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菜
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かず
ふりがな文庫
“
菜
(
かず
)” の例文
……お
菜
(
かず
)
も、あの、お好きな
鴫焼
(
しぎやき
)
をして上げますから、おとなしくしていらっしゃいまし。お腹が空いたって、人が聞くと笑います。
夜叉ヶ池
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
お銀が来るようになってから、一々自身で台所へ出て肴の選択をする必要もなくなったし、三度三度のお
菜
(
かず
)
も材料が豊かになった。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
つつましくふた品ほどのお
菜
(
かず
)
をのせた渋いろの塗膳を前に、角張った顔を貧血させて和尚様は、キチンと手を膝の上に、控えておられた。
小説 円朝
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
お
菜
(
かず
)
が無いので困る時には、生姜や日光蕃椒のほかに、ヤタラ味噌や
煮染
(
にしめ
)
などを買って仲間へ
大盤振舞
(
おおばんぶるまい
)
をするものもありました。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
今の白銅は私が夕飯のお
菜
(
かず
)
を買うために持っていたので、考えて見ると自分の身に引き比べて何だか気羞かしくなって来た。
駅夫日記
(新字新仮名)
/
白柳秀湖
(著)
▼ もっと見る
「お
菜
(
かず
)
の殘りを貰ひに來なさるがね。氣の毒だから私は、奧で召上つた殘りがあれば、どつさり取つて置いて上げますだよ」
銭形平次捕物控:196 三つの死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
ある時御飯のお
菜
(
かず
)
に、知らぬお
肴
(
さかな
)
がついて居りましたので、あとで助八さんにお肴の名を聞きましたら、
章魚
(
たこ
)
と申しました。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
試しに娘の食べかけの残したお
菜
(
かず
)
に箸をつけようとしますと、娘はその皿を急に引ったくりまして、お母様、これは私の食べかけでございます。
仏教人生読本
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
お話しでないもんだから
此方
(
こっち
)
はそんな事とは夢にも知らず、お弁当のお
菜
(
かず
)
も毎日おんなじ
物
(
もん
)
ばッかりでもお
倦
(
あ
)
きだろう
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
ところが賄は請負で、二十銭が勿体ないようなお
菜
(
かず
)
のときがあった。女事務員たちは、そんなとき食券はとっといて「モーリ」で十銭の昼食をする。
舗道
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
良人のことで清子が苦労したことと言えば毎朝つめる弁当のお
菜
(
かず
)
である。いくら
塩鮭
(
しゃけ
)
が好きだからといっても、そう毎日塩鮭ぜめにするわけにもいかない。
茶粥の記
(新字新仮名)
/
矢田津世子
(著)
お滝は腹這いになって足をとんとんとやっていたが、膳の上を見ると飯を
喫
(
く
)
ったと見えてお
菜
(
かず
)
を荒してあった。
狐の手帳
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
マリイは十一時頃に晴着のロオヴを着て出掛けて行つた。自分はトランクの上の台所で昼
御
(
ご
)
飯の仕度にかかつて、有合せの野菜や
鶏卵
(
たまご
)
や
冷肉
(
れいにく
)
でお
菜
(
かず
)
を作つた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
村の濱とは違つて、自分のお
菜
(
かず
)
にするくらゐの魚は直ぐ近所の岩で釣れるし、やがて小屋のまはりに柿や梨を植ゑれば樂みにもなるし儲けにもなると云つてゐた。
避病院
(旧字旧仮名)
/
正宗白鳥
(著)
お
菜
(
かず
)
は、鳥の肉の殘りと、あやしげな茶碗蒸と、野菜だつた。茶に
臭氣
(
にほひ
)
のあるのは水の
故
(
せい
)
だらうと言出したものがあつたが、左樣言はれると飯も同じやうに臭つた。
伊豆の旅
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
人に可愛がられて菓子だのお
菜
(
かず
)
だのをもらふから一日の米二合半の代五銭さへあればいいし、それにもう一年半で死ぬといふお告げをうけて永代経も願つてあるし
銀の匙
(新字旧仮名)
/
中勘助
(著)
あれじゃア奉公人のお
菜
(
かず
)
が多うがんすよ、何でも奉公人のお菜は二度はいらねいから一度になせいまし
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
お
菜
(
かず
)
が出来上つた頃、町へ行つて居たお光も帰つて来た。お桐も眼を覚した。飯を食べる時お光はお桐にも出て来て一緒に食べんかと言つた。が平七はそれを制して
厄年
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
子供に活動を
強請
(
せが
)
まれても、見に連れて行く代りに拳骨を一つ食はせるより外に仕方がない。女房は毎日のお
菜
(
かず
)
で困難を極める。いやだいやだ、全く生きるのが厭になる。
