行儀ぎやうぎ)” の例文
姿すがた婀娜あだでもおめかけではないから、團扇うちは小間使こまづかひ指圖さしづするやうな行儀ぎやうぎでない。「すこかぜぎること」と、自分じぶんでらふそくにれる。
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
たづぬるにもと大和國やまとのくに南都なんと春日かすが社家しやけ大森隼人おほもりはいとの次男にて右膳うぜん云者いふものありしが是を家督かとくにせんとおもひ父の隼人は右膳に行儀ぎやうぎ作法さはふ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
留守宅は用人の小田島傳藏老人と、近頃兩國の水茶屋を引いて、行儀ぎやうぎ見習の爲に來てゐる、錢形平次の許婚いひなづけお靜。
今のオオブリエンの怪物も、たしか毛むくぢやらな裸でした。その点では幽霊は、人間より余程よほど行儀ぎやうぎい。
近頃の幽霊 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
それは英國の農村階級に見られる、行儀ぎやうぎのよい、ひんのある、謙遜な、よく物を識つてゐる娘達であつた。
これで先生も使賃つかひちんをやる事をおぼえ、また小僧こぞうさんも行儀ぎやうぎなほつたといふお話で、誠に西洋あちら小僧こぞうさんは狡猾かうくわつ怜悧りこうところがありますが、日本こちら小僧こぞうさんはごく穏当をんたうなもので。
西洋の丁稚 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
行儀ぎやうぎよさで、たとへば卓子テーブルうへにも青羅紗あをらしやとかしろネルとかをいて牌音パイおとやはらげるやうにしてあるのが普通ふつうだが、本場ほんば支那人しなじん紫檀したん卓子テーブルうへでぢかにあそぶのが普通ふつう
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
そのさま人ありて行儀ぎやうぎよくつみあげたるごとく寸分のゆがみなし、天然てんねん奇工きこう奇々妙々不可思議ふかしぎなり。
なかあたまひからして、くろ法衣ころもそうまじつてゐた。ほかのものは大概たいがいはかま穿いてゐた。この六七にんをとこあがぐちおくつうずる三じやく廊下口らうかぐちのこして、行儀ぎやうぎよくかぎならんでゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
まあ お行儀ぎやうぎわる
かんがへてもたがい。風流人ふうりうじんだと、うぐひすのぞくにも行儀ぎやうぎがあらう。それいた、障子しやうじけたのでは、めじろがじつとしてようはずがない。
湯どうふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それも丁度ちやうど都踊みやこをどりの時分だつたから、両側には祗園団子ぎをんだんごの赤い提灯が、行儀ぎやうぎよく火を入れて並んでゐる。自分は始めてさつきの竹藪が、建仁寺けんにんじだつたのに気がついた。
京都日記 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
そのさま人ありて行儀ぎやうぎよくつみあげたるごとく寸分のゆがみなし、天然てんねん奇工きこう奇々妙々不可思議ふかしぎなり。
たゞそれほど容子ようすぶつた風がなく、ずつともの優しいと云ふだけで、私の想像したフェアファックス夫人そのまゝだつた。彼女は、編物をしてゐた。その足下には、大きな猫が行儀ぎやうぎよく坐つてゐた。
あれ、貴僧あなた那様そんな行儀ぎやうぎいことをして被在ゐらしつてはおめしれます、気味きみわるうございますよ、すつぱり裸体はだかになつておあらひなさいまし、わたしながしてげませう。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それから廊下に接した南側には、殺風景さつぷうけい鉄格子てつがうしの西洋窓の前に大きな紫檀したんの机を据ゑて、その上にすずりや筆立てが、紙絹しけんの類や法帖ほふでふと一しよに、存外ぞんぐわい行儀ぎやうぎよく並べてある。
東京小品 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
……う、まで骨々ほね/″\しうせもしない兩手りやうて行儀ぎやうぎよくひざうへんだんですが、そのあゐがかつた衣服きもの膝頭ひざがしらへするりと、掻込かいこみました、つまそろつて、ちういたしたゆかへ、すつと
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
向うの家の二階の窓には、百合ゆり薔薇ばらの鉢植が行儀ぎやうぎよく幾つも並んでゐる。が、そのうしろには黄いろい窓掛が大抵たいてい重さうに下つてゐるから、部屋の中の主人の姿は、だ一度も見た事がない。
(新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
あねをとらまへ軽忽きやうこつな、こりや畜生の行儀ぎやうぎか。
案頭の書 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)