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切尖
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きっさき
ふりがな文庫
“
切尖
(
きっさき
)” の例文
「それから取っ組み合いが始まったが、恐ろしく強い野郎で、その上
匕首
(
あいくち
)
を持ってやがる。
切尖
(
きっさき
)
を
除
(
よ
)
けるはずみに、
鼠坂
(
ねずみざか
)
を
逆落
(
さかおと
)
しだ」
銭形平次捕物控:148 彦徳の面
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
こんな独り言を云いながら、
敬虔
(
けいけん
)
に短刀を抜いてみた。恐らくあげ物というやつだろう、
鍔
(
つば
)
から
切尖
(
きっさき
)
までのバランスがとれていない。
長屋天一坊
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
(手首を取って刃を
腕
(
かいな
)
に引く、一線の
紅血
(
こうけつ
)
、
玉盞
(
ぎょくさん
)
に滴る。公子返す
切尖
(
きっさき
)
に自から腕を引く、紫の血、玉盞に滴る。)飲め、呑もう。
海神別荘
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「かーッ」と掛けた声もろとも左剣は投げ捨て右剣一本へ
渾身
(
こんしん
)
の力を
確
(
しか
)
とこめ鬼王丸の真っ向を
切尖
(
きっさき
)
下りに切りつけた。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
切尖
(
きっさき
)
がすこし
戦
(
そよ
)
いだような、すこし切尖を違えたような、小さな不思議な掻き傷があって、それからいきなり深い新月なりの傷がはじまるのである。
顎十郎捕物帳:04 鎌いたち
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
▼ もっと見る
男は
切尖
(
きっさき
)
鋭く万平を松板の間に追詰めながら、
隙
(
すき
)
があったら逃げよう逃げようとしたので、万平は足元の
鋸屑
(
おがくず
)
を掴んでは投げ掴んでは投げ防ぎ戦った。
芝居狂冒険
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
続いて息もつがせぬ二の太刀! 同時に
背後
(
うしろ
)
へ廻った一人が
柄
(
つか
)
も通れと作左衛門の背板を目がけて
切尖
(
きっさき
)
を向けた。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
新刀ながら最近
研師
(
とぎし
)
の手にかけたものだけに、どぎどぎしたその
切尖
(
きっさき
)
から今にも
生血
(
なまち
)
が
滴
(
したた
)
りそうな気がして、われにもなく持っている手がぶるぶると
顫
(
ふる
)
えた。
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
イワンは
家
(
うち
)
へ帰って鎌をといでまた草を刈りはじめました。小悪魔は草の中へもぐり込んで、その鎌の先きを捉えて、
切尖
(
きっさき
)
を地へ突っ込むようにしはじめました。
イワンの馬鹿
(新字新仮名)
/
レオ・トルストイ
(著)
市郎が驚いて叫ぶ間もありや無しや、お杉の兇器は
其
(
そ
)
の
頸筋
(
くびすじ
)
へ閃いて来た。が、
咄嗟
(
とっさ
)
の
間
(
あいだ
)
に少しく
体
(
たい
)
を
躱
(
かわ
)
したので、鋭い
切尖
(
きっさき
)
は
僅
(
わずか
)
に
其
(
そ
)
の肩先を
掠
(
かす
)
ったのみであった。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
刀の
切尖
(
きっさき
)
が曲っていたのを時計の裏側でネタ刃を合せ、腹の方は軽くまねがたにして仕損じぬようにやったとすれば頸動脈を切ることに重点をおいたものと思われる。
叛骨・中野正剛:――主観的な覚え書き
(新字新仮名)
/
尾崎士郎
(著)
と払い除けました、其の
切尖
(
きっさき
)
が山之助の肩先に当ると、腕が利いて居る、余程深く斬込みました。
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
こうする……どうするのかと思うと、やにわに
大刀
(
だいとう
)
銀百足
(
ぎんむかで
)
の鞘を払った造酒だ。お妙の胸ぐら取ってそこに引き据えると同時に、紙のように白い
咽喉首
(
のどくび
)
に
切尖
(
きっさき
)
を
擬
(
ぎ
)
した。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
鍔元
(
つばもと
)
から
切尖
(
きっさき
)
まで縦に刃の模様がついているはず、その模様が大波を打ったように大形についているのもあれば、丸味を持った
鋸
(
のこぎり
)
の歯のように細かくついているのもある
大菩薩峠:21 無明の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
次郎は、
鋭
(
するど
)
い
切尖
(
きっさき
)
がじりじりと胸にせまるような気味わるさと、何もかもが身辺から消えて行くような
寂
(
さび
)
しさとを、同時に感じながら、最後に残された二枚の便箋に眼を走らせた。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
二つの
劔
(
つるぎ
)
は
切尖
(
きっさき
)
から𣠽頭まで、二本のダイヤモンド
留針
(
とめばり
)
のように光っていた。
サレーダイン公爵の罪業
(新字新仮名)
/
ギルバート・キース・チェスタートン
(著)
高座には燕を思わせる色の肩衣つけた若い娘がスイスイ刀の
切尖
(
きっさき
)
から水を噴き上げさせて喝采を浴びている姿が、姿勢よく座った海老団治の後ろの楽屋格子をとおしてチラチラ見えていた。
