トップ
>
刄
>
やいば
ふりがな文庫
“
刄
(
やいば
)” の例文
言いつつすっぽりと
面
(
おもて
)
を包んで、京弥を後ろに随えると、不敵にも懐手をやったまま、
刄
(
やいば
)
の林目がけてすいすいと歩み近づきました。
旗本退屈男:01 第一話 旗本退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
その
刄
(
やいば
)
を返して、襲撃に移る前、平次の手からは、第二、第三、第四の錢が、絲を繰り出すやうに曲者の面へ、
肘
(
ひぢ
)
へ、喉笛へと見舞ひます。
銭形平次捕物控:068 辻斬綺談
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
そして坊やが
刄
(
やいば
)
や鉛の熱湯の下で泣き叫ぶのが聞えたら、あなたの骸骨は嬉しさのあまり、棺桶の中で踊りだすことでせうよ。
ディカーニカ近郷夜話 後篇:03 怖ろしき復讐
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
彼
(
かれ
)
は
忌々敷相
(
いま/\しさう
)
に
且
(
か
)
つ
刄
(
やいば
)
を
以
(
もつ
)
て
心部
(
むね
)
を
突
(
つ
)
き
通
(
とほ
)
される
苦
(
くる
)
しさを
忍
(
しの
)
んだかと
思
(
おも
)
ふやうな
容子
(
ようす
)
でわく/\する
胸
(
むね
)
から
聲
(
こゑ
)
を
絞
(
しぼ
)
つていつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
木の間隠れに閃く
刄
(
やいば
)
を引抜きて原丹治が
待受
(
まちうけ
)
る所へ通りかゝる青馬に、
大文字
(
おおもじ
)
に鹽原と書きたる桐油を掛けて居りますゆえ、多助に相違ないと心得
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
▼ もっと見る
空の底がぬけでもしたように、来る日も来る日も、雨が、空に向って
刄
(
やいば
)
のように立っている、勾配の急な、大きな屋根のスレートのうえに降りつづけた。
初雪
(新字新仮名)
/
ギ・ド・モーパッサン
(著)
引からげ
堪忍
(
かんにん
)
しろと
後
(
うしろ
)
から
浴
(
あび
)
せ掛たる
氷
(
こほり
)
の
刄
(
やいば
)
肩先
(
かたさき
)
深
(
ふか
)
く切込れアツとたまきる聲の下ヤア情けなや三次どの何で
妾
(
わらは
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
愚なるマゾヒストは、恋人の
刄
(
やいば
)
に傷つけられたことを、
寧
(
むし
)
ろゾクゾク嬉しがっている様に見えた。
地獄風景
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
敵が
刄
(
やいば
)
で来ても、決してこちらは刄を抜くまい。最後まで彼は公義と人道によつて敵と戦ひ、一敗地にまみれて十字架上に斃れるまで奮闘しよう。日本を救ふ道は、自由労働組合の外に道は無い!
