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祷
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いの
ふりがな文庫
“
祷
(
いの
)” の例文
その様子が怪しいので、ひそかに主人らの挙動をうかがっていると、父子は一幅の
猴
(
さる
)
の絵像を取り出して、うやうやしく
祷
(
いの
)
っていた。
中国怪奇小説集:11 異聞総録・其他(宋)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「丞相、それならば何故、
禳
(
はらい
)
をなさらないのですか。古くからそういう時には、星を祭り天を
祷
(
いの
)
る禳の法があるではございませんか」
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それは寛正の頃、東国
大
(
おおい
)
に
旱魃
(
かんばつ
)
、
太田道灌
(
おおたどうかん
)
江戸城にあって憂い、この杉の森鎮座の神にお
祷
(
いの
)
りをした
験
(
しるし
)
があって雨降り、百穀大に
登
(
みの
)
る。
旧聞日本橋:24 鬼眼鏡と鉄屑ぶとり(続旧聞日本橋・その三)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
『生命よ、わが故郷よ、なつかしき自然よ、温かき土よ、おん母よ、大地よ』といふやうな
祷
(
いの
)
りの思想がリテラリイに私の胸を突いた。
愛は、力は土より
(新字旧仮名)
/
中沢臨川
(著)
他はみな見苦しくも
慌
(
あわ
)
て
忙
(
ふため
)
きて、あまたの神と仏とは心々に
祷
(
いの
)
られき。なおかの美人はこの騒擾の間、終始御者の様子を打ち
瞶
(
まも
)
りたり。
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
父の病を
祷
(
いの
)
りに来た彼は、現世に超越した異教の神よりも、もっと人格のある
大己貴
(
おおなむち
)
、
少彦名
(
すくなびこな
)
の二神の方へ自分を持って行きたかった。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「でも他に頼る人もありません。——道尊さんは早速やって来て、
護摩
(
ごま
)
を
焚
(
た
)
いて
祷
(
いの
)
ってくれましたが、何のしるしもありません」
銭形平次捕物控:064 九百九十両
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
神に
祷
(
いの
)
って授けられると信じ、また親から子孫に伝わるのも神意と考え、力の筋は女に伝わってよその家に行ってしまうとも言っていた。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
聖ピエトロの墓の前なる一燈の外には何の光もなく、その光さへ最近き柱を照すに及ばざる程なるに、
人々跪
(
ひざまづ
)
きて
祷
(
いの
)
れば、われも亦跪きぬ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
その四人の神下しが自分の平生信ずるところの神を
祷
(
いの
)
り下げて伺った上、法王は今度どこの方角に生れ変ったという事をいちいち言うですが
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
爾思
(
しかおも
)
へる後の彼は、
陰
(
ひそか
)
にかの
両個
(
ふたり
)
の先に疑ひし如き
可忌
(
いまはし
)
き罪人ならで、潔く愛の為に奔る者たらんを、
祷
(
いの
)
るばかりに
冀
(
こひねが
)
へり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
結局凡庸な表現力しか持たない日本語ではないか。而も現在と関係のない、どう
祷
(
いの
)
っても転生する望みのない山の石の様な詩語に過ぎないのだ。
詩語としての日本語
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
つまり、天地神明に対して、身を以て
祷
(
いの
)
りつつあるのだという感動をも、田山白雲は直ちに受取ってしまいました。
大菩薩峠:38 農奴の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
唯先生を中心として起った悲劇に
因
(
よ
)
り御一同の
大小
(
だいしょう
)
浅深
(
せんしん
)
さま/″\に受けられた苦痛から最好きものゝ生れ出でんことを信じ、且
祷
(
いの
)
るのみであります。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
あはれ、ここに染出す新
暖簾
(
のれん
)
、本家再興の大望を達して、子々孫々までも巻をかさねて栄へよかしと
祷
(
いの
)
るものは
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
妾
(
せふ
)
は
児
(
じ
)
の
重
(
かさ
)
ね/″\
龍
(
りよう
)
に
縁
(
えん
)
あるを
奇
(
き
)
として、それに
因
(
ちな
)
める名をば
命
(
つ
)
けつ、
生
(
お
)
ひ先きの
幸
(
さち
)
多かれと
祷
(
いの
)
れるなりき。
母となる
(新字旧仮名)
/
福田英子
(著)
汽車に乗るとまずあらゆる聖者の
御名
(
みな
)
を呼びかけてはお
祷
(
いの
)
りをささげたが、その間にも例の『情状酌量』という
語
(
