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両
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ふた
ふりがな文庫
“
両
(
ふた
)” の例文
旧字:
兩
聖の
御頭
(
みつむり
)
かすかに後光をはなち、差しのべたまへる
両
(
ふた
)
つの御手の十の御指は皆輝きて、その
掌
(
たなひら
)
の雀子さへも光るばかりに喜び羽うち
雀の卵
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
従って
両
(
ふた
)
つの概念の間には非常に大きな差異があることを理解するにしても、しかし実体という点においては両者は一致すると思われる。
省察:神の存在、及び人間の霊魂と肉体との区別を論証する、第一哲学についての
(新字新仮名)
/
ルネ・デカルト
(著)
もしまた低いときまつた場合には、自分は喜平の悪夢から遁れることはできるが、その代り名器と自信とを
両
(
ふた
)
つとも失ふのだ。
小壺狩
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
併し要するに各個人が自己の恋愛を自己と社会に対し
両
(
ふた
)
つながら大なる価値ありと信じ、この幸福のための努力を以て自からの権利であり
恋愛と道徳
(新字旧仮名)
/
エレン・ケイ
(著)
一藩の指導者は二人とも圧死を遂げた。御隠居は一時に
両
(
ふた
)
つの翼を失ったけれども、その老いた精神はますます明るいところへ出て行った。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
▼ もっと見る
入口の左右の壁には、煤竹を二本に渡した楕円形の小窓が開けられて居たが、その窓は
恰
(
あたか
)
も此家の
両
(
ふた
)
つの眼の様に見えた。
世の中へ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
正面には高く
両
(
ふた
)
つの燭台の間に聖像がかけられ、そのわきの壇上にはばてれんらしい黒衣の老人が腰をかけて一人の男と何か熱心に話してゐた。
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死
(新字旧仮名)
/
長与善郎
(著)
両
(
ふた
)
親のないことがもう子供心にこたえるらしく、それ故の精のなさかと、見れば不憫で、鮭を焼いて食べさせたところ
わが町
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
然し其原因の大部分は策略でもなく、優柔でもなく、寧ろ
彼
(
かれ
)
に融通の
利
(
き
)
く
両
(
ふた
)
つの
眼
(
め
)
が
付
(
つ
)
いてゐて、双方を一時に
見
(
み
)
る便宜を有してゐたからであつた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
あれで
鶏
(
とり
)
の
身体
(
からだ
)
が二つの手と
両
(
ふた
)
つの足と胴との五つになります。あの通りにすれば誰が
割
(
さ
)
いても極く無造作です。その次に筋抜きという事を致します。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
さて住職
奥田墨汁
(
おくだぼくじゅう
)
師を
訪
(
とぶら
)
って
久闊
(
きゅうかつ
)
を
叙
(
じょ
)
した。対談の間に、わたくしが嶺松寺と池田氏の墓との事を語ると、墨汁師は意外にも
両
(
ふた
)
つながらこれを知っていた。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
この壇階子の
中央
(
なかほど
)
より道は
両
(
ふた
)
つに
岐
(
わか
)
れたり。右に行けば北の台なるかの座敷牢に出づべきを、下枝は左の
方
(
かた
)
に行きぬ。見も知らざる廊下細くしていと長し。
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
両
(
ふた
)
つを比べて見ると人間ならば階級の違う人が並んで立っているよう、その相違は不思議な位でありました。
幕末維新懐古談:54 好き狆のモデルを得たはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
私は声を立てることも、抱擁することも
両
(
ふた
)
つながら出来なかった。彼の手は私の身体じゅうを撫でまわした。
光り合ういのち
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
その軸も肖像も
両
(
ふた
)
つながら私のながい間愛好してきたものですが、今では二ツとも手許にはありません。
書斎
(新字新仮名)
/
辻潤
(著)
風光の美、既に人をして去る
能
(
あた
)
はざらしむるに、忠魂長く留まれる処、山河更に威霊を添ふるを覚ゆ。茫々五百年、恩讐
両
(
ふた
)
つながら存せず。苦節ひとり万古にかをる。
秋の筑波山
(新字新仮名)
/
大町桂月
(著)
夫雀哀しんで自ら羽を抜き丸裸になってピパル樹に
栖
(
とま
)
り
哭
(
な
)
く、ピパル樹訳を聞いて貰い泣きし葉をことごとく落す、水牛来て訳を聞いて角
両
(
ふた
)
つ
堕
(
おと
)
し川へ水飲みに往くと
十二支考:01 虎に関する史話と伝説民俗
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
そういう
六