死線を越えて:02 太陽を射るもの
(新字旧仮名)
/
賀川豊彦
(著)
一休
(
いっきゅう
)
さんの
頓智
(
とんち
)
というものは、まるで、とぎすました
刄
(
やいば
)
のような、
鋭
(
するど
)
さで、もし、
一休
(
いっきゅう
)
さんが、
仏門
(
ぶつもん
)
に
入
(
はい
)
って
徳
(
とく
)
をみがいたのでなければ、
大分
(
だいぶ
)
危険
(
きけん
)
なようにさえおもわれるところもあるくらいです。
先生と父兄の皆さまへ
(新字新仮名)
/
五十公野清一
(著)
原田に命ぜられて入れは入れたが、主に
薦
(
すゝ
)
めるに忍びないで自ら食つたと云ふのである。此事は丹三郎が前晩に母に打明けて置いたので、母も
刄
(
やいば
)
に伏したさうである。亀千代はもう十歳になつてゐた。
椙原品
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
雨はますます白い
刄
(
やいば
)
のやうに横に降る。
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
斯くて戰鬪相つづき、無慘の
刄
(
やいば
)
或者の
イーリアス:03 イーリアス
(旧字旧仮名)
/
ホーマー
(著)
この眼の
刄
(
やいば
)
。
新頌
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
とて
取次
(
とりつ
)
ぐ
文
(
ふみ
)
の
思
(
おも
)
ひ
切
(
き
)
りても
涙
(
なみだ
)
ほろほろ
膝
(
ひざ
)
に
落
(
お
)
ちぬ
義理
(
ぎり
)
といふもの
世
(
よ
)
に
無
(
な
)
かりせば
云
(
い
)
ひたきこといと
多
(
おほ
)
し
別
(
わか
)
れしよりの
辛苦
(
しんく
)
は
如何
(
いか
)
に
或
(
あ
)
る
時
(
とき
)
はあらぬ
人
(
ひと
)
に
迫
(
せ
)
まられて
身
(
み
)
の
遁
(
のが
)
ればの
無
(
な
)
かりし
時
(
とき
)
操
(
みさを
)
はおもし
命
(
いのち
)
は
鵞毛
(
がもう
)
の
雪
(
ゆき
)
の
夜
(
よ
)
に
刄
(
やいば
)
手
(
て
)
に
取
(
と
)
りしことも
有
(
あり
)
けり
或時
(
あるとき
)
はお
行衛
(
ゆくゑ
)
たづね
詫
(
わび
)
て
恨
(
うら
)
みは
五月雨
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
そして、不敵にも
刄
(
やいば
)
を引きながら、しゅッしゅッと一二遍、血のりの
滴
(
しずく
)
を振り切っておきながら、至って物静かに市毛甚之丞に言いました。
旗本退屈男:03 第三話 後の旗本退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
八五郎の
叱咜
(
しつた
)
と、
刄
(
やいば
)
と十手の
相搏
(
あひう
)
つ音が、明るい眞晝の空氣に、ジーンと響きます。平次を先頭に皆んな飛んで行きました。
銭形平次捕物控:090 禁制の賦
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
思ひ
行末
(
ゆくすゑ
)
を案じけるに今迄一點の罪を
犯
(
をか
)
せし事もなきに斯る
無實
(
むじつ
)
の罪を
請
(
うけ
)
て
刄
(
やいば
)
に
懸
(
かゝ
)
り
非業
(
ひごふ
)
の
最期
(
さいご
)
を
遂
(
と
)
げ五體を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
任せる亭主だもの、前の亭主の
敵
(
かたき
)
といって、
刄
(
やいば
)
が向けられますか、私も武士の娘、決して嘘はつきませぬよ
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
彼
(
かれ
)
の
糜爛
(
びらん
)
した
横頬
(
よこほゝ
)
はもう
火
(
ひ
)
の
氓
(
ほろ
)
びようとして
居
(
ゐ
)
る
薄明
(
うすあか
)
りにぼんやりとした。
火
(
ひ
)
はげつそりと
落
(
お
)
ちて
彼
(
かれ
)
の
姿
(
すがた
)
が
消
(
き
)
え
入
(
い
)
らうとした。
彼
(
かれ
)
は
戸
(
と
)
を
開
(
あ
)
けて
踉蹌
(
よろ
)
けながら
出
(
で
)
た。
寒
(
さむ
)
い
風
(
かぜ
)
が
冷
(
つめ
)
たい
刄
(
やいば
)
を
浴
(
あ
)
びせた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
まあ、とんでもない、あなたは誰に
刄
(
やいば
)
を
ディカーニカ近郷夜話 後篇:03 怖ろしき復讐
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
親は
刄
(
やいば
)
をにぎらせて
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
裂帛
(
れっぱく