工場の窓より
(新字旧仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
お
菜
(
かず
)
は、ふのような乾物類ばかりで、たまにあてがわれる肉類は、罐詰の肉ときている彼等は、不潔なキタない豚からまッさきにクン/\した生肉の匂いと、味わいを想像した。
前哨
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
晩のお
菜
(
かず
)
は香物だけでもいゝからお晝の辨當にはお肴か肉を附けないと機嫌が惡いのさ。
続俳諧師:――文太郎の死――
(旧字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
然
(
しか
)
るを
愚図々々
(
ぐづ/\
)
と
賢
(
さか
)
しらだちて
罵
(
のゝし
)
るは
隣家
(
となり
)
のお
菜
(
かず
)
を
考
(
かんが
)
へる
独身者
(
ひとりもの
)
の
繰言
(
くりごと
)
と
何
(
なん
)
ぞ
択
(
えら
)
まん。
為文学者経
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
、
三文字屋金平
(著)
前垂
(
まえだ
)
れがけの下から八百屋で買って来た
牛蒡
(
ごぼう
)
と
人参
(
にんじん
)
を出してテーブルの上へのせておいたまま「これはお
菜
(
かず
)
です」とその野菜をいじりながら雑誌を一生懸命に読出したということや
松井須磨子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
今夜
(
こんや
)
のお
菜
(
かず
)
は
旨
(
うも
)
ござる。
とんぼの眼玉
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
「こっちのお乳をお
菜
(
かず
)
にして、こっちの
大
(
おおき
)
い方をお
飯
(
まんま
)
にして食べるんだって、」とぐッと
緊
(
し
)
め附けて肩を
窄
(
すぼ
)
め、笑顔で
身顫
(
みぶるい
)
をして
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
遲い月はまだ出ませんが、此調子で甞めて行くと、一軒々々のお
菜
(
かず
)
から、寢物語までも手に取るやうにわかるでせう。
銭形平次捕物控:250 母娘巡礼
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
お作はただの一度も、自分の
料簡
(
りょうけん
)
で買物をしたことがない。新吉は三度三度のお
菜
(
かず
)
までほとんど自分で
見繕
(
みつくろ
)
った。お作はただ
鈍
(
のろ
)
い機械のように引き廻されていた。
新世帯
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
と仕方が無いから其の
夜
(
よ
)
は寝ましたが、
翌朝
(
よくあさ
)
から土鍋で飯は
焚
(
た
)
きまして、お
菜
(
かず
)
は
外
(
そと
)
から買って来まして喰いますような事で、
此処
(
こゝ
)
に
居
(
おり
)
ます。甚藏はぶら/\遊び歩きます。
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
一家六人のところ毎晩精進揚三つ買ってきてお
菜
(
かず
)
にする、どうして三つの精進揚が六人で食べられるのかと訊ねたら、なんと鋏で二つずつに切るのだと言った、これも団丸。
寄席
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
町の角や辻々へ大釜を
据
(
す
)
えて、町内の物持から米やお
菜
(
かず
)
を貰って来て
粥
(
かゆ
)
を
炊
(
た
)
いて食い、食ってしまうと
鬨
(
とき
)
の声を挙げて、また次の町内へ繰込んで貰って炊いて食い歩くのです。
大菩薩峠:10 市中騒動の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
アアして勉強してお勤にお出の事たからその位な事は此方で気を附けて上げなくッちゃアならないと思ッて、今日のお弁当のお
菜
(
かず
)
は玉子焼にして上げようと思ッても鍋には出来ず
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
「もすこしお待ちになると温い御飯も、お
菜
(
かず
)
もできますが」
春心
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
何となく
賑
(
にぎや
)
かな様子が、七輪に、晩のお
菜
(
かず
)
でもふつふつ煮えていようという、豆腐屋さ——ん、と町方ならば呼ぶ声のしそうな様子で。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
お國の阿魔は人形喰ひだから、敬吉は良い男に違ひないが、あんなヒネたのなんか振り向いても見ませんよ。その代り内々は神山守のところへ、お
菜
(
かず
)
を
銭形平次捕物控:255 月待ち
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
きゃら
蕗
(
ぶき
)
や
葉蕃椒
(
はとんがらし
)
のようなものも、けんどんの
隅
(
すみ
)
に仕舞っておき、お茶漬のお
菜
(
かず
)
にするのだった。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
旦那
自暴
(
やけ
)
を起しちゃアいけねえ、お前さんの様な親孝行な人はねえ、旦那が自分でお
飯
(
まんま
)
を炊いてお
菜
(
