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叱言
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こごと
ふりがな文庫
“
叱言
(
こごと
)” の例文
吉田は蜜柑を手に持ちポケットにも入れ、「みんなボヤーツと見とつちや駄目やないか」と生徒等に
叱言
(
こごと
)
を言ひながら、又登つて來た。
かめれおん日記
(旧字旧仮名)
/
中島敦
(著)
「ああ、そうだ、——こっちが坐睡をしやしないか。じゃ、客から
叱言
(
こごと
)
が出て、親方……その師匠にでも叱られたためなんだな。」
怨霊借用
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
叱言
(
こごと
)
一ついわず、「馬鹿、それ位のことでくよくよする
奴
(
やつ
)
があるかい。さア、一緒に、洋服を作りに行ってやるから、起きろ、起きろ」
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
かけら半分
叱言
(
こごと
)
らしいことを私に云われず、ただ
物和
(
ものやさ
)
しく、清や
汝
(
てめえ
)
喧嘩は時のはずみで仕方はないが気の毒とおもったら
謝罪
(
あやま
)
っておけ
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「ちょっと
鞍馬
(
くらま
)
へかえって見ましたところが、お
師匠
(
ししょう
)
さまの
叱言
(
こごと
)
が壁にはってあったので、あわててまた
舞
(
ま
)
いもどってきたんです」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
與吉
(
よきち
)
は
斜
(
なゝめ
)
に
身
(
み
)
を
置
(
お
)
くのが
少
(
すこ
)
し
窮屈
(
きうくつ
)
であつたのと、
叱言
(
こごと
)
がなければ
唯
(
たゞ
)
惡戲
(
いたづら
)
をして
見
(
み
)
たいのとで
側
(
そば
)
な
竈
(
かまど
)
の
口
(
くち
)
へ
別
(
べつ
)
に
自分
(
じぶん
)
で
落葉
(
おちば
)
の
火
(
ひ
)
を
點
(
つ
)
けた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
「河合先生」もこの可愛らしい生徒に対しては厳格にする勇気がなく、
叱言
(
こごと
)
の果てがたわいのない悪ふざけになってしまいます。
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
私
(
わたくし
)
の
岩屋
(
いわや
)
の
修行
(
しゅぎょう
)
というのは、つまり
斯
(
こ
)
うした
失敗
(
しっぱい
)
とお
叱言
(
こごと
)
の
繰
(
く
)
りかえしで、
自分
(
じぶん
)
ながらほとほと
愛想
(
あいそ
)
が
尽
(
つ
)
きる
位
(
くらい
)
でございました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
で三人
夫
(
おっと
)
があれば三人の儲けて来た金を妻が皆受け取ってしまい、儲けようが少なかったとか何とかいう場合にはその妻から
叱言
(
こごと
)
をいう。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
どこで飲もうと、酔うのは同じことだ、という荒ッポイ返事で、おまけに、どうもキサマは理窟ッポイぞ、と
叱言
(
こごと
)
をくった。
明治開化 安吾捕物:13 その十二 愚妖
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
叱言
(
こごと
)
じみた事ばかり聞かされたので
頗
(
すこぶ
)
る不平らしく見えたが、しかし、それでも極めて忠実に命令を遵奉しているにはいた。
巡査辞職
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
こうして朝から晩まで
叱言
(
こごと
)
の言いづめのようにギュウギュウやっつけて行く裡に、ものが解って来て、恥を知って来ます。
料理一夕話
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
「わたくしはこれまであなたにはいちども
叱言
(
こごと
)
は云わなかった……」おばあさまはやがてそう云って私をごらんになった。
日本婦道記:桃の井戸
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「なにも、わたしが
叱言
(
こごと
)
をいう役じゃありませんが、あの人気最中に、逃げ出すなんて、親方の身にもなってみてもあんまりだから、つい……」
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
だのにそれをすぐに申し出ることを恐れた。私は私に浴びせかけられる
叱言
(
こごと
)
や
折檻
(
せっかん
)
やを恐れた。そうして私は常に、
懺悔
(
ざんげ
)
の第一の機会を失った。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
孀
(
やもめ
)
のお勝も源兵衛の妹だけあって気性の勝った人で、お園が男のように竹馬に乗ったりして遊ぶのを
叱言
(
こごと
)
もいわずに、五
分
(
ぶ
)
刈の男姿にしておいた。
竹本綾之助
