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とぎばなし
ふりがな文庫
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伽話
(
とぎばなし
)” の例文
とまた
擦寄
(
すりよ
)
った。謙造は
昔懐
(
むかしなつか
)
しさと、お
伽話
(
とぎばなし
)
でもする気とで、うっかり言ったが、なるほどこれは、と心着いて、急いで言い続けて
縁結び
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
鹿やんに、お
伽話
(
とぎばなし
)
を聞いていた私は、そういう種類を、暫く中断されていたが、この貸本屋が出来て、講談本が、棚へ
陳
(
なら
)
ぶと同時に
死までを語る
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
私はお
伽話
(
とぎばなし
)
的なこの青年の行動に好ましい微笑を送った。そして気持ちよく桃色の五十銭札を二枚出して青年の手にのせてやった。
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
籠
(
かご
)
の
中
(
なか
)
には、
青々
(
あを/\
)
とした
蕗
(
ふき
)
の
蕾
(
つぼみ
)
が一ぱい
入
(
はひ
)
つて
居
(
ゐ
)
ました。そのお
婆
(
ばあ
)
さんは、まるでお
伽話
(
とぎばなし
)
の
中
(
なか
)
にでも
出
(
で
)
て
來
(
き
)
さうなお
婆
(
ばあ
)
さんでした。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
ということを子々孫々によく知るようにお
伽話
(
とぎばなし
)
のようにして親達が子供に話をするものですからどこへ行っても
其事
(
それ
)
を知って居る。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
▼ もっと見る
つまり涙香物が浅く感じられて来ましたので、逆にアラビヤンナイト式のお
伽話
(
とぎばなし
)
的怪奇趣味の中にモグリ込んでしまいました。
涙香・ポー・それから
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
葉子がそういう人たちをかたみがわりに抱いたりかかえたりして、お
伽話
(
とぎばなし
)
などして聞かせている様子は、船中の見ものだった。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
お金を
費
(
つか
)
おうとしない船員、女を失望させて帰す水夫や火夫なんて、これはとても信じられないお
伽話
(
とぎばなし
)
だ。奇蹟? 不可能。
踊る地平線:08 しっぷ・あほうい!
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
しかし、今の人たちは、お
伽話
(
とぎばなし
)
の小波だけしか知らないだろう。文章の多少の古めかしささえ我慢すれば、あの童話の数々は、いつまでも生命を失わない。
胡堂百話
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「国の歴史や伝説やまたお
伽話
(
とぎばなし
)
でもその国の自然を見た後でなければやっぱり本当には分らない。」
異郷
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
瞳
(
ひとみ
)
を定めて見れば、老いさらぼうた
翁媼
(
おううん
)
が
蹲
(
うずくま
)
っている。家も人も偶然開化の舌に
舐
(
な
)
め残されたかと感ぜられる。またお
伽話
(
とぎばなし
)
の空気が
闇
(
やみ
)
の
裡
(
うち
)
に浮動しているかとも感ぜられる。
細木香以
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
母は、ストーヴや
鍋
(
なべ
)
や、ナイフやフォークや、
布巾
(
ふきん
)
やアイロンや、そういうものに
生命
(
いのち
)
を
吹
(
ふ
)
きこみ、話をさせる
術
(
じゅつ
)
を心得ていた。つまり彼女は、たくまないお
伽話
(
とぎばなし
)
の
作者
(
さくしゃ
)
だった。
母の話
(新字新仮名)
/
アナトール・フランス
(著)
ひろびろと奥ふかくみえて、まるでお
伽話
(
とぎばなし
)
の世界のようになる。きれいはきれいだが夜の雪みちはあるくとあぶない。眼の前が光って、どこも同じように見えて方角がわからなくなる。
山の雪
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
私の
度度
(
たびたび
)
述べることですが、特に「女の読物」として書かれた低級な物ばかりを読むのは、大人が子供のお
伽話
(
とぎばなし
)
を読み
耽
(
ふけ
)
るのと同じく、自分をわざわざ低能化しつつあるのだと思います。
婦人改造と高等教育
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
トーヴァルセンを出して世界の彫刻術に一新紀元を
劃
(
かく
)
し、アンデルセンを出して近世お
伽話
(
とぎばなし
)
の元祖たらしめ、キェルケゴールを出して無教会主義のキリスト教を世界に
唱
(
とな
)
えしめしデンマークは
デンマルク国の話:信仰と樹木とをもって国を救いし話
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
とはいえそれはあまりお
伽話
(
とぎばなし
)
めかした、ぴったりしないところがある。
城のある町にて
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
