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下卑
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げび
ふりがな文庫
“
下卑
(
げび
)” の例文
猥
(
みだ
)
らな
仕草
(
しぐさ
)
は平気、
下卑
(
げび
)
た戯談はおかまひなしで、あたくしなぞ、そばにゐたたまれないやうなことが、しよつちゆうでございます。
緑の星
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
今ごろ髪を七三などに結って、
下卑
(
げび
)
た
笑談口
(
じょうだんぐち
)
などきいて
反
(
そ
)
っくりかえっているそこらのお神なぞも、鼻持ちのならないものであった。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
眼も
然
(
さ
)
うだが、顏にも姿にも
下町
(
したまち
)
の
匂
(
にほい
)
があツて、
語調
(
ことばつき
)
にしろ
取廻
(
とりまはし
)
にしろ身ごなしにしろ表情にしろ、氣は利いてゐるが
下卑
(
げび
)
でゐる。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
角帯の人たちは、おりおり
下卑
(
げび
)
たことを言って、みんなを笑わせようとしたが、村人たちは顔を見合わせて、かえってにがい顔をした。
次郎物語:01 第一部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
支那人の呉清輝は、部屋の入口の
天鵞絨
(
びろうど
)
のカーテンのかげから罪を犯した常習犯のように
下卑
(
げび
)
た顔を深沢にむけてのぞかした。
国境
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
▼ もっと見る
なぜならば立派なことをいやしくも口外した以上、そう
下卑
(
げび
)
た行の出来るはずはないから、まあ幾分か恕してやるべきである。
イエスキリストの友誼
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
新妻の友達に
下卑
(
げび
)
ていながら妙に女の気に入る医者があって主人をば精神病の患者と診断し新妻は以後主人を狂人扱いにする。
雨瀟瀟
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
真中どころにごろごろして竹の皮包みの
餡
(
あん
)
ころかなにかを頬張りながら、
下卑
(
げび
)
た話をしてゲラゲラ笑っているのもあります。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
後は芝居の噂やら弟子どもが
行状
(
みもち
)
の噂、真に罪なき雑話を
下物
(
さかな
)
に酒も過ぎぬほど心よく飲んで、
下卑
(
げび
)
た
体裁
(
さま
)
ではあれどとり膳
睦
(
むつ
)
まじく飯を
喫了
(
おわ
)
り
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
そう言っている母の言葉や、アクセントは、
平生
(
いつも
)
の母とは思えないほど、
下卑
(
げび
)
ていて
娼婦
(
しょうふ
)
か何かのように
艶
(
なまめ
)
かしかった。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
お隣の
摘
(
つ
)
み
綿
(
わた
)
の師匠のお鶴は、平次と八五郎の顏を見ると、
下卑
(
げび
)
た
品
(
しな
)
を作り乍ら、恐ろしい勢ひで捲くし立てました。
銭形平次捕物控:163 閉された庭
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
禅僧の洒落が
下卑
(
げび
)
ると面白くないものである。そうしてこの面白くないのがかなりに多いと思うが、どうかしらん。
楞迦窟老大師の一年忌に当りて
(新字新仮名)
/
鈴木大拙
(著)
こう云う
下卑
(
げび
)
た料簡を起さずに、一生を暮す事のできる人は、経験の足りない人かも知れないが、幸な人である。また自分らよりも
遥
(
はるか
)
に高尚な人である。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
楽声を聴いて心を悦ばせるには、上品でなくてはならないというのではないが、いかにも
穢苦
(
むさくる
)
しい感じを与えられた。
下卑
(
げび
)
ていたこともいなまれなかった。
豊竹呂昇
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
それそれ、それがいけないのさ。
田舎
(
いなか
)
びていて間が抜けていて、
下卑
(
げび
)
てさえいる『はあ』という言葉、それを
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
金と性慾、何んと
下卑
(
げび
)
たものではあるが、しかし彼は常に暗い旧家らしい奥座敷の
籐
(
とう
)
むしろの上に机を据えて、毎日朝のうちは金の勘定をする事にきめていた。
大切な雰囲気:03 大切な雰囲気
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
下卑
(
げび
)
た言い草である。二、三の者は笑い声を立てたが、戸部近江之介は
明白
(
あきらか
)
に嫌な顔をして、一そう憎悪に燃えるように、立ったまま喬之助を見下ろしている。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
勝は外を通ってる人の声を聞いても時々
気疎
(
けうと
)
いことがありますぞな。ようあんな
下卑
(
げび
)
たことを大きな声で
喋舌
(
しゃべ
)
ってげらげら笑っておられると愛想が