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
実は小原さまのお屋敷から頂く野菜は、元値も廉し、品も好し、まことに結構なのですが、ときどきにお得意さきからお
叱言
(
こごと
)
が来るので困ります。
西瓜
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
木で鼻を
括
(
くく
)
ったような態度で面白くもない講釈を聞かされ、まかり間違えば
叱言
(
こごと
)
を喰ったり揚足を取られたりするから一度で懲り懲りしてしまう。
八犬伝談余
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
お辰とちがって、柳吉は蝶子の帰りが
遅
(
おそ
)
いと散々
叱言
(
こごと
)
を言う始末で、これではまだ死ぬだけの人間になっていなかった。
夫婦善哉
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
ホール夫人に
叱言
(
こごと
)
をいわせるようなことはなかったが、四月になってからは、目にみえて金ばらいがわるくなってきた。
透明人間
(新字新仮名)
/
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(著)
「親分さん、御苦労さまで。——私の指金で、お糸さんに来てもらいましたが、とんだお
叱言
(
こごと
)
を頂戴したそうで、まことに相済みません、ヘエ——」
銭形平次捕物控:060 蝉丸の香炉
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「そう毎日ぶらぶら遊んでばかりいるのが、大体よろしくない。」世話好きな中村は、会社から
退
(
ひ
)
けて来ると、芳太郎に何か
叱言
(
こごと
)
を言いながら言った。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
軽く
叱言
(
こごと
)
をいいながら、老人は至極機嫌よく、天井に隠した電灯をつけながら、その下で封を切って読みだした。
深夜の市長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
私は
叱言
(
こごと
)
も言えずに、はらはらしてお前たちのそんな子供らしいはしゃぎ方を見ているよりしようがなかった。
菜穂子
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
ムッツリとしてつったっている。だが、課長の方では、何も知らないものだからいつもの通りお
叱言
(
こごと
)
が始まる。
接吻
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
粒々皆辛苦、実にこれは勿体ないものである。決して粗怱にしてはならぬ、また美味いの不味いのと
叱言
(
こごと
)
を言うな、有難いと思うて喫べろ、というのである。
教育家の教育
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
「もう、分ったわ。お
叱言
(
こごと
)
は、あした伺うわ。とても、疲れているの。早く寝ないと明日がたいへんだわ。」
貞操問答
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
しかし、この頃では、以前ほど
叱言
(
こごと
)
も言わないし、時としては、思いがけない賞め言葉を頂戴したりするので、次郎の母に対する感じも、いくらかずつ変って来た。
次郎物語:01 第一部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
百松
叱言
(
こごと
)
をいわれなかったね。あれで柄になく声がいいのだから人は見掛けによらないものだね。
中山七里 二幕五場
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
成済は案外
叱言
(
こごと
)
の
効力
(
きゝめ
)
が早かつたのと、自分の達者な腕つ節に満足したらしく、声を
揚
(
あ
)
げて笑つた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
揉
(
もま
)
せ呉んと一同にて
仕組
(
しくみ
)
しことゆゑ千太郎の云ふ事を少しも
聞入
(
きゝいれ
)
ず御養父が
若
(
もし
)
分
(
わか
)
らぬ
叱言
(
こごと
)
を言れなば仲間一同にて
引受
(
ひきうけ
)
貴樣
(
おまへ
)
に
御迷惑
(
ごめいわく
)
は
懸
(
かけ
)
まじ一年に
唯
(
たゞ
)
一度の參會故夫を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
まるで、遊びごとのような
叱言
(
こごと
)
をいいながら、お座なりのように、二三人、検束して行った。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
食うものもろくに食わせられずに、
叱言
(
こごと
)
の代りに眼を指で
刳
(
えぐ
)
りとられた娘も見た。こんな雲南の奴隷娘や、悲惨な少年坑夫の話を、ここで生れた君は知らない
筈
(
はず
)
はないだろう。
雲南守備兵
(新字新仮名)
/
木村荘十
(著)
後で
叱言
(
こごと
)
をいう位で事がすむ。作家の方でも、それに対して真剣になりもしない。
国民性の問題
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