(
むつ
)
かしい問題は別として、現在日本の画界における
両
(
ふた
)
つの分派の作品を対照した時に感ずるあるデリケートな差別の裏面には、両派の画家の本来の素質のみならず
帝展を見ざるの記
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
生を
享
(
う
)
け、
人間
(
じんかん
)
に出でゝ、心を労して
荊棘
(
けいきよく
)
を
過
(
すぐ
)
る、或は故なきに敵となり、或は故なきに味方となり、恩怨
両
(
ふた
)
つながら暴雨の前の
蛛網
(
ちゆまう
)
に似て、
徒
(
いたづ
)
らに
啻
(
た
)
だ毛髪の細き縁を結ぶ
哀詞序
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
此時京
留居
(
守
)
吉井幸
助
(
輔
)
も
どふ/\
(
同道
)
ニて、船中ものがたりもありしより、又温泉ニともにあそバんとて、吉井がさそいにて又
両
(
ふた
)
りづれにて
霧島山
(
キリシマヤマ
)
の方へ行道にて
日当山
(
ヒナタヤマ
)
の温泉ニ
止
(
泊
)
マリ
手紙:044 慶応二年十二月四日 坂本乙女あて
(新字旧仮名)
/
坂本竜馬
(著)
勿論人の妻として才色
両
(
ふた
)
つながら非の打ちどころのない事は
能
(
よ
)
く承知しているが、その後清岡は月日の立つにつれて自分の品行の
修
(
おさま
)
らないところから、何となく
面伏
(
おもぶせ
)
な気がしだして
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
そのうちにはまた
睡気
(
ねむけ
)
がさしそうになる、から、ちと
談話
(
はなし
)
の仲間入りをしてみようとは思うが、一人が口を
箝
(
つぐ
)
めば、一人が舌を
揮
(
ふる
)
い、喋々として
両
(
ふた
)
つの口が結ばるという事が無ければ
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
是非なく
両人
(
ふたり
)
で沼田へ帰って参りましたが、
扨
(
さて
)
お話
両
(
ふた
)
つに分れまして、鹽原角右衞門は其の前年の九月の三日に小川村を出立致しまして、沼田の御城下に泊りまして、翌日は前橋に泊り
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
多くは玉石
混淆
(
こんこう
)
せり、なすところ多ければ巧拙
両
(
ふた
)
つながらいよいよ多きを見る。
俳人蕪村
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
醒睡両非還両是
醒睡
(
せいすい
)
両
(
ふた
)
つながら非
還
(
また
)
両つながら
是
(
ぜ
)
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
彼女は、
麻痺
(
しび
)
れた
両
(
ふた
)
つの腕を空へ伸ばした。
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
聖の
御頭
(
みつむり
)
かすかに後光をはなち、差しのべたまへる
両
(
ふた
)
つの
御手
(
みて
)
の十の御指は皆輝きて、その
掌
(
たなひら
)
の雀子さへも光るばかりに喜び羽うち
観相の秋
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
然しその原因の大部分は策略でもなく、優柔でもなく、寧ろ彼に融通の
利
(
き
)
く
両
(
ふた
)
つの眼が付いていて、双方を一時に見る便宜を有していたからであった。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
果してしからば偶合かも知れないが、猪と柿と
両
(
ふた
)
つながら蛇毒を制すと信ぜられたは面白い。
十二支考:10 猪に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
いきなり歯を当てると、むし歯になると
不可
(
いけな
)
いと、私のために
簪
(
かんざし
)
の柄を刺して、それから、皮を取って、裂目を入れて、
両
(
ふた
)
つに分けて、とろとろと唇が触ったか、触らない中に——
河伯令嬢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
凹巷が文台の事を叙した文は
下
(
しも
)
の如くである。其中には霞亭が郷を離れて後八年にして帰つたと云ふことと、師に別れて後十三年にして帰つたと云ふことと、
両
(
ふた
)
つながら見えてゐる。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
それから大神宮の大きな
花崗石
(
みかげ
)
の鳥居を
潜
(
くぐ
)
り(この鳥居は後で見たら、中央からポックリと
両
(
ふた
)
つに折れていました。これは
柳川
(
やながわ
)
力士
雲竜久吉
(
うんりゅうきゅうきち
)
が納めたもので、その由を彫ってあった)
仲店
(
なかみせ
)
を
幕末維新懐古談:14 猛火の中の私たち
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
晋齋老人は
流石
(
さすが
)
に博識な方でげすから、二人のお若さんに目もはなさず御覧になっている。するとお若さんの形こそ
両
(
ふた
)
つになっておりますが、その様子におきましては
両人
(
ふたり
)
とも同じことです。
根岸お行の松 因果塚の由来