かず
)
までこせえて食わせようと云うに…そんな人がある訳のものじゃアねえ
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
すなわち富士講でいう
小谷禄行
(
おたにろくぎょう
)
の教えを聞いてから、熱烈なる不二教の信者となり、既に四十年間、毎朝冷水を浴びて身を浄め、朝食のお
菜
(
かず
)
としては素塩一
匙
(
さじ
)
に限り、
祁寒暑雨
(
きかんしょう
)
を
厭
(
いと
)
わず
大菩薩峠:37 恐山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
賑
(
にぎやか
)
じゃあるし、料理が上手だからお
菜
(
かず
)
も
旨
(
うま
)
いし、君、
昨夜
(
ゆうべ
)
は妹たちと一所に西洋料理を
奢
(
おご
)
って貰った、僕は七皿喰った。ははは
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「時分時で財布は御存じの通り北山でしょう、江戸名題の豪族のお
菜
(
かず
)
はどんなものかと——修業のために」
銭形平次捕物控:246 万両分限
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
友之助はお村に云い付けて、斯う云う時に御恩を返さなければならん、お前お
菜
(
かず
)
を
拵
(
こしら
)
えるのが面倒なら、料理屋から
買
(
かっ
)
てゞもいゝから毎日何か旦那の所へ持っていってお上げ。
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
不器用なお作が
拵
(
こしら
)
えてくれた三度三度のゴツゴツした煮つけや、薄い
汁物
(
つゆもの
)
は、小器用なお国の手で拵えられた東京風のお
菜
(
かず
)
と代って、膳の上にはうまい
新香
(
しんこ
)
を欠かしたことがなかった。
新世帯
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
切溜
(
きりだめ
)
の中には
沢庵
(
たくあん
)
や
煮染
(
にしめ
)
や、さまざまのお
菜
(
かず
)
が入れてあります。
大菩薩峠:09 女子と小人の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「晩のお
菜
(
かず
)
に煮て食おう。」と囃しざま、糸に
繋
(
つなが
)
ったなり
一団
(
ひとかたまり
)
になったと見ると、
大
(
おおき
)
な
廂
(
ひさし
)
の、暗い中へ、ちょろりと入って隠れてしまった。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「向うの駄菓子屋の女房ですよ、——神田一番の
金棒曳
(
かなぼうひ
)
きで、町内のお
菜
(
かず
)
の匂いまで嗅ぎわけて歩く女で」
銭形平次捕物控:095 南蛮仏
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
勘次
(
かんじ
)
や、お前あの奥のお筆さんの処へ
序
(
ついで
)
に水を汲んでやんなよ、病人があるから定めし不自由だろう、何かお
菜
(
かず
)
を
拵
(
こしら
)
えてやろうと思うが、手一つで親の看病をしながら内職をして居るので
政談月の鏡
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
少しは力の
恢復
(
かいふく
)
して来たお銀が、
捲
(
ま
)
き
髪
(
がみ
)
姿で裏から入って来たとき、笹村の顔色がまだ嶮しかった。笹村はその時、台所へ出て七輪の火を起して、昼のお
菜
(
かず
)
を煮ていたが、甥も側に働いていた。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
晩のお
菜
(
かず
)
に、煮たわ、喰ったわ、その数三万三千三百さるほどに
爺
(
じい
)
の因果が孫に
報
(
むく
)
って、
渾名
(
あだな
)
を
小烏
(
こがらす
)
の三之助、数え年十三の大柄な
童
(
わっぱ
)
でござる。
海異記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「時分時で財布は御存じの通り北山でせう、江戸名題の豪族のお
菜
(
かず
)
はどんなものかと——修業のために」
銭形平次捕物控:246 万両分限
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
女房おみねは萩原の
宅
(
たく
)
へ参り
煮焚
(
にたき
)
洒
(
すゝ
)
ぎ洗濯やお
菜
(
かず
)
ごしらえお給仕などをしておりますゆえ、萩原も伴藏夫婦には
孫店
(
まごだな
)
を貸しては置けど、
店賃
(
たなちん
)
なしで住まわせて、
折々
(
おり/\
)
は
小遣
(
こづかい
)
や
浴衣
(
ゆかた
)
などの古い物を
遣
(
や
)
り
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
そちこちする
中
(
うち
)
、昼も過ぎたので、年寄はまめまめしく
形
(
かた
)
ばかりの
膳立
(
ぜんだて
)
をした、お
菜
(
かず
)
がその時目刺に
油揚
(
あぶらげ
)
。
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“菜”の意味
《名詞》
(サイ)おかず。
(な)葉を食べる野菜。
(出典:Wiktionary)
菜
常用漢字
小4
部首:⾋
11画
“菜”を含む語句
前菜
玉菜
惣菜
蓴菜
菜園
菜切庖丁
野菜
青菜
御菜
干菜
白菜
乾菜
蔬菜
菜葉
漬菜
菜漬
小松菜
甜菜
菜葉服
野菜物
...