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咎
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とが
ふりがな文庫
“
咎
(
とが
)” の例文
若し母が知ってもひどくは
咎
(
とが
)
めない筈です、私はいま勤めていて母を見ているし、私のすることで誰も何もいいはしないと彼はいい
陶古の女人
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
拾得物
(
しゅうとくぶつ
)
がどうのこうのとやかましくいえば限りがないが、放っておけば腐ってゆく金を、ただ拾い出して来るのになんの
咎
(
とが
)
があろう
地図にない街
(新字新仮名)
/
橋本五郎
(著)
ああ神は人に空気を与えたもう、しかも法律は人に空気を売る。私は法律を
咎
(
とが
)
むるのではありません。しかし私は神を
讃
(
たた
)
えるのです。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
さすがに自分でも気が
咎
(
とが
)
めるとみえて、一回ごとに場処をかえては、前回の買手の襲撃を避け、同時に新しい犠牲者をさがしている。
踊る地平線:02 テムズに聴く
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
お絹からいえば、道太に皆ながつれていってもらうのに、辰之助を差し
措
(
お
)
くことはその間に何か特別の色がつくようで、気に
咎
(
とが
)
めた。
挿話
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
▼ もっと見る
これ実に祭司長が述べんと欲するものの中の
糟粕
(
そうはく
)
である。これをしも、祭司次長が諸君に告げんと
欲
(
ほっ
)
して、
敢
(
あえ
)
て
咎
(
とが
)
めらるべきでない。
ビジテリアン大祭
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
肩から胸まで切り下げられ、そのままお
逝
(
な
)
くなりなされたし、
一昨々日
(
さきおととい
)
も
些細
(
ささい
)
な
咎
(
とが
)
で、お
納戸役
(
なんどやく
)
の金吾様が命をお取られなされました
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「君がはじめて来てくれたのは、二十四年だったかね。そうそう、君をおくった
帰途
(
かえり
)
に、巡査に
咎
(
とが
)
められたことがあったっけなあ。」
田沢稲船
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
と言って
莞爾
(
にっこり
)
として、
敢
(
あ
)
えて
咎
(
とが
)
めることをしませんでした。お君が給仕としてこの室に入ることを許されている唯一の者であります。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
人の好さそうな老人の、心からの親切に、少なからず良心は
咎
(
とが
)
めたが、注文したような条件なので、そのすすめに従ったのであった。
風流太平記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
それらの行為は、たとい叛逆の意志がなかったとしても、少くとも太閤の疑惑を招くには十分であって、軽卒の
咎
(
とが
)
めは免れられない。
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
起返って、帯をお太鼓にきちんと
〆
(
し
)
めるのを——お稲や、何をおしだって、叔母さんが
咎
(
とが
)
めた時、——私はお
母
(
っか
)
さんの
許
(
とこ
)
へ行くの——
陽炎座
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
寺で聞けば宜しいに、
己
(
おのれ
)
が殺した女の
墓所
(
はかしょ
)
、事によったら、
咎
(
とが
)
められはしないか、と
脚疵
(
すねきず
)
で、手桶を
提
(
さ
)
げて墓場でまご/\して居る。
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
しかし人身売買はかなり気の
咎
(
とが
)
める商売である。それには何か口実がなくてはならない。そこでニグロは半ば獣だということにされた。
アフリカの文化
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
しかし誰もその不合理を
咎
(
とが
)
める人はない。帝展も一つの有機体であって生きているものである以上は去年と同じであるはずはない。
帝展を見ざるの記
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
しかも
已
(
すで
)
にかたき討をしてしまった者に対しては別に
咎
(
とが
)
めるようなこともなかったから、やはりかたき討は絶えなかったのである。
かたき討雑感
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
これすなわち学者をして随意に書を読ましめ、国典を犯すに非ざれば
咎
(
とが
)
めざるゆえんなり。また、文学をもって政治を