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
と、すばらしく拡大された幼獣のなめらかな黒い頭と
前肢
(
まえあし
)
の
両
(
ふた
)
つの鰭とが幕面の右下から匍いあがって来る。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
そうしていつの間にかこのアイロニーに一種の実感が伴って、
両
(
ふた
)
つのものが互に
纏綿
(
てんめん
)
して来た。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
かく豕を表わすところ、仏教の愚痴、耶蘇教に大食と異なれど
両
(
ふた
)
つながら
碌
(
ろく
)
な事でない。
十二支考:10 猪に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
と
両
(
ふた
)
つ
提
(
さげ
)
の——もうこの頃では、山の爺が
喫
(
の
)
む煙草がバットで差支えないのだけれど、事実を報道する——
根附
(
ねつけ
)
の処を、
独鈷
(
とっこ
)
のように振りながら、
煙管
(
きせる
)
を
手弄
(
てなぶ
)
りつつ、ぶらりと降りたが
灯明之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
さうして見れば、時代が既に推移した今、
恩讎
(
おんしう
)
両
(
ふた
)
つながら滅した今になつて、
枯骨
(
ここつ
)
が
朝恩
(
てうおん
)
に
沾
(
うるほ
)
つたとて、何の不可なることがあらうぞ。私はかう思つて同郷の先輩に
謀
(
はか
)
り、当路の大官に
愬
(
うつた
)
へた。
津下四郎左衛門
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
私は下谷北清島町に生まれ、光明氏もやはり下谷で、北清島町からは
何程
(
いくら
)
もない稲荷町の宮彫師石川家に生まれた人です(稲荷町は
行徳寺
(
ぎょうとくじ
)
の稲荷と柳の稲荷と
両
(
ふた
)
つあるが、光明氏は柳の稲荷の方)
幕末維新懐古談:46 石川光明氏と心安くなったはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
両
(
ふた
)
つのものは二にして一、一にして二と云ってもしかるべきものであります。そこで哲理的に論ずるとなかなか面倒ですから、分りやすいために実例で説明しようと思います。
文芸の哲学的基礎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
馬の
口附
(
くちつき
)
来る事遅きを
詰
(
なじ
)
れば馬に任せて往かれよという故、馬の往くままに進行すると、川の面六、七間なるに大木を
両
(
ふた
)
つに割って橋とす。その木の本広さ三就ばかり末は至って細し。
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
両
(
ふた
)
つに分れた両方の
袂
(
たもと
)
の間が、爪さき深く、谷に見えるまで、簪の
薄
(
すすき
)
の穂のひらひらと散って落つる処を、
引
(
ひき
)
しめたままの扇子で、さそくに
掬
(
すく
)
ったのが、かえって悠揚たる
状
(
さま
)
で、一度上へはずまして
ピストルの使い方:――(前題――楊弓)
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ひたおもて戦車にあるはまじろがずその眼射たれけり
両
(
ふた
)
つのその眼
黒檜
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
その文異同ある故
両
(
ふた
)
つながら参酌して書くと、〈
阿魯
(
あろ
)
国一名唖魯、西南の海中にあり、その国南は大山、北は大海、西は
蘇門荅剌
(
スマトラ
)
国界、国語婚喪等の事
爪哇
(
ジャワ
)
と相同じ、山に飛虎を出す
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
そうしてこの
両
(
ふた
)
つのものを意識する時間を延しても縮めても、両意識の関係が変らない。するとこの関係は比較的時間と独立した関係であって、しかもある一定の関係であるという事がわかる。
文芸の哲学的基礎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
すらりとした
両
(
ふた
)
つのほそい腕から
東京景物詩及其他
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
少なくとも
両
(
ふた
)
つのものを
綺麗
(
きれい
)
に切り離して、純粋な楽みに
耽
(
ふけ
)
りたかった。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
両
(
ふた
)
つながらそれぞれ
歴
(
れっき
)
とした訳があり、決して無茶苦茶な乱風でない。
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
“両”の解説
両(りょう)は、尺貫法における質量の単位であり、また、近世の日本における金貨、および中国における秤量銀貨の通貨単位である。
(出典:Wikipedia)
両
常用漢字
小3
部首:⼀
6画
“両”を含む語句
両側
両手
両脚
両親
両腕
両方
両袖
両人
両国
両掌
両岸
両肌
両刃
両臂
両替
両隣
百両
両眼
両膝
両端
...