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障
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さわ
ふりがな文庫
“
障
(
さわ
)” の例文
「
海苔巻
(
のりまき
)
なら
身体
(
からだ
)
に
障
(
さわ
)
りゃしないよ。折角姉さんが健ちゃんに
御馳走
(
ごちそう
)
しようと思って取ったんだから、是非食べて御くれな。
厭
(
いや
)
かい」
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それだけでも
癪
(
しゃく
)
に
障
(
さわ
)
ってたまらないのに、彼奴め、自分の非をわすれて、先頃、お金蔵の金子が台帳と少々合わないのを
楯
(
たて
)
に取って
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「春の夜の
闇
(
やみ
)
はあやなし」というようなたよりなさではあったが、話す人、聞く人もそれを
障
(
さわ
)
りにしてそのままにやむ話ではなかった。
源氏物語:50 早蕨
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
「でも大江山さん、
沢山
(
たくさん
)
の貴方の部下が警戒していなさるのですものネ。私が申したんじゃお気に
障
(
さわ
)
ることは分っていますからネ」
流線間諜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「そんなにお耳に
障
(
さわ
)
ったんですか。だってK—さんがせっかくお酒を召し
食
(
あが
)
っていらっしゃるのに、厭な顔も出来ないもんですから。」
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
▼ もっと見る
斯
(
こ
)
う/\
云
(
い
)
う次第で僕は長崎に
居
(
お
)
られぬ、余り
癪
(
しゃく
)
に
障
(
さわ
)
るからこのまゝ江戸に
飛出
(
とびだ
)
す
積
(
つも
)
りだが、実は江戸に知る人はなし、方角が分らぬ。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
しかし私はその紫色が
癪
(
しゃく
)
にも
障
(
さわ
)
ったので、見えもしない物の影を紫になど頼まれても描いてやるものかという気になってしまった。
めでたき風景
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
「そうじゃない。あれあ大病人の祝言じゃけに、病気に
障
(
さわ
)
らん
様
(
ごと
)
、ソロオッと遣ってくれたとたい。毛唐人なあ気の利いとるケニ」
近世快人伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
挽いて出た肉をまたその器械へかけてモー一度挽き、丁寧にすれば三度挽くと肉が極く細かになって
殆
(
ほとん
)
ど舌へも歯へも
障
(
さわ
)
りません。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
何の
障
(
さわ
)
りもなく、武士は二三人
繋
(
つな
)
がって歩いて居ても、そのうちのたった一人だけが見事に髷を切られることさえあるのでした。
銭形平次捕物控:174 髷切り
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「いやいや打ち捨てお置きなされ、
障
(
さわ
)
らぬ神に祟りなし。なまじ騒いだその為に貴郎にもしもお怪我でもあってはお気の毒でございます」
郷介法師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
もし気に
障
(
さわ
)
ったら、勘忍し給え。僕は君と話している中に、あんまり君が青年らしい正直な考を持っていたから、ちょいと
悪戯
(
いたずら
)
を
西郷隆盛
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
人間には執心というのがある、この事ばかりはどんな
障
(
さわ
)
りがあっても朽ちさせまいとする念願がある。それがやがて執心である。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
機
(
はず
)
みに四五本の毛は指に掛った儘で抜けスラ/\と尻尾の様な紐が
障
(
さわ
)
る其
途炭
(
とたん
)
入毛だけは根が無いから訳も無く抜けて手に掛る。
無惨
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
馬籠以東の宿では、
妻籠
(
つまご
)
、
三留野
(
みどの
)
両宿ともに格別の
障
(
さわ
)
りはないとのうわさもあり、中津川辺も同様で、一向にそのうわさもない。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
どこへ行くかというと釈迦堂から二丁ほどある平地の所へ、
障
(
さわ
)
りなく
投秘剣
(
とうひけん
)
の式を終えるように守る神様として出て行くのです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
それをながめている人の心は、勇ましい者に
障
(
さわ
)
られた時のごとく、堅く厳しく引きしめられて、感激の涙が涙堂に溢れてくる。
二つの道