寄席
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
公卿
(
こうけい
)
といってもこの人の勢いに必ずしも皆まで匹敵できるものでない。私の予言は必ず当たるよ。この人たちには露骨でなく、
上手
(
じょうず
)
に
切尖
(
きっさき
)
をはずさせるように
工夫
(
くふう
)
するのだね。おもしろい手紙だよ
源氏物語:24 胡蝶
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
暗殺者の
切尖
(
きっさき
)
に
人間失格
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
特に私のくふうした
切尖
(
きっさき
)
はずしの
技
(
わざ
)
は効果がある、あの呼吸をものにすれば、派手ではないが勝ち味は充分だ、そう思わないか、上村
花も刀も
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
引
(
ひっ
)
そいだ
切尖
(
きっさき
)
の
鋭
(
するど
)
いのが、
法衣
(
ころも
)
の袖を
掠
(
かす
)
ったから、
背後
(
うしろ
)
に立った僧は慌てて身を開いて、行燈は手前が、とこれが先へ立つ。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そしてその次には他の一団が——それも沙漠から送ったのだが——その二回目の暗殺団が市長の胸へ短刀の
切尖
(
きっさき
)
を深く突きさした。市長はしかし死ななんだ。
沙漠の古都
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
彼は六部の鮮やかな腕前に感嘆して、足許から逃げ出した残る一人の郷士を追い撃ちに切りつけたが、二度とも
切尖
(
きっさき
)
が届かず、その間に遠く逸してしまった。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いでや
新身
(
あらみ
)
の切れ味見せて、逆縁の
引導
(
いんどう
)
渡し
呉
(
く
)
れむと
陣太刀
(
じんだち
)
長
(
なが
)
やかに抜き放ち、青眼に構へて
足法
(
そくほう
)
乱さず、
切尖
(
きっさき
)
するどく詰め寄り来る。虹汀何とか思ひけむ。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
いつ、どうして斬ったのか、唇にも歯にもふれず、左頬の内がわから、斜めうえに
口蓋
(
こうがい
)
のほうへ、浅く斬れている。
切尖
(
きっさき
)
がふれたわけではない。一種の気あい突き。
顎十郎捕物帳:10 野伏大名
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
がんりきは、ついと飛び
退
(
の
)
いた。一尺余りの白刃が、紙張の裾から飛び出して、がんりきの眼と鼻の上を
筋違
(
すじか
)
いに走って、そうしてその
切尖
(
きっさき
)
はガッシと葛籠の一端に当る。
大菩薩峠:07 東海道の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
高大之進の下知に、とりまく剣陣はすすまず、しりぞかず、ジッと
切尖
(
きっさき
)
をそろえて持久戦……。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
平次の言葉は穏やかですが、
隙
(
すき
)
もなく切り込んで行く名剣士の
切尖
(
きっさき
)
のような鋭さがあります。
銭形平次捕物控:039 赤い痣
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
斜面を駆けおりて来る「くひじろ」の、みごとな大角を見ながら、甲斐は左の
肱
(
ひじ
)
で半身を支え、右手の山刀の
切尖
(
きっさき
)
をあげた。
樅ノ木は残った:02 第二部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「北へ四枚目の隅の障子を開けますとね。溝へ柄を、その柱へ、
切尖
(
きっさき
)
を立掛けてあったろうではありませんか。」
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と叫んで背後の
曲者
(
くせもの
)
を梨割りにズーンと斬り伏せたまま、作左衛門が受けかねていた、大月玄蕃の
切尖
(
きっさき
)
に立ちむかって目覚しいほど縦横無尽に斬り立てて行った。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
切尖
(
きっさき
)
が背中へ
貫
(
つ
)
き出ていた。とっさに引き抜かないと、すぐ肉がしまって容易に抜けなくなるもので、喬之助、グザッ! と今一度、深く突き入れながら、さあっと抜いた。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
灯
(
あかり
)
で見ると、倒れているのは三十五六の浪人者で(後でそれは福井町に住んでいる城弾三郎と知れましたが)、脇差で左の胸を深々と刺され、
切尖
(
きっさき
)
が白々と背に突き抜けたまま
銭形平次捕物控:139 父の遺書
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
的確な、みごとな
突
(
つき
)
であった。六郎兵衛は相手の刀の
切尖
(
きっさき
)
が、こちらの
躯
(
からだ
)
に当る
刹那
(
せつな
)
、
燕
(
つばめ
)
の返るように身を転じた。
樅ノ木は残った:01 第一部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「あの
窈窕
(
ようちょう
)
たるものとさしむかいで、野天で餡ものを突きつけるに至っては、刀の
切尖
(
きっさき
)
へ饅頭を貫いて、食え!……といった信長以上の
暴虐