尽
(
つ
)
きてしまう。
入江のほとり
(新字新仮名)
/
正宗白鳥
(著)
が、そのときですらなお和歌と俳句とを
較
(
くら
)
べますと
堂上人
(
どうじょうびと
)
と町人のような区別があって和歌は優にやさしきもの、俳句は
下卑
(
げび
)
た
賤
(
いや
)
しきものとそう考えておりました。
俳句とはどんなものか
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
上品、下品の対立は、人事関係に基づいて更に人間の趣味そのものの性質を表明するようになり、上品とは高雅なこと、下品とは
下卑
(
げび
)
たことを意味するようになる。
「いき」の構造
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
が、喚き立てる子供達の当て
擦
(
こす
)
りの
下卑
(
げび
)
た荒々しい言葉が、あの緊密相な男の子の神経にかなり深刻に響いて、彼をいかに
焦立
(
いらだ
)
たせるかとはらはらして堪らない気もした。
蝙蝠
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
しかもそれを
下卑
(
げび
)
た百姓言葉でまくし立てるので、さすがの「浮浪人」ゴーリキイもこれには閉口したらしいが、ましてやチェーホフの迷惑に至っては察するに余りがある。
チェーホフ序説:――一つの反措定として――
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
ここへ来る前、星野社長はわざわざ、帆村の
潔癖
(
けっぺき
)
を保証したが、その話とはちがって、彼はとんでもない
痴漢
(
ちかん
)
であった。六条子爵の場合よりも、もっともっと
露骨
(
ろこつ
)
で
下卑
(
げび
)
ている。
什器破壊業事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
何故なら頑丈な先生は少し
下卑
(
げび
)
てゐたし、黒い毛の先生はひどく恐ろしかつたし、外國人の先生はガラ/\で
變挺
(
へんてこ
)
であつたし、ミラア先生は、可愛想に! 紫色でやつれ果てゝ
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
君は民政党に
楯
(
たて
)
ついて、碌なことはないよ、と云って、馬鹿にしたような、脅迫するような、
獲物
(
えもの
)
を前にして舌なめずりするような、
下卑
(
げび
)
た薄笑いを湛えて、じっと彦太郎を見た。
糞尿譚
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
其の頃は今と違いまして花見の風俗は随分
下卑
(
げび
)
たもので、鼻先の
円
(
まる
)
くなった
百眼
(
ひゃくまなこ
)
を掛け、一升樽を
提
(
さ
)
げて
双肌
(
もろはだ
)
脱ぎの若い
衆
(
しゅ
)
も多く、長屋中総出の花見連、
就中
(
なかんずく
)
裏店
(
うらだな
)
の
内儀
(
かみ
)
さん達は
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
おいらはおまえのような
下卑
(
げび
)
たやつとは心のみがき
方
(
かた
)
がちがっている。また、おいらがこんな乞食のような
姿
(
すがた
)
になっていたり、
盲
(
めくら
)
になってしまったのも、みんな自分の
慾
(
よく
)
ではない。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「だってあなたは、……あなたは財産のある人じゃありませんか。それをなんだってあなたは、こんな——第一こんな翼屋の、しかもこんな
下卑
(
げび
)
た環境のところにおられるんです?」
永遠の夫
(旧字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
この人の立居振舞にはどことなく
下卑
(
げび
)
た肉感がともなうので、素子は谷村が足繁く訪ふことに好感を持たなかつた。あなたもエロだわと、谷村をひやかしたり、嫌つたりしたのである。
女体
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
少しく
下卑
(
げび
)
た話であるが、その時にわたしが劇場のなかで食わされた物をかんがえて見ると、まず餅菓子のようなものが出た。それから
口取
(
くちとり
)
物に酒が出た。
午飯
(
ひるめし
)
は幕の内の弁当であった。
明治劇談 ランプの下にて
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
なぞとその男も答へながら、家の中を見廻して、「たむら」も随分変つたぢやないかと懐旧の念にたへがたさうにすると、調子づいて、ええ、ほんとにねえ、すつかり
下卑
(
げび
)
て了つたでせう
一の酉
(新字旧仮名)
/
武田麟太郎
(著)
「おれはおまえのような
下卑
(
げび
)
たやつはきらいだ」と巌がしゃもじにいった。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
「たべられるものか、
下卑
(
げび
)
なさんな。」「なぜ、
何
(
ど
)
うして?」「いちじくとはちがふ。いくら
食
(
く
)
ひしん
坊
(
ばう
)
でも、その
實
(
み
)
は
黄色
(
きいろ
)
くならなくつては。」「へい。」と
目
(
め
)
を
丸
(
まる
)
くして、かざした
所
(
ところ
)
は
十六夜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
その
下卑
(
げび
)
た騎士道、偽善的なもったい振り、好んでおのれを賛美しおのれを愛する我利冷酷な徳操の化身とも言うべき、恐怖も知らないが人情も知らないその英雄、それを彼は憎みきらった。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