ことば
)
が、絶えずその単純な頭にひびいていた。
情状酌量
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
沙漠のなかで大風に遇うのは天神の怒に触れたものとして隊商のうちの一人を犠牲にして災難を免れるよう
祷
(
いの
)
らねばならない。このことは誰も知って居た。
百喩経
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
そこで、まあとにかく、神父さまにお
祷
(
いの
)
りをして頂かうといふことになつて、遠い町から名高い神父さまを呼んで、丁度そのお祷りが始まるところなんです。
エミリアンの旅
(新字旧仮名)
/
豊島与志雄
(著)
一日は一日とお定りの
祷
(
いの
)
りの言葉に切実が加はつた。小学校で学問が出来て得意になつてゐる時でも、黒坊主々々々と呼ばれると、私の面目は
丸潰
(
まるつぶ
)
れだつた。
途上
(新字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
眠りかけてるようなものうい町の鐘が、夕の
御告
(
みつげ
)
の
祷
(
いの
)
りの時刻を知らしていた。おぼろな願望が、かすかな予感が、夢想に沈んでる子供の心に目覚めてきた。
ジャン・クリストフ:03 第一巻 曙
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
布施はぬさと訓べし。又たゞちにふせとも訓べき也。こゝに
乞
(
こひ
)
のむといへるは、仏に
乞
(
こふ
)
にて、神に
祷
(
いの
)
るとは事異なれば、
幣
(
ヌサ
)
とはいはで、布施と言へる也。施を
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
祷
(
いの
)
りの声が各戸の入口から聞えて来た。
行人
(
こうじん
)
の喪章は到る処に見受けられた。しかし、ナポレオンは、まだ密かにロシアを遠征する機会を
狙
(
ねら
)
ってやめなかった。
ナポレオンと田虫
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
光勝自前の田に水入れその経に向い
祷
(
いの
)
るに苗茂る事
夥
(
おびただ
)
し。法蓮は田を作らず水も入れねば草のみ生じて荒れ果てるから、国人『最勝』をほめ『法花』を軽しむ。
十二支考:09 犬に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
子
疾
(
や
)
む。子路祷らんことを請う。子曰く、これ有りや。子路
対
(
こた
)
えて曰く、あり、
誄
(
るい
)
に
爾
(
なんじ
)
を上下の
神祇
(
しんぎ
)
に
祷
(
いの
)
るといえり。子曰く、
丘
(
きゅう
)
の祷ること久し。(述而、三五)
孔子
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
南無不動様と三つを掛合にして三つの内
何
(
どっ
)
ちか一つは
験
(
き
)
くだろうと思って無闇に神を
祷
(
いの
)
って居ります。
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
神に
祷
(
いの
)
り、自分の両手を縄で縛って、地にひれ伏していながらも、ふっと気がついた時には、すでに重大の悪事を為している。私は、
鞭
(
むち
)
打たれなければならぬ男である。
善蔵を思う
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
基経は念を押すように娘の方を見た。橘は
祷
(
いの
)
るように父に何もいうなという
怖気
(
おじけ
)
のある色をうかべて、もう、鳥を
射
(
う
)
つのは
可哀想
(
かわいそう
)
だという意味をも含ませた
眼附
(
めつき
)
だった。
姫たちばな
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
そして今では彼女を
憐
(
あわ
)
れみ許す穏やかな心になっている。いな、前よりもいっそう深きリファインされたキリスト教的愛で彼女を包み、心より彼女の幸福を
祷
(
いの
)
っている。
愛と認識との出発
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
初めてお辰は我身の
為
(
ため
)
にあらゆる神々に色々の
禁物
(
たちもの
)
までして平癒せしめ玉えと
祷
(
いの
)
りし事まで知りて涙
湧
(
わ
)
く程
嬉
(
うれ
)
しく、
一
(
ひ
)
ト月あまりに
衰
(
おとろえ
)
こそしたれ、床を離れて
其
(
その
)
祝義
(
しゅうぎ
)
済みし後
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
清水寺の僧信海、勅を奉じて敵国を調伏し万民を
安穏
(
あんのん
)
にせんことを
祷
(
いの
)
る。事、幕忌に触れ、捕えられて獄に下り、病を以て没す。実に
今茲
(
ことし
)
四月某日なり、遺歌一首有り。曰く
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
恰度二人がその部屋に入った時、伯爵は等身大の亡き夫人の肖像画の前に座って、香を焚き冥福を
祷
(
いの
)
っていた。香の煙は美しい彼女の胸から顔へ、うっすりと立ちのぼっていた。
鉄の処女
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
姜はそこで
懼
(
おそ
)
れて結納をかえした。薛老人は心配して、
牲
(
にえ
)
を
潔
(
きよ
)
