談話だんわ)” の例文
しかこれきたはなしとか、交際かうさいとかとふものとはまたべつで、あま適切てきせつれいではりませんが、たとへば書物しよもつはノタで、談話だんわ唱歌しやうかでせう。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
宗助そうすけきはめてみじかい其時そのとき談話だんわを、一々いち/\おもうかべるたびに、その一々いち/\が、ほとんど無着色むちやくしよくつていゝほどに、平淡へいたんであつたことみとめた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
げきしているのでも無く、おそれているのでも無いらしい。が、何かと談話だんわをしてその糸口いとぐちを引出そうとしても、夫はうるさがるばかりであった。
鵞鳥 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
此時このとき如何いかうれしく、また、如何いかなる談話だんわのあつたかはたゞ諸君しよくん想像さうぞうまかせるが、こゝ一言ひとことしるしてかねばならぬのは、この大輕氣球だいけいききゆうことである。
可成かなおほきいけれど、わづかに一小破片せうはへん見出みいだしたのみといふ八木やぎ水谷みづたに談話だんわなどかんがへて、はおぼろながら。
葛城が軍艦から母の家に帰って来る毎に、彼は彼女と談話だんわを交えた。信仰を同じくし、師を同じくし、同じ理想をう二人は多くの点に於て一致を見出した。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
談話だんわ次手ついでに松川が塾の荒涼たるをかこちしより、予は前日藪をけんせし一切いつさいを物語らむと、「実は……」とわづか言懸いひかけける、まさに其時、啾々しう/\たる女の泣声なきごえ、針の穴をも通らむず糸より細く聞えにき。
妖怪年代記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
馬丁うまかたうばはれ一向に知れざる由うけたまはり氣のどくに存じ彼是と談話だんわ仕つりし中にひまとりおそく參り日くれにならざるうちかへる心故提燈ちやうちんの用意も仕らず歸りは夜に入亥刻頃ゐのこくごろにも相成りしと言ければ大岡殿其方は細川ほそかはの家來と何れにて心やすくなりしや傳吉私し先年新吉原三浦屋みうらやにて心やすく相成りました右源次郎殿げんじらうどのつま
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
小六ころくから坂井さかゐおとうと、それから滿洲まんしう蒙古もうこ出京しゆつきやう安井やすゐ、——談話だんわあと辿たどれば辿たどほど偶然ぐうぜんはあまりにはなはだしかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
しかしこれはきたはなしとか、交際こうさいとかとうものとはまたべつで、あま適切てきせつれいではありませんが、たとえば書物しょもつはノタで、談話だんわ唱歌しょうかでしょう。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
この談話だんわをはると、わたくし大佐たいさわかれげ、武村兵曹たけむらへいそうおくられて、まへ不思議ふしぎなるみちぎて、秘密造船所ひみつぞうせんじよそとた。
じつわたくし貴方あなたとの談話だんわおいて、此上このうへ滿足まんぞくましたのです。で、わたくし貴方あなたのおはなし不殘のこらずうかゞひましたから、此度こんど何卒どうぞわたくしはなしをもおください。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
けれども小六ころくはさうはなしきても、まだつてた。それで仕舞しまひには、友達ともだちが、小六ころくは、退屈たいくつあまりに訪問はうもんをして、談話だんわ復習ふくしふふけるものだとひやうした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
貴君きくんいま本艦ほんかん水兵すいへい貴君きくん同伴者どうはんしやなる武村兵曹たけむらへいそうとの談話だんわによると、貴君等きくんらは、もつと親密しんみつなる海軍大佐櫻木重雄君かいぐんたいささくらぎしげをくん縁故えんこひとやうおもはれるが、はたして左樣さうですか。
じつわたくし貴方あなたとの談話だんわにおいて、このうえ満足まんぞくましたのです。で、わたくし貴方あなたのおはなし不残のこらずうかがいましたから、こんどはどうぞわたくしはなしをもおください。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
ストーブのさかんに燃える父伯爵の居間に集り、いろいろ面白い談話だんわふけってる、その面白い談話と云うのは、好奇ものずきな娘達がしきりに聴きたがる、妖怪ようかい談や幽霊物語の類で、談話はなし上手の伯爵が
黄金の腕環:流星奇談 (新字新仮名) / 押川春浪(著)