんをば深くなとがめそ、長二君とて木から生まれた男ではごんせぬ
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
三日の期限が切れたから、直ぐにお父様にとがめられるというわけではないけれど、あの刀は秘蔵の刀である故に、心配になります。
だから彼が、まるで黒いゴム風船のように、飄然ひょうぜんとこの屋上庭園に上ってきたとて、誰もとがめる人などありはしない。
(新字新仮名) / 池谷信三郎(著)
瑠璃子は、つぶやくように云った。が、それは美奈子をとがめているとうよりも、自分自身を咎めているような声だった。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
或は人あっていうかも知れない、手段に於て非であろうとも、その目的の革新的なる事に於て必ずしもとがめるをえないと。
二・二六事件に就て (新字新仮名) / 河合栄治郎(著)
成敗せいはい兵家へいかの常にしてもとよりとがむべきにあらず、新政府においてもその罪をにくんでその人を悪まず
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
しかし規則であるから、衛兵は銃剣を構えて「誰かッ」と一応とがめたが、大尉は何とも返事をしないで衛兵の前に突っ立っていた。
二階から (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
なんだかはしたないことをしたように気がとがめて、お綱は、きゃんにも似ず、その時、恥かしい気に責められもした。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
関羽の威風は、堂々たるものであった。劉焉は、一見して、これ尋常人に非ずと思ったので、その不遜ふそんとがめず、
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その以後、離京した者は、官吏服務規程に問われて、反則のとがをうけたが、真っ先に行った〓周だけは、何の問責もうけなかった。
三国志:12 篇外余録 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
クレエゲル名誉領事の息子にとっては、一方からいえば、そんなことをとがめ立てするのは、馬鹿げた下等なことのように思われた。
やがてその女性は、しずかに、――けれど底には女性特有のきびしい針をふくんだふるえ声で、こうとがめた。それはお縫であった。
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ははは。いかにも、そこまでは気がつきませんでした。これからは無造作にいたしまする。無礼をおとがめ下さいますな」
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
玄蕃允は、敗戦のとがを、ただ一身に責めているらしく、利家が動かぬことには、一言もふれず、ただ、次の希望を告げた。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「玄蕃のとがめだては止めい。万々、この勝家の不覚にほかならぬ。――それを聞くは、勝家として、身を責めらるるより辛う思う」
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それを蜂谷はちやという小姓こしょうが聞きとがめて、「おぬし一人がそう思うなら、撃ってみるがよい」と言った。
佐橋甚五郎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
そんな噂がきこえると、われわれもその邪教をおこなう者と見なされて、どんなおとがめをこうむるかも知れません。
その時牧がくみの事を度々たびたび聾者つんぼと呼んだのを、六歳になった栄次郎が聞きとがめて、のちまでも忘れずにいた。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
「そうかね、お前さん知らなかっただね」と年とった女中はいって、それから優しくとがめるような口調で言葉をついだ。
最後の胡弓弾き (新字新仮名) / 新美南吉(著)
先方はもうつい鼻の先までやって来ていて、こちらからとがめられるを待たず、先方から名乗って出たのは先手を打ったつもりらしい。
大菩薩峠:40 山科の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
さすがに自分でも気がとがめるとみえて、一回ごとに場処をかえては、前回の買手の襲撃を避け、同時に新しい犠牲者をさがしている。
人は誰もとがめないが、迂濶うかつにお寄越よこしはなさらない、大風で邪魔をするか、水で妨げるか、火で遮るか。
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
猫は眼をさまして此方を見たが、ちょっととがめるように鼻の上をしかめたきりで、また目を細くして寝てしまった。
されども銭を好むは人の天性なれば、その天性に従いて十分にこれを満足せしめんとするもけっしてとがむべきにあらず。
学問のすすめ (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
浅間丈太郎、田宮善助、徳島側の者も何事かと騒いで、捕手をはいして進んできた。そうして、口々にまたとがめた。
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
見ると、許〓きょちょが、狛犬こまいぬのように、剣をつかんで、番に立っている。とがめるのはもちろん彼である。
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
――すると誰か後ろでとがめた者があった。わしはあわてて泣き顔のやり場を失い、鍬を拾って檜林へ逃げ込もうとした。
茶漬三略 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
集まって来た同僚に、宗易をとがめた武士は、宗易の申し立てを、もっと悪意を加えた意味で、云々しかじかと告げた。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それらの行為は、たとい叛逆の意志がなかったとしても、少くとも太閤の疑惑を招くには十分であって、軽卒のとがめは免れられない。
聞書抄:第二盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
気がふさぐのは秋である。もちと知って、酒のとがだと云う。慰さめられる人は、馬鹿にされる人である。小夜子は黙っていた。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
捨てたは捨てたが、又なんだか気がとがめるので、自分がそこで初めて見付けたように騒ぎ立てて、豆腐屋へ駈け込んだと云うわけです。
半七捕物帳:54 唐人飴 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
縁の下へ潜りかけた米友は、その声を聞きとがめて耳を引立てたが、急に縁の下へ潜ることを見合せて、その声のした方へ出かけました。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
欧州で中古禁厭まじないを行う者を火刑にしたが、アダム、エヴァの時代より、のろわれた蛇のみまじなう者をとがめなんだ。
従って、そういうとがめを受けないためには、結局やはり何もしないで、じっとしているのがいいことになるのである。
鉛をかじる虫 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
「不届なる浪人どもは、それにて始末は着くであろうが、その騙り者の宿を致したるとがに依って、その方半田屋は欠所。主人は所払い」
備前天一坊 (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
何しに来たつて、お前さんがとがめるやうに聞くから言ふんだが、何も其のうしよう、うしようといふ悪気わるぎはない。
二世の契 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