めて祠に往って
祷
(
いの
)
った。
青蛙神
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
「お前の体は武公子からもらったのだから、もうわしが惜むわけにいかない。ただわしは、公子が一生を終るまで、災難のないように
祷
(
いの
)
っている。それがお前のさいわいなのだ。」
田七郎
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
勢理客
(
せりかく
)
の
祝女
(
のろ
)
が、あけしの祝女が、
祷
(
いの
)
りをささげて、雨雲を呼び下し、
武士
(
もののふ
)
の鎧を濡らした、武士は
運天
(
うんてん
)
の
小港
(
こみなと
)
に着いたばかりであるのに、祝女は
嘉津宇嶽
(
かつうだけ
)
にかかった雨雲を呼び下して
土塊石片録
(新字新仮名)
/
伊波普猷
(著)
「聞こえますか。あれはさるべんじなと云つて、『まりあ』に憐れみを乞ふお
祷
(
いの
)
りの歌です。今夜は殆んど一晩中祈り歌ひ明かすので、降誕の祝ひの歌の他にあゝいふのも歌ふんです。」
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死
(新字旧仮名)
/
長与善郎
(著)
お前のお父さんは七年前の不作のとき
祭壇
(
さいだん
)
に上って九日
祷
(
いの
)
りつづけられた。お前のお父さんはみんなのためには
命
(
いのち
)
も
惜
(
お
)
しくなかったのだ。ほかの人たちはどうだ。ブランダ。言ってごらん。
学者アラムハラドの見た着物
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
祷
(
いの
)
り終ると、サヨナラも云わずに、さッさと戻ってしまった。
明治開化 安吾捕物:19 その十八 踊る時計
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
それから
跪
(
ひざ
)
まずいて天に
祷
(
いの
)
る時の誠と願もあった。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
いと深き
憐愍
(
あはれみ
)
垂れさせ給へよと、
祷
(
いの
)
りをろがむ
海潮音
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
されどわれには
祷
(
いの
)
るべき言葉なかりき。
清見寺の鐘声
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
いざともに
祷
(
いの
)
らまし、ひとびとよ
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
「根に力を蓄え、望みは、永遠の結実に持て。——そう
祷
(
いの
)
るわしの施政が踏みしめて来た領土。ここの領民は
可憐
(
いじら
)
しいものたちよ」
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「お聴きの通りでございますが、お
祷
(
いの
)
り下さりましょうか」と、式部はあらためて行者に訊くと、彼女はやはり無言でうなずいた。
半七捕物帳:26 女行者
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「でも他に頼る人もありません。——道尊さんは早速やつて來て、
護摩
(
ごま
)
を
焚
(
た
)
いて
祷
(
いの
)
つてくれましたが、何のしるしもありません」
銭形平次捕物控:064 九百九十両
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
過ぐる
文久
(
ぶんきゅう
)
三年、旧暦四月に、彼が父の病を
祷
(
いの
)
るためここへ
参籠
(
さんろう
)
にやって来た日のことは、山里の梅が香と共にまた彼の胸に帰って来た。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
祷
(
いの
)
る
目当
(
めあ
)
ての神はどういう神か、是がわかるとよいのだが、島の人には口にする必要もなかったのであろう。その点がそうはっきりとしていない。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
「お
難有
(
ありがと
)
うござります、旦那さま。どうぞ御
姓名
(
なまえ
)
を伺わせて下さい、貴方さまの
御幸福
(
おしあわせ
)
をお
祷
(
いの
)
りするために」
幻想
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
妾は児の
重
(
かさ
)
ね
重
(
がさ
)
ね竜に縁あるを奇として、それに
因
(
ちな
)
める名をば
命
(
つ
)
けつ、
生
(
お
)
い先の
幸
(
さち
)
多かれと
祷
(
いの
)
れるなりき。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
ハヌマンは
娶
(
めと
)
らず、強勢慈仁の神にして人に諸福を与う。また諸鬼、妖魅、悪精、
巫蠱
(
ふこ
)
を
司
(
つかさど
)
る。悪鬼に付かれし者これに
祷
(
いの
)
れば退く。流行病烈しき時もこれに祷る。
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
祷
漢検準1級
部首:⽰
11画
“祷”を含む語句
祈祷
御祈祷
祈祷所
黙祷
加持祈祷
祈祷書
祝祷
祈祷者
祈祷料
祈祷式
祈祷会
祈祷場
夕祷
万祷
祈祷台
祈祷文
默祷
祈祷師
大祈祷
連祷
...