私はこの時ならぬ時間に妻が外へ出て行くような恰好をしているので驚いて、——と云うより何か
叱言
(
こごと
)
を云おうとしたのですが、私の口からは何か寝言めいた言葉が出てしまいました。
黄色な顔
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
植木屋が
筍
(
たけのこ
)
を
抜
(
ぬ
)
いたといって怒られ、はては『おババさま』の姑でさえが、
枯
(
か
)
れた朝顔をぬいたというので『おババさま好き人です。しかし朝顔に気の毒しました』と
叱言
(
こごと
)
を言われた。
小泉八雲の家庭生活:室生犀星と佐藤春夫の二詩友を偲びつつ
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
私の心に
陰影
(
かげ
)
のさした時、よく
飛沫
(
とばちり
)
の
叱言
(
こごと
)
を食ふのは、編輯助手の永山であつた。
菊池君
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
ほろゑひきげんの
百姓男
(
ひやくせうをとこ
)
、
今
(
いま
)
はすつかり
善人
(
ぜんにん
)
になつて、
叱言
(
こごと
)
を一つ
言
(
い
)
ひません。
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
父親は少しの
叱言
(
こごと
)
も言はなくなり、殆ど用事といふものを溜めて言ふやうになつてゐた。ななえは父の極端な遠慮といふものが此頃になつて、かなり深い根を下ろしてゐることに氣づいた。
渚
(旧字旧仮名)
/
室生犀星
(著)
命令通り出来上つた仕事も、その命令通りにした愚直なことが、そこに
叱言
(
こごと
)
の
隙間
(
すきま
)
もないことで父を怒らせた。兄はしじゆうおど/\してゐて、眼鼻立ちに神経の疲労と
愁
(
うれ
)
ひの湿りがあつた。
過去世
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
何か拙者に眼にあまることがあったら
違慮
(
えんりょ
)
なく
叱言
(
こごと
)
をいってもらいたい
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
別に
叱言
(
こごと
)
いふべき事も見出ださざりしと見えて、少しは落着きたるらしく、やがて思ひ出したやうに、奥の間に針仕事してありし妻を呼びて、我が前へ坐らせ、しげしげとその顔を眺めゐたりしが
心の鬼
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
山の主任連はフロックに
絹帽子
(
シルクハット
)
乃至
(
ないし
)
山高で、親方連も着つけない洋服のカラーを苦にし乍ら、堅い帽子を少し
阿弥陀
(
あみだ
)
に被ってヒョコスカ歩廻っては
叱言
(
こごと
)
を連発して居る、大分恐入ってる風に見える。
監獄部屋
(新字新仮名)
/
羽志主水
(著)
は、私はちっとも急ぎませんけれど、今日は
名代
(
みょうだい
)
も兼ねておりますから、
疾
(
はや
)
く参ってお手伝いをいたしませんと、また菅子さんに
叱言
(
こごと
)
を
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
叱られた女は、いったい、何がどうした
叱言
(
こごと
)
なのかわからないが、客商売の断るかけひきはままあるので、そのまま、口をつぐんでいる。
鳴門秘帖:03 木曾の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そして当人もそれを少からず自慢にしていて、いっぱしの師匠のように
叱言
(
こごと
)
を云うのが、なおさらお久は助からなかった。
蓼喰う虫
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
紅葉は人に
叱言
(
こごと
)
をいう時は涙をボロボロ覆して、これほど俺のいうのが解らないかと泣く事が珍らしくなかったそうだ。
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
こんな事をしたらばその畑の主が喧しく
叱言
(
こごと
)
を言いはすまいかと言って
尋
(
たず
)
ねますとなあに決して叱言など言いはしない。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
『そなたの、その
醜
(
みぐ
)
るしい
姿
(
すがた
)
は
何
(
なん
)
じゃ! まだ
執着
(
しゅうじゃく
)
が
強過
(
つよす
)
ぎるぞ……。』
私
(
わたくし
)
は
何度
(
なんど
)
醜
(
みぐ
)
るしい
姿
(
すがた
)
をお
爺様
(
じいさま
)
に
見
(
み
)
つけられてお
叱言
(
こごと
)
を
頂戴
(
ちょうだい
)
したか
知
(
し
)
れませぬ。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
肝腎
(
かんじん
)
な働き手の高自身さえ着のみ着のままだったが、それをまた祖母は、世間の手前、余り汚い風をしていては困ると、口うるさく
叱言
(
こごと
)
を言っていた。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
叱
部首:⼝
5画
言
常用漢字
小2
部首:⾔
7画
“叱”で始まる語句
叱
叱咤
叱咜
叱責
叱呼
叱正
叱声
叱々
叱陀
叱付