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
神経系統にいささかの
障
(
さわ
)
りもないばかりか、しかも流石は畔柳博士の執刀だけに、現在傷一つも皮膚に残っておらんからの——
白金神経の少女
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
見送りもせず、夫人はちょいと根の高い
円髷
(
まるまげ
)
の
鬢
(
びん
)
に手を
障
(
さわ
)
って、
金蒔絵
(
きんまきえ
)
の
鼈甲
(
べっこう
)
の
櫛
(
くし
)
を抜くと、
指環
(
ゆびわ
)
の宝玉きらりと動いて、後毛を
掻撫
(
かいな
)
でた。
伊勢之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
鱷の雄は腹の外の皮が
障
(
さわ
)
る故、陸に上れば後二脚のみで歩むと信ず(エップの説、『印度群島および
東亜細亜雑誌
(
ゼ・ジョーナル・オブ・ゼ・インジアン・アーキペラゴ・エンド・イースターン・アジア
)
』五巻五号)
十二支考:03 田原藤太竜宮入りの話
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
椿
(
つばき
)
、どうだん、
躑躅
(
つつじ
)
などの丈の低い木はそれほどにも思いませんが、白梅の古木や
楓
(
かえで
)
などは、根が痛まず、
障
(
さわ
)
りのないようにと祈られます。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
是を胎内くぐりという言葉もあり、また
障
(
さわ
)
りなくこの行道を
為
(
な
)
し
遂
(
と
)
げたことを、生まれ清まわりと呼んでいたとも伝えられる。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
でルイザは、彼の気に
障
(
さわ
)
ることをしてはいけないと、クリストフに言いつけておいた。ロドルフの方は
猿
(
さる
)
知恵のたちだった。
ジャン・クリストフ:03 第一巻 曙
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
それを聴くと私はグッと
癪
(
しゃく
)
に
障
(
さわ
)
った。そして長火鉢に
揷
(
さ
)
してあった
鉄火箸
(
てつひばし
)
をぎゅうと握りしめて座り直りながら大きな声で
うつり香
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
孤月氏は私の最も厭やな部類に属する人でした。この人のすることは一つ/\私の気に
障
(
さわ
)
らないことはありませんでした。
妾の会つた男の人々(野依秀一、中村弧月印象録)
(新字旧仮名)
/
伊藤野枝
(著)
「いいよ、話すよ」のろは坐り直した、「泰さん、これからおれの云うことで、気に
障
(
さわ
)
るような話が出るかもしれねえが」
源蔵ヶ原
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
これは経験のない人に話したところがわからん事であるからいうにも及ばぬが、しかし時々この誤解をしられるために甚だ
肝癪
(
かんしゃく
)
に
障
(
さわ
)
ることがある。
病牀苦語
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
非実用的なのが
障
(
さわ
)
りで融通に対する利用性を欠いていた為め彼が容易に現金に換えようとする重宝には役立たなかった。
バットクラス
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
それがために縁談とやらの
障
(
さわ
)
りになるならならせておきましょう、お父様が今のお母さんをお好きのように、わたしも幸内が好きなんでございます
大菩薩峠:14 お銀様の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
雨のふる日に路地をぬける人の傘が、お玉さんの家の羽目か塀にがさりとでも
障
(
さわ
)
る音がすると、阿母さんはすぐに例の「誰だい」を浴びせかけた。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
話せば
病
(
やまい
)
にも
障
(
さわ
)
ろうと思って、誠に
不憫
(
ふびん
)
でござる、是非お話申したい事がございますから、どうか蔵の中へお
出
(
い
)
で下さい
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
例のご病気がはじまると、ピアノが
癇
(
かん
)
に
障
(
さわ
)
ってならない人なの。ちょっと行って、伺ってみるといいわ。かまわないとおっしゃったら弾くから。ね。
ワーニャ伯父さん:――田園生活の情景 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
またさらに力あるとも認められぬと思うと、悪口を受けても苦痛でなく、犬の
遠吠
(
とおぼ
)
えぐらいに聞こえる。ちょっとは耳に
障
(
さわ
)
っても、あとに残らない。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
別に深い意味で
謂
(
い
)
ツたのでは無かツたが、俊男は何んだか自分に
當付
(
あてつ
)
けられたやうに思はれて、グツと
癪
(
しやく
)
に
障
(
さわ
)
ツた。
青い顔
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