籠絡
(
ろうらく
)
すべからず。
学校の説:(一名、慶応義塾学校の説)
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
入って見るとさすがに気が
咎
(
とが
)
めた。それで入ったことは入ったが、私はしばらくはあの石の大きな水盤のところで
佇立
(
ちょりつ
)
したままでいた。
西班牙犬の家:(夢見心地になることの好きな人々の為めの短篇)
(新字新仮名)
/
佐藤春夫
(著)
誤って呼ばれるのは迷惑千万であるがつまりは商売人や宿屋の亭主の身としてはやたらに言葉
咎
(
とが
)
めをしては商売が
繁昌
(
はんじょう
)
せぬゆえに
地名の研究
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
王子
兵卒
(
へいそつ
)
や
腰元
(
こしもと
)
に
遇
(
あ
)
った時は、確かに姿が隠れたのですがね。その
証拠
(
しょうこ
)
には誰に遇っても、
咎
(
とが
)
められた事がなかったのですから。
三つの宝
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
いやいや
迂闊
(
うかつ
)
な事は出来ない。私は涙ぐんで来た。大阪駅に出迎えている筈の友人の
咎
(
とが
)
めるような残念そうな顔が眼の前に
浮
(
うか
)
んで来た。
急行十三時間
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
柄を握りしめている九郎助の手が、段々
緩
(
ゆる
)
んで来た。考えてみると、弥助の嘘を
咎
(
とが
)
めるのには、自分の恥しさを打ち開けねばならない。
入れ札
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
「不届なる浪人どもは、それにて始末は着くであろうが、その騙り者の宿を致したる
咎
(
とが
)
に依って、その方半田屋は欠所。主人は所払い」
備前天一坊
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
ここにいては、足下はいかに忠勤をぬきん出ても、前科の
咎
(
とが
)
を生涯負い、人の上に立つなどは思いよらぬことと教えてくれました。
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
だのにあんたは、あたしたちが結婚したそもそもの初めから、その利口な疑ぐりぶかい目を光らせて、ずっとあたしを
咎
(
とが
)
めていたのね。
ワーニャ伯父さん:――田園生活の情景 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
今更
(
いまさら
)
ながら
長吉
(
ちようきち
)
の
亂暴
(
らんぼう
)
に
驚
(
おどろ
)
けども
濟
(
す
)
みたる
事
(
こと
)
なれば
咎
(
とが
)
めだてするも
詮
(
せん
)
なく、
我
(
わ
)
が
名
(
な
)
を
借
(
か
)
りられしばかりつく/″\
迷惑
(
めいわく
)
に
思
(
おも
)
はれて
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
何か知ら惡事でも働いてゐるやうな氣がして、小池は赤い
軒燈
(
けんとう
)
の
硝子
(
がらす
)
の西日に
眩
(
まぶ
)
しく輝いてゐる巡査駐在所の前を通るのに氣が
咎
(
とが
)
めた。
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
「いや、確かに拝見しましたが、あれを叩くのは何だか気が
咎
(
とが
)
めましてね、
恰
(
ちやう
)
どお寺にでも
詣
(
まゐ
)
つたやうな変な音がするもんですから。」
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
其方
(
おもと
)
は、この姫様こそ、藤原の氏神にお仕え遊ばす、清らかな
常処女
(
とこおとめ
)
と申すのだ、と言うことを知らぬのかえ。神の
咎
(
とが
)
めを
憚
(
はばか
)
るがええ。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
友達のうちへ話しに行くのは何だか気が
咎
(
とが
)
めるようで面白くなし、仕方がないから相当の時間がくるまで市中を散歩する事にした。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
何も
申
(
さる
)
の歳だからとて、視ざる聴かざる言はざるを
尚
(
たつと
)
ぶわけでは無いが、
嚢
(
なう
)
を
括
(
くゝ
)
れば
咎
(
とが
)
無しといふのは
古
(
いにしへ
)
からの通り文句である。
平将門
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
耳許
(
みみもと
)
で
叱
(
しか
)
り
咎
(
とが
)
めるような声がするとともに右の腕首をぐいと
捉
(
つか
)
んだ者があった。務は浮かしていた体をしかたなしに下に落した。
白っぽい洋服
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
天保十四年
癸卯
(
きぼう
)
夏、村田清風毛利侯を
輔
(
たす
)
けて、羽賀台の大調練を
催
(
もよお
)
す。水戸烈公驕慢に