)
の美声を放って、さッと玉散る
刄
(
やいば
)
を抜いて放つと、
双頬
(
そうきょう
)
にほのぼのとした紅色を見せながら、
颯爽
(
さっそう
)
として四人の者の方ににじりよりました。
旗本退屈男:01 第一話 旗本退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
母屋と
五戸前
(
いつとまへ
)
の土藏は
切褄形
(
きりづまがた
)
の屋根を並べて、二月の空つ風がその間を
刄
(
やいば
)
のやうに吹き拔けますが、何處から飛んで來たか、散々に破れた大きな
凧
(
たこ
)
が一つ
銭形平次捕物控:154 凧の詭計
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
決して恨んでたもるまい此場に
臨
(
のぞ
)
んで
左右
(
どうかう
)
と
言譯
(
いひわけ
)
するも
大人氣
(
おとなげ
)
なし永き苦しみさせるのも猶々不便が
彌増
(
いやませ
)
ばと
再度
(
ふたゝび
)
大刀
(
だんびら
)
振上
(
ふりあげ
)
ていざ/\覺悟と切付る
刄
(
やいば
)
の下に
鰭伏
(
ひれふし
)
て兩手を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
刄
(
やいば
)
は竹の骨をバラバラに切つて、
辛
(
から
)
くも受留めましたが、二度、三度と重なつては、支へやうはありません。
銭形平次捕物控:237 毒酒薬酒
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
二條の
刄
(
やいば
)
に追ひ詰められた平次は、暫らく廊下を逃げ廻つて居りましたが、
何
(
ど
)
の部屋も必死と内から障子を押へて、平次を入れてくれさうもないのを見ると
銭形平次捕物控:082 お局お六
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
頭立
(
かしらだ
)
つたのが號令すると、七八本の
刄
(
やいば
)
が、折から昇つた月の光を受けて、三方からサツと殺到するのでした。
銭形平次捕物控:082 お局お六
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
畳みかけて襲いかかる
曲者
(
くせもの
)
の
刄
(
やいば
)
は、灯が見えると、一段と激しさを加えました。吾妻屋永左衛門、それを
除
(
よ
)
けるのが精一杯、が、
終
(
つい
)
に運命的な瞬間は近づきました。
銭形平次捕物控:237 毒酒薬酒
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
カツとなつて斬り込む大川原五左衞門の
刄
(
やいば
)
、長谷倉甚六郎身を
捻
(
ひね
)
つて片手拜みの手刀。
銭形平次捕物控:065 結納の行方
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
尚
(
なほ
)
も追及する
刄
(
やいば
)
、それは實に火の出るやうな激しさですが、平次は
巧
(
たく
)
みに逃げて
銭形平次捕物控:156 八千両異変
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
バラバラと亂れ打つ
刄
(
やいば
)
、平次はそれをどう
掻
(
か
)
い
潜
(
くゞ
)
つたか、半分は同士討をさせて
銭形平次捕物控:082 お局お六
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
學寮の
塀
(
へい
)
に近づいて探ると、腰たけほどのところに、深々と突つ立つたのは一本の
刄
(
やいば
)
、力任せに引つこ拔いて、少し小戻りして常夜燈にすかして見ると、それは
匕首
(
あひくち
)
でも、槍でも
鑿
(
のみ
)
でもなく
銭形平次捕物控:013 美女を洗ひ出す
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
朧
(
おぼ
)
ろ氣ながら見てしまつた女隱居は、危ふく殺されるところでしたが、曲者は曉近い
外部
(
おもて
)
の人通りに驚いて逃出し、既に
刄
(
やいば
)
を喉笛に擬せられた女隱居は、危ふいところで命を助かつたのでした。
銭形平次捕物控:077 八五郎の恋
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
苦
(
にんが
)
りする御家人喜六、右手の
刄
(
やいば
)
は、油斷なく灯にギラリとうねります。
銭形平次捕物控:083 鉄砲汁
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
平次は尚も、
刄
(
やいば
)
の中に説き進みます。
銭形平次捕物控:051 迷子札
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
刄
部首:⼑
3画
“刄”を含む語句
白刄
出刄庖丁
直刄
眞刄
刄物
拔刄
刄襖
刄物三昧
兩刄
薄刄
寢刄
嫉刄
刄向
刄先
燒刄
飛刄
雙刄
付燒刄
自刄
細刄
...