と、
嘲
(
あざ
)
けったが、急に、乱暴な、ぞんざいな、
下卑
(
げび
)
切ッた口調になって
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
歸
(
かへ
)
りたいだらう。
生
(
なま
)
ぬるい、
青
(
あを
)
んぶくれのやうな
人間
(
にんげん
)
どもが、
年中
(
ねんぢう
)
指先
(
ゆびさき
)
でも、
眼
(
め
)
の
中
(
なか
)
でも
算盤
(
そろばん
)
を
彈
(
はじ
)
いて、
下卑
(
げび
)
たことばかり
考
(
かんが
)
へてゐるこの
土地
(
とち
)
に、まことの
人間
(
にんげん
)
らしい
人間
(
にんげん
)
はとても
居
(
を
)
られないね。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
が、夫はその
下卑
(
げび
)
た同僚たちに、存外親しみを持つてゐるらしかつた。
秋
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「いいえ、あの
娘
(
むすめ
)
は、そんな
下卑
(
げび
)
た
子供
(
こども
)
ではありません。きっと、あの
弟
(
おとうと
)
のために、こうして
苦労
(
くろう
)
をしているのです。」と、さっきから
黙
(
だま
)
って、じっと
娘
(
むすめ
)
の
踊
(
おど
)
るのを
見
(
み
)
ていた
女
(
おんな
)
の
人
(
ひと
)
がいいました。
港に着いた黒んぼ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
こおろぎと蟻の話を聞いた時にも私は何ともなく蟻が
下卑
(
げび
)
て、憎々しく、こおろぎが詩的で、美しい気がした。寓話の趣旨とはあべこべのことを考えていた。これは私の詩的素質のせいであろうか。
光り合ういのち
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
下足場の人ごみの中で、おそろしく
下卑
(
げび
)
た太い声でわめき出したのが、キッカケで、そこから大混乱が起ったところです。
大菩薩峠:22 白骨の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
叔父
(
おじ
)
は策略で娘を私に押し付けようとしたのです。好意的に両家の便宜を計るというよりも、ずっと
下卑
(
げび
)
た利害心に駆られて、結婚問題を私に向けたのです。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
もっさりした何々よりも今少し
下卑
(
げび
)
て悪性のものにして下手さも深刻である場合にこの言葉が適用される。
めでたき風景
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
眼は青かったが、その眼は高すぎる鼻の方へ引っぱれて、
猿猴
(
えんこう
)
にも似ていたが、見ようでは高僧にでもありそうな相もあった。やや
下卑
(
げび
)
ていたこともたしかだった。
旧聞日本橋:11 朝散太夫の末裔
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
真に罪無き雑話を
下物
(
さかな
)
に酒も過ぎぬほど心よく飲んで、
下卑
(
げび
)
た
体裁
(
さま
)
ではあれどとり膳睦まじく飯を
喫了
(
をは
)
り、多方もう十兵衞が来さうなものと何事もせず待ちかくるに
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
尤も蕪村召波などの句のように品格のよい句ではない。しかしてこんな趣向をこれ位までにこぎつけて、さほど
下卑
(
げび
)
た句にせぬところは太祇の手腕を認めねばならぬ。
俳句はかく解しかく味う
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
母親は時々こくりこくりと
居睡
(
いねむ
)
りをしながら、鼻を
塞
(
つま
)
らせて、
下卑
(
げび
)
たその文句に
聴
(
き
)
き
惚
(
ほ
)
れていた。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
下卑
(
げび
)
た言い草だった。二、三の者は笑い声を立てたが、戸部近江は、
明白
(
あきらか
)
に厭な顔をした。一層憎悪に燃えるように突っ起ったまま、喬之助を見下ろしていたっけ……。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
が、喚き立てる子供達の当て
擦
(
こす
)
りの
下卑
(
げび
)
た荒々しい言葉が、あの緊密
相
(
そう
)
な男の子の神経にかなり深刻に響いて、彼をいかに
焦立
(
いらだ
)
たせるかとはらはらして
堪
(
たま
)
らない気もした。
蝙蝠
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
話があんまり
下卑
(
げび
)
てゐるので、平次の女房のお靜も、さすがに恐れをなしたものか、熱い番茶を一杯、そつと八五郎の膝の側に滑らせて、默つてお勝手に逃げ込んでしまひました。
銭形平次捕物控:194 小便組貞女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
なんと
荒
(
すさ
)
んでいることぞ! そうしてそういった言葉つきの、なんとはしたなく
下卑
(
げび
)
ていることぞ! たたずんで見ていた山県紋也は驚きと一緒にいわれぬ憎悪を胸に持たざるを得なかった。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
下
常用漢字
小1
部首:⼀
3画
卑
常用漢字
中学
部首:⼗
9画
“下卑”で始まる語句
下卑蔵