お
伽話
(
とぎばなし
)
のなかでこそ、あれもいいけれど、ほんとに出てきたら怖いわ。
桜の園
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
お
伽話
(
とぎばなし
)
のように無邪気で面白く潤色してゆっくりゆっくり喋りました。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
嶮
(
けわ
)
しい屋根や海緑色の
石盤瓦茸小塔
(
せきばんかわらぶきことう
)
の
聳
(
そび
)
え具合が
仏蘭西
(
フランス
)
蘇格蘭
(
スコットランド
)
折衷式
(
せっちゅうしき
)
の
城
(
シャトー
)
の様式なので、城は師父ブラウンのような
英蘭
(
イングランド
)
人にはお
伽話
(
とぎばなし
)
に出て来る魔女のかぶる陰険な尖り帽を思い出させるのであった。
作男・ゴーの名誉
(新字新仮名)
/
ギルバート・キース・チェスタートン
(著)
稚気満々たるお
伽話
(
とぎばなし
)
の国の虎のように思えてならなかったのだ。
虎狩
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
二郎
(
じろう
)
は、お
伽話
(
とぎばなし
)
にでもあるように、
美
(
うつく
)
しい
船
(
ふね
)
だと
思
(
おも
)
いました。
赤い船のお客
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
お
伽話
(
とぎばなし
)
を読んでいるような気もちがしてならなかった。
蟇の血
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
子供の為めのお
伽話
(
とぎばなし
)
の本は、沢山すぎる程あります。
科学の不思議
(新字旧仮名)
/
ジャン・アンリ・ファーブル
(著)
一種のお
伽話
(
とぎばなし
)
ですね。
獄中への手紙:04 一九三七年(昭和十二年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
慌てもの、臆病もの、大寄合のお
伽話
(
とぎばなし
)
。夜分
御徒然
(
ごとぜん
)
の折から、お笑い草にもあいなりますれば、手前とんだその大手柄でござりまする。
わか紫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
木曾
(
きそ
)
の
人
(
ひと
)
は
昔
(
むかし
)
からお
伽話
(
とぎばなし
)
が
好
(
す
)
きだつたと
見
(
み
)
えますね。
岩
(
いは
)
にも、
池
(
いけ
)
にも、
釣竿
(
つりざを
)
にも、こんなお
伽話
(
とぎばなし
)
が
殘
(
のこ
)
つて、それを
昔
(
むかし
)
から
言
(
い
)
ひ
傳
(
つた
)
へて
居
(
ゐ
)
ます。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
働くと云う事を辛いと思った事は一度もないけれど、今日こそ安息がほしいと思う。だが今はみんなお
伽話
(
とぎばなし
)
のようなことだ。
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
しかも忠告する気で云っている話が、ツイお
伽話
(
とぎばなし
)
か何ぞのようにフワフワと
浮付
(
うわつ
)
いてしまう。
圧
(
お
)
しの利かない事
夥
(
おびただ
)
しい。
難船小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「狐の嫁入?——娘のおチュウを番頭の忠吉に
嫁合
(
めあわ
)
せるというお
伽話
(
とぎばなし
)
の筋なら知っている」
銭形平次捕物控:112 狐の嫁入
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
チベット人はもはやこういう事の話を幼い時からお
伽話
(
とぎばなし
)
として母の口より
吹込
(
ふきこ
)
まれて居る。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
巌谷小波
(
いわやさざなみ
)
君のお
伽話
(
とぎばなし
)
もない時代に生れたので、お
祖母
(
ばあ
)
さまがおよめ入の時に持って来られたと云う百人一首やら、お
祖父
(
じい
)
さまが義太夫を語られた時の記念に残っている
浄瑠璃本
(
じょうるりぼん
)
やら
サフラン
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
ローズ・ブノワさんは、その
楽園
(
らくえん
)
にある花の
名前
(
なまえ
)
を
全部
(
ぜんぶ
)
と、その
方舟
(
はこぶね
)
に
乗
(
の
)
っていた
獣
(
けもの
)
の名前を全部
知
(
し
)
っています。それから、ジャンセエニュ
先生
(
せんせい
)
と同じ数だけのお
伽話
(
とぎばなし
)
を知っています。
母の話
(新字新仮名)
/
アナトール・フランス
(著)
『西遊記』の怪物孫悟空が刑罰のために銅や鉄のようなものばかり食わされたというお
伽話
(
とぎばなし
)
はあるが、動物が金属を主要な栄養品として摂取するのははなはだ珍しいといわなければなるまい。
鉛をかじる虫
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
『不思議? ちよツ、不思議といふのは昔の人のお
伽話
(
とぎばなし
)
だ。はゝゝゝゝ、智識の進んで来た今日、そんな馬鹿らしいことの有るべき筈が無い。』
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
何のことはないお
