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三尺
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さんじやく
寶鼎金虎を
存し、
芝田白鴉を
養ふ。
一瓢に
造化を
藏し、
三尺妖邪を
斬り、
逡巡の
酒を
造ることを
解し、また
能く
頃刻の
花を
開かしむ。
宿に
凝としてゐるのは、
猶退屈であつた。
宗助は
匆々に
又宿の
浴衣を
脱ぎ
棄てゝ、
絞りの
三尺と
共に
欄干に
掛けて、
興津を
去つた。
何故でもしない、
誰れが
來て
無理やりに
手を
取つて
引上げても
己れは
此處に
斯うして
居るのがいゝのだ、
傘屋の
油引きが
一番好いのだ、
何うで
盲目縞の
筒袖に
三尺を
脊負つて
産て
來たのだらうから
ふらふらと浮いた腰の、
三尺ほどの
脚棍に乗つて
雖然、
心覺えで
足許の
覺束なさに、
寒ければとて、
三尺を
前結びに
唯解くばかりにしたればとて、ばた/\
駈出すなんど
思ひも
寄らない。
兩人の
裾の
所が、
床の
間横、
一間に
三尺、
張だしの
半戸だな、
下が
床張り、
突當りがガラス
戸の
掃だし
窓で、そこが
裏山に
向つたから、
丁どその
窓へ
其の
縁臺がめい
込んで、
地が
三尺ばかり
掘下つたと
言ふのである。
女房は
即座に
癒えて、
軒の
花が
輝いた。
暗に
透かすと、
背の
高い
大な
坊主が
居て、
地から
三尺ばかり
高い
処、
宙で
胡座掻いたも
道理、
汀へ
足代を
組んで
板を
渡した
上に
構込んで、
有らう
事か、
出家の
癖に
顔面黒く
漆して、
目の
隈、
鼻頭、
透通る
紫陽花に
藍を
流し、
額から
頤に
掛けて、
長さ
三尺、
口から
口へ
其の
巾五尺、
仁王の
顔を
上に
二つ
下に
三つ
合はせたばかり、
目に
余る
大さと
成つて
其のも
一ツの
廣室を
夢中で
突切つたが、
暗がりで
三尺の
壁の
處へ
突當つて
行處はない、
此處で
恐しいものに
捕へられるのかと
思つて、あはれ
神にも
佛にも
聞えよと、
其壁を
押破らうとして
拳で
敲くと