だのにあんたは、あたしたちが結婚したそもそもの初めから、その利口な疑ぐりぶかい目を光らせて、ずっとあたしをとがめていたのね。
烟草たばこすぱ/\長烟管ながぎせる立膝たてひざ無作法ぶさはうさもとがめるひいのなきこそよけれ
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「それは残り多いこと」と、玉藻は相手の無礼をとがめもせずにあでやかに笑った。「お客は播磨守殿とやら。大切の御用談でござろうか」
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
自分も母の前では気がとがめるというのか、必要のない限り、嫂の名をはばかって、なるべく口へ出さなかった。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
けれども三四日さんよっか等閑なおざりにしておいたとがたたって、前後の続き具合がよく解らなかった。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
又こんなにさしせまった君国の一大事に対して、余りに呑気のんきらしい少佐及びその一行をとがめたい気持におそわれました。
壊れたバリコン (新字新仮名) / 海野十三(著)
雪之丞は、ホッとした。老師が、あまり黙り込んでいるので、何となく、とがめられているようでならなかったのだ。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
母親達の中から、ささやきが小波のように起った。「面白いお子さんですこと」と云う一つの声が、とがめるようにお咲の耳を撃った。
日は輝けり (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
いや、死はなお容易たやすい、天のとが、地のせめ、人の制規おきて、いかなる制裁といえども、甘んじて覚悟して相受ける。
唄立山心中一曲 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
はなすくなけれど、よし蘆垣あしがき垣間見かいまみとがむるもののなきがうれし。
松翠深く蒼浪遥けき逗子より (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
こう言って、貸本屋の番頭が繰返してこぼすのを、ふと聞きとがめたお雪ちゃんは、急に口がどもるような気がして、
大菩薩峠:32 弁信の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
それを一言のとがめ立てもなく、理解もなく、やみくもに斬りつけたのだから、誰がどう考えても理窟はないのです。
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
岡の陰から、恐る恐る頭をさし出して問うた一人の寺奴やっこは、あるべからざる事を見た様に、自分自身をとがめるような声をかけた。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
やつぱりましいことはないが、些少ちょっとも良心がとがめないか、それが聞きたい。ぬらくらの返事をしちやあ不可いかんぞ。
海城発電 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「まあ、明さん。」菜穂子は何かとがめるようなきびしい目つきで、思いがけない都築明のはいって来るのを迎えた。
菜穂子 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
だが作者は、こういつまでも読者諸子をこんな下等な人物の相手に引きとめておいては、はなはだ気がとがめる。
こんな可愛いい子がどうして札つきだと言われるのだか、第一、字が書けないということはとがむべきことではない。
風と光と二十の私と (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
しかもすでにかたき討をしてしまった者に対しては別にとがめるようなこともなかったから、やはりかたき討は絶えなかったのである。
かたき討雑感 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
○仏蘭西にて画工詩人音楽家俳優等は方外の者と見なされ、礼儀に拘捉こうそくせざるもこれをとがむるものなし。
洋服論 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
お絹からいえば、道太に皆ながつれていってもらうのに、辰之助を差しくことはその間に何か特別の色がつくようで、気にとがめた。
挿話 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「これ、これ、これ、よせと云うのに、これよさないか、罰あたり、神様のおとがめが恐ろしくないか、これ、これ」
春心 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
こうとがめたが、啓之助の挙動きょどうは、むしろ、お米が不意に来たよろこびに、落ちつかないほどなのである。
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「なぜ船を止めないか、とがめがなければさしつかえないが、最前から安治川屋敷の水見張が、アアして呼び止めているのになぜ止めない」
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
在合ふ印章をさしめ、もとより懇意上の内約なればそのいつはりなるをとがめず、と手軽に持掛けて
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
「いいえ。」お銀はくたびれた目を開けると、とがめられでもしたように狼狽あわてて顔をあげてにっこりした。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
全く、その通りで、たとい取崩しに成功してみたところで、やがてその身に報いきたとがを思えば、空怖そらおそろしいものがある。
大菩薩峠:22 白骨の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
関守のあるじは、笛の清興を妨げられたことをとがめないで、快く米友の縁に待つことを会釈えしゃくしました。
大菩薩峠:33 不破の関の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
こう言って、村正どんは手勢を引具して退陣を宣告すると、夢うつつで、その声を聞きとがめたらしい爛酔の客が、
大菩薩峠:40 山科の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
これは、こちらから尋ねてしかるべき言葉なのですが、重い荷物に押しつぶされている老婆は、とがむべき人に咎められても否やは言えない。
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
青年は、自分一人で出て行きたいらしかったが、美奈子を一人ぼっちにして置くことが、気がとがめるらしかった。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
口惜しい一方で、もしこんなことがおおやけ沙汰さたにでもなろうものなら、どんなおとがめをこうむるかも判らないと思った。
山寺の怪 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
と言って、それを一々とがめだてしていては、針の先のようなことまで表沙汰おもてざたにして、違反者ばかり出していなければならない。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「これはおおきにお約束に背いておとがを受けました」と、正造はわれに返ったように議席を見渡したが、「もう少々申し述べさして下さい」
渡良瀬川 (新字新仮名) / 大鹿卓(著)
「いやいや、拙者は常に外出勝そとでがち、事情によってはおとがめも致すまい。何かこのほうの屋敷内に、急な御用事でもありますかな」
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)