伽話
(
とぎばなし
)
みたような筋道になってしまいますが、
併
(
しか
)
し、そこまで来る間の私共の辛苦
艱難
(
かんなん
)
と、それから
後
(
のち
)
の孤軍奮闘的生活といったら
キチガイ地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
実は、雪の池のここへ来て幾羽の鷺の、
魚
(
うお
)
を狩る
状
(
さま
)
を、さながら、炬燵で見るお
伽話
(
とぎばなし
)
の絵のように思ったのである。
眉かくしの霊
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
尾道の海辺で、波止場の石垣に、お
腹
(
なか
)
を打ちつけては、あのひとの子供を産む事をおそれていたけれど、今はそれもいじらしいお
伽話
(
とぎばなし
)
になってしまった。
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
「狐の嫁入?——娘のおチウを番頭の忠吉に
嫁合
(
めあは
)
せるといふお
伽話
(
とぎばなし
)
の筋なら知つて居る」
銭形平次捕物控:112 狐の嫁入
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
お
伽話
(
とぎばなし
)
にある、魔女に姿を変えられた人のような気がしてならないのである。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
末広町
(
すゑひろちやう
)
には
阿爺
(
おやぢ
)
の家の懇意な
陶器屋
(
せとものや
)
がある。そこの旦那に誘はれで養育院を見に行つた。私は貧しい子供を前に置いて、小さなお
伽話
(
とぎばなし
)
を一つした。
突貫
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
お
伽話
(
とぎばなし
)
にだってこの様な大名生活はないだろう。彼女に見せてやったなら、どんな事を云うであろうか。老女中が次々と五十
幾
(
いく
)
ツかの部屋を見せてくれた。
魚の序文
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
梅水の主人夫婦も、座興のように話をする。ゆらの戸の歌ではなけれど、この恋の行方は分らない。が、
対手
(
あいて
)
が牛乳屋の小僧だけに、天使と牧童のお
伽話
(
とぎばなし
)
を聞く気がする。
灯明之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
丸之内の
某社
(
ぼうしゃ
)
で警察方面の外交記者を勤めて、あくまで冷酷な、現実的な事件ばかりで
研
(
と
)
ぎ
澄
(
す
)
まされて来た私の頭には、そんなお
伽話
(
とぎばなし
)
じみた問題を浮かべ得る余地すら無かった。
冗談に殺す
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
まるでお
伽話
(
とぎばなし
)
だ、と彼は眼に浮ぶ二人の情人のことを言って見た。しかし、お伽話の無い生活ほど、寂しい生活は無い。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
戦争下の日本で、長らく貧しい生活にあつた二人にとつて、これはまるでお
伽話
(
とぎばなし
)
の世界である。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
さながらに生きたお
伽話
(
とぎばなし
)
のようにホノボノと、神秘めかしく照し出しているのであった。
白菊
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
富藏
(
とみざう
)
は
疑
(
うたが
)
はないでも、
老夫婦
(
らうふうふ
)
の
心
(
こゝろ
)
は
分
(
わか
)
つて
居
(
ゐ
)
ても、
孤家
(
ひとつや
)
である、この
孤家
(
ひとつや
)
なる
言
(
ことば
)
は、
昔語
(
むかしがたり
)
にも、お
伽話
(
とぎばなし
)
にも、
淨瑠璃
(
じやうるり
)
にも、ものの
本
(
ほん
)
にも、
年紀
(
とし
)
今年
(
ことし
)
二十
(
はたち
)
になるまで、
民子
(
たみこ
)
の
耳
(
みゝ
)
に
入
(
はひ
)
つた
響
(
ひゞ
)
きに
雪の翼
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
と二人の子供は互に言い合って、まるでお
伽話
(
とぎばなし
)
でも聞いているような眼付をしながら、鯨の
捕
(
と
)
れたのを見て来たという父の旅の話なぞに耳を傾けた。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
現在の地球表面上に残る各種の遺跡によって、そんな事実を推定して行く地質学者や、古生物学者は皆、想像のみを事とするお
伽話
(
とぎばなし
)
の作者といえようか。科学者でないといえようか。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
で、なんとなく、お
伽話
(
とぎばなし
)
を聞くようで、
黄昏
(
たそがれ
)
のものの
気勢
(
けはい
)
が胸に
染
(
し
)
みた。——なるほど、そんなものも
居
(
い
)
そうに思って、ほぼその色も、黒の処へ
黄味
(
きみ
)
がかって、ヒヤリとしたものらしく考えた。
海の使者
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
伽
漢検準1級
部首:⼈
7画
話
常用漢字
小2
部首:⾔
13画
“伽”で始まる語句
伽噺
伽藍
伽
伽羅
伽羅油
伽藍堂
伽婢子
伽羅沙
伽羅枕
伽草子