募
(
つの
)
れりとの
咎
(
とが
)
を
被
(
こうむ
)
り、
幽蟄
(
ゆうちつ
)
せしめらる。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
母親達の中から、
囁
(
ささや
)
きが小波のように起った。「面白いお子さんですこと」と云う一つの声が、
咎
(
とが
)
めるようにお咲の耳を撃った。
日は輝けり
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
許されもしないのに三人一度に島を出たと知れたならば、こんどはひどいお
咎
(
とが
)
めがあるかも知れぬ。今やとるべき道はただ一つ。
現代語訳 平家物語:03 第三巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
酒が好きで、別人なら無礼のお
咎
(
とが
)
めもありそうな
失錯
(
しっさく
)
をしたことがあるのに、忠利は「あれは長十郎がしたのではない、酒がしたのじゃ」
阿部一族
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
それはむやみに慧鶴青年の良心に
咎
(
とが
)
めた。救いに絶望してやぶれかぶれに享楽にしがみついて居る自分の姿が浅間しいものに顧みられた。
宝永噴火
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
ワニス塗りの
扉
(
ドア
)
に手を触れたのは
咎
(
とが
)
めないとしても、油引きの廊下の左端の方を
選
(
よ
)
って歩いたのは、如何にも馬鹿馬鹿しい不注意である。
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「拙者は離縁状だけは渡してまいりました。しかし相続人とてはなし、渡さぬからとて、女子どもにはお
咎
(
とが
)
めもござりますまい」
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
でもそれはあの
方
(
かた
)
の
咎
(
とが
)
じゃあございませんわ。どんな人にだって、どんな場合でも、そんなことは望むのが無理なんですからね。
二都物語:01 上巻
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
少しく離れゐたりしベアトリーチェは、
笑
(
ゑみ
)
を含み、さながら
書
(
ふみ
)
に殘るかのジネーヴラの最初の
咎
(
とが
)
を見て
咳
(
しはぶ
)
きし女の如く見えき 一三—一五
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
「もったいないことをするものだ。この油を金に替えれば、大慈善事業ができるのに!」こう言って、ひどく女を
咎
(
とが
)
めたのです。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
棟梁送りはどうなるんだ、と、わかりきったことを
咎
(
とが
)
めていたのだ。しばらく
睨
(
にら
)
めていた松岡は、うん——と、くびれた
顎
(
あご
)
をしゃくった。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
ふと、泣き疲れて見上げた目に、お母さんの淋しそうな、涙にうるんだ視線で、やさしく僕を
咎
(
とが
)
めている顔が映ったのだった。
二十歳のエチュード
(新字新仮名)
/
原口統三
(著)
と言って、それを一々
咎
(
とが
)
めだてしていては、針の先のようなことまで
表沙汰
(
おもてざた
)
にして、違反者ばかり出していなければならない。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
併しそれは己ばかりの
咎
(
とが
)
では無い。ロレンツオや、君も外の友達も己を忘れてゐたやうだ。そんな風で殆ど一年ばかり立つた。
復讐
(新字旧仮名)
/
アンリ・ド・レニエ
(著)
「これはおおきにお約束に背いてお
咎
(
とが
)
を受けました」と、正造はわれに返ったように議席を見渡したが、「もう少々申し述べさして下さい」
渡良瀬川
(新字新仮名)
/
大鹿卓
(著)
小肥
(
こぶと
)
りの仲居は笑った。俺たちの破廉恥を
咎
(
とが
)
める笑いではなかった。むしろ
唆
(
そそのか
)
すような笑いだったから、砂馬は気をよくして
いやな感じ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
悪い男
云々
(
うんぬん
)
を聴き
咎
(
とが
)
めて蝶子は、何はともあれ、
扇子
(
せんす
)
をパチパチさせて
突
(
つ
)
っ立っている柳吉を「この人
私
(
わて
)
の何や」と
紹介
(
しょうかい
)
した。
夫婦善哉
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
彼はまだ泣いていたので、その声も
嗚咽
(
おえつ
)
のために時々とぎれるのであったが、彼は言った。あたかも私を
咎
(
とが
)
めるような調子で。
虎狩
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
咎
漢検1級
部首:⼝
8画
“咎”を含む語句
御咎
見咎
聞咎
気咎
罪咎
咎立
心咎
咎人
何咎
咎徴
咎申付
咎目
殃咎
氣咎
禍事咎祟
言咎