(
ぼうぎゃく
)
です。
貴老
(
あなた
)
も意気が
壮
(
さかん
)
すぎるよ。」
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
刃は
僅
(
わずか
)
に合いました。
切尖
(
きっさき
)
と切尖が、昆虫の触角のように触れて、ジーンと背筋を走るような電気が腕に伝わると、二人は思わず一歩ずつ
飛退
(
とびさが
)
って、必死の構えを立て直します。
奇談クラブ〔戦後版〕:04 枕の妖異
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
しかし青竹と刀の
切尖
(
きっさき
)
とは五尺もはなれていたし、斬りつけた余勢でかれは右へのめって膝をついてしまった。
薯粥
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
まあ、人間
業
(
わざ
)
で
叶
(
かな
)
わん事に、
断念
(
あきら
)
めは着きましたが、
危険
(
けんのん
)
な事には変わりはないので。いつ
切尖
(
きっさき
)
が降って来ようも知れません。ちっとでも
楯
(
たて
)
になるものをと、
皆
(
みんな
)
が
同一
(
おなじ
)
心です。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
万三郎はその
切尖
(
きっさき
)
を
躱
(
かわ
)
すだけで精いっぱいだった。若さと躰力を
賭
(
か
)
けて、右に左に、跳躍し、すりぬけた。
風流太平記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
血だらけの抜刀を
提
(
ひっさ
)
げた、半裸体の
大漢
(
おおおのこ
)
が、
途惑
(
とまどい
)
した
幟
(
のぼり
)
の絵に似て、
店頭
(
みせさき
)
へすっくと立つと、会釈も無く、持った
白刃
(
しらは
)
を取直して、
切尖
(
きっさき
)
で、ずぶりとそこにあった林檎を突刺し
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
右の手に抜いた刀を持っていたが、その
切尖
(
きっさき
)
が僅かによごれているだけで、かくべつ人と闘争したという風にはみえなかった。わかっている事実はそれだけである。
日本婦道記:藪の蔭
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「なに止められて
堪
(
たま
)
るものか。故障の入らぬ内に、おおそうじゃ。」と
切尖
(
きっさき
)
をちょいと
中
(
あ
)
てて
震上
(
ふるえあが
)
り、「武士が、武士が、」と
歯切
(
はぎしり
)
して、ぐっとまでにはならぬけれど、ほんとに突いて
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
金五の声より
疾
(
はや
)
く左内は刀を抜いた。不意を衝かれた少年たちは四方へ逃げだしたが、左内は
切尖
(
きっさき
)
を付けて金五を動かさなかった。——金五、いまの言葉を取消せ。
城中の霜
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
大丈夫、そうすりゃ貴下の上へ、屏風に倒れて
背
(
うしろ
)
になって、私が突かれる、斬られて上げるわ。何の、
嫉妬
(
じんすけ
)
の刃物
三昧
(
ざんまい
)
、
切尖
(
きっさき
)
が胸から背まで突通るもんですか。一人殺される内には貴下は助かる。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
というのが鉄則であって、特に深喜の『
切尖
(
きっさき
)
はずし』『
籠手返
(
こてがえ
)
し』などの技は厳重に禁じられた。
花も刀も
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
ものの
切尖
(
きっさき
)
に
痩
(
や
)
せた
頤
(
おとがい
)
から、耳の根へかけて
胡麻塩髯
(
ごましおひげ
)
が栗の
毬
(
いが
)
のように、すくすく、
頬肉
(
ほおじし
)
がっくりと落ち、小鼻が出て、窪んだ目が赤味走って、額の
皺
(
しわ
)
は小さな
天窓
(
あたま
)
を
揉込
(
もみこ
)
んだごとく刻んで深い。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「動くと斬るぞ、動くなよ」通助は大剣の
切尖
(
きっさき
)
をつきつけながら、「早くこれを片付けて呉れ」
新潮記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
桂木は
切尖
(
きっさき
)
を
咽喉
(
のど
)
に、
剣
(
つるぎ
)
の峰からあはれなる顔を出して、うろ/\
媼
(
おうな
)
を求めたが、其の
言
(
ことば
)
に従はず、
故
(
ことさ
)
らに
死地
(
しち
)
に
就
(
つ
)
いたを憎んだか、
最
(
も
)
う影も形も見えず、推量と多く
違
(
たが
)
はず、家も
床
(
ゆか
)
も
疾
(
とく
)
に消えて
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
先陣をつるぎの
切尖
(
きっさき
)
とすれば本城のまもりは
五躰
(
ごたい
)
といえよう、五躰のちからまったくしてはじめて切尖も充分にはたらくことができるのだ、たとえ先陣、留守の差はあっても
死処
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
腕はだらりと垂れつつも、
切尖
(
きっさき
)
が、じり/\と上へ
反
(
そ
)
つた。
妖魔の辻占
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
切
常用漢字
小2
部首:⼑
4画
尖
漢検準1級
部首:⼩
6画
“切”で始まる語句
切
切支丹
切先
切羽
切々
切符
切歯
切迫
切通
切立