具合ぐあい)” の例文
光が物にあたったとき反射はんしゃするか、そのまま吸収きゅうしゅうされてしまうか、または光がおれまがる具合ぐあいによって、いろいろな色とか、形とかが
またその内容ないよう古今ここんわたり、顕幽けんゆうまたがり、また部分ぶぶんは一般的ぱんてきまた部分ぶぶん個人的こじんてきった具合ぐあいに、随分ずいぶんまちまちにみだれてります。
磁石じしゃくうごかし具合ぐあいで、人形にんぎょうどうしは、たちまちチャンバラをはじめるのです。小山こやまは、先生せんせいのおはなしなど、みみれようともしないのです。
白い雲 (新字新仮名) / 小川未明(著)
こんな具合ぐあいに、やさしく言って貰いたかった。大空襲の東京からの野菜の買い出し部隊の殺到で、千葉県と埼玉県では、その取り締まりに手を焼いた。
食べもの (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)
何んだか私自身の頭脳ずのうがひどい混乱のあまりそんな具合ぐあいに唸り出しているのではないかと言うような気もされた。
美しい村 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
放送ラジオの波長の百分の一位に当りますから、うまい具合ぐあいに受信機には全然ラジオを聞かないで済みました。
壊れたバリコン (新字新仮名) / 海野十三(著)
そして鎮守ちんじゅ様が召し上がった後を頂戴ちょうだいする分には、何も差しつかえはなかろう。うむ、そうだ。……それにしても、村の人達に見つかっては、具合ぐあいが悪い………
ひでり狐 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
尾籠びろうな話をするようですが、ラサ府のお厠というのは大抵一軒の家に一つか二つある。または一つ長屋ながやの内に一つとかいうような具合ぐあいになかなか大きく建てられてある。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
熱気が風の具合ぐあいでときどき顔にあたった。厚い暗号書は燃え切れずにくすぶったと思うと、また頁がめくれて新しく燃え上った。煙がうすく、風にしたがって空を流れた。
桜島 (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
広子の聯想れんそうは結婚前のあるの記憶を呼び起した。母はその風呂ふろにはいりながら、彼女に日どりのきまったことを話した。それから常談じょうだんとも真面目まじめともつかずに体の具合ぐあいを尋ねたりした。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
つまり右の毛と種子とは反対側から出て、たがいに向き合っているのである。すなわち図上左隅ひだりすみにその毛の生じ具合ぐあいが示され、またそれとならんでその右隅には、成熟した毛が描かれている。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
「あんた、今夜はお居間に行っていたの。私はおなか具合ぐあいが悪くて部屋へやのほうで休んでいたのですがね。不用心だから来いと言って呼び出されたもんですよ。どうも苦しくて我慢ができませんよ」
源氏物語:03 空蝉 (新字新仮名) / 紫式部(著)
宿へ着いたのは夜の八時頃であったから、家の具合ぐあい庭の作り方は無論、東西の区別さえわからなかった。何だか廻廊のような所をしきりに引き廻されて、しまいに六畳ほどの小さな座敷へ入れられた。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
かくこんな具合ぐあいで、敦子あつこさまは人妻ひとづまとなり、やがて一人ひとりおとこうまれて、すくなくとも表面うわべにはたいそう幸福こうふくらしい生活せいかつおくっていました。
しのときに、わたしちいさなからだでは、無理むりなほどおもい、おおきなものをかさねられましたので、そのとき、からだ具合ぐあいをいけなくしてしまったのです。
春さきの古物店 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「おう、セン。こっちへ来たまえ。いよいよ出来あがった製品について、試験が始まる。君は人造人間の出来具合ぐあいについて、遠慮なく、批評をしてくれたまえ」
人造人間の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
その時からすでに経過してしまった数年の間、しそれがそのままに打棄うっちゃられてあったならば、恐らくはこんな具合ぐあいにもなっているであろうに……という私の感じの方が
美しい村 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
しかし夫はなんとも言わずにさっさと会社へ出て行ってしまった。たね子は夫を見送りながら、ちょっと憂鬱ゆううつにならずにはいられなかった。それは彼女の体の具合ぐあいも手伝っていたことは確かだった。
たね子の憂鬱 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
これは水とガラスは、光がおなじような具合ぐあいにおれまがるからなんだ。
ったかたのほうが、あたらしい帰幽者きゆうしゃ指導しどうするのに、まつわるなん情実じょうじつもなくて、人霊じんれいよりもよほど具合ぐあいよろしいともうすことでございます。
そのあおいろは、みずいろのようにも、またそらいろのようにも、ときには、うみいろのようにも、光線こうせん具合ぐあいで、それは、それは、うつくしくえたのであります。
青いボタン (新字新仮名) / 小川未明(著)
午前中のその時刻の光線の具合ぐあいで、木洩こもがまるで地肌じはだひょうの皮のように美しくしている、その小さな坂を、ややもするとすべりそうな足つきで昇ってゆくその背の高い
美しい村 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
(どうも具合ぐあいがわるいよ。ほんとは、みんな君の手柄なんだからねえ)
海底都市 (新字新仮名) / 海野十三(著)
しかし、ねこをれてくるのには、バスケットは、具合ぐあいがよかったけれど、ねこのかごにはなりませんでした。
古いてさげかご (新字新仮名) / 小川未明(著)
共軛回転弾というのは、こういう具合ぐあいに、二つのかたい球が、丁度ちょうどくさりのように互いに九十度に結合して、猛烈な高速で回転するのだ。そして互いに相手を励磁れいじして回転を促進し、永久に停まらない。
「きよは、とんまなんだよ。」といって、具合ぐあいわるいたこをってきたので、腹立はらだたしそうにこういいました。
北風にたこは上がる (新字新仮名) / 小川未明(著)
まち新聞しんぶんは、またしろかげ科学的かがくてき批評ひひょうをしていました。ある理学士りがくしは、しろおとこのようにえたのは、水蒸気すいじょうきのどうかした具合ぐあいで、人間にんげんかたちえたのであろう。
白い影 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そして、造作ぞうさなく一つをピンセットでつまげると、眼鏡めがねあなにはめて、ねじまわしで、くるくるとまわしました。それから、つるのろし具合ぐあいをよくしらべてから
小さなねじ (新字新仮名) / 小川未明(著)
日前にちまえには、賢二けんじくんが、自分じぶんのたこをうのに自分じぶんでいかず、女中じょちゅうのきよを使つかいにやったばかりに、具合ぐあいのいいたこがはいらなくて、げると、すぐにぐるぐるとまわって
北風にたこは上がる (新字新仮名) / 小川未明(著)
洋服ようふくのボタンが一つれて、ひじのあたりがやぶれている具合ぐあいまでが、無頓着むとんちゃくで、なおしてあげるといってもめんどうくさがる、おとうさんのようすを彷彿ほうふつさせて、どくのようにも
汽車は走る (新字新仮名) / 小川未明(著)
れた、はじめのうちは、みんなこうしたもので、なれれば具合ぐあいがよくなるとおもっていたのです。そのうちに、不自由ふじゆうになれてしまって、つい不自由ふじゆうということがわからなくなったのです。
金歯 (新字新仮名) / 小川未明(著)
無心むしん大空おおぞらいろうつすといったような具合ぐあいです。
雲と子守歌 (新字新仮名) / 小川未明(著)