可愛想かあいさう)” の例文
いゝよ親方おやかたからやかましくつてたら其時そのときこと可愛想かあいさうあしいたくてあるかれないとふと朋輩ほうばい意地惡いぢわる置去おきざりにてゝつたと
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
其中そのうちたれ云ふと無く桑盗人ぬすびとはお玉の母親に違ひ無いと云ふ事が評判になりまして可愛想かあいさうその娘のお玉までも憎まれてこの村を追ひ出されてしまひました。
金銀の衣裳 (新字旧仮名) / 夢野久作(著)
おゝ/\……お美那みな可愛想かあいさうぢやアないか……見なよ……人品ひとがら可愛かあいらしい子供こぞうだが、生来はらからの乞食こじきでもあるまいがの……あれまア親父おやぢ負傷けがをしたといふので
いや植村うゑむらせまいからで、どうも此樣こんことになつて仕舞しまつたで、私共わしども二人ふたりじつ其方そちらあはせるかほいやうな仕儀しぎでな、しかゆきをも可愛想かあいさうおもつてつて
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
当時いまばちあたつてういふ身分みぶん零落おちぶれ、俄盲目にはかめくらになりました、可愛想かあいさうなのは此子供このこぞうでございます、んにもぞんじませぬで、おや因果いんぐわが子に𢌞めぐりまして、此雪このゆきなか跣足はだしで歩きまして
処が可愛想かあいさうなのはあとに残つた娘のお玉です、あくる朝が明けてもお母様がりませぬから泣き/\近所きんしよを尋ねてまはりましたがもとより古井戸に落ちてしまつたお母様が帰つてやうがありませぬ。
金銀の衣裳 (新字旧仮名) / 夢野久作(著)
ああこんな事と知りましたら早くに方法も有つたのでせうが今に成つては駟馬しめも及ばずです、植村も可愛想かあいさうな事でした、とて下を向いて歎息たんそくの声をらすに、どうも何とも
うつせみ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
まア此寒このさむいのに可愛かあいい手で足をなでてゝるところはうだえ、……可愛想かあいさうだなー、……残余あまつた料理ものがあつたツけ……賓客きやくのこした料理ものさらなかに取つてあるだらう、……アーそれさ
彼方あなたとはたちちがふてふにはれぬかたであつた、わたしでさへ植村樣うゑむらさまなんだといたときにはお可愛想かあいさうことをとなみだがこぼれたもの、おぢやうさまのになつてはつらからうではないか
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
彼方あなたとはたちが違ふて言ふに言はれぬい方であつた、私でさへ植村様が何だと聞いた時にはお可愛想かあいさうな事をと涙がこぼれたもの、お嬢さまの身に成つてはらからうでは無いか
うつせみ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
えず尻目しりめ雪子ゆきこかたながめてこまつたものですなとふばかり、あゝ此樣こんことりましたらはやくに方法はうはふつたのでしやうがいまつては駟馬しめおよばずです、植村うゑむら可愛想かあいさうことでした
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
集金あつめくうちでも通新町とほりしんまちなにかに隨分ずいぶん可愛想かあいさうなのがるから、さぞ祖母ばあさんをるくいふだらう、れをかんがへるとれはなみだがこぼれる、矢張やつぱよわいのだね、今朝けさも三こううちりにつたら
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
くりかへむかしのゆかりもてがたく、ひきつヾいて行通ゆきかひしけるが、るにもくにも可愛想かあいさうなりのどくなり、これがしもおきやむすめびかへりなどならばらぬことといはヾかどほかをも
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
みたしとならば彼地かしこませ、きなことでも松風まつかぜはし、氣儘きまヽくらさせるがめてもと、父君ちヽぎみ此處こヽにおるしのでければ、あまりとても可愛想かあいさうのこと、よし其身そのみねがひとてやうとほくに
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)