余の頭に下駄箱の厭な印象が深く染み込んでいるのはこのためで、ついでこの講堂に於ける、人を子供扱いにしたデグニチー論がひどく神経に
障
(
さわ
)
った。
子規居士と余
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
その人の言葉は何んでもないのであったでしょうが、ふと、今いった言葉の中に、「怠けてはいけない」という一語があったので、私の
癇
(
かん
)
に
障
(
さわ
)
りました。
幕末維新懐古談:59 矮鶏の作が計らず展覧会に出品されたいきさつ
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
池の中には何かしらが残っていよう。深川佐賀町の廻船問屋には自分の妹が片附いている。商人には
障
(
さわ
)
りがなかったということが彼を心強くさせもした。
旧聞日本橋:08 木魚の顔
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
無事御帰省なされ日々
障
(
さわ
)
りなくお暮らしなされます由、安堵いたします。なにとぞ私の家を訪れたような不祥があなたの家庭に起こらぬように祈ります。
青春の息の痕
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
「あの小母さんは慾がなくて面白い人だよ。だけど、気に
障
(
さわ
)
ると誰にでもくってかかる人だから、用心してね。」
次郎物語:03 第三部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
ああそうでしたか、別に骨にも
障
(
さわ
)
らなかったですね、
大腿部
(
だいたいぶ
)
——はあそうですか。とにかく若い者は結構ですな。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
見れば子供衆が菓子を食べていなさるが、そんな物は腹の足しにはならいで、歯に
障
(
さわ
)
る。わしがところではさしたる
饗応
(
もてなし
)
はせぬが、
芋粥
(
いもがゆ
)
でも進ぜましょう。
山椒大夫
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
娘の兄らしい兵隊は無言で、親爺らしい百姓が
頻
(
しきり
)
に詫びた。娘は俯向いてこそこそと降りた。
癪
(
しゃく
)
に
障
(
さわ
)
って
忌々
(
いまいま
)
しいが叱り飛す張合もない。災難だと諦めた。
深川の散歩
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
そのうち六人の者に知らせがまいりましてからはもう大ハシャギで、寄ると
障
(
さわ
)
るとその話ばかりで持ち切りです
ナリン殿下への回想
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
……ああ、由玄どの、今あなたは
眉
(
まゆ
)
をお
顰
(
ひそ
)
めなされましたな。いえ、よく分つてをります、美麗だなどと大それた物の言ひやう、さぞやお耳に
障
(
さわ
)
りませう。
雪の宿り
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
「とっぴょくりん」そのものが通称化されているからさして
障
(
さわ
)
りにはならないし、チャアレエという人名は原謡にはただ音韻上のしゃれに使用したまでで
まざあ・ぐうす
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
「僕は人事を尽して天意を
俟
(
ま
)
つ。しかし先方が余りひどい人事を尽すから癪に
障
(
さわ
)
る。斯ういうことは何うも面白くない。僕は君にだって随分失敬している」
求婚三銃士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
墓地の
樒
(
しきみ
)
の木に
障
(
さわ
)
るので、若い洋服の医師が手を添えて枝を
擡
(
もた
)
げたりして、棺は掘られた墓の前に据えられた。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
きっと私の言い方が気に
障
(
さわ
)
ったに違いない。彼女の頭にはかっと血が上る。
嘴
(
くちばし
)
のところに
癇癪
(
かんしゃく
)
の
皺
(
しわ
)
が垂れ下がる。彼女は今にも真っ赤に怒り出しそうになる。
博物誌
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
夏の頃からの疲労が、冬に入ってからは殊にひどくて、お仕事にも
障
(
さわ
)
られるようなことが度々でございます。
雨の玉川心中:01 太宰治との愛と死のノート
(新字新仮名)
/
山崎富栄
(著)
「
何
(
なに
)
をいうのさ。
太夫
(
たゆう
)
は
大病人
(
だいびょうにん
)
なんだよ。ちっとだッて
騒
(
さわ
)
いだりしちゃァ、
体
(
からだ
)
に
障
(
さわ
)
らァね。一
緒
(
しょ
)
について
行
(
ゆ
)
くなァいいが、こッから
先
(
さき
)
へは
出
(
で
)
ちゃならねえよ」
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
障
常用漢字
小6
部首:⾩
14画
“障”を含む語句
障碍
支障
障子
障礙
故障
目障
罪障
破障子
手障
障子越
気障
戸障子
耳障
硝子障子
眼障
障害
罪障消滅
泥障
氣障
腰障子
...